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ラグビーワールドカップが日本で行われている。世界の目が日本に注がれているときこそ、日本の選挙を考えてみよう。


こんな出だしの記事がイギリスの「選挙改革協会」に掲載されていた。筆者はウェールズのマシュー・マティアス(Matthew Mathias)。抄訳して紹介したい。


「イギリスと日本は立憲君主制、二院制など似ている点がある」

「しかし、日本の人口は、英国のほぼ2倍だ。しかるに、下院(日本の衆院)の議員数は、イギリス650人に対して、わずか465人である」

「衆院は小選挙区制と比例代表制のミックス方式だ。衆議院議員の60%以上はイギリスと同じ小選挙区制選挙で、残りの議員は比例代表制で選ばれる。ところが、スコットランド、ウェールズ、ロンドンの比例代表制と違って、日本の比例代表制は、小選挙区制による不均衡(得票率と議員率が比例しない)を埋め合わせることはない」(注)

「衆院は、7つの政党と少数の無所属議員で構成されていて、最大政党は安倍晋三が代表する自民党である。保守主義のこの党は、何年かを除き、1955年からずっと日本の権力の座にある」

2017年の衆院選で、再び、安倍自民党は歴史的支配を盤石なものとした。うらやましい限りだが、それが投票率と議席数の間に不均衡という深い溝を生じさせている小選挙区制によると知ったら、あなたはショックを受けるに違いない。自民党は、48%の得票率で、218選挙区の75%を獲得したのだ」

「この一党支配の国は、議席の多数が比例代表制で選ばれていないためであり、主権者が置き去りにされている理由はあまりにも明らかである。世界の『民主主義インデックス』 によると、日本は政治参加が低く、『欠陥のある民主主義』とされている」


ラグビーワールドカップは、112日に優勝決定戦を迎え、1点でも多く得点をとった方が優勝する。「勝者がすべてを獲る」(=小選挙区制)は、スポーツならいいだろう。しかし、マシュー・マティアスが言うように、多様な声をすいあげるべき議会の議員を選ぶには、ひどい方法だ。


文中にある「世界の民主主義インデックス」で、毎年1位に輝くノルウェーは、100年も前から比例代表制選挙だ。ノルウェーばかりか、上位にある国々の多くは、比例代表制で選挙をしている


日本では、耳をふさぎたくなるような発言をする議員が大臣になっている。そんな体たらく大臣も、その任命責任者安倍首相も批判など歯牙にもかけないのは、次の選挙も当選確実だからだろう。小選挙区制とは恐ろしい選挙制度だ。


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▲世界の民主主義インデックスで毎年1位ノルウェーの選挙運動風景(2019年9月、オスロ)


民主主義度ノルウェー1位、日本22位

民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20
民主主義度1位ノルウェー、23位日本

世界一民主的な国

支持2割以下で議席5割以上のカラクリ(2019参院選)

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)


【注:スコットランド議会、ウェールズ議会、大ロンドン議会は、小選挙区比例代表併用制で選挙が行われている。併用制は日本の並立制と言葉は似ているが、質的に違う。ドイツがとっている選挙で、政党の議席数は比例代表制で決まる。しかも、日本の比例区のように政党の票数を1,2,3・・・という除数ではなく別の除数で割る方式だ。その方式だと小選挙区で当選できない小政党が救われることが日本の方式より多い】



by bekokuma321 | 2019-09-30 04:26 | その他

敬愛する塚本協子さん(84歳)が、914亡くなった。訃報に接して以来ずっと、悲しみでいっぱいだ。今も、キーを押す指に涙が落ちてくる。


塚本さんのことば、「民主主義の世の中なのに、女性が姓を変えるべきだという因習になぜ縛られないといけないのか」が胸につきささる。


日本は、法律で、夫婦に同じ苗字を強制している。その制度を変えるため、塚本さんは、「夫婦別姓を認めない民法は憲法違反だ」と、選択的夫婦別姓訴訟を起こした。選択的とは、夫婦の姓は別姓でも同姓でも個人の選択でいいではないか、という意味だ。


