2021年 03月 12日
独自路線を進むスウェーデンのコロナ感染死の多さ
最新の統計によると、スウェーデンの新型コロナウイルスによる死者は12500人を超えた。隣国ノルウェーの死者は600人。スウェーデンの21分の1だ。
マスク着用をすすめないなど独特の緩い対策で注目されたスウェーデン。スウェーデンは1600キロを超える国境線でノルウェーと隣り合う。そのノルウェーは、同国2番目の女性の首相アーナ・ソールバルグのもと厳しいロックダウン政策をとった。
福祉と平等の先進国スウェーデンに何が起きているのか。ノルウェーの人々は、隣国をどう見ているのか。年末年始に取材を行った。スウェーデンの死者の多さの背景に「エーデル改革」と「民営化」があると言った学者、経済不況に見舞われたからという人・・・。拙稿は、毎日新聞Web版で読める。「独自路線の隣国に厳しい目~ノルウェー・コロナ事情(下)」(医療プレミア、2021.1.24)。

同記事から1か月余り。その後を知りたかった私は、「なぜスウェーデンはこんなにひどいのか?」と題された記事を見つけた(「Science Norway」2021.3.8)。
記者は、ノルウェーとスウェーデンの著名な専門家たちに取材して、独自路線の背景にせまっている。彼/彼女らは、一様に、「スウェーデンの人々は、スウェーデンの独自路線に賛成していた」と述べている。スウェーデンでは、独自路線は危険だと警告する人は「裏切者」と決めつけられた、という。これにはとても驚かされた。
取材に応じたのは、オーサ・リンネルボルグ、フロード・フォラン、フレドリック・エイリ、オーレ・ペテル・オッテシェンの4人。オーサ以外は全員医師。
オーサ・リンネルボルグは、スウェーデンの歴史家・評論家。スウェーデン左翼党党員。彼女は母国だけでなく、ノルウェーやデンマークのメディアでも健筆をふるう著名ジャーナリストだ。
フロード・フォランはノルウェー公衆衛生研究所特別ディレクター。感染症対策に関するノルウェーとスウェーデン両国のコーデネイト責任者だった彼は、アンデシュ・テグネル(スウェーデンの新型コロナ対策の責任者である疫学者)もテグネルの前任者もよく知っている。「ノルウェーのテグネル」と称される立場だとか。現在も2週間に1回、スウェーデンと定期的に意見交換をする。
フレドリック・エイリはスウェーデンの大学教授であり研究者。スウェーデン中央党党員であり、ウメオ市代理市議会議員であることを公表している(日本では考えられないが北欧の地方議員は本業を持ちながらのボランティア)。テグネルの元上司。テグネルを当初から批判的だったという。
オーレ・ペテル・オッテシェンは、カロリンスカ研究所学長、元オスロ大学学長。マスクであふれるノルウェーから、マスクをしない国スウェーデンに通った。
国を代表する識者4人の発言の詳細は、とても興味深い。こちらからどうぞ(英語)。
2021年 03月 12日
速報:東日本大震災/女性の視点の欠如(ミシガン大主催会議)
2021年3月12日、午前9時から、米ミシガン大学主催の「Gender Disparity in Japan’s Disaster Response(災害時における日本の対応のジェンダー格差)」を視聴した。日本語タイトルは「東日本大震災から10年: 災害対策に女性の視点を!」

同大吉浜美恵子社会福祉学大学院教授(左上)のコーディネイトによって、以下の女性運動家3人が語った。瀬川めぐみさん(左下)の通訳。
苅米照子 (NPO法人ウィメンズスペースふくしま 元代表理事、右下)
正井禮子 (認定NPO法人ウィメンズネット・こうべ 代表理事、右上)
八幡悦子 (NPO法人ハーティ仙台 代表理事、画像なし)
3人は、日本の災害対応がいかに女性抜きで行われてきたか、そのことによっていかに女性たちが辛酸をなめてきたかを、現場の実体験をもとに赤裸々に語った。
「女性たちの犠牲の上にたった復興はありえない」(苅米)のであり、「災害時のジェンダー平等は、日常のジェンダー平等による」(正井)のである。
災害が起きたら、女性差別が火を噴くのではない。日本社会をむしばむ風土病と言える女性差別が、極端な形で現れだすのだ。このことを確信させられたセミナーだった。
男性目線になりがちな日本発メディアからは伝わりにくい、東日本大震災後の女性たちの筆舌につくしがたい苦悩、そして、それに対応してきた日本女性による力強い支援の動きが、アメリカの視聴者に伝わったのではないか。
■詳しくは:
CJS講演会 | 東日本大震災から10年: 災害対策に女性の視点を! | U-M LSA Center forJapanese Studies (CJS) (umich.edu)
【タイトルを更新】
2021年 03月 08日
速報「2021国際女性デー埼玉集会」
3月7日、埼玉教育会館で、2021国際女性デー埼玉集会を開きました。三井マリ子さんが、「この生きづらさを変える! 選挙で変える! 政治で変える!」と題した記念講演をし、その後、発言交流、集会アピール採択などがありました。
私はオンライン参加となりましたが、会場の様子や熱いご講演の内容は伝わってきました。
三井さんは、#国際女性デーは、女性であることを祝うだけではなく、女性差別撤廃を連帯して闘う日である、と有名な1914年のポスターを画面に映して話し始めました。「女たちに参政権をよこせ」と訴えたドイツのクララ・ツェトキンがモデルと思われる、赤い旗を力いっぱいに振る女性のポスターに、のっけから圧倒されました。
男女平等のあるべき姿を、理論だけでなく、暮らしや日常の事実や自身のノルウェーでの体験などを通した訴えには聞いている側も燃えてくるようでした。
講演を聞いて、これ以上、立憲主義、民主主義を崩壊させず、国民の命と、暮らし、働き方に責任を持つ、そして、少数者の民意が反映できる議会にしていくには、三井マリ子さんがおっしゃるように選挙制度を変える必要があると、確信しました。
選挙制度を変えるのは困難ですが、その必要性を、市民や、学者、弁護士、法律家、政治家、市民運動家などが連携して、学習、運動、世論づくりをしていかなければならないと強く思っています。
衆院選を小選挙区制中心にしたのは、1994年です。小選挙区制中心の法案が審議・導入されようとした当時の全体的動きに、東京新聞は反対の立場をとっていました。そのため、広く市民の意見を集めて市民の声を掲載続けました。当時、東京新聞の主婦レポーターだった私は、小選挙区制中心の選挙制度に疑問を抱き、反対意見を述べたことを記憶しています。
メディアが政権に忖度している現状では難しいことはわかっていますが、市民の力が社会を変えていくことを信じて、これからも邁進していきたいと思います。
市川 京子(コープネットグループ労働組合)


