ニュージーランドの首相は、日曜日に出産予定だ。

それに向けて6月11日(月)に首相府のあるウェリントンを後にして、オークランドの自宅に向かった。

首相ジャシンダ・アーダンは、出産のため入院する直前まで、首相の権限を副首相に渡さず、もしも出産が遅れるなら出産促進剤を使って誘発分娩をすると語った、とガーディアン紙が報道している。

首相代理を務める副首相は、労働党と連立を組む右寄りのニュージーランド・ファースト党の党首だ。

首相の頭をよぎるのは、出産ばかりではないらしい。副首相が、政治課題になっている刑法改正に異議を唱えていることが判明し、野党側は、「連立が割れる予兆だ」と浮足立っているというのだ。

首相が女性で、たまたま妊娠中だと、出産、育児休業、分娩促進など、世界のトップニュースに決して載らなかった表現が矢継ぎ早に飛びかう。米国と北朝鮮の首脳会談よりも、はるかに新鮮な政治風景ではないか。

4月20日、国際シンポジウム「選挙を変えれば暮らしが変わる」において、ニュージーランド大使館の一等書記官は、こう語った。

「国会議員は、育児休業を他の国民と同じようにとれます。国会には80年代に、国会議場のすぐ隣の部屋に授乳室が設けられました。当時、現職の女性国会議員が初めて出産したからです」

とすると、授乳室が首相執務室の隣に新設される史上初の日も近いかも。

それもこれも、労働党青年部で活躍した女性運動家が、党の選挙候補者リストの上位に載って、20代で国会議員に当選したからにほかならない。比例代表制選挙ならでは、だ。

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 ▲「首相、国家元首、最高裁長官の3人とも女性です」と語るニュージーランド一等書記官(最右) (写真撮影:富山達夫)

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
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by bekokuma321 | 2018-06-12 20:08 | アジア・アフリカ

c0166264_10435972.jpg半年の育児休暇を終えて、さっそうと議会に戻ってきた女性党首。彼女が休暇の間、代理だった男性議員は、やる気なさそうに部屋で足をデスクにドンと伸ばして、電話でおしゃべり。その現場に……。

これは、スウェーデンの風刺ビデオ「さあ、彼女が戻ってきた」の話。ただし女性党首の育児休業は実話。

この風刺ビデオ、Youtubeで大人気。さすがスウェーデン政界と、驚くとともに、男性政治家のだらしなさは、日本と似てるな、と苦笑いした。

この風刺ビデオの背景には、女性にやさしい社会制度がある。たとえば、育児休業期間の長さ、個人に負担がかからない比例代表選挙制、議員でも大臣でも代替に代われる代理制度、保育園の充実などなど・・・。どれひとつとっても、日本は遅れすぎていて、リアリティがないから風刺にならない。

こうした社会制度は北欧だって天からふってはこない。つくってきた。つくってきたのは、国会にも地方議会にも女性議員が、4割前後いて、女性のかかえる課題を政治課題にしてきたことがある。

どうしたら、女性議員を3割、4割に増やせるか。日本最大の優先課題だと思う(アッ、この言葉、「男女共同参画社会基本法」に明文化されていたなあ・・・)。

Annie Lööf tillbaka på jobbet
Spoof video proves just how gender equal Swedes are
Baby girl joy for Centre Party leader Lööf
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by bekokuma321 | 2016-04-02 10:55 | 北欧

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ヘッレ・チュンは、大きなおなかをつきだしてパソコンに向かっていた。

私が訪ねたのは8月8日(金)の昼ごろ。8月初旬は、夏休み休暇を取る人が多く、彼女は1人でさまざまな仕事をこなしていた。午後1時半ごろ、男性職員が、「息子のサマースクールを見にいくので・・・さよなら」と、ヘッレにあいさつして職場から出て行った。