しかし最高裁は、夫婦同姓を定めた民法の規定を「合憲」とした。判決を聞いた塚本さんの号泣する姿が目に焼き付いている。どれだけ悔しかっただろう。塚本さんは、「死ぬまで闘う」と語っていた。そして、私たちのために、男女平等のために、死ぬまで闘い続けてくださった。


FEM-NEWSで取り上げた塚本協子さんに関する記事を再読している。塚本さんの闘いのほんの一端にすぎないが、読んでいただけたらと写真の下に再掲する。



夫婦別姓を求めて闘い続けた塚本協子さん(訃報)_c0166264_10493625.jpg



死ぬまで闘いたい

最高裁の鉄槌下るか 女性差別の民法

講演会の案内「別姓訴訟、最高裁へ」

最高裁裁判官に期待する

夫婦別姓、最高裁大法廷へ

夫婦別姓訴訟、最高裁へ

別姓訴訟と「流れに逆らう女」

夫婦別姓訴訟、大きく報道

夫婦別姓求めて、初の違憲訴訟



by bekokuma321 | 2019-09-22 11:10 | その他

ノルウェーの統一地方選は9月9日だった。


市議会(日本のような市区町村の区別はない)に立候補したのは5万4254人。うち女性は2万3258人で、43%にのぼった。


マスコミでは連日、政党党首が地方の課題をテーマに舌戦をかわしていた。 国会の政権与党3党の党首は全て女性だし、首都オスロは市長も副市長も女性だ。 日本の政治風景を見慣れた人間は「これは宝塚か」と目をしばたたいてしまった。


とはいえ、ここまでの道は平たんではなかった。たとえば、女性を当選させようと、1960年代から女性議員を増やす超党派の運動「女性キャンペーン」が行なわれてきた。 そのキャンペーンに使われた貴重なポスターを保管していたので紹介する。2003年のものだ。


女性の顔は、小さな×で描かれているのがわかるだろうか顔の下にある赤地の白抜きノルウェー語は「女性に×印を!」。黒字は「市長の85%、市議会の66%は男性です。でも、あなたはそれを投票所で変えられます」



ノルウェーの有権者は、支持政党の「リスト
」(=投票用紙)を1枚選んで、それを投票箱に入れるのだが、その「リスト」の順番が気に入らない場合、候補者を横線で消したり候補者の横に×印をつけて加算されて順位が上がるようになっていた。後、横線で削除する制度はなくなったが、×をつけて加算は今もできる。


でも、それを知らない人も多い。だから 16年前の2003年、女性候補に×印をつけて「女性議員を増やそう」と運動をしたのだ。



by bekokuma321 | 2019-09-21 00:32 | ノルウェー

北欧は安心安全の子育て・介護で知られています。こうした豊かな福祉は女性の政界進出と深く結びついています。9月統一地方選のあった北欧ノルウェーで撮影した画像を見ながら、民主主義の最も進んだ社会への道筋を考えてみませんか。どなたもお気軽にどうぞ。

女性議員が増えて北欧はこう変わった(八潮市)_c0166264_22491430.jpg



批判精神を養うことが学校教育の柱(ノルウェー)

民主主義を鍛える開票作業(ノルウェー)

「市民の代表は市民より上にあってはいけない」(ノルウェー)

民主主義を学ぶスクールエレクション終わる(ノルウェー)

無報酬でも地方議員候補が多い理由(ノルウェー)

民主主義度ノルウェー1位、日本22位



by bekokuma321 | 2019-09-17 23:08 | 北欧

批判精神を養うことが学校教育の柱(ノルウェー)_c0166264_05584117.jpg


「批判精神を養うこと」――ノルウェー全ての学校教育の基本のキだと聞いた。


では、生徒たちはどんな授業を受けているのだろうか。


地方選挙の投票日前の93日、オスロのエドワード・ムンク高校の社会科を見学した。突然の申し出を受けてくれた教員のアウドゥン・グルナーヘッゲ(Audun Gruner-Hegge)に心から感謝しつつ、概要を報告する。


