71%――カジノ法案に反対する最新世論調査の結果だ。

性別統計が公表されていないが、反対したのは、女性のほうが男性より圧倒的に多いはずだ。女性たちがほしいのは、安全安心の保育施設であり、介護サービス施設だ。家族のギャンブル中毒に泣く大勢の母親や妻が、今も、町の消費者相談やDV相談にかけつけているだろう。

とにかく、こうした反対の声を無視して、カジノ法案が、昨日(6月15日)、衆院の内閣委員会で強行採決された。賛成したのは、自民、公明、日本維新の会の3党の国会議員たち。

「数の力」だと新聞は書いている。数とは言っても、国会議員の数だ。圧倒的国民の反対ー71%ーも重要な数だが、無視される。

では、この議員数を決めた選挙が、民意を反映したものではなく、民意を捻じ曲げるものだったとしたらどうだろう。

日本の選挙制度は、小選挙区制中心の並立制選挙だ。ほんのちょっとおできのようについている比例区を除き、選挙区で1票でも多く票をとった1人が当選する。

2017年の衆院選小選挙区で、自民党は全体の48%しか得票を得ていなかった。しかるに、議席率は全体の74%にはねあがっている。投票したひとりひとりの貴重な1票が、議席にきちんと比例していないのである。

比例区を見ると、さらに民意が捻じ曲げられていることがはっきりする。自民党支持は18.3%、公明党6.68%。自公あわせて4人に1人しか現政権を支持していない。

こんなバカな話はない。これほどまでに歪んだ選挙で選ばれた議員が、カジノ法案を成立させたのだ。怒髪天をつく!


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 ▲カジノ法案を今の国会で成立させることに賛成か反対かという調査結果。数字は朝日新聞2018年4月15日

「原発と民意」
死に票2661万票(2017衆院選)
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
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# by bekokuma321 | 2018-06-16 12:32 | その他

先日、ローマから女性の一行が日本にやってきた。現役の教員、医師、年金生活者など30人余り。

「日本女性の現状を話してほしい」と頼まれたので、「家父長制という化け物と闘う日本の女性運動」と題して日本の法制度の女性差別、女性議員の少なさ、最近の女性運動について英語で話した。

バスが日光からの帰路で大渋滞に遭遇し、夕食なしの真剣討論。話は、極右ロビー団体「日本会議」や日本を揺るがすセクハラ事件にまで及んだ。

イタリアは、議会を50対50にしようという「パリタリア民主主義」運動を経て、数年前、候補者リストの上位40%を女性にしなければならないとするクオータ制が導入された。その制度施行後初めての国政選挙が終わったばかりだった。

結果は、下院630議席のうち女性は225議席、35・7%と躍進。イギリスやドイツを抜いて世界192カ国中29位になった。

しかし、日本にやってきた女性たちの表情は暗かった。右寄りのポピュリスト党「五つ星運動」や右派の「同盟」が躍進し、社会民主党は敗北した。その結果、当選した女性に左派は少なかったからだ。

日本でも、「候補者男女均等法」が施行された。イタリアと違いクオータ制はない。法を守らなくても罰則がない。女性候補を増やすためには、女性たちが党の内外で本気で頑張らないといけない。

それに加えて、イタリアの選挙結果は、超えるべきもっと困難なハードルがあることを教えていた。

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 ▲すべての議会を50対50にしようという「パリタリア民主主義」運動のポスター。詳しくは「叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち」(I 女のしんぶん)
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# by bekokuma321 | 2018-06-14 01:20 | ヨーロッパ

北欧に関する最新の研究結果を2つ。

多くの国際調査で、北欧諸国は常に最も住みやすい国にあがっている。では、なぜ、北欧は世界で最も住みやすい社会なのか。

そのなぞに迫った新書が出たという。オスロ大学のニーナ・ウィトシェクらの近著『持続可能な近代性 Sustainable Modernity』だ。

ニーナ・ウィトシェクはポーランド・アイルランド系ノルウェー人。1983年、ポーランドからノルウェーに亡命した。彼女によると、北欧諸国は、協力と競争が見事に共存しているため、持続可能な近代をつくりあげることができたのだという。「北欧諸国は、協力しあうことの利点を持った競争社会である」とまとめている。

もうひとつ。スウェーデンのマイケル・ノルデンマークは、国際社会調査プログラム(ISSP)による「家庭とジェンダーについて22カ国の調査」を元にこう分析している。

北欧諸国の男性は、南欧や東欧の男性よりも、総合的に幸福であると答えている人が多い。また他の国々に比較して、その幸福感と仕事上の満足度にそれほど強い因果関係がない。それは、北欧の男性は、家庭生活に強く参加しているからだという。

一方、ジェンダー役割が大きい北欧以外の国の男性は、家族生活と幸福との関係が弱いという結果が出ている。

つまり、家庭生活が北欧男性に幸福をもたらしていて、それが総合的幸福感の高さにつながっている。とはいえ、南欧や東欧には、それが、かならずしもあてはまらない、というのだ。

