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ニュージーランドは、人口470万の島国だ。国王はイギリスの国王がかねる。選挙もイギリスと同じ小選挙区制だったが、日本がイギリスを真似て小選挙区制に変えた頃、比例併用制に変えた。ニュージーランド国民が「小選挙区制は不公平だ」と抗議をしてきたからだと言われている。

ニュージーランドは、比例中心に変えた結果「政治がガラリと変わった」。緑の党の国会議員の発言を翻訳してFEM-NEWSに紹介したとおりだ。そして今、首相は6月から6週間の産休にはいることに象徴されるように、「女性に優しい政治」がかなえられつつある。

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4月20日(金)夜、飯田橋で、こんなニュージーランドの報告を含む国際シンポジウムが開かれる。それに先立って、講師のひとりテサ・バースティーグ(ニュージーランド大使館一等書記官)にインタビューした。

テサ・バースティーグは、比例併用制の選挙制度に変わった結果、いかに女性やマイノリティが当選しやすくなったかについて、20日の国際シンポジウムでスピーチする。

「ニュージーランドの有権者は支持政党を選びます。政党は前もって候補者リストを作りますが、女性やマイノリティの声を政策決定に入れるべきだと考えたら、ジャスト・ドー・イット(Just do it.)。つまり、政党が女性やマイノリティをリストに登載すればいいだけ。ほかのことを考慮しなくていいのです」

「首相が6週間の育休にはいる、その間は、連立を組むニュージーランド・ファースト党党首(マオリ族)が首相代行をします。首相の育休は、首相も働く女性だ、ということにつきます。他の女性労働者と同じ権利を行使するというだけです。首相ですから重責を担ってますが、彼女のパートナーの共同育児・家事も万全です。首相はこう言ってますーー『大変でないとはいえませんが、他の多くの働く女性たちも、出産・育児をしながら働き続けてきたのです。私だけじゃありません』」

議員と市民が限りなく近いのである。熊本市議の子連れ議場入り事件を思い出した私は、それを話した。彼女はよく知っていた。

「おもしろい話があります。昨年の国政選挙後に新しく当選した女性議員が、3か月の赤ちゃんを連れて議場にはいりました。その時、赤ちゃんを議長に預けた瞬間がありました。赤ちゃんを膝に抱いた議長席の議長は、大ニュースになりました。20日の国際シンポジウムでは、その画像をお見せできるかもしれません」

「女性やマイノリティ議員の増加は、まずは選挙制度が比例併用制に変わったことによります。でもそれだけではない。政党です。政党が、候補者リストに女性やマイノリティを載せることに自覚を持ってとりくんでいる、ということなのです」

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国際シンポジウム 選挙を変えれば暮らしが変わる (コクチーズの案内)
♪ モノトーン議会からオーケストラ議会へ ♬選挙を変えれば暮らしが変わる(フェイスブックのイベント案内)
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by bekokuma321 | 2018-04-13 12:47 | アジア・アフリカ

先月、来日したノルウェーの首相アーナ・ソールバルグ(保守党)は、大学生でベルゲン市議会議員になった。18歳だった。後、20代でベルゲン市から選出されて国会議員に。

ソールバルグ首相は、訪日記念講演会において、ノルウェーで女性議員が多い理由に、「選挙制度が比例代表制だから」と言った。党内女性部の強さも紹介した。

1980年代、私はノルウェー労働党や左派社会党の人たちから「女性議員が多いのは、政党がクオータ制を導入しているから」と聞いた。私は、「これだッ!」と膝をたたいた。そして日本にクオータ制を紹介しまくった。

それからウン十年、クオータ制という言葉は、日本のメディアでも普通に扱われるようになった。

しかし、である。小選挙区制では、政党は勝てる候補1人しか選挙区から出せない。すると、クオータ制を設けても、実現はおぼつかない。韓国を見よ、だ。

クオータ制は、比例代表制選挙で、より有効だ。ただ、北欧諸国は比例代表制の歴史が長く、空気のようなもので、あえて比例代表制選挙制度を女性議員増の理由に出す人は多くなかった。

ノルウェー首相は、クオータ制を党是に設けていない保守党の党首。だからこそ、女性議員増の梃に「クオータ制」を出さず、「比例代表制」をはっきりと言ったのだろう。

選挙制度のほかに、ノルウェーには、女性差別を撤廃し男女平等を実現させるための男女平等法がある。この法は、女性の経済的社会的文化的地位をあげることに一役も二役も買った。法には、公的審議会・委員会などのメンバーは一方の性が40%以上いなければならない、という「クオータ制」も定められている。

