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ノルウェー放送協会(NRK)によると、10月22日、月曜日、ノルウェーの刑務所で働く公務員4400人がストライキにはいった。


筆者は、ノルウェーで、ホテル従業員のストや、消防職員のストに出会って、驚いたことがある。でも刑務所のストは見たことも聞いたことがない。ニュースによると、前代未聞のことだという。要旨をまとめる。


刑務所職員のストライキの目的は、政府の刑務所予算案に対して反対の意思を示すことだという。政府予算案が通ると、7つの刑務所が廃棄され、162人の雇用が奪われることになり、これでは受刑者に十分なケアができなくなる、と主張する。


250の刑務所はキャパを超えている。NFFは、政府予算への我々の態度を示し、組合の2700人の組合員のために、2時間のストライキを実行に移す」と、スト決行にあたって、労働組合委員長は語っている。


NFFは、ノルウェー刑務所と自由キャリア協会(The Norwegian Association of Norwegian Prisons and Freedom Careers)をさし、刑務所で働く人たちの組合だ。ちなみに刑務所職員の約40%は女性


ノルウェーは、さまざまな権利団体が組織化されているが、犯罪者協会という受刑者の組織もあるようだ。同協会は、刑務所職員が政府予算案に反対して政治ストライキを実行したことを支持すると次のように発表した。


「私たち、刑務所の受刑者も、予算減に影響を受けることがわかります。刑務所職員の利益向上に共感します」


権利は、こうして組織し、連帯し、闘って、守っていくものーー教えられた。




人間味あふれるノルウェーの刑務所

再犯率の最も少ない国の刑務所 追記

最も再犯率の少ない国ノルウェーで今

禁固21年判決とノルウェーの犯罪制度

再犯率の最も少ない国の刑務所

未来への提言「世界一囚人の少ない国からの報告」



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by bekokuma321 | 2018-10-22 23:58 | ノルウェー


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20161月、ノルウェー放送NRKNHKにあたる)は、ナディア・ムラードのインタビュー を放送していた。ナディアの親しい友人であるイラク系ノルウェー女性が通訳だった。2年以上も前だ。


10分ほどの出演時間だった。5分ほどして、それまで冷静に話していたナディアが涙ぐんだ。すぐ涙がとまらなくなった。言葉にならなくなった。NRKのインタビューアーは、泣き崩れたナディアに近づいて、彼女の左手を握りしめた。インタビューアーは、唇をギュッとかみ、必死に涙をこらえていた。


NRKスタジオにはヤジデイ族の女性たちの大きなパネルが掲げられていた。ナディアは泣きじゃくりながら、語った。


「その写真を見ると、その女性が母親ととても似ているのです」

「母は、何千人もの母親たちと同様、年老いているので、性的虐待ができないから、虐殺されてしまったのです」

「私の人生でもっとも辛いできごとでした」

「私はアメリカやエジプトやクウエートに行ったことがありますが、こんな地獄は見たことがありません」


イラクのナディア・ムラードが、コンゴの医師とともに、今年のノーベル平和賞に選ばれたとの速報 を流したが、ナディア・ムラードについてあまりにも知らなすぎたため、報道にあたってみた。そして見つけたのが、この、NRKの秀逸なTV番組である。


ヤジデイ族であるナディア・ムラードは、北イラクのコジョー(Kocho)という小さな村で、母親と兄弟姉妹9人で平和に暮らしていた。20148月、そこをISが急襲。6人の兄弟は殺害された。彼女は、モスル(Mosul)に連行された。およそ150人の若い女性たちがいっしょだった。そこに巨大な男性が(モンスターと彼女は言った)やってきた。次にやや小柄な男性がやってきた。毎日、何度も虐待と強姦をされた。


3か月間続いた。やっとそこを逃れた彼女は、難民としてドイツに住むことができた。


その後、性奴隷の境遇を脱出したナディアは、重い口を開いて、地獄の体験を語り始めた。そして国連親善大使を務めることになった。国連の安全保障理事会に招かれて、戦争・紛争下の性暴力について、世界の代表たちにスピーチをした。手に汗握る逃亡・闘いについては、彼女が書いた「最後の少女」という本に描写されているという(写真は本の表紙)。