おそらく、南欧や東欧のジェンダー平等は北欧ほど十分でないからだろう、と考えられる。

Why are the Nordic countries ranked as the world’s best countries to live in? June 8, 2018
Gender equality means Nordic men happier with family life: Swedish study 9 April 2018

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▲パパにだきついている2人の子どもたち。横で本を読むママ。この共働き夫婦は、両親で育休をわけあって目いっぱいとった。ノルウェーの家庭で撮影
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# by bekokuma321 | 2018-06-13 17:26 | 北欧

ニュージーランドの首相は、日曜日に出産予定だ。

それに向けて6月11日(月)に首相府のあるウェリントンを後にして、オークランドの自宅に向かった。

首相ジャシンダ・アーダンは、出産のため入院する直前まで、首相の権限を副首相に渡さず、もしも出産が遅れるなら出産促進剤を使って誘発分娩をすると語った、とガーディアン紙が報道している。

首相代理を務める副首相は、労働党と連立を組む右寄りのニュージーランド・ファースト党の党首だ。

首相の頭をよぎるのは、出産ばかりではないらしい。副首相が、政治課題になっている刑法改正に異議を唱えていることが判明し、野党側は、「連立が割れる予兆だ」と浮足立っているというのだ。

首相が女性で、たまたま妊娠中だと、出産、育児休業、分娩促進など、世界のトップニュースに決して載らなかった表現が矢継ぎ早に飛びかう。米国と北朝鮮の首脳会談よりも、はるかに新鮮な政治風景ではないか。

4月20日、国際シンポジウム「選挙を変えれば暮らしが変わる」において、ニュージーランド大使館の一等書記官は、こう語った。

「国会議員は、育児休業を他の国民と同じようにとれます。国会には80年代に、国会議場のすぐ隣の部屋に授乳室が設けられました。当時、現職の女性国会議員が初めて出産したからです」

とすると、授乳室が首相執務室の隣に新設される史上初の日も近いかも。

それもこれも、労働党青年部で活躍した女性運動家が、党の選挙候補者リストの上位に載って、20代で国会議員に当選したからにほかならない。比例代表制選挙ならでは、だ。

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 ▲「首相、国家元首、最高裁長官の3人とも女性です」と語るニュージーランド一等書記官(最右) (写真撮影:富山達夫)

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
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# by bekokuma321 | 2018-06-12 20:08 | アジア・アフリカ

「メイ首相やメルケル首相はおしゃくをするか、と尋ねた安倍」

こんな大見出しが、「ライジング・ワサビ」(2018年6月9日)に掲載された。日本にまだ残る女性蔑視を、安倍首相みずからが広告塔になって世界に拡散してくれたらしい。

短い記事なので、全文を和訳して紹介する。

「日本の首相安倍晋三は、カナダのG7会議で、英国の首相テレサ・メイやドイツの首相アンジェラ・メルケルは、飲み物のサービスをするだろうかと尋ねた。
 安倍はアメリカ大統領ドナルド・トランプに『2つにひとつでしょう』。『日本では女性たちが飲み物をつぎます』と言った。
 『それは非常に驚いた。素晴らしい』とトランプはテーブルの向こうからツイートした。
 『ここに、ねじ曲がりヒラリーが要るね(注)』とトランプはさらにツイートした。
 後に、安倍は、男性たちが自分の飲み物を自分でついでいることを知ってショックを受けた。
トランプは、安倍に対して『西側は、(日本から)まだたくさん学ぶことがある』と言った」

G7のテーブルに、女性はメイ首相とメルケル首相しかいない。女性なら一国の首相であろうと「女の役割」を期待する日本の安倍首相。さすが、日本会議が推してやまない政治家だ。

日本で、働く女性へのお茶くみが問題になったのは、雇用機会均等法施行から6年経ったころだ。女性議員たちは「役所や議会で女性職員がお茶くみをさせられていることはおかしい」と怒りの集会を開いた。

あれから4半世紀。賃金格差をはじめ女性差別はなくならないが、お茶くみやお酌は減ってきた、と思っていた。ところが先月、ドキュメンタリ映画「たたかいつづける女たち」上映後のトークで、女性銀行員から「今でも、男性行員が、出張に行って買ってきたお土産を、女性行員が配るのが習慣になっている」と聞いた。性別役割分業の執拗さに驚かされた。

そして、この安倍の記事。半分冗談、半分本気のユーモア記事だろう。でも、お茶くみやお酌を期待する上司を”忖度”してお茶くみやお酌をせざるをえない女性たちの顔が浮かんできて、なかなか笑えない。

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▲「お茶くみの政治学」と銘打った集会で、女性のみのお茶くみなくそうと宣言(朝日新聞1991.9.23)


【注:トランプは大統領選中、数々の罵詈雑言を対抗馬のヒラリー・クリントンにぶつけた。この「ねじ曲がった」という形容詞もそのひとつ】
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# by bekokuma321 | 2018-06-11 10:33 | その他