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道府県議選が終わった。女性の当選者は237人。前回から30人増えて「過去最多」だ。


とはいえ、「候補者男女均等法」施行後初の選挙にもかかわらず、女性は全当選者2277人のわずか10.4%。人口の半分は女性なのに、9割を男性が占める。誰が見ても一方の性に偏りすぎている。


これは、政党に「候補者男女均等法破り」 が多かったことに他ならない。道府県議会選における政党の女性当選者割合は、高い順に、共産党51.5%(51人)、立憲民主党24.6%(29人)、社民党18.2%4人)、国民民主党14.5%12人)、日本維新の会12.5%(4)、公明党8.4%(14人)、その他諸派7.6%(4人)、自民党3.5%41人)。政党に属さずに闘った無所属女性は14.6%(78人)。


マスメディアが拾わない惜敗した女性たちの挑戦は、日本の選挙の深刻な問題点を見せてくれる。その中から大分県の例をひとつ。


大分県議をめざした藤原真由美は、国東市に生まれ育った。国東市職員の実績と経験から、藤原は、「ここは高齢者の町。ところが、地域おこしにもっとも大切な女性の視点、高齢者の視点が欠落しています」。強い使命感から立候補した。


選挙区は大分県国東市・姫島村。定数1人の選挙区で、自民が独占してきた。昔、田中角栄の参謀と言われた西村英一の息がかかった土地だという。西村は建設大臣を歴任した自民党の大物政治家だ。現職県議は土建業「中尾組」社長だった木付親次(自民党)。彼は大分県議会では土木建築委員会委員長だった。つい2月の国東市長選を勝ち抜いたばかりの現市長も彼についた。


「おんなに何ができる」という空気がまん延する土地で、現職男性に新人女性が対抗するのは至難のわざ。しかし、市民の手ごたえは十分で、藤原は「自分への支持は日増しに拡大していっているとわかった」。


一方、油断していた相手陣営は、藤原の善戦にあせったらしく実弾が飛んだという噂もある。土建業の孫請けをしている事業所所長は、「(カネは孫請けまで来ず)上のほうしかいい目してない。だから藤原に入れる」と告げに来たという。最終的には「おんなの藤原に負ける」という危機感から前夜の電話かけ作戦に出たらしい。結果は、予想通り、木付親次が再選された。


藤原が立候補したような1人選挙区は、実は、日本中に全体の4割もある(朝日20190330)。1人しか当選しないのだから完璧な小選挙区制だ。小選挙区制は、衆院選で指摘されてきたように、2位以下の候補に入れた票がすべて「死に票」となって、民意が反映されないという致命的欠陥を持つ。要は、自民党の独壇場と化す。


だから今回、無投票となった選挙区は多い。報道によると1人区では半数に上る(朝日20190326)。


何年か前、日本政府は「2020年まで女性を30%に」と掲げた。あまりに女性議員が少ない惨状に、国連から勧告を受けたからだ。30%とはクリティカル・マスといい、女性の影響力が出てくる最低限の割合だとされる。30%に上げるには、1人区でも新人女性が当選しなければならない。藤原の選挙は、これがいかに困難かを示している。


「候補者男女均等法」が国会で成立したとき、委員会で「できる限り同数、と、できる限り均等は、法的には同義であることが確認されて、今回の法案となった」 と念押しがあった。この法は、30%どころか「候補者男女同数法」なのだ。それに近づけるために、政党はいったいどういう手立てをとるつもりなのか。


根本的解決ではないが、早急に選挙区の定数を複数にするしかない、と思う。ベストなのは、ヨーロッパ諸国のように比例代表制選挙にすることだ。そうしないと、社会的に不利な立場にいる女性や身障者もまじった多様な議会は決して生まれない。