ナディアのノーベル平和賞受賞を決めたノルウェーノーベル委員会に心から賛辞をおくりたい。そこに至るまで、ナディアの地獄の体験に耳を傾けてきた、ドイツ政府、国連、ノルウェーの報道関係者、そして通訳者たち(説得力ある通訳をする人がいたに違いない)にも・・・。戦争の戦利品とされる女性に対する、彼女たちの怒りのリレーがなかったら、受賞までたどりつかなかっただろう。


ところで、戦時下の性暴力(従軍慰安婦)に知らんぷりを続ける日本政府は、ナディアの受賞をどう考えているだろう。


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by bekokuma321 | 2018-10-10 03:23 | ノルウェー

国連安全保障理事会の非常任理事国メンバーは選挙で選ばれる。次期メンバーにノルウェーが立候補した。当選をめざして、皇太子が、この夏、ニューヨークまで出かけて選挙演説をしたという。


皇太子の選挙演説とはどんなものか。スピーチを読んでみた。


皇太子は、国連に貢献をした代表的ノルウェー人をあげて、ノルウェーのメンバー入りに賛同を呼びかけた。国連初の事務総長だったトリグブ・リーに言及するのは当然だろう。しかしリー事務総長よりも先にあげた名は、フリーダ・ダーレン(Frieda Dalen)という教員そして抵抗運動家だった。


皇太子は、彼女をこう紹介した。


「フリーダは、国連総会で演説した初の女性です。彼女は、第二次世界大戦中、レジスタンス運動に身を投じた人でもあります。彼女は、平和構築に女性を含めることの大切さを力説しました。彼女のこのメッセージは、72年後の今も依然として重要です」


オスロにある「抵抗の歴史博物館」(Norges Hjemmefront Museum)を訪問したことがある。そこには、ナチス・ドイツに占領された5年間のレジスタンス運動の証が展示されている。レジスタンス運動をけん引した団体のひとつが、教員組合だったこともそこで知らされた。高校教員だったころ組合の活動家だった私は、身近に感じると同時に、死の恐怖と闘いながらの地下運動に心から尊敬の念を抱いた(注)。その1人が、戦中、教員をしていたフリーダ・ダーレンだったのだ。


皇太子のスピーチは続く。


「フリーダが国連総会で演説したのは1946年でした。まだノルウェーは焼け野原でした。その後、数十年かけて、ノルウェーはゆっくりと包摂的福祉と民主主義の国になっていきました。強く独立した機関をかねそなえた国。持てる資源を持続可能な方法ですべての人々の利益のために使おうとする国。フリーダが生きた時代の人たちは、強固な国際機関なしには何事もなしえなかったでしょう。実際、その通りでした」


フリーダは、教員たちの秘密組織の活動家だっただけでなく、KKと呼ばれたノルウェー全土のレジスタンス運動の司令塔ともなる組織にもコミットしていた。彼女は、こうした違法行為によって、逮捕されてオスロ刑務所に投獄された。


強制収容所に連行されて亡くなった同志も多い中、生き延びて、国連で演説をすることになった女性教師フリーダ・ダーレン。それにしても、フリーダのような経歴の女性を初の国連代表に任命したノルウェー政府。その姿勢に脱帽してしまう。


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▲オスロのメインストリート。左側が国会議事堂。正面が王宮


博物館が明らかにするノルウェー国鉄 戦中の行い


【注】 「抵抗の歴史博物館」資料にもあるが、今ではネットで教員たちのレジスタンスの歴史が語り継がれている。それによると、ナチス・ドイツの傀儡政府は、ファシスト信奉を子どもたちに植え付けるため学校教育を変えようとした。まず教員組合をつぶすため傀儡教員組合をつくって、入会を強要した。しかし、教員の多くは入会拒否の署名をして応じた。怒った傀儡政府は、1000人以上の教員を逮捕。半数は北極圏にある強制労働所に送還した。学校はすべて閉鎖された。逮捕されずにすんだ教員たちは秘密裏に生徒に自主学習をした。親たちも傀儡政権に協力せずレジスタンスに協力的だった。Norwegian teachers prevent Nazi takeover of education, 1942