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 ▲I 女のしんぶん「叫ぶ芸術」56回 男女平等法の歌

ノルウェー首相、日本の女子学生たちにエール (2018年2月の首相来日記念講演速報)
●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回
赤松良子賞と女性差別撤廃条約
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by bekokuma321 | 2018-03-21 13:47 | ノルウェー

c0166264_13372614.jpg4月20日、3カ国からスピーカーを招いて、国際シンポジウムを開く。

「選挙が変われば、暮らしが変わる:モノトーン議会からオーケストラ議会へ」というキャッチで、女性やマイノリティの声を議会に反映する選挙システムを考えようという試みだ。

3カ国とは北欧のノルウェー、太平洋諸国のニュージーランド、アジアの韓国だ。

ノルウェーは比例代表制選挙、ニュージーランドはドイツと似た比例代表制が基本の選挙(併用制と呼ぶ)、韓国は日本と似た小選挙区が基本の並立制選挙だ。

女性は、小選挙区制(最も多く票をとった人が当選する)よりも、比例代表制(政党の獲得票に比例して議席数が決まる)のほうが、当選しやすい。

比例代表制のほうが、倍どころか、3、4倍も多い。IPUやIDEAなど国際的調査機関が示している。

c0166264_13335216.jpgノルウェーは、およそ100年間、選挙は国も地方も比例代表制で行われてきた。歴史を読むと、1919年、市の選挙は比例代表制が一般的になり、翌1920年になると、国の選挙も比例代表制に完全に移行したという。

ニュージーランドは、女性参政権を世界で最も早く実現した国だ。とはいえ小選挙区型選挙の下では、女性議員はさほど増えなかった。しかし1996年、これまでの小選挙区制型から、比例代表型の選挙に変えた。ちょうど日本が小選挙区中心のいまの選挙に変えたころだ。現在、国会における女性議員率は38%を超えた。

韓国は、日本とよく似ている選挙制度ゆえ、女性議員は多くない。しかし、比例代表枠に、ジェンダーによるクオータ制を入れたため、日本より女性議員がやや増えてきた。

さて、日本。小選挙区制が「民意の反映」という民主主義の基本に大きく背くのは、だれの目にも明らか。何より、その死に票の多さ! 2017年衆院選の死に票は、全投票数5542万票の48%。なんと2661万枚もの投票用紙がドブに捨てられたのも同然なのだ。それに、得票率と議席数との絶望的な乖離。自民党は4割の票で7割の議席をかっさらった。

小選挙区制は、明らかに民意を反映しない選挙である。女性議員がこれだけ少ないのもわかる。そうか、だから日本の権力者は、あえて、小選挙区型選挙を選んだのかもしれない。

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▲2018年1月1日づけIPU調査をもとに、FEM-NEWSが作成した

♪ モノトーン議会からオーケストラ議会へ ♬ (2018年4月20日国際シンポジウムのチラシはこちら)
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by bekokuma321 | 2018-03-10 13:50 | その他

日本の「モノトーン政治」は小選挙区制のせい? 

私たちの暮らしにかかわる憲法、原発、労働、女性差別…は、熟議を求めています。それなのに、国会は一強多弱で「モノトーン化」し、多数を背景に強行的採決をくり返すだけ。

世界には、民意を反映しやすい比例代表制の選挙で代表を選び、多様な議会を持っている国が多くあります。そんな国々のシングルマザー、高齢者、ハンディを持つ人など社会的マイノリティの暮らしは、どうも日本よりラクそうです。

そこで、日々の暮らしぶりと選挙システムのかかわりを考えてみませんか。4月20日、東京・飯田橋駅のセントラルプラザ。「国際シンポジウム」を開催します。申し込み不要。お気軽におこしください。

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▲3カ国のスピーカー写真と略歴入りチラシは、作成中。上のチラシは緊急チラシ。写真は2017年9月ノルウェー国政選挙の投票風景。写真撮影と写真使用を許可してくれたマリア・ナルードに心から感謝する
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by bekokuma321 | 2018-03-06 23:15 | その他

c0166264_13374823.jpgブックレット『小選挙区制のワナ』が、先日、かもがわ出版から刊行された。600円!

