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「ノルウェーのオスロは、市長も副市長も女性です。副市長はスリランカの移民です。環境大臣にあたる環境問題のトップもベトナム系ノルウェー人です」

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八潮市浦和市の講演でこう話したら、会場からホーッというため息がもれた。関連して、オスロ市議会(都議会にあたる)の25%はマイノリティ出身になったと私は付け加えた。外国人なら何十年住んでいても地方参政権がない日本だからだろうか、これにはあまり反応はなかったようだ。

とはいえオスロ市議会議員に移民または移民家庭出身が増えてきたのは、最近のことだ。人口の半分を占める女性が、クオータ制によって、候補者に女性を増やしていった政治の影響もあると考えられる。6070年代、女性党員たちは、選挙候補者リスト作成の際、女性を当選圏内(上位)に載せるべきだと要求していった。社会の鏡であるべき議会に、人口の半分の女性の代表が少ないのはおかしいーーこれが理屈だった。


初めてクオータ制を実行した民主社会党にならって、他党にも広がった。今ではノルウェーのほとんどの政党が候補者リストを男女半々にするようになった。比例代表制選挙の場合、小政党は小政党なりに、大政党は大政党なりに、票に比例して代表を出せるため、各政党のリストの上位に女性が載ると女性当選者が増える。その結果、多くの議会で、女性議員が増えていった。

ノルウェーは現在、国会は41%、オスロ市議会は49%が女性議員である。国会の女性議員10%(衆院)、東京都議会28%の日本は、いつになることやら。


ノルウェーでは70
年代、在住外国人の参政権運動がおこって、80年代に地方議会への参政権が認められた。オスロのように在住外国人の多い都市では、当然ながら候補者リストに外国人が増えていった。政治ジャーナリストの第一人者であるNRKのリーラ・スルフスヴークは、私にこうまとめてくれた。


「市議会の議員は、その市の全人口を代表する人でなければならない、ということが基本にあります。それには、男女それぞれ半々必要だ、若い人から年齢の高い人まで必要だ、市内の全域からまんべんなく必要だ、となります。政党が候補者リストを作成する際、多くの政党は、その市の人口の全体を代表するような候補者を選ぶのです。たとえば市内の南地区に候補者にふさわしい人が多くいても、南地区から候補者を多く出すことはしません。そんなことをする政党は北地区の人からそっぽを向かれるでしょう」


その通りだ。しかし、選挙制度が問題だ。日本のような多数決選挙(小選挙区制、中選挙区制など)では余りにも難しい。

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「市民の代表は市民より上にあってはいけない」(ノルウェー)

無報酬でも地方議員候補が多い理由(ノルウェー)

地方議員に宿るダーグナードdugnad精神(ノルウェー)


【2020年2月8日更新】


by bekokuma321 | 2020-01-31 16:27 | ノルウェー

124日(月)、ノルウェーに新内閣が発足した(写真下)。保守党、キリスト教民主党、自由党の3党連立による中道右派の少数政権だ。

保守党党首のアーナ・ソールバルグ(Erna Solberg)は首相を続投。閣僚20人のうち、保守党12人、自由党4人、キリスト教民主党4人。

注目したいのは、教育・平等大臣となった弁護士アビド・ラジャ(自由党)。パキスタン系ノルウェー人で弱者の味方。父は工場労働者で母は専業主婦。暴力が絶えない家庭で彼も暴力におぼれて学校を中退、少年院に。その後、高校に再入学して大学へ。弁護士、政治家、人権活動家として活発に発言を続ける。

女性の入閣は8人で、40%クオータ制をかろうじてクリアした。

前内閣の崩壊は、連立を組んでいた右派の進歩党が閣僚を離脱したことによる。メディアから要約すると、シリアにわたっていたパキスタン系ノルウェー女性(29)の帰国に猛反対をしていた進歩党は、政権内での帰国賛成派を覆すことができなかったからのようだ。進歩党は厳格な移民政策を党是としてきた。


件のパキスタン系ノルウェー女性はオスロ在住だったが、2013年、シリアにわたってIS戦闘員と結婚。5歳と3歳の幼い子どもが2人いる。イラクのアルビルからウィーン、さらにコペンハーゲンを経由して、2020年1月17日、オスロ空港に到着した。ノルウェー外務省によると、「病気の子どもをかかえて恐ろしくなりノルウェー帰国を選んだ」という。女性はNRK画像によると、目だけを出した黒いニカブで全身を覆っている。


首相は、病に冒された5歳の子どもだけを帰国させて緊急治療をと考えていたが、それができず母子の帰国となったと語る。女性は、保安上の理由からノルウェー当局の監視下に置かれている。


2019年11月時点で、40を超す国々から12300人の外国人が、シリアのキャンプで暮らしていて、うち8700人が子どもだという(NYTがセーブ・ザ・チルドレンの調査を引用したもの)。一方

ISメンバーやその家族たちの帰還問題は、ノルウェーだけでなく、長い間ヨーロッパ諸国の悩みの種となっていて、 ISに加わろうと祖国を離れた人たちの責任・処遇について、多くの国で議論が続けられている。


ノルウェー政府は、1月初め、エリトリアとソマリアの難民で、リビアの拘留センターからルワンダに移動させられ、その後ノルウェーにやってくる500人を受け入れると発表していた。今回は、シリアにわたってISと関わった元ノルウェー在住者。ノルウェーにたどり着く移民・難民の長く複雑な道程に驚くばかりだ。


