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125日、さいたま共済会館にて、地方自治フォーラム・県民公開講座が開催され、三井マリ子さんの「ノルウェーの選挙から学ぶ主権在民と民主主義」いう講演を聞いてきた。

ノルウェーは、現在、首相が女性、国会議員の41%が女性という男女平等の先進国だ。そのノルウェーに30年前から何度も訪問して調査してきた三井さんは、「女性議員が多く選出される秘訣は比例代表制という選挙制度にある」、と力説した。

最近では昨年9月の統一地方選挙、その2年前の2017年の国政選挙を取材し、日本とは比べものにならない投票率の高さ、女性候補者数の多さ、子どもたちまで選挙活動に積極的に関わる実態を、たくさんの写真と、ジョークを交えたお得意の話術で紹介してくれた。

ノルウェーでは学校教育でも政治をタブー視せず、「選挙は民主主義の生きた教科書」とみなしているという。小・中学生が授業の一環で選挙事務所で選挙公約のアンケート調査をしていた。高校になると「スクール・エレクション」と言って 校内で生徒会主催の政党討論会、本番さながらの模擬投票が行われ、その結果は新聞に大々的に報道される。

選挙権は18歳からで日本と同じだが、被選挙権も18歳で、高校生でも議員になれるというから驚く。


また、3
年間居住すれば立候補できるので、移民にも議員への道が開かれている。オスロ議会は多様な人種から成るという。地方議員の多くは無報酬のボランティアなので様々な職業の人や学生が兼業している。それも選挙にまったく金のかからない比例代表制だからこそ可能なのだ。


ノルウェーで三井さんが入手した本物の投票用紙が会場で回覧された。投票用紙は各政党ごとの候補者リストそのもので、そこに並ぶ候補者名は男女交互だという。当選者が男女半々になるのもうなずける。


比例代表制のノルウェーと小選挙区制の日本とを比較対照した表も見せてくれたが、死に票が少なく民意を反映するのは断然比例代表制である。また、民主主義度と男女平等度を調べた世界ランキングで上位を占める国々の選挙は、ほぼすべて比例代表制だという。


そんなノルウェーも100年前は男ばかりの議会だったのだが、20世紀初めに独立国としては世界初の女性参政権を実現、数年後に比例代表制選挙を取り入れ、その後も抵抗と戦いの歴史を経て、現在のような男女平等社会を作り上げたのだそうだ。日本でも不可能ではないはず・・・。


英語教師だった三井さん、参加者とノルウェー語の発音指導を織り交ぜた、楽しい講演だった。

高橋 三栄子(東京都杉並区民) 【写真提供は山城和代】



報告「ノルウェーの選挙から学ぶ主権在民と民主主義」_c0166264_09110679.jpg






by bekokuma321 | 2020-02-02 09:19 | ノルウェー

11月24日、豊橋市内で開かれた三井マリ子さんの講演「投票率80% ノルウェーの楽しい選挙」(主催 国民救援会東三河支部)に参加しました。

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私は、1999年、三井さんの企画したノルウェー視察旅行に加わり、ノルウェーの選挙をかい間みたことがあります。あのノルウェー・ショックは、私のその後を決めたといっても過言ではありません。民主主義を全うしている国が、「この地球上にある」ことは、進むべき道が示されている証です。


この国の情けなさは限りなく酷くなるばかりですが、せめて、ノルウェーのような実践があることを喧伝しています。三井さんの講演会にも仲間を誘って伺いました。会場には「女性議会ネット」の友人もいました。『男を消せ!ノルウェーを変えた女のクーデター』(三井マリ子、毎日新聞社)を読むよう勧めました。

講演会のレジュメにあったことは、私の催す例会で紹介したいと思っています。


何と、620年の間に私も市長の与党的立場になりました。長年野党だったこともあり、今の立ち位置になかなか馴染めないときも出てきます。でも、30年1社入札で200億円のPFI(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法)事業の見直し」  「日本最大級の産廃処分場建設計画(100年にわたる事業/予定地は中学校から150m!)の阻止」  を掲げて闘った市長選で、推薦した38歳の市長が勝利しましたので、頑張るしかありません。