小選挙区制は、政権政党から自由な議論を奪い、「安倍一強」政治を生み出した。

国民の価値観が多様化し、憲法でも原発でも労働でも貧困でも、熟議を求めている。それなのに、国会はモノトーン化し、多数を背景に強行的採決をくり返す。

その根源には、小選挙区制選挙がある。どうやったら新しい制度に切り替え、国民の声を反映できる政治にするのか。

◇◇◇ もくじ ◇◇◇
1. 選挙の制度を変えれば、政治が変わる(田中 久雄) 
2.政党交付金は打ち出の小づち(三井 マリ子)    
3.日本戦後政治の転換点(阪上 順夫)       
4. 原発と民意(冨田 杏二)             
5. 官僚制と小選挙区制の結婚が日本の悲劇(礒浦 康二)
6. 世代間とジェンダーで民意はどう違うのか(草野 篤子)
7. 選挙とメディア(砂川 浩慶)             
8. 女性が初めて投票して70年(藤田 純子)       
9. 学校教育と選挙(瀧口 優)   
         
コラム  ●スウェーデン「誰もが政治参画できそう」  ●ノルウェー 「19 世紀の抵抗運動」 
●ルワンダ 「世界で一番女性議員が多い国」  ●フランス 「男女ペア選挙」  ●ニュージーランド 「選挙制度は政治を根本的に変えた」  ●イギリス 「英国のEU 離脱に思う」
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by bekokuma321 | 2018-02-28 13:50

c0166264_2297100.jpg11月11日、「選挙が変われば政治が変わる 選挙マルシェ」に参加しました。基調講演「民主主義世界一の国ノルウェーの選挙」(三井マリ子) について報告します。

印象に残っている特徴を2つあげます。一つはノルウェーの「選挙法」は、日本の「公職選挙法」とは全く違うということ。二つ目は、高校生による「スクール・エレクション」(政党討論会と模擬投票)が選挙前にいつも行われるということ。

ノルウェーの選挙法には、日本の選挙運動で禁止されている事が、ほとんどないと言えます。「選挙運動期間なし」「戸別訪問OK」「チラシは自由に何枚配ってもOK」「政党同士の公開討論会いつでも何回でもOK」「供託金なし」、など。

選挙は、完全比例代表制です。東京新聞の記事だったかFEM-NEWSだったかによると、「もうじき投票なのに、国会議員候補になっている友人が、選挙区を離れて三井さんを空港に迎えに来た」というのです。それは、比例代表制なので、選挙運動は、候補者個人が宣伝する必要がなく政党の政策PR中心だからのようです。

ノルウェーの投票率はいつも80%近いということです。この高い投票率を実現するために、有権者の立場に立っていると思われる次のような工夫がなされています。

⓵投票日は、9月第1または第2月曜日と法律で決まっている(解散がない) ②事前投票期間は2か月 ③事前投票所が身近に設けられている ⓸住民票のない地域でも事前投票ができ、選挙管理委員会が住民票のある自治体へ投票が済んだ用紙を届ける ⑤小学校から始まる政治教育によって、政治が身近である ⑥投票は、日本のような自書(投票用紙に自分で書くこと)ではない。投票ブースに用意されている全政党の候補者リストから自分の支持政党の1枚をとって投票箱にいれるという簡便さ。

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スクール・エレクションは生徒会主催の学校行事として、ノルウェー全土の高校で行われているそうです。ノルウェーの被選挙権は、選挙権と同じく18才からです。よって、高校生でも議員に立候補します。実際に地方議員に当選した女子高生の映像を見せてくれました。

スクール・エレクションは、強制ではないものの毎回、8割がたの高校が参加しているとのこと。大勢の生徒が、講堂に三々五々集まります。壇上に並んだ政党の代表者が次々に政策を説明し、政策ごとに討論しあいます。生徒たちの目はランランと輝き、関心の強さが映像からはっきりと伝わってきました。政党の討論会が終わると、別室にある政党の選挙ブースで、生徒たちは各自、政党に質問します。

1、2週間後、高校生が選挙管理委員となって「模擬選挙」が行われ、その結果は、新聞やテレビで大々的に公表されます。

高校の校内で選挙運動をしていることに驚き、次にノルウェーの政治教育が小学生から始まっていることに感心ました。

小学生が4,5人のグループで、あらかじめ用紙した質問用紙を持って、各政党の選挙事務所(選挙テントと言われる)を回って、政策を調査する様子が映像で紹介されました。これは、学校の授業の一環で、調査票も小学生自らが考えて作成しているということです。