■国際女性デーをめぐるストーリー(セミナー報告)伊藤セツさん講演録
2021年 03月 08日
3.8 国際女性デー!おめでとう!

今日3月8日は#国際女性デー。世界中で女性たちが、女性であることを喜び、性差別撤廃に声を上げる日だ。
FEM-NEWSは、日本列島に残る男性だけの議会「女性ゼロ議会」に怒りの声をあげたい。女性が参政権を得て70年以上。いまだに1741自治体の約2割の議会は「女性ゼロ議会」だ。男性議員だけで身近な暮らしの問題を決めさせてはならない。
日本中の女性たちよ、連帯して、自分の住む町に国会に女性議員を増やそう! もっと! もっと!
以下は、この3年間のFEM-NEWS#国際女性デー:
■ウィメンズマーチ東京2021: FEM-NEWS (exblog.jp)
■この生きづらさ、選挙で変えよう!(3.7 埼玉教育会館) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■国際女性デーにお薦めの本(2020.3.8): FEM-NEWS (exblog.jp)
■国際女性デー翌日 1人減った男女共同参画会議の謎 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■石川社長のセクハラは「査問会」どまり : FEM-NEWS (exblog.jp)
■今日3月8日は国際女性デー(コロナウィルスで行事は中止) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■中止のお知らせ「2020国際女性デー埼玉集会」 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■中止のお知らせ「3.5国際女性デー@神奈川」 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■国際女性デー2020@富山 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■女たちよ あなたの権利を行使せよ(叫ぶ芸術) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■今日は国際女性デー(2019.3.8) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■女性議員増には比例代表制とクオータ制(IPU) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■エチオピア航空スタッフすべて女性に(祝!国際女性デー) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■2019国際女性デー「女性議員を増やそうよ!」 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■ドイツ・ブランデンブルグ州「男女半々法」成立 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■花を贈られて喜んでいる場合か!(ポーランド) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■女のストから女性多数内閣へ:スペイン : FEM-NEWS (exblog.jp)
■2018国際女性デー/ニュース : FEM-NEWS (exblog.jp)
■DearGirls(朝日連載記事) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■2018国際女性デー@東京 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■もうじき2018年国際女性デー : FEM-NEWS (exblog.jp)
【写真はMitsuartによる国際女性デー絵葉書】
2021年 03月 05日
案内 | 東日本大震災から10年: 災害対策に女性の視点を!
|東日本大震災から10年: 災害対策に女性の視点を!
日本時間: 2021年3月12日(金) 9-10:30am 登録要無料
詳しくは
【写真は2011年大震災3か月後の取材時に撮影された】

CJS講演会 | 東日本大震災から10年: 災害対策に女性の視点を!
災害は、既存の格差を更に拡大し、社会的に弱い立場にある人々により大きな影響を与えます。東日本大震災ー マグニチュード9.0の地震、巨大津波、福島原発事故 ー が発生した2011年に、日本のジェンダーギャップ指数は135か国中98位でした(2020年は153 か国中 121 位)。
東日本大震災10年を迎えるにあたり、このイベントでは、パネリストが、自分たちの経験や草の根運動をもとに、災害が女性に及ぼす影響、特に日本社会の構造・規範が災害時に女性を危機に追い込むプロセスや、必要な対策などを解説します。また、災害時のジェンダーに基づく暴力を明らかにしたり、ジェンダーを考慮した災害政策・対策を求めた運動を推し進めてきたNGOの代表として、どのように社会の無関心や既存の価値観を切り崩し、変化を生み出してきたか、運動の苦心や成果について話し合います。
苅米照子 (NPO法人ウィメンズスペースふくしま 元代表理事)
正井禮子 (認定NPO法人ウィメンズネット・こうべ 代表理事)
八幡悦子 (NPO法人ハーティ仙台 代表理事)
吉浜美恵子 (ミシガン大学 社会福祉学大学院教授)




