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セシル・キィェンジェ(Cecile Kyenge)を名誉棄損で訴えた裁判がイタリアで開かれようとしている。そのことに、イギリス、ドイツなどの国会議員や団体リーダーたち約40人が、非常に困惑していると、意見表明をした。

さきほど届いた10月12日ガーディアン紙が報道している。

セシル・キィェンジェへの差別は、FEM-NEWSで何度か紹介した。リンク先を本記事の下に掲げる。

セシルは、コンゴ生まれの眼科医。イタリア人と結婚し、その後、イタリア初の黒人の女性大臣に就任した。現在はEU議会の議員である。

数年前、彼女は、演説中にバナナを投げられたり、「コンゴに帰って働くべきだ。彼女は、オランウータンのようだ」という卑劣な言葉をぶつけられた。こうしたヘイト表現は、ソーシャルメディアでまたたくまに拡散した。ソーシャルメディアに流した人物は、イタリア同盟(かつての北部同盟。極右政党と言われる)の書記長だった。セシルは、「レイシスト(人種差別主義者)」と言い返した。

彼女の正当なファイトバックを、イタリア同盟の政治家や支持者たちは、逆に、「名誉棄損だ」と非難した。そのあげく、同党の現内務大臣 マッテオ・サルヴィーニは、あろうことか彼女を名誉棄損の̚̚罪で提訴したという。そして今、その裁判が開かれる。

こうしたイタリアでの理不尽な行為に国を越えてリーダーたちは立ち上がった。約40人は、こう宣言する。ガーディアン紙記事のポイントを要約する。

「レイシズム、外国人嫌悪主義、狭量主義に対して闘おうとしているセシル・キィェンジェの決意を全面的に支持する」

セシル・キィェンジェの事件は、ヨーロッパを覆う問題を代表しているといえる。台頭するポピュリストや極右政党が、その国粋主義的政策を突き進め、マイノリティに対する恐怖と嫌悪をあおっている」

日本の国会を席巻する「日本会議」議員の発言を思い出して、虫唾が走る。いや、国会だけではない。地方議会では、多数派重鎮議員(多くは男性)が、少数派女性議員に対して理不尽な対応をこれでもかと続けている。


Labourfiguresunite in support of Italian MEP Cécile Kyenge

MatteoSalvini sues black MEP for defamation in racism row


猿に変えられた黒人女性大臣の顔――イタリア

イタリア黒人大臣攻撃に対する国際的ファイトバック

イタリア黒人女性大臣、バナナを投げつけられる

「彼女は、オランウータンのよう」―イタリア右派政治家

タリア ボニノ大臣のシスターフッド

イタリア黒人大臣、差別にさらされる

のど飴なめての議会発言で出席停止処分に

まるで魔女狩り――徳島県藍住町の紅一点議員追放事件






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# by bekokuma321 | 2018-10-12 20:36 | ヨーロッパ

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「花を贈られて喜んでいる場合か!」(叫ぶ芸術 第63回)のポスターを見みました。ポーランドの女たちの怒りに同感しました。


ポスターの解説を読むと、ポーランドの国際女性デーは、女たちが、怒りを政策にしてデモをする日だそうです。38日は「マニフェスト女性デー」と呼ばれ、毎年、スローガンを掲げ、女性が自立して生きるために、力を結集しています。なんて素晴らしい!


年々変わるスローガンからポーランドは問題満載だとわかりました。でも、ポーランドに負けず劣らずのひどい政治状況にあるのが日本です。女性たちは素晴らしい力を持っているのに、貶められ、排除され、殴られています。


この状況に怒っている私は、毎年、国際女性デーに向けて絵葉書(カード) を作成してきました。200538日から10年以上、一人でデザインし、一人で作成して、一人で広めてきました。でも、パンチのある絵葉書(カード)には多くの女性の怒りを結集した政策が必要です。もう黙ってはいられない! みなさん、一緒にやりませんか。


Sisterhood is Powerful and International!