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(報道による道府県議選当選者数からFEM-NEWS作図)





by bekokuma321 | 2019-04-09 16:26 | その他


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1218日、ダボス会議で知られる「世界経済フォーラムWEF」は、「男女格差ランキング2018」を発表した。世界149か国中、日本は110位。右の表は、1位アイスランド、2位ノルウェー・・・と149か国がならんでいて、赤マーカーが日本だ。


男女格差ランキングは、経済、政治、教育、健康の4フィールドで男女平等を指数化して決める。日本110位は、経済117位、政治125位、教育65位、健康41位の平均だ。政治分野の男女格差が最も大きい。その調査項目は、閣僚・国会における女性率と、女性首相が何年間いたか、の3つで、そこから125位とたたきだされた(朝日新聞2018.12.19)。


WEFの原典 にあたってみた。


政治分野の主な内容に「クオータ制」があがっていておもしろい。訳はFEM-NEWS。


●女性参政権を得て何年か  

●女性の首相は何人誕生したか

●国政選挙にクオータ制をとっているか  

●地方議会選挙にクオータ制をとっているか

●政党が自主的にクオータ制をとっているか

●国会上院における女性議員率


クオータ制(Quota system)は、選挙の候補者を決めるとき、一方の性に偏らないように少なくとも女性40%などと決める制度だ。暫定的特別措置のひとつで、世界の国々の半数が何らかのクオータ制をとる(IDEA)。


当然ながら上位5か国――1位アイスランド、2位ノルウェー、3位スウェーデン、4位フィンランド、5位ニカラグアーーは、何らかのクオータ制をとる。一方、日本は、国政、地方議会、政党もクオータ制を採用していない。朝日新聞は、このクオータ制について、1位のアイスランドを例に、こう書く。


90年代に複数の政党がクオータ(割り当て)制を採用するなどして増え、45割を占めるまでになった」


しかし、朝日は、アイスランドをはじめ上位5か国とも、比例代表制選挙中心の選挙だということに触れていない。比例代表制を論ぜずして、クオータ制をいうのは、土台がないのに家を建てようとしているに等しい、と思う。


なぜならクオータ制は、比例代表制でこそ生きる。比例代表では、有権者は政党に1票を入れる。政党の獲得票に比例して、その政党から何人議員を出せるかが決まる。例えば3人とすると、政党が決めた「候補者名簿(リスト)」の上から順に3人が当選する。


リストは、選挙前に選挙区ごとに開かれる政党の会議で、話し合って決められて、選管に出される。その政党の会議で、クオータ制の威力が発揮される。2位のノルウェーの多くの政党は、70~80年代からクオータ制をとっているが、現在、リストはほぼ男女交互に並ぶ。1番が女性なら2番は男性・・・。


一方、日本の小選挙区制(大選挙区制も含む)はどうか。候補者は、選挙区ごとに、個々人が手をあげて決まるのがほとんどだ。先に手をあげるのは、現役議員、議員だった親類縁者を持つ人、国会議員の秘書・・・そこにクオータ制の出る幕はほとんどない。


地方議会選挙もそうだが、選挙区から1人しか当選しない衆院選は、なおのことクオータ制を入れるのは絶望的だ。比例区があるではないかと思う人がいるかもしれない。だが、例外を除いて比例候補は小選挙区候補なのだから、日本の比例代表制は、小選挙区制のおできみたいなもので、比例代表制のよさが出ない。


そうは言っても日本で比例代表制選挙にすぐ変わるとは思えない。現制度の下で、一人でも多くの女性議員を誕生させなくてはならない。「候補者男女均等法」施行後初の統一選挙が来春やってくる。とにかく候補者に女性が増えなくては話にならない。


女たちよ、全国で選挙に打って出よう!


