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マンデラとクオータ制

c0166264_19492558.jpgネルソン・マンデラ(1918―2013)が亡くなった。彼については、全世界のメディアが報道しているが、私にとってのマンデラを一言。

マンデラは、1964年、国家反逆罪で27年間独房に投獄され、1990年釈放された。その時、彼はすでに70代。1994年、南アフリカ初の民主主義選挙で大統領に選出され、1期4年余りで自ら大統領職を辞した。

大統領就任後の1995年、マンデラは、国連の女性差別撤廃条約を批准した。さらに、1996年制定の新憲法には、あらゆる差別撤廃を明記し、女性の権利と男女平等の実現めざした。

マンデラが議長をつとめた政党・アフリカ民族同盟ANCは、1994年、党の綱領に30%クオータ制を入れて、実践した。

このANCのクオータ制が主因となり、南アフリカの女性国会議員の割合は、1994年、27.75%、1999年30%、2004年32.75%と伸び、最新IPU統計では2009年42.3%にまで到達した。これは国会における女性議員率、世界第8位だ。

肌の色の違い、性の違い、貧富の違いによって、人は差別されない。マンデラは、この普遍的真理を政治の力で実現しようと命をかけた人だ。彼の力がなければ、人種の法的平等だけでなく性による法的平等もなかっただろう。

慈愛に満ちた柔らかな笑顔の彼だが、40代のころは、カストロ風の髭をはやしていたという。当時、彼は、非情な人種差別政策を打ち倒すため、Umkhonto we Sizweウムコント・ウェ・シズウェ(民族の槍)という自警団を作り初代司令官に就任。白人の財産強奪や、サボタージュ、警察署襲撃など目的としていたが、彼の自伝によると、テロリズムを含む軍事戦争まで視野に入れていたという。

昨日、特定秘密保護法成立と同じ新聞紙面に、マンデラの死亡記事が載っていた。日本の秘密保護法の制定をいち早く歓迎しているのはアメリカだ。このアメリカこそ、2008年まで、ネルソン・マンデラをテロリスト名簿に載せていた恥ずべき国だということを忘れたくない。

(ANCにネルソン・マンデラ逝去のお悔やみを残しました。誰でもできます。あなたもクリックしてどうぞhttp://www.anc.org.za/nelson/list_condolences.php

http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-25273502
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-20761223
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-21965030
http://www.aftenposten.no/nyheter/uriks/Mandela-feature-7398440.html
http://www.nrk.no/emne/nelson-mandela-1.11098949
http://www.theguardian.com/world/interactive/2013/dec/05/nelson-mandela-interactive-timeline
◆ナディン・ゴーディマ―、南アを語る
http://frihet.exblog.jp/16313803/
◆Maya Angelou's Poem on Mandela
http://www.youtube.com/watch?v=PqQzjit7b1w&list=UU6ZhpmNnLxlOYipqh8wbM3A
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by bekokuma321 | 2013-12-07 19:57 | アジア・アフリカ

c0166264_13171347.jpgメルケル首相のもと連立を組むことになる2大政党の家族政策担当は、会社取締役におけるクオータ制について結論に達したもようだ。

11月17日(日)、次期政権の主要政策となる取締役会の男女平等のため、「2016年から、上場株式会社の取締役の少なくとも30%は女性にしなければならない」と妥結した。

さらに、「上場株式会社は、2015年から役員、トップ管理職などに女性を増やすための強制的な数値目標を決めて、出版しなければならない」とも決めた。

こうした新制度は、雇用における女性差別をなくし、働きやすい労働界をつくることになるとする。もっともだ。

ドイツのシュピーゲル紙、またローカル紙ドイツによる。

それにつけても、日本の政治は! いま、秘密保護法案というとんでもない法律を通そうしている。市民の権利をしばることにやっきで、市民の権利を広げる家族政策など見るも無残だ。婚外子差別を容認している民法は違憲であるとした最高裁決定さえ、無視するありさま。あ~、なんて国だ。

http://www.spiegel.de/politik/deutschland/koalitionsverhandlungen-einigung-auf-frauenquote-in-aufsichtsraeten-a-934099.html
http://www.thelocal.de/20131118/merkel-and-spd-agree-on-womens-quota-in-coalition-talks-germany-boardroom-company
http://www.thelocal.de/20131030/womens-quotas-closer-in-coalition-talks
■ドイツ女性国会議員229人、36.3%
http://frihet.exblog.jp/20816895/
■ドイツ国会、クオータ制を否決
http://frihet.exblog.jp/19880828/
◆比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
http://frihet.exblog.jp/20789791/
◆ドイツの町のジェンダー規定
http://frihet.exblog.jp/20001461/
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by bekokuma321 | 2013-11-20 13:17 | ヨーロッパ