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by bekokuma321 | 2018-09-20 23:59 | ノルウェー

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93日(月)、ノルウェーのソニア王妃(写真)が、少数民族の人たちを王宮に招いて、お茶会を催した。女性の社会進出や性差別撤廃に尽力をしてきた女性ばかり15人。


女性たちの祖国は、エリトリア、ソマリア、リべリア、パキスタン、マレーシア、イラン、インド、グアテマラ、シリア、アフガニスタンの10カ国にのぼる。


ソニア王妃がマイノリティの女性たちを王宮に招いて、彼女たちからノルウェーでの苦労や挑戦話を聞くお茶会をしたのは、これで3回目だという。


王室の公式ページには、多彩な民族衣装に身を包んだ肌の色の異なるゲストを歓待する王妃の写真や、女性ばかりで大きなテーブルを囲んでいる写真が掲載されている。

王宮のお茶会をのぞいてみたいかたは、Invitertepå te


ノルウェー国王のスピーチ録画、277万回再生される

子どもたちがはぐくむ平等と包括教育

ノルウェーのブルキニ論争

難民受け入れと政治

ノルウェーの難民・移民政策

移民女性のための移民女性による選挙キャンペーン

イラク女性、ノルウェー式ヒジャブの商品化





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by bekokuma321 | 2018-09-04 20:59 | ノルウェー

ノルウェーには国立の女性博物館がある。夏はとりわけ充実したイベントで人気がある。

でも、いったいどんな経緯で国立女性博物館なるものができたのか。詳しくは「叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち 第61回 夏だ、女性博物館に行こう」を。

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             ▲記念すべき1993年のポスター

1993年、「女性博物館 第1回企画:ヘードマルク女性たちの作品」
1995年、ソニア王妃を迎えて、プレ・イベントのオープニング
1998年、国立博物館として認定
2000年、企画展「カミラ・コレットの笑い」
2013年、女性参政権獲得100周年イベント「当時の声、今の声」
2018年、夏の特別展「行間を読め」。世界を揺り動かした#MeToo運動がテーマ。セクハラ根絶を願うポスターや芸術作品が、9月1日まで部屋いっぱいに展示されている。


ノルウェー労働党党首セクハラを語る
ブルントラント元首相 セクハラ被害を語る
ノルウェーDV予算をめぐる攻防
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by bekokuma321 | 2018-08-15 15:23 | ノルウェー

夏休み、スヴァイン・インヴォルド(Svein Ingvald) は、妻や家族と、フィヨルド岸のサマーハウスで過ごす。しかし、家の庭先に広がる美しいフィヨルドには、朝から夜まで、大型クルーズ船が行き来する。

彼は、緑の党党員。自然保護や持続可能な漁業を願っている。もともとは市の保健課長。今はペンショナー(年金者)だ。

日曜日、彼は、朝8時、おしっこに起きた。目の前にクルーズ船がやってた。とっさに彼は、裸でクルーズ船に向き合った。妻に写真をとってもらって、フェイスブックに載せてほしいと頼んだら断られてしまった。そこで写真を自分のフェイスブックに載せた。

ただちに反響が押し寄せ、メディアも大きく取り上げた。中には「彼は市議会で、緑の党の政策にもっと関心を持ってほしいといつも願っているが、今回、それを成し遂げた」と。効果抜群の抗議行動には、何の準備も資金もいらなかったことを紹介している。