そして、各地で候補者調整が行われている今こそ、政党や政治団体に、以下のような提案をしたい。


●政党や政治団体は、「女性ゼロ議会」をなくすことを目標にかかげ、そのために女性候補のいないすべての自治体に、少なくとも一人、女性候補を擁立すること


●政党や政治団体は、引退議員や亡くなった議員がいる選挙区には、その自治体の議会の半数が女性議員になるまで、その議員のあとに女性候補を擁立すること


●当選には相手候補に1票でも差をつけなくてはならず、現役と同じような基盤(年齢、住所、職業、同窓会、PTA活動など)を持つ人を敬遠しがちだが、立候補を希望する女性がいたら、政党や政治団体は、同じような基盤の人でも擁立すること


●現職女性議員がいて、その立候補が予定されている選挙区の場合、女性候補が増えると、「女性同士の争い」と否定的評価をされがちだ。しかし、男性同士の争いは当たり前なのだから、矛盾する。政党や政治団体は、選挙区によっては複数の女性候補を擁立をしよう


●選挙区の議員定数が1人の場合は、女性の当選を、複数定数の場合は、複数女性の当選をめざすこと


日本を含む東南アジア諸国が男女平等になるには、今後171年かかるそうだ(WEF)。だが、このままの選挙制を続けるなら、日本の女性が議会の半分を占めるには、もっとかかるだろう。いや、女性だけではない。非正規労働者、心身障がい者、アイヌ民族など、社会的弱者を政策決定に増やすには、小選挙区制では絶望的だと思う。小選挙区制をやめて、比例代表制にすることを真剣に考えよう!



30代女性首相を輩出したニュージーランドのシステム

比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)

死に票2661万票(2017衆院選)

絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)

女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)

比例代表制は女性や弱者が当選しやすい

国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」

フランス議会は男女半々(パリテ)へ-イヴェット・ルーディさんに聞く-


【2018.12.23 更新】



by bekokuma321 | 2018-12-22 18:55 | 北欧

71%――カジノ法案に反対する最新世論調査の結果だ。

性別統計が公表されていないが、反対したのは、女性のほうが男性より圧倒的に多いはずだ。女性たちがほしいのは、安全安心の保育施設であり、介護サービス施設だ。家族のギャンブル中毒に泣く大勢の母親や妻が、今も、町の消費者相談やDV相談にかけつけているだろう。

とにかく、こうした反対の声を無視して、カジノ法案が、昨日(6月15日)、衆院の内閣委員会で強行採決された。賛成したのは、自民、公明、日本維新の会の3党の国会議員たち。

「数の力」だと新聞は書いている。数とは言っても、国会議員の数だ。圧倒的国民の反対ー71%ーも重要な数だが、無視される。

では、この議員数を決めた選挙が、民意を反映したものではなく、民意を捻じ曲げるものだったとしたらどうだろう。

日本の選挙制度は、小選挙区制中心の並立制選挙だ。ほんのちょっとおできのようについている比例区を除き、選挙区で1票でも多く票をとった1人が当選する。

2017年の衆院選小選挙区で、自民党は全体の48%しか得票を得ていなかった。しかるに、議席率は全体の74%にはねあがっている。投票したひとりひとりの貴重な1票が、議席にきちんと比例していないのである。

比例区を見ると、さらに民意が捻じ曲げられていることがはっきりする。自民党支持は18.3%、公明党6.68%。自公あわせて4人に1人しか現政権を支持していない。

こんなバカな話はない。これほどまでに歪んだ選挙で選ばれた議員が、カジノ法案を成立させたのだ。怒髪天をつく!


