「運動を始めて足かけ8年。この日をどんなに待ってたか。ホッとしました。何回かふられて、そのたびにこんな当たり前の法律さえ国会は通さないのか、と悔しい思いをしました」

矢澤江美子さん(八潮市議)は声を弾ませた。

今日5月16日、参議院本会議で、「政治分野における男女共同参画推進法」がやっと可決成立した。選挙で候補者の男女比率を均等にするよう政党に努力義務を課す法律だ。衆議院ではすでに4月に可決された。

矢澤さんは、「Qの会」で運動を続けてきた。Qの会とは「クオータ制を推進する会」の略称で代表赤松良子さん。女性運動家や学者でつくる市民運動団体で、同法案の成立を求めてロビー活動をしてきた。矢澤さんは続ける。

「まずは、全会一致で成立した、この法律を多くの人に知らせなくては。私は地方議員ですから、自分の住む町で、行政に対して、質問という形で、付帯決議にある選挙の候補者や議員の男女別の調査をさせ、それを広く広報させるよう、どんどん押していこうと思います」

女性議員が誰もいない男性だけの議会「女性ゼロ議会」ではどうすればいいのか。荒川区議の瀬野喜代さんは、「女性ゼロ議会」である奈良県桜井市に女性議員を増やすため、桜井市まで足を運んでは話し合いを続けてきた。この4月には奈良の友人たちと公開セミナーを企画した。

「女性議員を増やそうというセミナーをしようとしたら、『政治的な集会はやってほしくない』と公的施設から言われたことがあります。でも、このような法律ができたのですから、『女性議員が誰もいないのはおかしい、女性議員が少なすぎるからなんとかしよう』ということに、国の法律がお墨付きを与えたことになります。この法は努力義務にすぎなく政党がどの程度女性候補増やすかは不明ですが、女性候補者増にはずみをつけるツールにはなります」

矢澤さんは、全国フェミニスト議員連盟(代表日向美砂子、樋口のり子)の世話人でもある。同連盟は1992年の創立以来、長年にわたって女性議員増によって男女平等社会をつくろうと運動を続けてきた。

「全国フェミニスト議員連盟は、長年、『女性ゼロ議会をなくそう』という運動をしてきました。ますますこの運動が重要になります。他団体も、どんどんこういう動きをしていく必要があります」

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 ▲「政治分野における男女共同参画推進法」成立を喜ぶ全国フェミニスト議員連盟のメンバーたち(2018・5・16 国会前)(矢澤江美子提供)

参院内閣委員会 政治分野における男女共同参画推進法案採決
2018年5月15日
(Youtube)
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」宣言
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」序
「政治分野における男女共同参画推進法案」可決 (衆議院の可決)
女性議員増法案、成立ならず
6月15日「女性議員増やそう法案を成立させよう集会」へ
推進法成立を求める国会議事堂前マーチ
政界への女性進出を促す法案、国会へ
地方議会に女性議員を (NHKニュース2017.4.15)
意見書あいつぐ「増やせ女性議員、なくせ女性ゼロ議会」
底なしの政治腐敗と女性議員
案内:4月15日「なくそう!女性ゼロ議会@群馬」
来年こそ「政界への女性推進法」を
女性議員増めざして制度改善を (全国フェミニスト議員連盟による「要望書」)
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by bekokuma321 | 2018-05-16 16:50 | その他

「うちの市は20人の議員のうち7人が女性議員です。女性議員が増えて確実に議会が変わりました。眠っている男性議員の多かった“お休み議会”が、目を覚ましたのです。それだけではありません、執行部も変わりました。女性が議会に増えることはいいことだなあと思っています」 

こんな発言で、女性議員増運動の必要性を明快に述べたのは、埼玉県吉川市の稲垣茂行議員だ。会場に拍手と笑顔があふれた。

「1日も早く『推進法』を成立させよう」という集会でのこと。12月19日、臨時国会を終えた参議院議員会館で開かれた。主催したクオータ制を推進する会(Qの会)赤松良子代表(写真下。右)は、ここまでの活動を次のようにふりかえった。

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「クオータ制をめざしてがんばってきたが、クオータ制にはならなかった。『政治分野における男女共同参画法』(推進法)は理念法です。それでも、女性参政権行使70周年の今年の成立を願っていた。そうはならず、残念だった。とはいえ、自民、公明、日本維新の会の与党案が衆院に提出された。野党案はすでに合意されているので、来春の通常国会では、スムーズに進んで行くのではないか」

石毛えい子元衆議院議員、川橋幸子元参議院議員、小林五十鈴日本婦人有権者同盟共同代表の進行で、国会議員のあいさつや、「推進法を求める意見書」を提出した地方議会の報告、パネル報告「これまで、これから」があった。

与党にさえ反対が目立ったカジノ法案は通って、推進法案は審議すらされなかったという192回国会の報告を聞きながら、「これぞマッチョ政治のなれの果てだな」と思った。

パネル報告者は、三浦まり(上智大学教授)、大山礼子(駒澤大学教授)、松下秀雄(朝日新聞編集委員)。発言をまとめる。

「各新聞社が熱心に書いてくれた。とくに女性記者ががんばってくれた。それが議員へのプレッシャーになった。とはいえ、この推進法のなんたるかは多くの人に知られていない。来年の課題は知らない人にもこの法を知らせること」(三浦)。

「夫婦別姓の法案のときのように、この法案もつぶされるのかと危惧したが、なんとか生き延びた。イギリスの参政権運動の映画が封切られるが、当時の参政権運動家たちのように、もっと過激に運動していく必要性を感じる」(大山)。

「ぼくもその1人である多数派の本土生まれのおじさんは、ケア重視を求める女性のニーズに気づかない。しかし、ルワンダでは、内戦後にケアのニーズが高まり、それとともに政治が変わり、今や女性国会議員率、世界一となった」(松下)。

今年、ジュネーブで開かれた国連女子差別撤廃委員会で委員とNGOのプライベートミーテイングに参加した柚木康子(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク世話人、写真下、右)がフロア発言をした。国連がいかに日本政府にいらだっているかを報告した。

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「国連の女子差別撤廃委員会は、何度も何度も、日本政府に対して、クオータ制をはじめ女性差別撤廃に向けての方策をとるよう、勧告をしてきた。委員会としてできることはすべてやってきたつもりだが、前に進んでいない、いったい、あと何を言ったら、日本政府が実行に向けて動いてくれるのか、と(委員は)言っていました。いらだっているようでした」

世界第3位の経済大国が、女性国会議員率では、193カ国のうち、ボツアナと同じ157番目という世界最低レベル。国連委員でなくても、これに、いらだちを覚えない人はいないだろう。

(以上、敬称略)

【衆議院】政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案
女性差別撤廃委員会 日本政府報告書審査の総括所見(英語)
「祝!女性参政権行使70周年」記念はがき
ハルらんらん♪
比例区、またまた削減
「身を切る改革」どころか「民意を切る改革」
小選挙区制は女性の声を捨て去る
クオータ制を日本にも
赤松良子賞と女性差別撤廃条約
11月25日赤松良子賞記念シンポ
男女共同参画白書とクオータ制
日本の政党にクオータを実行する気は見えない
クオータ制が後押し ノルウェー政界の男女平等(新潟日報)
連載「クオータ制」5 クオータ制が生んだ名物教授
連載「クオータ制」4 欧州連合EU議会は35%が女性
連載「クオータ制」3 インドの目標は33%
連載「クオータ制」2 それは政党の候補者リスト作りから始まった
連載「クオータ制」1 あの国でも、この国でもクオータ制
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by bekokuma321 | 2016-12-21 18:55 | その他