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この市長は、第2子の出生に合せて「イクボス宣言」し、夜の公務を休みにしています。彼には、ノルウェーの男性の意識を変えたのは「パパ・クオータ」制(注1)であること、議員に何かあった場合、代理議員が代行できる制度(注2)を伝えてきました。ちょっとずつですが、あれこれ頑張っています。

そういえば、三井さんの著書で「ノルウェーでは、候補者リストに載っている候補者を、有権者は、削除したり×をつけて加算できる」と知りました。比例代表制選挙では、候補者リストを決めるのは政党ですが、有権者がモノ申せる制度を作っていることに感嘆しました。この制度は残っているのでしょうか(注3)。

三井さんのフレンドリーなお話のしかたは、あの頃のままで、一緒にノルウェーを旅したころが、よみがえってきました。

鈴木 規子 (愛知県西尾市議会議員)


写真】撮影提供・伴野克己豊橋市交通安全指導員

【注1】パパ・クオータは、育児休業の一定期間を父親のみに強制的にとらせる制度。父親がとらないと無効になる。ノルウェーが世界で初めて制度化した
【注2】比例代表制では、選挙区の当選者数は政党ごとに決まり、リストの上から当選する。A政党から2人が当選したら、A政党の次点候補2人が代理議員として控えている。議員が休暇をとる場合、代理議員が議員に代って職務を果たす。
【注3】候補者リストの候補者名を横線で消す方法は、現在、なくなった。しかし、候補者のヨコにある空欄に×をつけて、その候補者に1票を加算する方法は、現在もあり、よく使われている。ノルウェー地方選:名簿変更権を使おうにも詳しい
(以上、脚注はFEM-NEWS編集部)







by bekokuma321 | 2019-11-27 07:30 | ノルウェー

「叫ぶ芸術」75回は、ノルウェーの移民、とりわけアジア・アフリカ移民女性のためにがんばっている団体のポスター。

何十年住んでいても、外国人には地方参政権すら与えない日本、3年住んだら地方参政権のある北欧諸国。その懐の広さに感心してしまう。だけど、その権利は闘いとったものだった。

I(アイ)女のしんぶん10月10日号より…。

北欧ノルウェーのマイノリティ女性たち(叫ぶ芸術75回)_c0166264_17293885.jpg

by bekokuma321 | 2019-10-31 17:50 | ノルウェー

11月24日(日)、愛知県豊橋市で「ノルウェーの楽しい選挙」についての集いがあります。

首都オスロの議会は、女性議員約40%、マイノリティ議員25%。いったいどんな人たちが立候補しているのか? 選挙運動は? 政党は? 若者たちは?

世界一の民主主義の国といわれるノルウェー(英エコノミストの研究機関調査)。この9月、地方選挙を取材してきた三井マリ子が、たくさんの写真といっしょにお話します。会場は、豊橋市民文化会館


案内「ノルウェーの楽しい選挙」(愛知県豊橋市)_c0166264_16010190.jpg


by bekokuma321 | 2019-10-28 16:34 | ノルウェー

1013日、上尾市コミュニティセンターで、三井マリ子さん「議会&選挙が変われば暮らしが変わる」 がありました。ノルウェーに関する三井さんのお話は、行動力や取材力による裏付けと説得力があり、いろいろなことを考えさせられました。

速報「議会&選挙が変われば暮らしが変わる」(上尾市)_c0166264_07514153.jpg

「素晴らしかった!!上尾にお出で頂き、本当に有り難かった!」――これは、講演4時間後、私の携帯にラインで届いたメッセージです。社会福祉法人桜樹会白ばら学園の学園長、矢崎操先生からでした。AAN(オール上尾市民活動ネットワーク 通称エーツーエヌ)のメンバーです。AANは、上尾市の市政・市議会を刷新しなければならないと考える方たちによるNGOで、講演会の主催者です。

三井さんは、民主主義の土台は「選挙制度」だと考え、世界一の民主主義の国とされているノルウェーの選挙を長年調査してきました。先月も、地方議会議員選挙の取材にノルウェーに行ってきたそうです。

三井さん撮影の写真を見ながら、ノルウェーでは、子どもたちから大人まで日ごろから政治や選挙に熱心にかかわっていることを知りました。小学生がラップで歌う「子ども選挙」、中学生による政党の選挙公約調査、高校生の「スクール・エレクション」、投票は候補者ではなく政党に入れる比例代表制、長い事前投票期間、「どちらに投票する?」という選挙バージョンのお菓子、etc