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 ▲カジノ法案を今の国会で成立させることに賛成か反対かという調査結果。数字は朝日新聞2018年4月15日

「原発と民意」
死に票2661万票(2017衆院選)
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
by bekokuma321 | 2018-06-16 12:32 | その他

「原発と民意」

3月11日がきた。原発にノーといわない日本の政治に、震えるほどの憤りをおぼえる。

「原発と民意」(冨田杏二)を読み、日本の原子力産業の拡大は、中曽根康弘内閣の「日米原子力平和利用協力協定」が土台だ、とあらためて知らされた。この協定こそ、日本の原発の基盤であると冨田はいう。

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「日米原子力平和利用協力協定」は、1987年11月4日に調印された。しかし、有効期間30年となっていて、その6ヶ月前までに文書によって通告すれば終了も可能だと書かれているという。

その「日米原子力平和利用協力協定」の有効期限である30年後とは、いつか。2017年、つまり昨年だった。

しかし、「協定の期限を延期することが妥当かどうかについて、民意を問う姿勢など一切見られなかった」。2017年もそうだが、「今日まで『終了』について国会で話し合われたことはないと思われる」と、冨田は書く。

人類を破滅に陥れかねない原子力産業こそ、わたしたち国民の意思を反映した国会で真剣に論議しなければならないのに、してないというのだ。

3・11以前はともかく、それ以降は、「80%近くの人が原発増設拒否の意思を表明し、原発ゼロを希求する」。それにも関わらず、国の政策は原発続行。なぜなのか。

それは、国会議員が民意を反映しない選挙制度によって選ばれているからだ、と冨田は言う。練馬を中心に草の根から世直しをつづけてきた市民運動家の目が光る。そういわれると、その通りだ。原発に反対する女性は男性よりもはるかに多いが、その女性の代表は、国会にわずか10%にすぎない(1院)。

原発政策を選挙制度から見つめる稀有な論文「原発と民意」(冨田杏二)は、ブックレット『小選挙区制のワナ』(600円)第4章におさめられている。

『小選挙区制のワナ』
ブックレット『小選挙区制のワナ』刊行
原発政策と女性:滋賀県、福井県
2017衆院選 微動だにしない男性偏重政治
女性の約7割、原発NO!
衆院選と女性:比例区定数削減案は小政党、女性候補を痛めつける
by bekokuma321 | 2018-03-11 09:49 | その他

日本の「モノトーン政治」は小選挙区制のせい? 

私たちの暮らしにかかわる憲法、原発、労働、女性差別…は、熟議を求めています。それなのに、国会は一強多弱で「モノトーン化」し、多数を背景に強行的採決をくり返すだけ。

世界には、民意を反映しやすい比例代表制の選挙で代表を選び、多様な議会を持っている国が多くあります。そんな国々のシングルマザー、高齢者、ハンディを持つ人など社会的マイノリティの暮らしは、どうも日本よりラクそうです。

そこで、日々の暮らしぶりと選挙システムのかかわりを考えてみませんか。4月20日、東京・飯田橋駅のセントラルプラザ。「国際シンポジウム」を開催します。申し込み不要。お気軽におこしください。

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▲3カ国のスピーカー写真と略歴入りチラシは、作成中。上のチラシは緊急チラシ。写真は2017年9月ノルウェー国政選挙の投票風景。写真撮影と写真使用を許可してくれたマリア・ナルードに心から感謝する
by bekokuma321 | 2018-03-06 23:15 | その他

c0166264_13374823.jpgブックレット『小選挙区制のワナ』が、先日、かもがわ出版から刊行された。600円!

小選挙区制は、政権政党から自由な議論を奪い、「安倍一強」政治を生み出した。

国民の価値観が多様化し、憲法でも原発でも労働でも貧困でも、熟議を求めている。それなのに、国会はモノトーン化し、多数を背景に強行的採決をくり返す。

その根源には、小選挙区制選挙がある。どうやったら新しい制度に切り替え、国民の声を反映できる政治にするのか。

◇◇◇ もくじ ◇◇◇
1. 選挙の制度を変えれば、政治が変わる(田中 久雄) 
2.政党交付金は打ち出の小づち(三井 マリ子)    
3.日本戦後政治の転換点(阪上 順夫)       
4. 原発と民意(冨田 杏二)             
5. 官僚制と小選挙区制の結婚が日本の悲劇(礒浦 康二)
6. 世代間とジェンダーで民意はどう違うのか(草野 篤子)
7. 選挙とメディア(砂川 浩慶)             
8. 女性が初めて投票して70年(藤田 純子)       
9. 学校教育と選挙(瀧口 優)   
         