授業時間は1215分から1445分まで2時間半。参観した両日とも、生徒は15歳と16歳の高校1年生。


生徒たちは、前週に政党の概要を学んだという。クラスは34人のグループごとに分かれて座っていた。それぞれが政党1つを選んで、政党の目的、選挙の公約、ソーシャルメディアから知りうる特徴などを調査するのだという。4年に一度の統一地方選が教材だった。


グループ調査活動の前に、教員のアウドゥンは、ノルウェーの著名な政治学者の理論を白板に書いて伝えた。生徒たちは、ラップトップパソコンを使って、オスロ市行政組織や政党のホームページなどの情報を検索しながら話し合っている。生徒が挙手すると、教員のアウドゥンはただちにそのそばに行って何やら話す。


2時間半のほとんどを、生徒による調査活動とグループ内の話し合いに使って、授業は終了した。


教員アウドゥンは「今日、グループ発表に進みたかったけど、みな、調査に時間がかかっていたので、発表は来週です。よろしかったら、ここ、222B教室に同じ曜日の同じ時間にいらして下さい」と私に言った。


そこで10日、222B教室を再訪問。生徒たちは、自分たちが作成したパワーポイントを駆使して、グループごとに発表していた(写真上)。始業時間に遅れたため、全グループではないが、いくつかを観察できた。


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その一つキリスト教民主党を選んだグループは、「私たちの選んだ政党は、漠然としていて、政策が明快ではないと感じられた。ホームページやフェイスブックなどソーシャルメディアによる市民への広報を調査したところ、若者に訴えるものがないと考えます」などと言った。


政党をどう選んだのか、そのグループのハーパに聞いたら、こう言った(写真左上)。


「グループごとの希望を尊重はしますが、重ならないように意見を出し合って決めます。選択する政党は、支持政党ではなく、調査したい政党です。むしろ私たちは支持できないと考えていた政党を選び、その政治的立場をもっと知りたいと思いました」


では、なぜキリスト教民主党を選んだか。


「キリスト教民主党は妊娠中絶に反対している政党です。私たちは、妊娠中絶は個人の自由選択に任せるべきだと考え、法律による規制に反対です。なぜ妊娠中絶に反対するのか、についてキリスト教民主党の主張や立場を知りたかったので、この政党を選びました」


発表を終えたグループには、皆、惜しみない拍手を送っていた。私は、妊娠中絶の権利で政党を批判的にとらえるハーパーのグループに、心の中で拍手を送った。


教員アウドゥンは私に「別に討論の時間もあります。今回は討論ではありません。調査した結果を皆の前で発表することが目的です」と言った。


教科書は机上に置いたまま、ほとんどだれもページをめくらない(写真下)。教科書は使わないのか。アウドゥンは私の疑問に答えた。


「ええ、あまり使いません。教科書は事実を書いている参考書です。もっとも大事なことは、事実を知ることではなく、生徒たちの参加です。生徒自身の力で調査しながら、生徒自身で結論を導くプロセス(過程)を大切にしています」


小学生から政党の若者部のメンバーにはいる子どもたちがいるノルウェー。クラスからあがった要求項目を全校のものとして、生徒会代表が学校当局と交渉して実現させたりするノルウェー。スクールエレクションでは、高校・生徒会が政党代表を学校に招いて討論会を開くノルウェー。


ノルウェーの人たちの強い政治的思考、批判精神のカギは、自主性と自己表現に重きを置く学校教育にありそうだ。


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【追記:ノルウェー国会は、18歳の初投票者向けの特別サイトを設けて、選挙の重要さや政党公約を解説している。投票をすることによって環境や移民問題や教育のあり方に影響を与えることができると・・・。また投票権拡大の歴史を訪れると、貧しい人、先住民、外国人などにも選挙権が広がってきたが、高校生に賛否を出し合って議論をしてみようと呼びかけている。】





by bekokuma321 | 2019-09-12 06:49 | ノルウェー

民主主義を鍛える開票作業(ノルウェー)_c0166264_18015178.jpg


ノルウェー地方選が終わった。投票率は64.5%。首都オスロは67.5%をマークした。ノルウェーも、地方選は投票率約8割の国政選に比べてかなり低い。しかも年々投票率が下がっていた。が、今年は違った。