彼女が働くのはノルウェー・ジャーナリスト協会事務局。オスロの目抜き通りにある。

ジャーナリスト協会のフルタイム職員に雇用されて6年になる。その間、2度、妊娠出産。育児休業を取りながら働き続けてきた。

ヘッレは、この職場に移る前に3人の子どもを出産した。長女を出産したのは大学生の時だった。大学内の保育園(オスロ大学;写真下)に子どもを預け、がんばってきた。

現在15歳、13歳、10歳、6歳、1歳と5人の子どもの母親だ。

フルタイム勤務を安心して続けられるのは、誰もが比較的簡単に入れる保育園がたくさん整っていることと、パパ・クオータと呼ばれる父親育児休業があるからだ。

ヘッレの夫も、今、パパ・クオータ中だ。末っ子(1歳)の子育てと家事にいそがしい。申請した12週間(3か月だ)の育児休業は、もうじき終わる。

6人目の子の出産予定日は9月12日。ヘッレは、8月下旬から母親休業にはいる。そして1年間の育児休業をとった後、またフルタイム勤務に戻る。

ヘッレのようなワーキング・マザーの輩出を可能にしているのは、がっちりと整ったノルウェー社会のサポートシステムであるのは間違いない。そして、こうした女たちの存在が、ノルウェー経済を支え、ノルウェー社会を多様で豊かにしてきた。

それにしても、土台は、何といっても女性たちのやる気だ。フレーッ、フレーッ、ヘッレ!
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Norsk Journalistlag
パパ・クオータが減る
父の日に
シングル・マザー、107倍の難関に合格
世界で最も家事をしない男性は日本人
女性が働きやすい国、日本はブービー賞
男女平等大臣、クオータ制反対を公言
パパ・クオータ、7月1日から14週間に
ノルウェー、父親の育休14週間に
ノルウェー女性運動、バックラッシュに勝つ
ハンディをハンディと感じさせない社会
Gender in Norway National Legislation

●下(More)はノルウェー在住の日本人「子育て体験記」

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by bekokuma321 | 2014-08-25 07:50 | ノルウェー

c0166264_0542597.jpgノルウェーの育児休業が延長され、パパ・クオータは12週になった。

ノルウェー国会は、両親の育児休業期間を1週間延長することと、父親の育児休業の割り当て期間を現行の10週間から12週間に延長する事を可決した。 2011年7月1日以降に出生した子どもあるいは養子とした子どもの親が対象。

育児休業は、給与の100%が給付されて46週間だったが、47週間に伸びた。給与80%の場合は、56週間から57週間に伸びた。パパ・クオータ、すなわち父親の育児休業は10週間から12週間に伸びた。

アウドゥン・リースバッケン子ども・平等・社会大臣は(写真)、所属する左派社会党のメールニュースで、5月30日、次のように述べる。

「今週は、ノルウェーの父親と男女平等にとって歴史的な週となりました。赤緑連合が、2005年に政権をとったとき、パパ・クオータは5週間でした。つまり、7年間で6週伸ばしたことになります。

それだけではありません。パパ・クオータの期間より長く休暇をとる父親の数が非常に増えているのです。

歴史的にみると、1993年、すなわちパパ・クオータが導入される前は、わずか900人の父親しか育児休業をとってませんでした。それが、昨年は、45000人のパパが子どもと家ですごしています。

ノルウェーの男性は、ケアをすることを真剣にとらえ、女性も雇用主も、家で子どもとすごす機会を父親に与えることにポジティブである、とわかります。

しかし、父親休業に理解のない雇用主は、まだいます。ですから、まだまだパパ・クオータは必要なのです。クオータがあれば、男性社員は、父親休業をとりたいとき、上司の部屋で帽子を手に立ちつくさなくて済むからです」

大臣自身も父親の育児休業を取得し、最近政務に復帰した。

男女平等をつかさどる責任者は、自ら男女平等施策を実行することで、その言葉の説得力が増す。日本の男女平等大臣は与謝野馨だ。彼は、家庭でゴミを捨てているだろうか、料理や洗濯はどうだろう。

■Mer tid til pappa!
http://sv.no/Forside/Siste-nytt/Nyhetsarkiv/Mer-tid-til-pappa
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by bekokuma321 | 2011-06-09 00:57 | ノルウェー