コラム  ●スウェーデン「誰もが政治参画できそう」  ●ノルウェー 「19 世紀の抵抗運動」 
●ルワンダ 「世界で一番女性議員が多い国」  ●フランス 「男女ペア選挙」  ●ニュージーランド 「選挙制度は政治を根本的に変えた」  ●イギリス 「英国のEU 離脱に思う」
by bekokuma321 | 2018-02-28 13:50

c0166264_14414150.jpg中選挙区制から小選挙制に変わって20余年。今度は、線香・衆議院手帳ばらまき大臣の登場だ。

数年前、ワインだ、うちわだ、カレンダー だ、SMバーだ、キャバクラだ、と騒がれた大臣や議員がいた。ワインは小渕優子経済産業大臣、うちわは松島みどり法務大臣、カレンダーは御法川のぶひで議員、SMバーは、小渕大臣が辞任した後に就任した宮沢洋一経済産業大臣。 そして、キャバクラは、東京都板橋区から出た太田順子さんの選対を務めた民主党区議会議員たち。

いま問題になっているのは茂木敏充経済再生相だ。茂木大臣は、自らの選挙区(足利、佐野、栃木)で、何年間にもわたって、有権者に線香や衆議院手帳を配って歩いたことを、国会で追及されて、それを認めた。実質的買収行為をしていたのだ。

ところが、茂木大臣は、「政党支部の活動として行っている」と言い訳をした。この政党支部がたいへんな曲者だ。政党支部という名から、わたしたち市民は、政治活動を幅広く行う立派な組織と思ってしまう。

c0166264_13575357.jpgしかし、小選挙区制のもとでは、政党から立候補する衆議院議員候補は1人。つまり、政党支部の代表は1人の衆議院議員(または公認候補)であり、要は、政党支部事務所は茂木敏充議員の個人事務所なのである。そこに、政党交付金(私たちの税金)が振り込まれる。そこで働く人は、政党支部の党員というより、茂木議員の秘書といったほうがあたっている。

その秘書たちは、毎日、何をしているか。政党活動というとばくぜんとしていてわかりにくいが、具体的には衆議院議員の顔と名を売る活動を朝から晩まで日々行っている。思い出すのは、あの「違うだろーッ」と怒鳴り散らした豊田真由子議員。秘書に「支援者のバースデーカードの宛名」を書かせて、配らせていた。

こうした職にある茂木大臣秘書が、有権者の家や葬儀場にひんぱんに足を運んで、線香や衆議院議員手帳を遺族などに手渡す。名乗る必要もないほどわかりきっているから、物品に名前を書くなど野暮なことはしない。

c0166264_13584250.jpgそれに、見ず知らずの人から、黙って線香や手帳を受け取る人がどこにいるだろうか。国会で、野田聖子総務相は、秘書が氏名の表示のない政党支部からの寄付を持参することは、「氏名が類推される方法とはいえない」などと茂木大臣をかばった。ぜひ、彼の選挙区に行って「類推できない人がいるかどうか」を調査したらいい。

20余年前、小選挙区制に変えようとしていた自民党は、「政治改革大綱」という文書を出した。そこには「中選挙区制は、政党本位でなく個人中心の選挙になりがち」だと書かれている。さらに「利益誘導や、後援会組織の維持と膨大な有権者への手当のため、多額の金がかかる」とも。だから中選挙区制をやめて小選挙区制にしなくてはという理屈だった。

そして世は「政治改革」の熱狂のもと小選挙区制選挙へと変わって20余年。

「個人中心の選挙」はなくなったか? 「膨大な有権者への手当に多額の金がかかる」ことはなくなったか? 「政党本位」になったか?