赤松良子賞を受賞した。

赤松良子賞の授与は、国際女性の地位協会の活動のひとつである。

その国際女性の地位協会は、国連の世界女性会議で開かれたケニアのナイロビにおける「女子差別撤廃条約を知ろう」というワークショップから生まれたのだという。日本津々浦々に女子差別撤廃条約を広めるために・・・。

女子差別撤廃条約こそ男女平等社会をつくってゆくための最大の武器だ、と私は思ってきた。今もその思いは変わらない。

いつでもどこでも、正確な条文を示せるようにと、縮小版をつくって手帳の表紙裏にはさんで、長年、持ち歩いていた。スマホを使い始めてからはやめた。

その女子差別撤廃条約を日本政府が批准するまでの道は平たんではなかった。その陰に、労働省のトップにいた赤松良子の獅子奮迅の頑張りがあったことを、『均等法をつくる』(赤松良子、勁草書房)で知った。

その赤松が、国際女性の地位協会に創設したのが、赤松良子賞だ。女性差別撤廃条約の精神を体現する活動をしてきた人に授与される。

2012年11月25日、私は授賞式と記念シンポジウムに出席して、賞状(↓)と副賞を受けとった。

私の受賞理由は、鳥居淳子審査委員長によると、クオータ制を初めて日本に紹介したことと、バックラッシュ裁判を闘って勝利したことにあるらしかった。

クオータ制は、1980年代にノルウェーで知って以来、執筆・講演で知らせてきた。さらに全国フェミニスト議員連盟の仲間たちと、国会議員や政党にロビー活動をしてきた。みな、時間がいくらあっても足りないほど忙しい議員をしながら、男女平等の世の中をと頑張ってくれた。全国フェミニスト議員連盟の彼女/彼らの連帯と友情あふれる闘いがなければ、私は、ここまでこれなかった。

バックラッシュとは、女性差別撤廃条約嫌いの反動的動きをさす。大阪府豊中市では、男女共同参画推薦センター館長だった私の首を切る勢いだった。私は解雇されたが、豊中市の女性たちは立ちあがった。裁判を支援する「ファイトバックの会」ができた。あしかけ7年、最高裁勝利までの、あの顔、この顔・・・。

赤松良子賞は、私とともに闘ったこうした人たちへの賞だ。そして、「女性差別撤廃条約、クオータ制をさらにひろめなさい」という激励だと思う。

さあ、これからが本番だ。

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▲村越まり子「三井マリ子さん赤松良子賞を受賞」AFER 2013.2.20(クリックすると拡大されます)

連載「クオータ制」5 クオータ制が生んだ名物教授
連載「クオータ制」4 欧州連合EU議会は35%が女性
連載「クオータ制」3 インドの目標は33%
連載「クオータ制」2 それは政党の候補者リスト作りから始まった
連載「クオータ制」1 あの国でも、この国でもクオータ制
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by bekokuma321 | 2013-04-26 23:16 | ノルウェー

c0166264_17244948.jpg4月18日、ドイツ下院は、会社取締役にクオータ制を入れる与党法案を否決した。320対277、棄権1だった。2018年から20%でスタートし、段階的に女性を増やしていくという法案も日の目をみなかった。

アンゲラ・ドロテア・メルケル首相が出した法案は、2023年から取締役の40%を女性にするというもの。ドイツ経済界は、「外国企業は逃げてゆく。市場は混乱する」と猛反対を続けていた。

メルケル首相は、当初、強制的クオータではなく、自主的に女性を増やす方法を準備していた。しかし、党内の激しい議論を経て、40%クオ―タ制の法案となった。

労働社会問題相ウルスラ・フォン・デア・レイエンUrsula von der Leyenは、強固なクオータ制賛成派だ。高い人気を誇り、キリスト教民主党CDUの副党首でもある。メルケル首相の煮え切らない態度に、彼女は、「この重要なテーマに断固たる態度を」とけん制した。

おもしろいことに、クオータ制をめぐっての激しい党内討論を経、CDUは、次の国政選挙のマニフェストに30%の取締役クオータを入れることになったという。

取締役クオータの元祖は、ノルウェーだ。ノルウェーで、会社の取締役に女性40%を義務づけた法律ができたのは、2003年。「株式上場会社は2008年から、国営会社は2004年から、両方の性の人が少なくとも40%いなければならない」という法律だ。