このように、ノルウェーの国民にとって、政治とは、音楽や、芸術やスポーツと同じように、生活と切り離せない一つの分野となっているようです。つまり、「国語」や「算数」と同じく、日本にもある「社会」なのですが、そのなかに「生きた民主主義教育」が組み込まれているのです。

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三井さんの講演後、日本で政治参加について運動している若者グループのパネルデスカッションがありました。ここでも、ノルウェーのスクール・エレクションについて、いくつか質問が出て、関心の高さがうかがわれました。

この集会は、全国フェミニスト議員連盟も協賛団体の「選挙マルシェ」。司会進行は同連盟共同代表の日向美砂子さんで、会員が10人ほど参加していました。また午後からの議員による「若者の政治参加」の様子は、伊藤正子さんによる同連盟フェイスブック投稿を参照してください。

岡田ふさ子(さみどりの会、全国フェミニスト議員連盟)

【写真上:講演する三井さん。中:三井さん作成のパワーポイント「スクール・エレクション」 下:司会の日向美砂子議員、三井マリ子講師、POTETO東京青年会議所ivote日本若者協議会の各代表】(撮影anonymous)

日本&ノルウェー 政治環境の違いを超えて(選挙マルシェ)
「教育を変えなければ」と思った(選挙マルシェ)
市民に優しい選挙制度(ノルウェー)(東京新聞)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
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by bekokuma321 | 2017-11-19 02:47 | ノルウェー

ダボス会議で知られる「世界経済フォーラム」が、恒例のグローバル・ジェンダー・ギャップを公開した。

トップ5は、1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダ、5位スウェーデン。ルワンダを除きいずれも北欧諸国だ。

日本の各紙は、日本のランキングの驚くべき低さを報道。「日本114位」という見出しが躍った。

朝日新聞の見出しは、「日本の男女格差114位 政治分野 進まぬ平等」「144カ国比較 世界経済フォーラム」。とくに日本が他国に比べて格差が際立つのは政治分野だと強調されている。

朝日は、女性議員が増えない理由に「選挙制度や政党の姿勢」を真っ先にあげる。それを補強するように、小林良彰慶応大学教授にこう語らせる。

「女性議員比率の上位15カ国のうち、14カ国は選挙が比例代表制だ」
「女性が家事・育児と選挙運動を両立させながら、定数1の小選挙区で当選することは難しい」

要するに、女性議員を増やすには、日本の小選挙区中心の選挙をやめて、比例代表制に変えたらいいのだ。選挙制度を変えることが女性の政界進出に不可欠であると明快に指摘したのは初めてではないだろうか。高く評価したい。


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Moreクリックで、2017年11月2日朝日新聞の同記事全文へ。

More
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by bekokuma321 | 2017-11-03 14:18 | 北欧

衆院選で、自民党は、289小選挙区のうち、218議席を獲得した。これは75.4%に当たる。自民党の得票率は48.2%。全体の半分に満たない票で、8割近い議席を分捕った。

これが「作られた多数派 manufactured majority」と言われるものらしい。

小選挙区制は、第1党に不当に多く議席を与える不公平な制度だと批判されてきたが、今回もそれがはっきり証明された。

また小選挙区制は「死に票」が多い。今回は、全国で2661万票の死に票が出た。全得票の48%だ。投票した人の半数に近い票がどぶに捨てられたことになる。なんとまあ、もったいない!

もったいないどころか死に票の多い選挙制度は「違憲」だという憲法学者もいるという。石川真澄が著書で紹介している。

日本国憲法は、「民意の正確な反映」を要請しているという。憲法学者の長尾一紘は「それぞれの選挙制度を区別するメルクマールは、死に票率のいかんであるということができる」。だから、小選挙区制は違憲であり比例代表制が合憲であると指摘する(労働旬報社『この国の政治』)。

石川真澄は、小選挙区制選挙を「邪悪な選挙」だと批判し、民意をほぼ正確に反映する比例代表制にすべきだと多数の著書を世に出した。

比例代表制のよさは、女性やマイノリティを議会に送りやすいということもある。これを石川はそれほど強調していないが、私には大問題だ。

比例代表制にしたら、政党が候補者名簿をつくる際、男、女、男、女と男女交互にならべるだけで、女性議員が確実に増える。政党で「クオータ制」(どちらかの性を例えば40%以上とするルール)を尊重すればいい。そのほか、政党の姿勢次第だが、3番目には障がい者、4番目にはアイヌ民族・・・というように候補者を多様にしやすい。