得票率と議員数との絶望的乖離に加えて、死に票の多さなど、民意を反映しない小選挙区制の弊害は多い。それに、この実質的買収行為の多発。

やはり、小選挙区制はやめるべきだ。

小選挙区制のワナ
2017衆院選 微動だにしない男性偏重政治
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
案内「選挙が変われば政治が変わる」
2017衆院選の政党別・性別候補者
女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
底なしの政治腐敗と女性議員
女性閣僚辞任と政治資金

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▲かもがわブックレット 203号、定価600円。

[2018.2.3 更新。写真は1月31日放映の国会テレビ中継より接写。公選法責任者の野田相とヒソヒソ話をしたり笑いあったりしている、線香配布の茂木相]
by bekokuma321 | 2018-02-02 14:54 | その他

小選挙区制のワナ

今年の政党交付金は、8党に対して317億7300万円が行くとの報道があった。

最も巨額の政党交付金が行くのは、もちろん自民党で、およそ175億円。2位は民進党。2017年衆院選の分裂騒動で、議員が大幅に減ったものの、35億6900万円。3位は希望の党30億4200万円、4位は公明党29億4800万円、5位は立憲民主党27億6400万円。共産党は申請していない。
 
ところで、昨年暮れ報道された「2016年の政治資金報告」を覚えている人も多いだろう。

自民党は23億2000万円という巨額の寄付を受けていた。さらに、「~先生を励ます会」などのパーティで飛び交う札束。17人の大臣が集めた寄付だけでも9億円近い。さらに、違法のにおいがプンプンする国の補助金受給企業からも寄付を受けている議員の多いこと。

何を隠そう、こうした企業献金や団体献金という利益誘導につながる政治資金を絶とうーーこれが目的で新設されたのが、政党交付金だった。金丸信という政治家が、政党交付金を「泥棒に追い銭」とうそぶいたというが、ピンポーン! 

政党交付金の制度が成立したのは、20年以上前のこと。中選挙区制から小選挙区制に選挙制度を変えたときに、そのどさくさ紛れに誕生したらしい。中選挙区制は「政党本位でなく個人中心になりがち」で、「多額のカネがかかる選挙を生み政治の腐敗につながる」が理屈のひとつだった。今となっては笑うしかない。

小選挙区制中心の選挙になって20年。全国280あまりの選挙区で、最も票を取った候補者1人しか当選しない。その1人以外に入れた有権者の票はすべて死に票となってしまう。さらに第1党は、取った票がわずか4割台でも、その議席数は7割になる。票と議席にあきれはてるほどの大きな乖離を持つ。

こんな民意の反映しない選挙制度はないと思う。その破綻した選挙制度の結果に従って、政党交付金が配分されるのだ。政党交付金も破綻していると言える。

そして、こうした政治の世界に女性が入っていくのはどれだけ困難か。日本の女性議員割合は、世界193カ国中150番目~165番目をさまよっているのも、むべなるかな。


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 ▲かもがわブックレット 203号、定価600円。
by bekokuma321 | 2018-01-21 20:24 | その他

衆院選で、自民党は、289小選挙区のうち、218議席を獲得した。これは75.4%に当たる。自民党の得票率は48.2%。全体の半分に満たない票で、8割近い議席を分捕った。

これが「作られた多数派 manufactured majority」と言われるものらしい。

小選挙区制は、第1党に不当に多く議席を与える不公平な制度だと批判されてきたが、今回もそれがはっきり証明された。

また小選挙区制は「死に票」が多い。今回は、全国で2661万票の死に票が出た。全得票の48%だ。投票した人の半数に近い票がどぶに捨てられたことになる。なんとまあ、もったいない!