とくに高校の学校内で、全政党の候補者・代表による討論会、選挙運動、模擬投票が行われていて、その準備から進行まで生徒会が主催していることには驚かされました。

そんな高校生には、議員候補になる生徒も多く、「緑の党」から国会議員に立候補した高校生は「地球温暖化」活動に没頭しすぎて出席時間が不足して退学になったそうです。心配する三井さんに、彼女は「高卒資格は検定試験でとれますが、地球温暖化はそういかない」と強く訴えたそうです。ノルウェー版の「グレタ・トゥーンベリ」です。

奇しくも講演会は、史上最も激烈な台風に襲われた1012日の翌日でした。このことひとつ考えても地球環境に優しい自然エネルギーへのシフトが問われています。

21世紀の社会にふさわしい価値の創造とシステムの構築には、一人ひとりが行動することが必要です。一人ひとりが20世紀の価値観を問い直し、どちらを選択しどちらに進もうとするのかによって、私たちが真に求める改革が実現するか否かが決まるのです。今は、私たち人類の存続が左右される、まさにその時。そして、一人ひとりがいかに生きるかは、政治のあり方と密接な関係にあるのです。

しかるに、上尾市の投票率は、参議院選47%、県知事選34%、市議選37%です。上尾市民の最大多数派は「選挙に行かない派」!なのです。「これでいいの?」です。ちなみにノルウェーは投票率が高く、国会選挙78.2%、地方選挙65%だそうです。

私は三井さんと大学で出会い、青春時代をいっしょに過ごしました。今も、人類存続を左右する大問題に取り組んでいる三井さん。私も自分の専門領域で微力ながら力を尽くすつもりです。これからもよろしくお願いします。

日比 曉美(社会福祉法人桜樹会・白ばら学園第2こどもの家副園長)

速報「議会&選挙が変われば暮らしが変わる」(上尾市)_c0166264_07461059.jpg

【写真上:ノルウェー・オスロ市議会について説明する三井講師。市長、副市長、環境問題担当局トップ3人とも女性。しかも2人は移民系。市長など幹部は市議会議員から選ばれる】
【写真下:講演後の「学習・対話交流会」。4時半ごろまで質問や意見が相次いだ。進行役は渡辺繁博「埼玉自治体問題研究所」事務局長】 
写真提供は大友弘巳「上尾の図書館を考える会」事務局長(ブログ「まちウオッチング」

ユーチューブ(YouTube)もどうぞ:

https://youtu.be/iMGLg72mDhY(三井マリ子さん前半 講演会)
https://youtu.be/BQd39fCEhVA (三井マリ子さん後半 対話交流会)

(竹内和泉さん撮影。「1013日は、台風19号被害のため来れなかった方もいます。でも、YouTubeで見ることができます。多くの方にリンク先を伝えてください」と竹内さん)



by bekokuma321 | 2019-10-16 08:39 | ノルウェー

参院選47%、県知事選34%、市議選37%。これが上尾市の投票率。半数以上が投票所に足を運んでません。どうしたら投票に行く人を増やせるのか。

高投票率の北欧の選挙をもとに話し合いをします。10月13日(日)1330 上尾市コミュニティセンター (上尾市柏座4-2-3、上尾駅西口徒歩15分)。どなたもお気軽にどうぞ!

議会&選挙が変われば暮らしが変わる@上尾市_c0166264_10125225.jpg

by bekokuma321 | 2019-10-01 10:29 | 北欧

民主主義を学ぶスクールエレクション終わる(ノルウェー)_c0166264_04380346.jpg


テレビのニュースが、ノルウェーの高校生の投票結果を報道している。


それによると、労働党26.6%、保守党12.9%、緑の党10.8%、自由党10.2%、左派社会党9.9%、中央党9.9%、進歩党8.2%、赤党4.9% キリスト教民主党2.3%。(注)


テレビでは、前回より支持率を伸ばした「緑の党」 若者部が歓声をあげている。このスクールエレクションと呼ばれる高校生の選挙は、「民主主義を訓練するため」に30年前から始まった。