日本人は驚くかもしれないが、彼は、ノルウェーのクヴィンヘーラ(Kvinnherad)市の現職の市議会議員である。

クヴィンヘーラ市議会のなかで、彼の属する緑の党はただ1人。市の人口13000人、市議35人。政党は多彩で、勢力分布は保守党12、労働党8、中央党6、進歩党3、キリスト教民主党2、ローカル・リスト2、自由党1、緑の党1。フォルマンスカープ(参事会)は9人で、保守党3、労働党2 中央党2、進歩党1、キリスト教民主党1で構成されていて、緑の党はいない。

ノルウェーは、比例代表制選挙なので、有権者は政党を選ぶ。小さな自治体でも、大政党は大政党なりに小政党は小政党なりに、5つか6つの政党から議員が出ている。ただ、クヴィンヘーラ市のような8政党の市は、とても珍しい。またクオータ制をとる政党が多く女性議員も多い。クヴィンヘーラ市はクオータ制に熱心とはいえない保守党の強いこともあり、女性議員は34%にすぎない。ちなみに、ノルウェーの地方議員の多くは無報酬である。通常の仕事を持ったり学生だったりしながら、夜に会議を開く。

メディアによると、スヴァイン・インヴォルドは、今回の突飛なアクションについて、こう語る。

「この写真投稿は、フィヨルドが巨大クルーズ船の遊園地になっている、我々は自然環境をこんなふうにしている、という事実に対する、私なりの行動です」

「ふと思いついたのです。私は眠るときはいつも裸なんです。裸でなかったら、このとっさの行動はなかったかもしれませんね」

スヴァイン・インヴォルドのフェイスブックをさきほど見た。すでにオリジナル写真は削除されていた。彼は「反響が大きく電話は鳴りっぱなし。71歳の人間にはフィヨルドの大型クルーズ船のもたらすことより危険です」と冗談っぽく書いている。でも、報道写真はそのままだ。そこには「コペンハーゲンには人魚姫、我々にはスヴァインがいる」という、なんとも楽しいコメントがあった。

彼の妻はアーティストらしく、彼女のフェイスブックには、上品なアート作品が数多く投稿されている。夫のヌードを載せたくなかったのは、よくわかる。


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       ▲クヴィンヘーラ市の観光パンフレットより


Slik protesterte Svein Ingvald (71) mot cruisenæringa
Kvinnherad kommune
女性議員やミニ政党が当選しやすい選挙制度とは
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by bekokuma321 | 2018-08-10 12:51 | ノルウェー

元外相トールヴァル・ストルテンベルグの訃報が届いた。ノルウェー国民の尊敬を集めてきた政治家で、NATO事務総長の前首相イェンス・ストルテンベルグの父親でもある。心からお悔やみ申し上げる。

訃報に接して、ノルウェー初の女性首相グロ・ハーレム・ブルントラントは「その前向きで豊かな人生を考え、私は、感謝の念と幸福感に満ちあふれています」と語ったと報道されている。

彼の妻カリン・ストルテンベルグは、余り知られていないが、ノルウェーの家族・男女平等政策の土台をつくったフェモクラット(femocrat)だ。妻カリンが亡くなったのは、2012年秋。その直前、私は彼女に単独インタビューをする機会に恵まれた。その時、仲睦まじい二人の写真を撮影した。左がトールヴァル・ストルテンベルグ、右がカリン・ストルテンベルグ。

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カリン・ストルテンベルグについての記事は、ノルウェー王国大使館HPに掲載された。現在、HPにはなさそうなので、夫妻の思い出を胸に、原稿を掲げる。彼女の進めたノルウェーの「家族政策=男女平等政策」は、2018年の日本にこそ必要だと考えられるから。

●●● 第1回 男女平等政策の礎を築いたカリン・ストルテンベルグ 上 ●●●

3%から90%へ

「1972年、私は、家族・消費問題省職員のトップでした。その省内に、家族・男女平等セクションがありました。でも、吹けば飛ぶようなセクションでしたね」。こう言って、カリン・ストルテンベルグ(1931年~)は、カラカラと笑った。