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 ▲三鷹市の衆院候補ポスター。自民党は小選挙区で、立憲民主党は比例で当選した。希望の党と共産党は落選した。公報を見る限り、希望の党の女性候補(弁護士)は男女平等推進に関心が強いと私には思えた

案内「選挙が変われば政治が変わる」
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
2017衆院選 微動だにしない男性偏重政治
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
イギリス6割が選挙制度改革に賛成 
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
1年前の今日、政党交付金裁判を終えて
票数が反映しない選挙結果のゆく先は


【上記の2017年衆院選統計は時事通信ウエブページを参照した】
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by bekokuma321 | 2017-10-29 01:09 | その他

c0166264_1227449.jpgニュージーランドの首相にジャシンダ・アーダン(37)が決まった。8月に労働党の党首になったばかり。9月の総選挙で、その活発で元気なイメージで労働党の票を伸ばした。

女性の首相は、「わずか3人目にすぎない」とニュージーランドでは報道されている。

トランプ大統領就任式の日、「トランプに反対する女性たちのデモ」が世界中で巻き起こった。ジャシンダは、ニュージーランドのオークランドで行われた、そのデモに参加して行進した女性の1人でもある。そんな気さくなフェミニストを一国のリーダーに選んだニュージーランド国民に心から拍手を送りたい。

彼女は、社会主義青年部の活動で頭角を現し、2008年国会議員に初当選した。労働党の候補者リストの当選圏内に登載されたからだ。彼女のような20代の女性が立候補して国会議員になれたのは、比例代表制という選挙制度のおかげでもある。

ニュージーランドは長年イギリスに倣って小選挙区制をとっていた。ところが1996年、小選挙区制を廃棄処分して小選挙区比例代表併用制に変えた。比例代表制中心の選挙は、有権者の意思をほぼ正確に反映する。自民党一党支配を生む小選挙区制とは異なり、中小さまざまな政党から代表を出せる。日本ではまだ議席を出せないでいるミニ政党「緑の党」も、ニュージーランドでは比例代表制に変わってから議席を増やした。

ニュージーランドは、9月23日が総選挙だった。

最大政党の国民党(現首相の党)44%、第2の労働党は37%、どちらも過半数をとれなかった。国民党中心の内閣となるか、労働党中心の内閣となるかーー鍵を握ったのは、ニュージーランド・ファースト党だった。ポピュリスト党と言われる政党で、党首ピーターズは写真でわかるようにマオリ族出身だ。

ピーターズは国民党とも労働党とも話し合いを続けてきた。労働党は緑の党と組むことがほぼ決まっていたため、ニュージーランド・ファースト党が緑の党とも政策合意できるか否かが焦点だったといわれている。ガーディアン紙によると、ニュージーランド・ファースト党は、最終的に環境政策に熱心な「労働党+緑の党」と組むことを決意したらしい。

比例代表制の国では、総選挙後、政策が似通った他党との連立を模索する政策協議が続けられ、政権が誕生する。政党同士が何日も話し合いを続けて新しい政権づくりをする姿をノルウェーで何度か見てきた。

ノルウェーもそうだが、比例代表制の国では、最大政党から首相が選ばれるとは限らない。どの政党とどの政党が連立を組むかにかかっている。今回、ニュージーランドの首相は、44%を獲得した第1党からではなく、37%の第2党から選ばれた。比例代表制は、民意を反映する選挙であるだけでなく、多様性の時代・連帯の時代にふさわしい選挙だ。

日本が倣ったという小選挙区制の本家本元イギリスでも、比例代表制にという声が大きくなっていると聞いた。出藍の誉れ、ニュージーランド!