本番の選挙前に、ノルウェー全土の中高学校で行われる。まず各校で政党代表が一堂に会しての討論会を開く。校内で政党の候補者たちが公約を披露し、丁々発止と議論しあい、生徒の質問には丁寧に答える。さらに校内に政党の選挙小屋またはスタンドが設けられ選挙運動が行われる。実際に見て、目を丸くした。後日、生徒たちは校内で模擬投票をする。


昨日(9月3日)、オスロ市内の中央官庁近くにあるエドワード・ムンク高校に行ってみた。校内にはいると玄関近くのホールに投票所が設けられていた(写真上)。生徒は、まず受付で身分証明書を見せて、確認をもらう。次に、ブースに入って(写真上の右側)、そこに並ぶ投票用紙(各政党の候補者リスト)の中から支持政党のリスト1枚を持ってくる。ブース前に置かれたテーブルで、投票用紙に印鑑を押してもらって、投票箱に入れる。


政党の候補者リスト(それが投票用紙となる)は本番と同じ用紙を使う。本番と違うのは、政党の決めた候補者リストを変更できないことだけだ。日本の文部科学省にあたる省の下部機関NSDが補助金を出すなどで支援し、集約作業に責任を持つ。主催は各校の生徒会だ。


「投票するだけでなく、投票監視や事務など選挙委員会の仕事も生徒がします。僕たち生徒は、とても真剣ですよ」と、高校3年生のアーレンは私に言った。


高校生が自らの考えで政党を選び選挙に臨む姿、それを奨励している教育方針に、高校教員だった私は感動を覚えた。



【注】今回、ある高校のスクール・エレクションで違法的行為があったのではないかとNRKが報じている。詳しくわかったらお知らせする。


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   ▲オスロの官庁街近くにあるエドワード・ムンク高校(Edward Munch VGS)

エドワード・ムンク高校の2019年スクールエレクション結果




by bekokuma321 | 2019-09-05 05:14 | ノルウェー

今日71日から、ノルウェーでは事前投票が始まる。地方選挙の投票日は99日だから、2か月以上も先だ。


日本の場合、「期日前投票」は、議員の種類によって異なっていてややこしいが、ほんの数日間からせいぜい2週間程度と短い。だからノルウェーの、この長さを聞いた時には、「ウソだろう」と信じられなかった。


ノルウェーは、国会議員選挙と地方議会選挙のどちらにも「事前投票」と呼ばれる制度があり、基本的には8月から1か月間だ。しかし、前々から北極近くのスヴァールバル諸島およびヤンマイエン島で働いている人たちや、海外で暮らす人たちは、71日から投票ができるようになっていたらしい。


それが、ある時から国内の人も、「特別な必要性」を申し出ることによって、71日からの投票が可能になったのだという。


だいたいの人は、従来通り8月からが多いのだという。とはいえ、有権者が特に必要ならば、2か月前から投票できるようなサービスを整えていることに、この国の民主主義にかける強い意志を感じる。



今日から事前投票始まる(ノルウェー)_c0166264_23104269.jpg



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【写真:いずれも、オスロ市内に設けられた2017年国政選挙における事前投票所】



by bekokuma321 | 2019-07-02 23:03 | ノルウェー

11月11日(土)、シンポジウム「選挙マルシェーー選挙が変われば政治が変わる」に参加しました。

13:00までしか拝聴できなかったのですが 「見てきた! 民主主義世界一の国ノルウェーの選挙」と題した、三井先生のわかりやすいお話にさらにノルウェーを知ってみたくなりました。

「教育を変えなければ」と思った(選挙マルシェ)_c0166264_10163144.jpg

私なりの解釈では、結局根本的に教育を変えていかなければ これ以上何の進歩も望めないのではないかという思いを強く持ちました。そんな中、2部のほうで若い方々が懸命に活動されていることに闇の中に光を見出した思いです。

今ちょうど、『限りなく完璧に近い人々――なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか? 』 ( マイケル・ブース著)のノルウェー部分を読んでいます。著者は、デンマーク人の妻を持つ、英国人ジャーナリストです。「数世代先を見越した政策を実行していく…」と書かれているところで、唖然としてしまうのは私だけでしょうか?