いま、年金生活を送るカリンは、国家公務員だった時代に、ノルウェーの家族・男女平等政策の骨子をつくった人物として知られる。現首相イエンス・ストルテンベルグの母親、元外相トールヴァル・ストルテンベルグの妻としても有名である。オスロ市内にあるストルテンベルグ家応接間でインタビューした。

――どうやって、前人未到の政策を編み出したのですか。
「当時、家族・消費問題省の大臣はインガー・ルイ―ズ・バーレ(Inger Louise Valle)でした。その大臣が、『女性たちのために、男女平等を進める家族政策づくりをしてほしい』と事務方の私に頼んできたのです。私は『家族政策? 何でしょうか、それは?』と聞き返してしまいましたよ。私は何も知らなかったのです。すると大臣は『私もわからないけれど、それを必要とする大勢の女性たちがいることだけは確かでしょ。とにかく、働きたい女性が外で働き続けられるような政策を考え出してください』と言うんです。でも、当時の家族・消費問題省には、そんな分野を受け持つ職員がいなかった。そこで私は大学生を臨時に雇って、彼らと議論を重ねた。その結果、家族政策白書ができたのです」

――それが、後に世界のお手本になるノルウェーの男女平等政策や家族政策のスタートだったのですね。その白書の内容を覚えていらっしゃいますか。
「どうしたら両親がともに外で仕事を続けながら子どもや家族の世話をできるようにするか、についての提言でした。とりわけ、子どもがいる女性が仕事を続けられるようにするためには、どうしたらいいのか。その具体策を提案しました。最優先課題は、保育園の建設。70年代はじめのノルウェーでは、子どもたちのたった3%しか保育園に入れなかったのですよ」

――今、ノルウェーでは、子どもの90%近くが保育園に通っていますね。70年代に3%だなんて、30%の間違いではないのですか。
「いいえ3%です。ですから、保育園の建設を最重要課題にあげたのです。次の重要政策は、小さな子どもを持ちながら働く親に、特別な権利を与えたこと。一に親休暇の導入、二に子育てのための就業時間の軽減、三に子どもが病気になった時の親の有給休暇、四が子どもを持つ親への現金給付増額、五が男親に家に早く帰ってもらうための政策……」

――既存政策への挑戦ですね。国会は荒れたでしょうね。
「保守派政党は、『女性が男性と同じように外に出て働いたら、子どもはいったいどうなるのだ』と強く反対しました。それには、『大丈夫。両親ともに家庭に早く帰れるようにすればいいのです』と反論しました」

――政策の実行に必要な財源はどうしたのですか。
「この家族政策は実にお金がかかりますから、少しずつゆっくり前進させました。つい最近まで、ざっと40年もかかりました。最も強く推進してきた政党は労働党ですが、他党も、政策推進派に変わってきました」

――あなたは、この白書で、妊娠中絶の決定は女性の意思による、との提言もしました。
「反論続出。私は、まるでリンチにあったようでした。質問に答えるための回答案を何百も用意しました。諸外国を調査し、『妊娠中絶を合法化しない社会』は『妊娠中絶のない社会』ではなく、『違法で不衛生な妊娠中絶が横行する社会』にすぎないことを証明しました。危険な闇中絶によって、おびただしい数の女性が死亡したり、致命的傷害を受けたりしている恐怖の現実をつきつけました。

――当時ノルウェーでは、医師による委員会が中絶の是非を判定する、となってましたね。
「もしも中絶が人道にもとる行為だとするなら、医師が決めようと、女性が決めようと同じでしょ。ですから、しだいに議論の焦点は、妊娠中絶を決めることができうる最適の人は誰か、に移行してきました。そこで、私たちは、『妊娠中絶をするか否かを決める最適の人物は女性自身である』という自信に満ちた文章を書きました。医師による委員会がたかが30分ほど女性から話を聞いて判断するより、妊娠した女性自身のほうがずっと確実な判断をしますよ。これ、当たり前でしょ」

