2月6日はサーミ国民の日

c0166264_2524547.jpg2月6日は、ノルウェーの「サーミ国民の日」だ。

ノルウェー全土でサーミ文化祭が繰り広げられ、スウェーデン、フィ ンランド、ロシアも歩調を合わせる。

ノルウェーの学校や保育園ではサーミ文化を学ぶ日とされている。今週いっぱい行われるところもある。

サーミ国民の日は、1992年から祝日となった。なぜ2月6日かというと、1917年、エルサ・ラウラ・レンベルグという女性解放運動家が、初の北欧サーミ大会を開いた日だからだという。

エルサの親は、当時としてきわめて珍しいことに、女の子である彼女に高等教育を受けさせ、彼女をストックホルムに留学させた。彼女は産婆教育を受け、政治集会に参加。1904年、ストックホルムで、世界初のサーミ協会を創設して代表に就任した。同時に、『死か生か:ラップ人の現状についての真実の言葉』と題する小冊子を出版した。サーミ女性初の出版物と言われている。

その小冊子には、サーミ民族の貧困、男性のアルコール問題、土地の収奪、子どもたちの教育について書かれている。さらに「スウェーデンの選挙権にはノルウェーにはない収入制限があってサーミの選挙権が制限されている」とスウェーデンの選挙制度の批判もある。

さて、100年経った2018年2月6日、ソルベイグ首相(大使館表記はソールバルグ、保守党)は、お祝いの言葉をサーミ語でツイッターしたことが報道されていた。サーミ語で、とは粋な計らいだ。

こうした国をあげての先住民族を祝いその歴史文化を学ぶ慣行は、空から降ってきたわけではない。

ノルウェーには、国会議員選挙と同時にサーミ議会選挙がある。先住民族サーミ人は一般の政党から出て国会議員に当選する人もいるが、それとは別にカラショークにあるサーミ議会の議員となってサーミのために働くこともできる。サーミが議員となって国の方針に影響を与えているのだ。

しかし、ここまでの道は平たんではなかった。

1970年代末、アルタ・カウトケイノ川に水力発電 のダム建設計画が浮上した。「生活が破壊される」とサーミは猛反対。環境保護運動家も加わり、国をあげての大抵抗運動に発展した。 サーミたちは地元アルタと、国会のあるオスロの2カ所で反対運動を開始。

アルタでは、零下20度の中で座り込み運動を続けた。闘いには大勢の女性たちがいた。 結局、ダムは造られた。しかし、それと引き換えの形で1988年、憲法が改正されて、「サーミの人々が、その言語と文化と生活様式を保持できるような環境をつくることは国家の責務である」(翻訳筆者)という新しい条文が追加された。

憲法改正前年の1987年、「サーミ法」を制定。サーミ民族の保護、サーミ語とサーミ文化とサ ーミの生活の発展が国の方針になった。サーミによるサーミ議会の創設もうたわれた。1989年から、サーミ議会の選挙も始まった。ノルウェー国会はサーミ議会での決定を尊重する義務を負うことになった。

フィンマルク県カラショークに創立されたサーミ議会には、全国 7つの選挙区から比例代表制に基づいて39議席が選ばれる。9つの党派から議員が選ばれて、女性議員は19人、49%を占める。

日本にはアイヌ議会もないし、国会にはアイヌ初の国会議員として1期務めた萱野茂さんの後、代表を出せていない。よってアイヌ女性国会議員もおらず、アイヌ女性の声を政治に反映させるすべはない。国連女性差別撤廃委員会は、日本政府に対して、暫定的特別措置をとってアイヌ女性など少数派の代表を議会に送るようにと勧告したが、政府にその気はなさそうだ。

ノルウェーと日本の違いは多い。最も基本的な違いは、少数意見が抹殺されることのない選挙制度を持つか持たないか、の違いだと思う。

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【写真上:サーミ議会議長のアイリ・ケスキターロ。写真中:アルタ博物館に展示されている1970年代のダム建設反対座り込みデモ。写真下:チーズがサーミ語とノルウェー語で書かれている。フィンマルクの多くの所で2つの言語が見える】

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by bekokuma321 | 2018-02-10 03:26 | ノルウェー

ノルウェーの国会議員選挙は、明日9月11日(月)で終わる。

オスロの繁華街カールヨハン通りには、「2017年 国会議員選挙、サーミ議会選挙 9月11日、10日」と書かれた旗がたなびく。つい忘れてしまいそうになるサーミ議会を同等に書いているところがにくい。

開票は11日、夜9時から始まるという。そのころには、選挙候補者、運動家、支援者たちは、政党ごとに設けられた「選挙寝ずの番 Election Vigil」パーティに三々五々集まる。みんなで大スクリーンに映し出される開票速報を見ては、喜んだり悲しんだり、労をねぎらったり……。

選挙に詳しい知人は「今回は大接戦だから、夜中まで結果がはっきりしないかもしれませんね」と言っている。

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▲カールヨハン通りをはさんで両サイドに、投票を促す薄紫色の旗。国会議事堂(左の建物)から王宮(真正面)にかけてズーッと何本も続く
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by bekokuma321 | 2017-09-11 08:18 | ノルウェー