私は「スカンディナヴィア(ノルウェー)の平等社会のルーツを探る〜ヴァイキング時代のキリスト教受容前の国内において〜」を修論に仕上げて後、暫く北欧から離れていました。

最近は医療少年院や保育所で仕事をする機会を得て、日本の形ばかりの教育に違和感を覚えるようになりました。同時に『男女平等の本』の著者ノルウェーのアウド・ランボーが「私たちの国の教育には哲学があるのです。それは必ずしも数値化されないけれども」と仰っていたことを思い出しました。

そして今日のシンポジウムで、三井先生のお話しくださった「子どものころからの身近な民主主義」が全て頭の中で混ざり合い 、余生に私自身が多少なりとも手掛けられそうなことはないものかと思いました。それは教育に関してです。日本の人に気づいてもらえるような方法で。どんな形になるかわかりませんが ノルウェーに関わっていこうと気持ちを新たにした1日でした。

三井先生の息の長いご活動には頭の下がる思いです。新しい物事になかなか着手できない国民性の日本でなさっているのですから・・・。

でも、今日の会で、先生の後に続いて行けそうな若者が育っていこうとしている姿を見て、とても頼もしく映りました。今日は本当に有意義な時間をお与え下さり有難うございました。

原 三枝子

「教育を変えなければ」と思った(選挙マルシェ)_c0166264_10125393.jpg

【写真上:政策論争中心のノルウェー選挙を紹介する三井マリ子講師。写真下:日本の若者が選挙にどう向き合っているかを話すパネルディスカッション。左から、司会の日向美砂子議員、三井マリ子講師、POTETO東京青年会議所ivote日本若者協議会の各代表。撮影anonymous】

【注:筆者は教員時代の三井の教え子だったため「先生」と敬称をつけている。三井は講演では参加者に「できれば~さんと呼んでほしい」と依頼していた】

市民に優しい選挙制度(ノルウェー)(東京新聞)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
by bekokuma321 | 2017-11-13 10:22 | ノルウェー

民主主義の力を養うノルウェー自治体の1週間_c0166264_2245924.jpg「選挙に向けて政策論争がキックオフ」

先週、ノルウェーからこんな見出しのニュースが届いた。2017年秋の国政選挙に向けて、8月18日、全党首が集まって討論会を行ったことを知らせていた。国政選挙は1年以上も先だから、アメリカの大統領選よりはるかに長期戦だ。

ノルウェーの国政選挙は日本でいえば衆院選だけだ。その日本の衆院選は、解散後、ほんの1カ月で選挙になり、選挙期間はわずか12日間。弾丸のようだ。

こんな短期間で、政党や候補者の政策や政治姿勢を比較検討などできるはずもない。世襲議員や前議員が有利なのは当たり前だ。女性候補など後発部隊は、有名タレント以外は当選など望めない。

そのうえ日本は、選挙中、肝心要の候補者による政策討論会は禁止されている。連呼(名前を叫び続ける)は合法だが、名前を聞くだけで候補者の政策の違いや、それが自分たちにどんな影響を及ぼすかがわかるはずはない。

そこで、ノルウェーの選挙のキックオフについて少し調べてみた。件の党首討論会は、首都オスロの南にある港町で開かれた「アーレンダール・ウィークArendal Week」という夏祭りに組み込まれた1つのプログラムだった。

アーレンダールは、オスロの南方にある人口4万人ほどの港町。「アーレンダール・ウィーク」とは、アーレンダール市あげての政治文化フォーラムのことを指す。

趣旨は、「政治、社会、産業分野の代表者たちが、市民といっしょに現在と未来の政策を語りあって、民主主義と民主主義的討論を強める」こと。

目標は3つだ。「アーレンダールが、政治的交流の場となること」、「選挙にできるだけ多くの人々がかかわるようにすること」、「政財界の代表的人物たちと市民が直に交流できるよう支援をすること」だという。 す・ば・ら・し・い!