比例代表制選挙なので「死に票」は出ない。一人ひとりの声が、大政党は大政党なりに小政党は小政党なりに議会に反映される。それをこの目で見たかった。ノルウェー地方自治省主催「選挙観察プログラム」に参加した。


投票時間がもうすぐ終わる9日夜9時前、オスロのベッケラーゲ(Bekkelaget)小学校に到着した。夜9時、学校のドアが閉じられた。同時に投票所となっていた体育館の片付けが始まり、開票作業所に早変わりした。


テーブルが2つ作られ、それぞれに集計係が座った。「募集に応じてくれた市民たちです。何度もやったことのあるベテランから初体験の新人までさまざまな市民がいます。全員が訓練を受けています。オスロでは多少バイト代を支払っていますが、まったくのボランティアのところもあるようです」と開票責任者が言った。2つテーブルがあるのは、座るテーブルを変えて、異なった目で票を2回調べるからだという。


投票箱から投票用紙がドサリと移される(写真上)。積まれた投票用紙を、まず、表紙に押印されているかを確かめる。印鑑がなければ無効だが、ノルウェーでは無効票はほとんどないという。この学校でも「無効票は1枚もありません」。


次に政党ごとに票を分ける作業に進む。21もある政党の候補者リスト(=投票用紙)に加えて支持政党なしの用紙もある。しばらくして、積み上げられた投票用紙の山の高さで、この選挙区の投票傾向がわかってくる。保守党の山がどんどん高くなっていく。「ここの選挙区は、富裕家族が多いところなので、いつも保守党が強いのです」と責任者が言った。


9時半ごろ、手元のスマホにメディアから政党の予想獲得率が入ってきた。「正確にはまだですが、事前投票の結果予想もあるので、予想は当たります」と、案内役の自治省職員は言った。


積みあがった政党ごとの票の山を1枚1枚数える作業が始まる。みな真剣だ。休憩もとらず、黙々と数えている。1時間以上経過しただろうか。


「誰が議員に当選したかは、この開票所では決まりません。オスロの場合、各投票所の投票用紙はオスロ市(オスロは県でもある)に送られて、そこで、投票用紙がスキャンされます。個人の加算票がスキャナーで読み取られます。それから、政党ごとに候補者の順位が決まります」と、開票責任者が説明した。


比例代表制では、政党ごとの獲得票に従って、その政党が議会に何%議員を送れるかが決まる。選挙区では、政党ごとの票の数を正確に数えるだけだという。


ノルウェーでは、投票用紙の候補者名の右にある空欄にバツ印をつけると、その候補者の票が増える。また、投票用紙の右下の欄に、他党からの候補者名を書くことができ、書かれた候補者は加算される。そのややこしい作業は「ここではなく、オスロ市役所のスキャン作業で」なのだそうだ。この個人票を加えた政党ごとの候補者リストの順番が決まるのは、今週末または来週に持ち越すかもしれないと言われている(注)。


9日深夜のテレビによると、ノルウェー全体では、第1党労働党、第2党保守党。だが、両党ともかなり票を減らした。第3党は中央党(前農業党)で、大躍進だ。政府の自治体合併政策への反対の声を集めたようだ。


オスロ市では緑の党が大躍進。地球温暖化への危機から若者を中心に支持が伸びた。オスロ緑の党代表のチャーミングな笑顔が、テレビ画面いっぱいに広がっていた。ベトナム系ノルウェー人 だ。


テレビを見ながら、深夜過ぎまで開票作業を続けていた生真面目な顔、顔、顔が浮かんできた。こうした普通の市民一人ひとりの政治参加が民主主義を鍛えているのだ、とわかったような気がした。


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【注:メディアは、選挙後、政党がどのくらい票をとったか、前回に比べてどのくらい伸ばしたか、または下がったかを報道する。もっとも大事なのは政党の獲得率であり、だれが当選したかは、重要ではないとまでは言えないが、次のステージになる。9月11日夜現在、知人の候補者4人に当落を尋ねたが、トップに登載された1人を除いて3人とも「まだわからない」という答えだった】


by bekokuma321 | 2019-09-10 18:32 | ノルウェー

「民主主義はあなたの声を必要としている」(ノルウェー)_c0166264_04401163.jpg

ノルウェーの全有権者のスマホに、数日前、投票を促すショートメッセージが届いた。「私も受け取った」と言うオスロの友人から、メッセ―ジを見せてもらった(写真左)。


「こんにちは。99日の投票日を思い出していただくためのものです。民主主義はあなたの声を必要としています。選挙に参加することを忘れないでください! 詳しくはvalg.noをどうぞ。 お元気で。ノルウェー選挙総局」(訳FEM-NEWS