――国連の後押しもありましたね。
「1975年、メキシコで開催された第一回国連世界女性会議に、私はノルウェー代表として出席しました。国連には、世界ナントカ年、国際ナントカの日とか、たくさんありすぎます。ですから世界女性会議も、開催前は関心を呼ばなかった。ところが、開けてみたら世界のマスメディアが注目しました。ノルウェーでも、大きく報道されました。それ以来、男女平等のテーマはノルウェーの大事な政策なのだ、と考える人が増えてきたのです」

――女性の政治家が増えたことも関係しますか。
「政策決定の場に女性が増えたことが決定的でしたね。1986年、グロ・ハーレム・ブルントラント首相は、組閣の際、初めて女性を40%以上にしました。有名な、あの“女の内閣”です。その時の防衛大臣の男性が、『おー、なんてこった! 内閣で保育園のことを議論しなければならなくなった』と嘆きました。彼に限らず多くの男性大臣たちは『保育園? そんなバカなこと』と思ったのでしょうが、もうそんな発言は、時代遅れになったのです」

――女性大臣が増えることによって、女性の関心事が国の重要政策になるいい例ですね。
「労働党は次の選挙で負けて、保守党に政権を譲った。保守党はクオータ制には反対でした。ところが、保守党政権に変わっても、やはり大臣の40%は女性だった。すでに『40%の女性大臣』が当たり前になっていたので、もしも女性を1人、2人しか入閣させなかったとしたら、国民の失笑を買うと思ったのでしょうね。以来、どの政党が政権をとっても、内閣大臣の40%以上は女性です。

(雲ひとつないいい天気の日だった。窓の外に目をやりながら、カリンは続けた)
あなた、この近くのビーゲラン公園を散歩してごらんなさい。たくさんのパパたちが、子どもをベビーカーに乗せて時間を過ごしていますよ。父親が“パパ・クオータ”を10週間取れるからです。その10週間は父親に割り当てられた有給休暇です。母親には代行できません。育児を楽しむパパの姿、これは、40年前の家族政策の大きな成果なのです」
 
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▲ビ―ゲラン公園

 (Moreに続く)

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by bekokuma321 | 2018-07-15 11:50 | ノルウェー

心の底からの喜びとはじける笑い声が伝わってくる。見てるだけでハッピーになってくる写真や動画の数々。ノルウェーから届いた今年のオスロ・プライドの光景だ。

オスロ・プライドは「性の多様性」を誇り、祝うお祭りだ。LGBT(エル・ジー・ビィー・ティー)の人たちが企画する。LはレズビアンLesbianで女性同性愛者、GはゲイGayで男性同性愛者、Bは、バイセクシュアルBisexualで両性愛者、TはトランスジェンダーTransgender。

日本ではレインボー・プライドと呼ばれる。今年は4月28日(土)~ 5月6日(日)をレインボーウィークと呼んでイベントや行進を行った。今年は4万人が参加したらしい。

オスロ・プライドは、スケールがさらにドデカイ。6月22日(金)~7月01日(日)の10日間で、6月30日(土)には、オスロの目貫通りを大パレードが占拠した。パレードだけで29万人以上だったとか。人口が日本の30分の1だから、ものすごい数だ。

Face Bookで主催者はいう。

「私たちは、集まり、抗議する。多くは、誇りをもって、オープンな人生を送っている。だが、まだ前に進まなければならない。沈黙を破った若者たちが安全な暮らしができるように、ノルウェーにやってきた難民たちが家族と再び暮らせるように、家族を失ったり家族を持たないお年寄りが安心して自分の人生を全うできるように」

オスロ・プライドのレポートが、NRK(日本のNHK)から届いた。「おおッ」と目を引く写真
はベルゲンのパレード。筆者はLene Wikander。家族とは人生とはを問いかける、印象深い表現を翻訳して紹介する。

c0166264_2444473.jpg【核家族はなくなりつつある。家族よ万歳!

