国民の目が未曽有の災害に注がれている真っ最中、政治の根幹である選挙制度の改変が決まった。

「一票の格差」を改正すると称して、参院の議員数を6議席増やしたのだ。参院の特別委員会委員35人のうち、22人の自民、公明委員による多数決だった(写真)。

「一票の格差」の是正は、最高裁の要請だ。ところが3年前、合区によってお茶を濁してしまった。そのため国会は、2019年の参院選には「選挙制度の抜本的な見直し」をすると約束していた。

「抜本的な見直し」というからには、すべて比例代表制選挙に変える方法があった。そうすれば、一票の格差はただちに解消される。女性議員も増やせる。

少なくとも比例区枠を増やしたうえで政党を選ぶ選挙にして、政党の候補者名簿の半分を一方の性にする、という英断をすべきではなかったか。それこそ、自民・公明も賛成して成立・施行された「候補者男女均等法」の趣旨だ。そうすることによって、参議院は、あまりにも女性議員の少ない衆議院とは一味違ったものとなる。

しかし今回も小手先の手直しだ。6人増のうち、2人は埼玉選挙区に増やして、議員1人当たりの有権者数を少し減らすのだという。とはいえ、絶えず大都市への人口の移動があるのだから、こんな変え方なら何度変えても一票の格差は解消されないだろう。

6人のうち4人は比例区の定数を増やすのだという。選挙区に擁立できなかった県の候補をここにあてはめて、合区で高まった自民党内の不満解消をはかるためらしい。とんでもないことだ。一票の格差是正とも関係ない。各紙も厳しく批判する。

「民主主義の土台である選挙制度を、自党の都合を優先して強引に変えることが許されてはならない」(東京新聞)

「あからさまな党利党略だ」(信濃毎日)

「伊達忠一参院議長も調整の任を放棄し、各党にそれぞれの案の提出を求めただけだ。無責任きわまりない」(朝日)

「抜本改革からは程遠く、党内事情による『自己都合』が目立つ」(毎日)

参院は、衆院と同様、選挙区と比例区に分かれていて、73人は選挙区、48人は比例区で選ばれる。選挙区選挙は都道府県単位で、前回「鳥取・島根」と「徳島・高知」が合区となった。大都市などを除いた多くは、1人しか当選できない小選挙区制選挙だ。一方、比例区の選挙は全国ブロック。こちらは医師会など大組織をバックに持つ人か、スポーツヒローしか目はない。どちらも、ミニ政党は勝ち残れそうもない。

「選挙は主権者である国民の意思が反映された国会をつくるためにある」--石川真澄の言葉だ(『堕ちてゆく政治』)。しかし、これじゃ「選挙は政治家の稼業を続けるためにある」だ。

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▲参院政治倫理・選挙制度特別委員会。自民、公明が賛成の起立をしている。数少ない女性議員のうち、野党席から1人起立している右端の女性は中山恭子議員(希望の党、日本会議国会議員懇談会)(2018.7.11)

国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」報道2
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」報道
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」宣言
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」に参加して④(ふじみつこ)
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」に参加して③ (松田典子)
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」に参加して②(中山あみ)
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」に参加して① (伊藤由子)
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」韓国
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ニュージーランド
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ノルウェー
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」序
比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)
女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
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by bekokuma321 | 2018-07-12 00:08 | その他