ともだちからのショートメッセージみたいだ。でも送ったのは、政府の自治省の傘下にある「ノルウェー選挙総局」である。この組織は選挙に関する情報を流して市民の投票しやすくする目的で、2016年創設された。


「国政選挙の投票率は約80%です。それに対し、地方選挙は約60%で年々下がっています。例外はウトヤ島の無差別襲撃事件があった2011年です。夏に事件があり、秋が統一地方選でした。若者を中心に民主主義をとりもどそうという声が全土にあがりました」と、選挙の専門家は説明する


だから、投票率をあげるためさまざまな工夫をしているのだという。その涙ぐましいまでの努力のひとつがショートメッセージなのだろう。「民主主義はあなたの声を必要としています」は、いかにもノルウェーらしい。



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▲9月8日(日)の昼、国会議事堂前では、「風車増設反対」の市民が大勢集まって集会をしていた。選挙の争点のひとつで、明日はその投票日。


by bekokuma321 | 2019-09-09 04:52 | ノルウェー


事前投票所は長い列(ノルウェー)_c0166264_06112365.jpg


ノルウェーでは、9日の投票日が近くなるにつれて街角に投票権を使おうというポスターが増え、TVでは、党首討論や重要課題についての政治討論会がさかんに流される。


昨日はオスロの友人が、「今日ね、投票の権利を使おうというショートメッセージが来てたわ」と言った。


メッセージは選挙の責任省からのもので、ノルウェー中の有権者に送られた。そのほか、移民や移民の家族には郵送で同じような内容の手紙が送られたという。ノルウェー初の試みらしい。


ノルウェーでは、ノルウェー国籍がないと国政選挙に参加できないが、国籍がなくても3年住んでいると地方選挙への参加が認められている。日本とは大違いだ。とはいえ、移民などマイノリティの人たちの投票率は低い。2015年の地方選では40%程度だったと報道されている。


事前投票は1か月以上前から、住民票のある所でなくても、たとえば職場の近くでもできる。だから、最後の金曜日にあたる96日は、投票を待つ人の長い列が続く投票所もあった(写真上)。


地方選の投票率は、国政選挙より低い。それを少しでも高めようという政府の熱心なこと。今回は何パーセントになるのか、楽しみだ。



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▲緑の党(左)と保守党(首相)の党首討論(TVから撮影)


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 ▲地方自治大臣(左)を交えてサーメの権利と地方自治についての討論会(TVから撮影)

by bekokuma321 | 2019-09-08 06:43 | ノルウェー

立候補は民主主義をつくるため(ノルウェー)_c0166264_18104669.jpg


「普通の女性が議員になることが大事なのです、と立候補を頼まれました。民主主義のシステムつくりに参加することは義務だと考えていた私は、立候補を承諾しました」


北欧の地方議員は無報酬だ。だから、議員になっても、それまでの仕事は続く。そのうえ、男性の家事育児参加が進む北欧といえども、家事育児の主な担い手はまだ女性である。ということは、女性たちは、有給の職業と家事育児に、さらに議員の仕事が加わる困難を承知の上で立候補することになる。


いったい、どんな動機で立候補を決意するのか。ノルウェーの市議会議員だったが今回立候補していない女性に聞いた。選挙真っ最中のベアテ・ブルンとは違った答えが聞けるかもしれない。


公立病院のX線検査技師を退職したばかりのグロ・クリステンシェン(写真)は、立候補した動機を冒頭のように私に言った。「民主主義のシステムづくりへの参加は義務だから」というのだ。日本なら政治学の著書でしかお目にかかれないような言葉だ。


グロ・クリステンシェンは、2011年までエルベルム市の市議会議員(労働党)だった。立候補を依頼された当時、大病院で50人以上の職員をまとめる部署の部長職という重責にあった。仕事が猛烈に忙しいことと家庭の事情もあって悩んだ末の決意だった、という。


投票日が近づいても、病院での仕事は日々続く。いったいどんな選挙運動だったのか?