今夏は、8月15日から20日までの1週間。港のそばの通りに約170のスタンドが立ち並び、約550ものイベントが朝から晩まで繰り広げられた。子ども向けプログラムも盛りだくさんだ。子ども記者というものもある。

記者になって首相に取材した12歳の女の子は、「私は、識字障害で悩んでいるんですが、首相がその病気だったと公開していたことを知って、首相にアドバイスをお願いしたんです。とても励まされました」との感想。それが大手新聞に載っていた。

「アーレンダール・ウィーク」のモットーは「すべての人に開かれ、すべて無料、切符も不要 Open to all - free - no tickets」。どこで何が開かれているかは、地方紙やホームページを見るとわかる。動画には、いくつかの会場で楽しそうに歩き回る子どもたちが写っていた。

スタンドは、アムネスティなど国際団体、全国公衆衛生女性組合など労働組合、右から左までの全政党、森の会など市民団体・・・。イベントは、冒頭に紹介した党首討論会や青年部長討論会、国際会議、意見が分かれる政治的テーマの討論会(例:「すべての人に働く場を」、「押し寄せる難民」)、コンサート、演劇、ヨガ、カフェ・・・。

国際会議のひとつ「北極カウンシル」は、国際機関、国会、大学などが共催していた。発言者には、アメリカ大使、ノルウェー外務副大臣や国会議員、船舶協会会長に加え、アラスカ選出の米連邦上院議員(女性)が招待された。この会議の言葉は、通訳なしの英語だった。

党首討論会には、主要7政党に加えて初めて1議席をとったばかりの緑の党の8党首全員が登壇。首相と財務大臣を含め女性党首は3人だ。難民政策から、教育、福祉、労働、医療など暮らしの問題まで、政策の違いをアピールした。大きな会場は、ほぼ満席。

民主主義の力を養うノルウェー自治体の1週間_c0166264_2233326.jpg日程をずらして、同じ大ホールで、党青年部部長の討論会もあった。

8政党の代表で男6人、女2人。全員20代。現役の大学生や院生で、8人中2人は現職の地方議員だ。ノルウェーの地方議員は、無給のボランティアである(大都市は例外)。職業や学業を続けながら議員職を兼務する。労働党の青年部長は、10歳のころシリアから家族と亡命してきた、オスロ大学の院生だという(注1)。

何年か前、オスロ市議(東京都議にあたる)に当選した18歳の女子高校生を取材したことがある。インドからの移民でタクシー運転手の娘だと知って、私は目を丸くした。が、じき、シリア難民が国会に登場する時が来る、そんな予感がした(注2)。

ノルウェーは、民主主義をはかる指数で世界一である(英誌「エコノミスト」のEconomic Intelligence Unit)。世界一のノルウェーは、こうして民主主義の力を養う努力をしているんだな、とその秘訣を見つけた思いだ(注3)。

オリンピックに費やされる2兆円もの予算があれば、日本でもこのようなフォーラムを、毎年、楽にやれるだろう。オリンピックでなくても、日本の政党に毎年交付される320億円という政党交付金――政治家によって飲み食い、キャバクラやSMバーに使われたり、政治活動に使わずにため込まれている、私たちの血税――を回すだけでも簡単にできる。

問題は経費ではない。老若男女すべての人たちに政治的判断力を持たせようようとするノルウェーに対して、市民にできるだけ政治的判断力を持たせまいとする日本。その違いだろう。


【写真上:アーレンダール・ウィークのプログラム冊子「未来をつくるために Former fremtiden」。下:政党青年部部長会議】

【注1:ノルウェーは、小学校から大学まで学費は無料】
【注2:ノルウェーでは、18歳以上の住民は3年間住み続けたらその地方の参政権を得る。参政権は選挙権と被選挙権。ノルウェー国籍は不要。選挙は比例代表制で、政党内議論を経て作られた候補者リストがそのまま投票用紙になる。比例代表制なので、大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに代表者を送れる。そのため、小さな自治体であっても、5~6政党から議員がいて、女性議員も4割ほどいる】
【注3:「アーレンダール・ウィークArendal Week」ホームページによると前年度から企画をネットで公募。今年のおおよそのイベント数は討論会200以上、セミナー80、講演会50、文化行事50。とくに子どもや若者が民主主義に関心を持てるようにするため工夫が施された、と報告されている】

Arendal week
民主主義度1位ノルウェー、23位日本

世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位

ノルウェー地方選2015
スクール・エレクション終わる
ノルウェーの地方議会選挙
ノルウェー:市長と議会に女性を増やす秘策
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
比例制選挙がいい
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
ノルウェー選挙:性差も肌の色も越えて
The Year in Elections report 2015(Electoral Integrity Project:各国の選挙が公正に行使されているかを調査し比較したもの)


by bekokuma321 | 2016-08-30 22:46 | ノルウェー