もったいないどころか死に票の多い選挙制度は「違憲」だという憲法学者もいるという。石川真澄が著書で紹介している。

日本国憲法は、「民意の正確な反映」を要請しているという。憲法学者の長尾一紘は「それぞれの選挙制度を区別するメルクマールは、死に票率のいかんであるということができる」。だから、小選挙区制は違憲であり比例代表制が合憲であると指摘する(労働旬報社『この国の政治』)。

石川真澄は、小選挙区制選挙を「邪悪な選挙」だと批判し、民意をほぼ正確に反映する比例代表制にすべきだと多数の著書を世に出した。

比例代表制のよさは、女性やマイノリティを議会に送りやすいということもある。これを石川はそれほど強調していないが、私には大問題だ。

比例代表制にしたら、政党が候補者名簿をつくる際、男、女、男、女と男女交互にならべるだけで、女性議員が確実に増える。政党で「クオータ制」(どちらかの性を例えば40%以上とするルール)を尊重すればいい。そのほか、政党の姿勢次第だが、3番目には障がい者、4番目にはアイヌ民族・・・というように候補者を多様にしやすい。

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 ▲三鷹市の衆院候補ポスター。自民党は小選挙区で、立憲民主党は比例で当選した。希望の党と共産党は落選した。公報を見る限り、希望の党の女性候補(弁護士)は男女平等推進に関心が強いと私には思えた

案内「選挙が変われば政治が変わる」
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
2017衆院選 微動だにしない男性偏重政治
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
イギリス6割が選挙制度改革に賛成 
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
1年前の今日、政党交付金裁判を終えて
票数が反映しない選挙結果のゆく先は


【上記の2017年衆院選統計は時事通信ウエブページを参照した】
by bekokuma321 | 2017-10-29 01:09 | その他

衆院選投票率50%台か

NHKによると衆院選 「投票率は53.60%前後の見込み」だという。戦後最低の投票率と言われた2014年(平成26)の52.66%からやや増えた。しかしなんとまあ棄権の多いこと。

小選挙区制という選挙では、最高得点をとった一人しか当選しない。自分の1票が政治に反映されない可能性があまりに高い。だから馬鹿らしくて投票所に行く気になれない人も増える。

先月、取材してきたノルウェーの最終投票率は78.2%だった。ノルウェーは比例代表制選挙だ。

c0166264_23511488.jpgこれまで、小選挙区制は、得票率が議席数に反映されないことが指摘されていて、民意の反映しない選挙だと強く批判されてきた。

たとえば2012年の衆院選を見る。自民党は小選挙区で得票率43%だったが、小選挙区議席の79%をかっさらった。投票した人の2人に1人に満たない票で、8割近い議席を得たのだ。絶対得票率(上の表[朝日Web]。注)となると、自民党はわずか24.7%で4人に1人に満たなかったが、比例区あわせて全議席の6割を超えた。そのかげで、他候補に入れた3000万以上の票はすべて死に票となった。

一方、比例代表制のノルウェーはどうか。政党ごとの得票率と議席占有率を見る。最大政党の労働党30.8%で33%、保守党26.8%で28%、 進歩党16.3%で17%、中央党5.5%で5.9%・・・。比例代表制という名の通り、得票率に議席数が比例している。大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに得票に応じて議席を出せるのだ。これが、1人1票を生かす選挙というものだろう。

自分の1票が確実に議席に反映する選挙制度をとるノルウェーの投票率が高いのは当たり前だろう。

今回の衆院選では、どれだけ死に票が出るのか。

【注】絶対得票率は、有権者全体の得票率で,棄権した人も含めて有権者全体のなかでその政党 が何%票を得たかを示す

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 ▲衆院選の投票率の移り変わり。小選挙区制が始まったH8(1996)から投票率がガクンと下がった

投票率アップのカギは「優しさ」 総選挙で80%近く ノルウェーに学ぶ(東京新聞)
2017衆院選の政党別・性別候補者
案内「選挙が変われば政治が変わる」
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
日本の「自書式」ハンディキャッパーに不利
by bekokuma321 | 2017-10-23 00:37 | その他