「選挙運動ですか? 新聞の”討論”のページに意見を載せたほかはとくにしませんでした」という(注)。初めて立候補した人が、選挙運動をほとんどしなかったというのだ。日本の選挙では考えられないことで、比例代表制ならでは、だ。比例代表制選挙では、有権者は候補者に1票を入れるのではなく政党に1票を入れる。だから候補者個人は顔や名前を売ったりする必要がない。


とはいえ彼女には個人票も多くはいった。「党の候補者リストの23番でしたが、8番にあがって当選しました」。職業柄、多くの人から信頼されていたのだろう。ノルウェーの地方選では有権者がリストの順番を変えることができ、その加算票を多く取った候補者がリストの上位になって当選に結びつく。


当選後、職業と政治家をどう両立させたか、市議としての活躍ぶりなどを、またの機会に紹介したい。




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【注】新聞の「討論」欄は声の欄のようなもの。グロ・クリステンシェンの意見が載ったのは地方紙の「討論」欄。通常1ページだが、選挙のある夏ごろから数ページに増える。著者名と政党名に顔写真が載って、議論の分かれるテーマについて持論が展開される。さながら紙上政策討論会となる。グロは、病院・福祉分野の民営化反対の意見を出したそうだ。

【2019/11/3 更新】

by bekokuma321 | 2019-09-07 18:28 | ノルウェー

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テレビのニュースが、ノルウェーの高校生の投票結果を報道している。


それによると、労働党26.6%、保守党12.9%、緑の党10.8%、自由党10.2%、左派社会党9.9%、中央党9.9%、進歩党8.2%、赤党4.9% キリスト教民主党2.3%。(注)


テレビでは、前回より支持率を伸ばした「緑の党」 若者部が歓声をあげている。このスクールエレクションと呼ばれる高校生の選挙は、「民主主義を訓練するため」に30年前から始まった。


本番の選挙前に、ノルウェー全土の中高学校で行われる。まず各校で政党代表が一堂に会しての討論会を開く。校内で政党の候補者たちが公約を披露し、丁々発止と議論しあい、生徒の質問には丁寧に答える。さらに校内に政党の選挙小屋またはスタンドが設けられ選挙運動が行われる。実際に見て、目を丸くした。後日、生徒たちは校内で模擬投票をする。


昨日(9月3日)、オスロ市内の中央官庁近くにあるエドワード・ムンク高校に行ってみた。校内にはいると玄関近くのホールに投票所が設けられていた(写真上)。生徒は、まず受付で身分証明書を見せて、確認をもらう。次に、ブースに入って(写真上の右側)、そこに並ぶ投票用紙(各政党の候補者リスト)の中から支持政党のリスト1枚を持ってくる。ブース前に置かれたテーブルで、投票用紙に印鑑を押してもらって、投票箱に入れる。


政党の候補者リスト(それが投票用紙となる)は本番と同じ用紙を使う。本番と違うのは、政党の決めた候補者リストを変更できないことだけだ。日本の文部科学省にあたる省の下部機関NSDが補助金を出すなどで支援し、集約作業に責任を持つ。主催は各校の生徒会だ。


「投票するだけでなく、投票監視や事務など選挙委員会の仕事も生徒がします。僕たち生徒は、とても真剣ですよ」と、高校3年生のアーレンは私に言った。


高校生が自らの考えで政党を選び選挙に臨む姿、それを奨励している教育方針に、高校教員だった私は感動を覚えた。



【注】今回、ある高校のスクール・エレクションで違法的行為があったのではないかとNRKが報じている。詳しくわかったらお知らせする。


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   ▲オスロの官庁街近くにあるエドワード・ムンク高校(Edward Munch VGS)

エドワード・ムンク高校の2019年スクールエレクション結果




by bekokuma321 | 2019-09-05 05:14 | ノルウェー