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
夜をとりもどせ!(ニュージーランド)
The Quest for Prosperity: How can New Zealand keep living standards rising for all?
Caroline Lucas MP on Proportional Representation and Votes at 16
英国下院、女性が30%に
イギリス6割が選挙制度改革に賛成 
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
政治は男のものではない

【写真:ニュージーランド労働党ホームページより】
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by bekokuma321 | 2017-10-20 12:52 | アジア・アフリカ

お国がらで、当選を祝う風景もずいぶん違う。

日本では、候補者の選挙事務所で、当選した候補者と支援者がバンザーイと叫んだあとで当選者が「みなさまのおかげで…」と頭を深々と下げる。「ただの人」から「先生」に変わる瞬間とも言われる。候補者個人の事務所なので、集まる人もそれほど多くない。政党の中央本部では、当選者の名前にバラの花をつけて祝うイベントが行われる。

さてノルウェー。

9月11日、投票が終わった日の夜は、政党ごとの大パーティ(Valgvake)でにぎわっていた。オスロの場合、大勢が集まりやすい広い会場を借り切って、8時頃から夜遅くまで続けられる。数百人で押すな押すなの党もある。夕食を済ませた人がほとんどで、食べ物は出ないが、バーで好きな飲み物を買う(注)。

どの政党パーティにも欠かせないのは、TV開票速報を見るための巨大スクリーンと、取材陣がつめる部屋だ。NRK(日本のNHK)から民間メディア、地方メディア、ソーシャルメディアなどなど。

会場にはTVスタジオと化したような装置が設営準備され、大勢の記者がつめる。政党幹部が開票速報を受けて感想を述べる。ハイライトはトリ(党首)の登場だ。党首はスピーチで党員や支援者をひとつにする。そのスピーチはライブで全国放映され、お茶の間に届く。進歩党党首は、あふれる涙を抑えきれなかった。それぞれ党首は、この政党パーティで一席ぶった後、国会議事堂での記者会見に向かう。

比例代表制選挙なので、一人一人の当落にそれほど一喜一憂しない。政党として、前回の選挙よりどれだけ票を増やしたか、が泣き笑いの分かれ目だ。「〇〇選挙区で獲得票が〇%増えた」と報道されるたびに「ヤッター!」と歓声があがる。サッカー観戦のようだ。

どの党よりも票を増やしたのは、野党の中央党だ(最下の棒グラフ参照)。中央党のパーティではスクリーンに映る各地の朗報に「ヤッター!」の声と拍手が続く。とはいうものの、現連立政権のほうがやや多く、政権交代は夢と消えそうだ。「これで地方自治体の合併が進み、地方の民主主義が遠のく」と幹部はぼやいた。複雑な表情のパーティだった。

比例代表制選挙は、政党への支持を広げることーーそれが選挙運動だ。候補者リストに候補者数を多数載せなくてはならず、候補になることが支援でもある。候補者と運動家に大きな垣根はない。そもそも、首相の保守党党首は「アーナ」、労働党党首は「ヨーナス」だ。首相であろうと、友人のようにファーストネームで呼ぶ。議員を「先生」と呼ぶ国とは違いすぎる。なるほど、選挙パーティは、討論会、戸別訪問、ビラ配り、電話かけで頑張った運動家たち(候補者も含む)の慰労会のように見えたのも当然である。

比例代表選挙と小選挙区選挙。民意をできるだけ反映する比例代表制、民意が反映しない小選挙区制。制度の違いは、「投票日の夜」にも顕著だった。

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 ▲労働党のパーティ会場にはいろうとする人たち

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▲左派社会党のパーティは、だれでも参加自由でインフォーマル。2階にもテーブル席があり、ほかに音響装置

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▲緑の党のパーティ会場の一室に集まって働く党内プレス担当者たち。外部メディアは別室が用意されている

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▲中央党のパーティ会場では副党首(中央)が歌を披露。うしろの巨大スクリーンには開票速報。地方の農業者を主とする政党ゆえオスロの獲得票は少ない

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主要紙VGの出した選挙結果。労働党(赤いバラ)は今回も第1党だ。しかし票を減らした。結果、労働党中心の「赤・緑リーグ」は「保守中道リーグ」に勝てなかった


【注】政党の「投票の夜」パーティでは簡単な食べ物も出ることが多く、これも自費だというコメントが政党関係者から来た。高い会場費は政党が全額支払うため参加者が入場料を払うことはない。政党独自の積立金であり、政党交付金はこうしたパーティには使われないということである(2017 .9.13.2300 追記)


【ノルウェー2017年選挙のルポ】
国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)

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高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
同じ18歳であってもーーノルウェーの選挙、日本の選挙(木村昭子)
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
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by bekokuma321 | 2017-09-13 06:29 | ノルウェー