ふじ みつこ MITSUAT



叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女性たち

2018年3月8日 国際女性デーのためにカードを作りました。

2018国際女性デー/ニュース

もうじき2018年国際女性デー

国際女性デー・パレード NHKニュースに






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# by bekokuma321 | 2018-10-11 11:08 | ヨーロッパ


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20161月、ノルウェー放送NRKNHKにあたる)は、ナディア・ムラードのインタビュー を放送していた。ナディアの親しい友人であるイラク系ノルウェー女性が通訳だった。2年以上も前だ。


10分ほどの出演時間だった。5分ほどして、それまで冷静に話していたナディアが涙ぐんだ。すぐ涙がとまらなくなった。言葉にならなくなった。NRKのインタビューアーは、泣き崩れたナディアに近づいて、彼女の左手を握りしめた。インタビューアーは、唇をギュッとかみ、必死に涙をこらえていた。


NRKスタジオにはヤジデイ族の女性たちの大きなパネルが掲げられていた。ナディアは泣きじゃくりながら、語った。


「その写真を見ると、その女性が母親ととても似ているのです」

「母は、何千人もの母親たちと同様、年老いているので、性的虐待ができないから、虐殺されてしまったのです」

「私の人生でもっとも辛いできごとでした」

「私はアメリカやエジプトやクウエートに行ったことがありますが、こんな地獄は見たことがありません」


イラクのナディア・ムラードが、コンゴの医師とともに、今年のノーベル平和賞に選ばれたとの速報 を流したが、ナディア・ムラードについてあまりにも知らなすぎたため、報道にあたってみた。そして見つけたのが、この、NRKの秀逸なTV番組である。


ヤジデイ族であるナディア・ムラードは、北イラクのコジョー(Kocho)という小さな村で、母親と兄弟姉妹9人で平和に暮らしていた。20148月、そこをISが急襲。6人の兄弟は殺害された。彼女は、モスル(Mosul)に連行された。およそ150人の若い女性たちがいっしょだった。そこに巨大な男性が(モンスターと彼女は言った)やってきた。次にやや小柄な男性がやってきた。毎日、何度も虐待と強姦をされた。


3か月間続いた。やっとそこを逃れた彼女は、難民としてドイツに住むことができた。


その後、性奴隷の境遇を脱出したナディアは、重い口を開いて、地獄の体験を語り始めた。そして国連親善大使を務めることになった。国連の安全保障理事会に招かれて、戦争・紛争下の性暴力について、世界の代表たちにスピーチをした。手に汗握る逃亡・闘いについては、彼女が書いた「最後の少女」という本に描写されているという(写真は本の表紙)。


ナディアのノーベル平和賞受賞を決めたノルウェーノーベル委員会に心から賛辞をおくりたい。そこに至るまで、ナディアの地獄の体験に耳を傾けてきた、ドイツ政府、国連、ノルウェーの報道関係者、そして通訳者たち(説得力ある通訳をする人がいたに違いない)にも・・・。戦争の戦利品とされる女性に対する、彼女たちの怒りのリレーがなかったら、受賞までたどりつかなかっただろう。


ところで、戦時下の性暴力(従軍慰安婦)に知らんぷりを続ける日本政府は、ナディアの受賞をどう考えているだろう。


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# by bekokuma321 | 2018-10-10 03:23 | ノルウェー

ノルウェーのノーベル委員会は、2018年のノーベル平和賞がコンゴのデニス・ムクウェーゲと、イラクのナディア・ムラードに決まったと発表した。

2人は、戦争・紛争下の性暴力撤廃にむけて、命がけで運動してきた。そのたぐいまれなる勇気と努力が高く評価された。

デニス・ムクウェーゲは医師。内戦が続くコンゴで、長年にわたって、強姦や性的虐待にあった人びとを、助けるとともに、治療にあたってきた。「正義は万人のなすべきこと」が彼の信条で、10年前からノーベル平和賞候補にあがっていたと言われる。

ナディア・ムラードは、彼女自身が戦時下の性暴力被害者。ISに略奪支配された北イラクの村で、度重なる強姦や虐待を受けた。逃亡後、彼女は「女はおとなしく黙っていろ」を打ち破り、自らの性的虐待を告発することを選んだ。

詳しくは


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# by bekokuma321 | 2018-10-05 19:26 | ノルウェー

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日本女性の未来は、女性差別撤廃条約選択議定書を批准するかしないかで、大きく違ってくる。


●バックラッシュに抗するために

「選択議定書の批准は、日本の男女にとってだけでなく、アジア地域にとって、きわめて重要です。多くの国々で、バックラッシュ――とりわけ女性の権利に対してーーが実際に起きており、市民社会が萎縮させられています。日本の批准は、人権推進へ確実にコミットするんだという政府当局の証となります」


スイスの法律家パトリシア・シュルツさんは力説した。彼女は、国連女性差別撤廃委員会の個人通報作業部会の会長だ。このほど、 日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の招きで来日講演した。