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▲ノルウェー政府ホームページより。https://www.regjeringen.no/no/om-regjeringa/solberg/Regjeringen-Solberg/id753980/



●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回

ノルウェー地方議会改革論争ヒートアップ

“取締役クオータ制”、ついにEUに

地方自治体にマイノリティ・クオータ制

ついに映画産業にクオータ制

ノルウェーのクオータ制

ノーベル賞委員会委員も男女半々



by bekokuma321 | 2020-01-28 18:09 | ノルウェー

ドキュメンタリー映画「たたかいつづける女たち」(山上千恵子監督)が、この3月、国際フィルモア女性映画祭で上映されることになった。


上映決定を知らされたばかりの、山上千恵子監督は、うれしそうに語った。


「日本の女性解放運動について、海外ではほとんど知られていません。もっと日本の女性監督が、国際映画祭にエントリしたほうがいいと思っています。でも、いないんです。だったら私が、と。初めてエントリしたのは、『30年のシスターフッド』です。その後、10回目に『山川菊枝』を出しました。ですから、『たたかいつづける女たち』で3本目になります。映画祭は、トルコのイスタンブールで開催だそうです」


「たたかいつづける女たち」国際女性映画祭で3月上映_c0166264_18250563.jpg



ドキュメンタリー映画「たたかいつづける女たち」には、均等法前夜から明日へバトンをつなぐ」と、サブタイトルがついている。1980年代、日本の職場は女性差別の巣窟だった。女性運動団体は、性差別のない職場をめざして、自分たちの力で法案をつくった。それをバトンにして、たくさんの女たちでリレーをしながら、労働省に届けた。しかし、女たちの声は届かなかった。だが・・・。


この機に、まだ見てないかた、上映会をしてみたいかた、申し込みはこちらからhttp://wwt.acw2.org/?p=416410000円から可能)。


さて、国際フィルモア女性映画祭は、トルコの「フィルモア女性共同体」が主催する。2020年は第22回目だという。


フィルモア女性共同体は、2000年初め、女性や女性の人生をもっと見えるようにし、かつ女性同士の交流を進めよう、と創設された。映画やメディアへの女性の進出を促し、映画やメディアを通して女性を表現する機会を広げ、女性の力と生産性を強めようとがんばっている。映画や他の分野におけるジェンダーによる差別のない未来、それは、すなわち女性は男性と平等の機会を有し、暴力や差別のない社会となる、という壮大な未来像を抱く。


フィルモア(filmmorFilmMorを合わせた「紫色の映画」という意味の造語と思われる。ホームぺ―ジは http://filmmor.org/en/ 


「たたかいつづける女たち」国際女性映画祭で3月上映_c0166264_19321061.jpg
             ▲フィルモア女性共同体のロゴ(HPより)



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by bekokuma321 | 2020-01-13 18:42 | ヨーロッパ

2020年新年号「叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち」は、南アフリカ。

南アと言えば、長年アパルトヘイトが合法だった。このポスターは、アパルトヘイト撤廃をめざす闘いの一翼を担った女性誌「SPEAK」が作ったもの。

その「SPEAK」の創刊者のひとり、政治家プレグス・ガーヴェンダーの闘いは終わらない。

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「叫ぶ芸術」は『I 女のしんぶん』に連載中。上は、2020.1.1号。女性運動紙『I 女のしんぶん』の定期購読の申し込みは I 女性会議 からどうぞ。

by bekokuma321 | 2020-01-10 09:19 | アジア・アフリカ

市民的不服従

2020年の第1報は、おなじみノルウェーから。少し時機が遅くなったが、昨年暮れのニュースを抄訳する。


オスロ裁判所(下の写真)は、移民を違法に働かせていた罪で、グンナール・ストールセット元牧師(Gunnar Stålsett、84歳)に対して有罪判決を下した。彼は、長年、牧師をつとめながら、政治家としても働いていた(中央党)。


ノルウェーニュースによると、ストールセットは、「私は難民の女性に仕事を与えていた私の罪を認める」「年齢で特別な扱いを受けるべきではなく、私に後悔はない」「現移民法は悪法。改正すべきであり、“良心的法の拒否者”となることを甘んじて受ける」と語った。


元牧師が長年仕事を与えていた女性Lula Tekle (55)は、エリトリアからの難民で、「元牧師の代わりに私を収監してほしい。元牧師夫妻は私を助けただけ。そのおかげで私は生きのびることができた」とメディアに語っている。


ノルウェー当局は彼女をエリトリアに帰国できると判断し、彼女の亡命申請を断った。そのため居住許可、労働許可を持っていなかった。元牧師は、自宅で彼女を14年間、パートタイムで雇って賃金を支払っていたという。

推理作家で元法務相のアンナ・ホルトの弁も秀逸だ。国会議員に圧力をかけよと、こう檄を飛ばした。

「ストールセットは法律を破った。これは市民的不服従と呼べる。そのような市民的不服従行為はおかしいと思われるだろうが、彼の行為は崇高な行動だったと私は考える。市民は、当局に不満を表明するのではなく、国会議員に法改正するよう圧力をかけるべきだ」

魂が洗われる思いで読んだ。


今年も、大メディアでは扱われにくい重要なできごとを紹介していきたい。右上に載せるFEM-NEWSイメージも一新した。今年は、ずいぶん前、オスロで偶然見つけた巨大なオブジェ。女性像が男性像の数倍も大きくて、見てるだけで愉快になってくる。

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by bekokuma321 | 2020-01-06 19:38 | ノルウェー