ノルウェー・メディアは、「ノルウェーから見ると、ノスタルジックな議論をしているようだ」とドイツを評している。

さて、わが日本。ドイツ下院にあたる衆院には、7%ちょっとしか女性がいない。クオータ制法案を議論しているドイツ国会中継見たが、なんと女性が多いこと(左上)。日本と大違いだ。

女性議員が7%ちょっとの国会では、クオータ法案どころの話じゃない。それより、まず北欧やドイツのように、もっと女性議員を増やすことだ。政党が真剣になればできる。国会に男性を送るだけなら、政党交付金を返してほしいと思う女性が大勢いる。

http://www.nrk.no/ytring/merkels-sinte-medsostre-1.10992851
http://www.dw.de/boardroom-quota-for-women-rejected-by-german-bundestag/a-16755599
http://www.spiegel.de/international/germany/germany-rejects-law-requiring-board-quotas-a-895238.html

■ドイツ誌「シュピーゲル」、ノルウェーのクオータ制を特集
http://frihet.exblog.jp/18068588/
■日本の女性議員率、世界161位
http://frihet.exblog.jp/19247165/
■新潟日報「ノルウェー政界の男女平等:クオータ制が後押し」
http://frihet.exblog.jp/15353813/
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by bekokuma321 | 2013-04-22 17:41 | ヨーロッパ

赤松良子賞記念シンポジウムがあります。

ちょっとはずかしいのですが、不肖わたくしが、本年度の赤松良子賞に選ばれました。

これまでの活動と、「バックラッシュ裁判」に勝利した不屈の精神による、と、今年7月、選考委員会からお知らせをいただきました。

ご都合のつくかた、ご参加をお待ちしております。一緒に喜んでいただけたら、最高にうれしいです。

■2012年11月25日(日)13:00~
■文京学院大学本郷キャンパス・スカイホール 
http://www.u-bunkyo.ac.jp/about/page/hongo/d/6f.html
〒113-8668 東京都文京区向丘1-19-1

1部 赤松良子賞贈呈式 13:00~13:30
2部 記念シンポジウム「クオータ制で女性の政治参画を!」 13:30~

3部 懇親会 16:00~ (懇親会のみ11月15日まで要申込み 国際女性の地位協会 FAX 03-5905-0365 Email:info@jaiwr.org )

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by bekokuma321 | 2012-11-05 10:49 | その他

c0166264_2352799.jpgEU行政機関といえるヨーロッパ委員会は、2020年までにすべてのEU加盟国の取締役の40%を女性にすることを定める新法を準備している。

欧州連合EUの女性政策をロビイング活動団体「ウィメンズ・ロビー」からのニュース。「ウィメンズ・ロビー」は、ヨーロッパ委員会や、EU議会議員に精力的に運動を続けてきた。

◆Quotas only way to 'shatter the glass ceiling' for women
http://www.euractiv.com/socialeurope/campaign-group-boardroom-quotas-news-514952
◆Women on Boards in Europe: From a Snail’s Pace to a Giant Leap? (2012)http://www.womenlobby.org/spip.php?article3188&lang=en
■“取締役クオータ制”、ついにEUに
http://frihet.exblog.jp/16802719/
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by bekokuma321 | 2012-09-24 23:53 | ヨーロッパ

c0166264_21354943.jpg●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第5回

クオータ制が生んだ名物教授

三井マリ子(全国フェミニスト議員連盟国際部)

昨夜、私はノルウェー空港に到着した。友人ハンネ=マッテ・ナールッドの葬儀に参列するためだ。享年54歳。癌だった。

ハンネ=マッテは、オスロ大学の政治学の名物教授。入念な調査に基づいた事実をわかりやすい表現で伝え、メディアの人気者だった。彼女の死を伝える新聞には、「最も頻繁にコメントを引用される教授の1人」と書かれている。

ある日、彼女の兄のオーレは私に「ノルウェーのクオータ制がなければ、ハンネ=マッテがこんなに早く教授になれなかった。でも、彼女はクオータ制で採用されたことを快く思ってないんだよ」と言った。2001年秋だった。