●バックラッシュの司令塔「日本会議」

バックラッシュとは、この場合、女性の権利に対する反動的流れをさす。日本では、2000年ごろから、右派の地方議員を中心に、「性別をなくそうとするジェンダーフリー」などという嘘をばらまいて、男女共同参画条例を形骸化させたり、女性センターの予算削減をさせたりしては、快哉を叫んできた(注)。その司令塔は「日本会議」だ。日本会議は、日本最大の右派的改憲団体であり、「日本会議国会議員懇談会」をかかえる。実は、昨日、組閣された安倍内閣のほとんどは、この「日本会議国会議員懇談会」会員である。


シュルツさんは、日本の女性がいつまでたっても低い地位に置かれている最大の障壁を、はからずも言い当てた。日本政府やNGOによって委員会に出された報告内容を熟知する彼女は、さらに日本政府をこう批判した。


「日本は、『検討している』と繰り返して、批准に向けて何もしていないことを正当化しています。残念ですが、日本では、差別的な規範の改正に、きわめて長い時間がかかっています」


「選択議定書」は、FEM-NEWSでも扱ってきた。


東京都小金井・八王子・三鷹市などの市議会が「女性差別撤廃条約の選択議定書の批准を求める意見書」 を採択したことも紹介した。


しかし、まだよく知る人は少ない。選択議定書という言葉のせいか。かといって英語オプショナル・プロトコルに言い換えると、もっとわからなくなる。ということで、やはり選択議定書と呼ぼう。


●女性差別撤廃条約を批准しても選択議定書は未批准

選択議定書は、条約を補う国際文書のことだ。「条約で守られている権利が侵害されたら、国連に訴えることができますよ」と保障してくれる道具といえる。条約とワンセットだが、やっかいなのは、それぞれを批准しないと使えないことだ。


女性差別撤廃条約を1985年に批准した日本だが、選択議定書は批准していない。だから差別に苦しむ個人や団体が直接、国連に訴えることはできない。たとえば、「夫婦同姓を強制する民法は女性差別撤廃条約違反だから、なんとかしてほしい」と、国連に訴えることはできない。


●スイスは比例代表制で4党連立政権

シュルツさんは、日本政府の批准への遅さを嘆いて、「政治的意思」の必要性を述べたとき、次のようにスイスの国会を語った。


「スイスでは、日本のように議会の多数を一党が占めることがない。長年、多くの政党が議会に存在していて、現在は7政党から議員が出ており、4政党で連立与党を組んでいます。政権内でも4党間での話し合いが必要で、法律ひとつ通すにも、常に異なった政党間で協議します。さらに国民投票という直接民主主義の伝統があります。3つの異なった言語、2つの異なった宗教、地方と都会の大きな違いのあるスイスでは、政治は、常に市民の支持、市民とのコラボで進められていて、うまく動いています」


当たり前すぎて「選挙=比例代表制」と言わなかっただけで、「比例代表制選挙の国スイス」を忘れてはならない。比例代表は民意が素直に議席に反映する。一方、日本は、289選挙区から最高得票の1人のみ当選する小選挙制中心の選挙だ。他の人に入れた票はすべて死に票となる。それが1強多弱の国会となり、”日本会議内閣”を生んでいる。当然ながら、女性議員の極端な少なさも。


●バックラッシュと小選挙区制

バックラッシュ(女性の権利に対する反動的流れ)と小選挙区制。日本女性を従来からの否定的役割に押しとどめる二大障壁だ。これで得をするのは? どんな人たちかは、容易に想像がつく。しかし、この障壁を切りくずすハンマーがある。それが批准国109カ国となった選択議定書だ。



「日本会議」に向かって闘いを挑んだ本:『バックラッシュの生贄』を読んで(加島 康博)

今も続く右翼的攻撃の楯となる本:『バックラッシュの生贄』を読んで (岡田ふさ子)

館長雇止め・バックラッシュ裁判HP

浅倉むつ子「男女共同参画社会実現のための訴訟でした」

バックラッシュ勢力に司法の鉄槌下る

男女平等を嫌う反動勢力の実像 ~日本にはびこるバックラッシュ現象~



【注:2009年8月、国連の女性差別撤廃委員会は、女性差別撤廃条約の実施状況について、日本政府に対する総括的所見を出した。そこに「委員会は締約国において男女間の不平等が根強く存在しているにもかかわらず、女性の人権の認識と促進に対する『バックラッシュ』が報告されていることに懸念を有する。」(29項)とある】


【写真:パトリシア・シュルツ国連女性差別撤廃委員会個人通報作業部長。国際女性の地位協会チラシより】


【2018.10.6 ミスを訂正して更新した】



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# by bekokuma321 | 2018-10-04 17:36 | ヨーロッパ