家族は、数えきれないほどさまざまだ。重要なことは、自分たちが選べるか、だ。

私はシングルでいることを愛している。結婚も、同棲もしていない、自分自身の子どももいないが、家族を持っていないということではない。私は親しい友人たちと多くの時間をすごす。お互いに相手を思いやり、困ったことがあれば助け合っている。

離婚は当たり前となったが、まだ、母―父―子のタイプが理想とされる。多くの人にとって、それが主流であり、望んでもいる。しかしながら、実際は、核家族は壊れかかっている。

オスロ・プライドを主催したFRI(The Society for Gender and Sexual Diversity)リーダーのイングビルドはこう言う。

「今年のテーマは家族。伝統的な核家族に対する挑戦であり、それを越えたい。家族という言葉が私たちをも表すように」「どんな家族も同じ顔をしていない。たとえ同じように見えても」

私たちは、これまでの伝統や古いタイプの家族を打ち破るような家族で生きている。大切なことは、自分で選べるかどうかだ。

一人であろうと、何人であろうと、子どもがいようといまいと、友人と住んでいようと、あなたの選んだ生き方は尊重されるべきだ。】

Kjernefamilien er døende – lenge leve familien!
Oslo Pride
人権を政治に反映させるノルウェー、家父長制という化け物にしがみつく日本
LGBTが最も幸せに働けるのはノルウェー
ノルウェー、性自認を自己決定できる新法可決
保育園の教材に同性愛登場(ノルウェー)
ノルウェー新婚姻法 追記
ノルウェー新婚姻法



【写真はOslo Prideが販売する商品のひとつ、ソックス。HPから申し込める】
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by bekokuma321 | 2018-07-05 02:57 | ノルウェー

c0166264_13412528.jpg先月、緑の党の「選挙スクール」で北欧の選挙を紹介した。

ジェンダー・ギャップ(性差)の国際比較で、北欧5カ国のうち4カ国が、トップ10に並ぶ。日本はどん尻の114位。日本が北欧に最も遅れをとっているのは、政治と経済だ。

その政治を、北欧ノルウェー選挙を取材した昨秋の画像をもとに報告した。「女性議員やミニ政党が当選しやすい選挙」について。

終了後、参加者から、多数の質問や意見があがった。

「ノルウェーに選挙期間がないってどういうことなのか」
「日本の選挙では、出産を控えた有権者が、事前投票の要件に値しないと言われている」
「私の議会には女性議員が一人しかない。これはノルウェーの100年前の姿だが」
「明るい、自由、楽しそう。そんなノルウェーの選挙風景を見て、日本の選挙は、なんて不自由なんだと感じた」
「ノルウェーでは、選挙運動はほぼ何でもできるというが、してはいけないことは何か」
「90年代『桃色革命』という本を読んでびっくり(注)。北欧に行くチャンスもあり、北欧の福祉や平等の背景に女性議員の躍進があるとわかった。その後、立候補した」
「ノルウェーでは、ふだんのくらしと政治に境目がないという感じだ。政党の存在もくらしに身近のようだ」
「ノルウェーは地方議会も比例だ。『参事会制度』について説明がなかったが、地方議会についてもっと知りたい」
「日本には女性が誰もいない議会『女性ゼロ議会』があるが、それをなくしていくには」
「比例代表制では、選挙後、連立協議が不可欠となる。今の日本で比例制をしたら、連立協議などできないのでは」

回答は、近いうち公開される「選挙スクール」の動画をどうぞ。

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【注】正確な著書名は『桃色の権力』(三井マリ子著、三省堂)
【写真:上は、当選後ただちに育休にはいった緑の党国会議員(スクリーンの右の女性)について「比例制では代理議員制があり、休暇をとりやすい」と説明する三井。下は、講演後のパネル。左から久保あつこ旭川市議、清野和彦秩父市議、坂井えつ子小金井市議、司会は重松朋宏国立市議。ともに緑の党より】
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by bekokuma321 | 2018-06-10 13:58 | ノルウェー

4月20日に行われた国際シンポジウム「選挙を変えれば暮らしが変わる ♪モノトーン議会からオーケストラ議会へ♫」の講演録です。

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by bekokuma321 | 2018-06-01 11:23 | その他