ノルウェーのクオータ制については、本連載2回目で触れた。しかし象牙の塔でのそれについては書けなかったので、この機会に紹介する。

長年、ノルウェー政府は、社会のあらゆる分野に男女平等を浸透させるためさまざまな政策を実行してきた。大学も例外ではない。男性に偏っていた教授会を正すためにノルウェー政府は女性を増やす政策をとるよう大学に奨励した。

まず、大学側は、1990年代末、未来の教授の卵である博士課程に女性を増やすクオータ制を採用。その後、クオータ制は大学教授や準教授のポストにも及んだ。政府はクオータ制のための特別予算を組み、オスロ大学には3人の女性教授の特別枠を設けた。その枠にはいったのがハンネ=マッテだった。

しかし、大学教授へのクオータ制導入は賛否両論。ハンネ=マッテと同様、女性教授たちの多くの意見は「大学のポストは能力主義であるべきです。クオータ制には賛成しません」だった。

現在、大学教授にクオータ制は実行されていない。横やりを入れたのはEUだった。2000年、オスロ大学の同僚が、女性教授の特別採用は性による平等条項を定めたEU指令に違反だとEU法廷に訴えたのだ。2003年、EU法廷が判決を下しノルウェー政府側が負けた。以来、ノルウェーでは、女性教授を増やすクオータ制が禁止された。

ノルウェーはEU加盟を国民投票で2度も拒否した国だ。そのノルウェーが、EUの決定に従わなければならないとは、おかしな話のようにみえる。しかし、ノルウェーなどEU非加盟国は欧州自由貿易連合EFTAにはいっていて、そこがサービス・人・資本の自由移動をEU並みに保障している、という理屈のようだ。

ノルウェーのEU加盟反対を主導したのは、クオータで政治的な力を付けた女性たちだった。「EUに入るとこれまで闘いとってきた福祉や平等政策がEU基準に引き下げられる」と心配して、加盟を思いとどまらせたのだ。実際、この主張は当たっている。

クオータが、ハンネ=マッテを教授というポストに就かせたのは、事実だ。でも、それを言われることが、文句なしに優秀なハンネ=マッテの自尊心を傷つけたのも、これまた事実だ。まさしくクオータは、それなしで女性登用が進むようになるまでの暫定的制度なのである。

(2012年7月26日ノルウェーにて)

【全国フェミニスト議員連盟ニュースレターAFER 74号、2012年夏 より転載】

■生きること、それは愛すること(Å leva, det er å elska)
http://frihet.exblog.jp/18281201/
■オーレ・グスタフ・ナ―ルッド「重荷を背負って・・・」
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■オスロ大学、男子への加算点認めず
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■“取締役クオータ制”、ついにEUに
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by bekokuma321 | 2012-08-31 21:29 | ノルウェー

(クリックすると大きくなります)

日時:2012年8月18日15:00
会場:東海ジェンダー研究所
http://www.libra.or.jp/map.htm



◆Fem-News
クオータ制についての記事は69点。左欄の「タグ」⇒クオータ制をクリックしてどうぞ。
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by bekokuma321 | 2012-07-11 14:29 | 北欧

(長野日報、2012.6.15.クリックすると大きくなります)

6月14日、長野県下諏訪のホテル山王閣で、「世界の女たちは今」と題した三井マリ子さんの講演会があった。

眼下に諏訪湖が広がる会場には、長野県内はもちろん、遠くは大分県、山口県、愛知県などから約80人が集った。主催は、地元下諏訪で永く町議をつとめ、長野県内の女性議員増に努力してきた樽川通子さんがけん引してきた「政治学習塾しなの」。

三井さんの話は、この4月発売された『バックラッシュの生贄ーーフェミニスト館長解雇事件』に詳述されている体験から始まり、世界の女性の運動に移り、そして、私たちは今何をすべきかに迫った。

日本の女性議員比率(衆院)は、20年前、世界の中で121位だったという。それが今134位へと順位を落としている。この日本女性の悲しい現実の裏にあるもの、それは、ずばり“バックラッシュ”である。三井さんはホワイトボードに、「バックラッシュ=反動」と書き、男女平等推進を後戻りさせようとする反動的政治勢力である、と説明した。

バックラッシュ勢力は、男女平等に努力する女性が成果をあげようとすると、その女性をターゲットにし、陰湿、暴力的なやり方で排斥しようとする。狙い撃ちされた三井さんは、この勢力の思い通り、いったんは職場を完全排除された。しかし、そのまま引き下がらなかった。あしかけ7年の歳月をかけ、最高裁までを闘い抜いた。それを最高裁は、バックラッシュ勢力に屈して三井さんを首にした豊中市や財団を「人格権の侵害であり違法である」と断罪した。

「男女共同参画社会はトイレやお風呂が男女一緒になる」、「フリーセックスとなり家庭や社会が崩壊する」などという嘘やデマを流し、多くの人に畏怖感を与えてきたバックラッシュ勢力の言動に、司法が初めて歯止めをかけた。

三井さんが長く研究してきた北欧ノルウェーは、クオータ制の国だ。物事を決める場は一方の性が40%いなければならないというシステムを持つ。そのおかげで政界はほぼ男女半々になった。

今のノルウェーの課題は、男女の賃金の完全なる平等である。国政選挙前に、女性団体や労働組合が主になって、政党にこの要求をつきつけるのだという。三井さんは、持参した1枚のポスターを会場にはった。女性看護師の顔が大写しになっている。鼻の下に髭が書かれている。顔の下にはノルウェー語で「ひと筆で格差はなくなります」。髭は男性の象徴だ。

女性は男性と同じ仕事をしているのに、女性だから賃金が低い。ならば、男性に変われば(髭をつければ)賃金はあがるんです、と皮肉たっぷりに訴えているのだという。選挙前に、主要新聞やインターネットにこのポスターを掲載した。その経費4000万円。女性が主体の看護協会から拠出された。

ノルウェーに限らず、世界は、日本の女性議員増加率をはるかに超えて、スピード感をもって増やしている。その秘密は「クオータ制」と「女性運動」にあり、と三井さんは言う。

後、議員経験あるいは立候補経験を積んできた各地の女性たちからの現状報告が続いた。

女性が当選しにくい日本の制度を変える必要はあるが、その困難な日本の現状を超えてなお、女性議員を出そう!出てください!と、締めくくって会は終了した。

岡 田 ふ さ 子(『バックラッシュの生贄』を広める会)
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by bekokuma321 | 2012-06-15 10:11 | その他

●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第4回

欧州連合EU議会は35%が女性

                   三井マリ子(全国フェミニスト議員連盟国際部)

1995年の阪神大震災の後、災害復興に欠けていた女性の視点を貫き、獅子奮迅の働きをしていた正井礼子さんに私は言った――「議会に女性への暴力に取り組む女性がいないことには、変革は難しい。議員になってください」

1999年春、正井さんは悩みながらも神戸市議に挑戦した。無念!次点だった。当選はできなかったが、彼女の経験や知恵は、NPO法人「ウィメンズネット・こうべ」を通して広がり、今、東北大震災の復興対策に生かされつつある。

でも、北欧やEUだったら、正井さんは国会または地方議会で予算を動かす立場にいて、さらに影響力を及ぼしていただろう。

正井さんだけではない。「女性の人権」に敏感で行動力あふれる女性運動家は、全国に数多い。あの顔、この顔…。だが、こういう人たちが日本で当選するのは難しい。

私は、1994年春、ベルギーのブリュッセルにある欧州委員会から招かれて、欧州連合EUの男女平等政策の調査に携わった。いま欧州議会は35%が女性だが、当時はわずか19%。欧州議会選挙を控えて、欧州委員会男女平等機会局が「女性議員を19%から25%に」というキャンペーンを展開していた。

キャンペーンの担い手は、男女平等機会局の中の「決定権を持つ女性」という名の専門部だった。オフィスでは、「世界の親の81%が父親で、19%が母親なんて想像できますか」「なぜ、毎朝、議会の81%の人が髭を剃らなければならないの」という皮肉たっぷりのスローガンが考案され、パンフやテレビ広報用スキットができていた。これを加盟国に流すのだと言う。活動は公費で賄われる。

欧州委員会はいわば行政機関で、これに並列してストラスブルグに欧州議会がある。議員は、加盟国ごとの人口比で議席が配分され、それが各国民の手で選ばれる。時の政府が代表を決める国連などとは、全く違う。選挙は比例代表制が原則である。英国のように通常は小選挙区制の国であっても、欧州議会議員を選ぶときは比例代表制なのである。

比例代表制だと、各国の政党は、「クオータ制を採用せよ」と主張しやすい。この結果、女性や社会的弱者が当選しやすくなる。「35%が女性議員」は、こうした仕組みから生まれた。


(全国フェミニスト議員連盟「AFER」 73号 2012.5 より転載)
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by bekokuma321 | 2012-06-12 20:30 | ヨーロッパ