ノルウェーには国立の女性博物館がある。夏はとりわけ充実したイベントで人気がある。

でも、いったいどんな経緯で国立女性博物館なるものができたのか。詳しくは「叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち 第61回 夏だ、女性博物館に行こう」を。

c0166264_15173850.jpg
             ▲記念すべき1993年のポスター

1993年、「女性博物館 第1回企画:ヘードマルク女性たちの作品」
1995年、ソニア王妃を迎えて、プレ・イベントのオープニング
1998年、国立博物館として認定
2000年、企画展「カミラ・コレットの笑い」
2013年、女性参政権獲得100周年イベント「当時の声、今の声」
2018年、夏の特別展「行間を読め」。世界を揺り動かした#MeToo運動がテーマ。セクハラ根絶を願うポスターや芸術作品が、9月1日まで部屋いっぱいに展示されている。


ノルウェー労働党党首セクハラを語る
ブルントラント元首相 セクハラ被害を語る
ノルウェーDV予算をめぐる攻防
[PR]
by bekokuma321 | 2018-08-15 15:23 | ノルウェー

ドキュメンタリー映画「コスタリカの奇跡」を見た。

1948年に軍隊を廃止した中南米の小国コスタリカ。「兵士よりも教師を」と、軍事予算を社会福祉教育予算に回す道を選んだ。教育や医療は、北欧諸国と同様、無料だ。これこそ平等の基本のキだ。

画面には、平和への歴史をつくった大統領たちに加えて、教育や医療現場における女性たちの生き生きした言動が映し出される。コスタリカは平和だけでなく、平等への道を選んできたことがよくわかる。

現にコスタリカでは、女性議員は、国会の57議席中26議席、45.6%にのぼる。IPUの最新統計によると、世界第7位である。恥ずかしながら日本は世界第158位だ。

マッチョのラテン国家を男女平等に近い国に押し上げてきた要因は何だろう。

政治に関していえば、選挙制度が北欧諸国のような比例代表制であることに注目すべきだ。政党は、選挙の際、前もって候補者名簿(リスト)を決めて選管に提出する。政党は、候補者リストを作成する段階で40%のクオータ制をとるよう、法によって規制されている。選挙区は、これまた北欧と同様、複数定数制だ。コスタリカでは、1選挙区から4~19人だという。有権者は候補者ではなく政党を選ぶ。結果、どの政党からも女性が一定程度選ばれることになり、結果として女性率40%を超えることになる。

IDEAは、コスタリカの選挙に関して最新情報をまとめている。和訳して紹介する。

【2009年の法改正によって、国会は女性率を50%にすること、候補者リストの順番を厳格にすることが規定されて、2014年の国会議員選挙から施行された。

選挙法は、ジェンダーによるクオータ制に加えて、政党の内規は党内において男女平等の推進のための条項を規定しなければならないとしている。

1998年の選挙において、40%クオータ制が施行されたものの、選挙管理委員会は、それを満たさない政党の候補者リストを拒否せず受け付けた。それに対して数多くの団体から批判が起こった。

そこで、選挙最高裁判所は、1999年、クオータ法の解釈について次のような判決を下した。
1)候補者リストは、一方の性を少なくとも40%含める
2)候補者リストは、当選圏に少なくとも女性を40%含める
3)議席数は、前回の選挙における選挙区の政党得票数に従う】


c0166264_1131617.jpg


メキシコは正真正銘の候補者男女同数
[PR]
by bekokuma321 | 2018-08-13 11:12 | 中南米

夏休み、スヴァイン・インヴォルド(Svein Ingvald) は、妻や家族と、フィヨルド岸のサマーハウスで過ごす。しかし、家の庭先に広がる美しいフィヨルドには、朝から夜まで、大型クルーズ船が行き来する。

彼は、緑の党党員。自然保護や持続可能な漁業を願っている。もともとは市の保健課長。今はペンショナー(年金者)だ。

日曜日、彼は、朝8時、おしっこに起きた。目の前にクルーズ船がやってた。とっさに彼は、裸でクルーズ船に向き合った。妻に写真をとってもらって、フェイスブックに載せてほしいと頼んだら断られてしまった。そこで写真を自分のフェイスブックに載せた。

ただちに反響が押し寄せ、メディアも大きく取り上げた。中には「彼は市議会で、緑の党の政策にもっと関心を持ってほしいといつも願っているが、今回、それを成し遂げた」と。効果抜群の抗議行動には、何の準備も資金もいらなかったことを紹介している。

日本人は驚くかもしれないが、彼は、ノルウェーのクヴィンヘーラ(Kvinnherad)市の現職の市議会議員である。

クヴィンヘーラ市議会のなかで、彼の属する緑の党はただ1人。市の人口13000人、市議35人。政党は多彩で、勢力分布は保守党12、労働党8、中央党6、進歩党3、キリスト教民主党2、ローカル・リスト2、自由党1、緑の党1。フォルマンスカープ(参事会)は9人で、保守党3、労働党2 中央党2、進歩党1、キリスト教民主党1で構成されていて、緑の党はいない。

ノルウェーは、比例代表制選挙なので、有権者は政党を選ぶ。小さな自治体でも、大政党は大政党なりに小政党は小政党なりに、5つか6つの政党から議員が出ている。ただ、クヴィンヘーラ市のような8政党の市は、とても珍しい。またクオータ制をとる政党が多く女性議員も多い。クヴィンヘーラ市はクオータ制に熱心とはいえない保守党の強いこともあり、女性議員は34%にすぎない。ちなみに、ノルウェーの地方議員の多くは無報酬である。通常の仕事を持ったり学生だったりしながら、夜に会議を開く。

メディアによると、スヴァイン・インヴォルドは、今回の突飛なアクションについて、こう語る。

「この写真投稿は、フィヨルドが巨大クルーズ船の遊園地になっている、我々は自然環境をこんなふうにしている、という事実に対する、私なりの行動です」

「ふと思いついたのです。私は眠るときはいつも裸なんです。裸でなかったら、このとっさの行動はなかったかもしれませんね」

スヴァイン・インヴォルドのフェイスブックをさきほど見た。すでにオリジナル写真は削除されていた。彼は「反響が大きく電話は鳴りっぱなし。71歳の人間にはフィヨルドの大型クルーズ船のもたらすことより危険です」と冗談っぽく書いている。でも、報道写真はそのままだ。そこには「コペンハーゲンには人魚姫、我々にはスヴァインがいる」という、なんとも楽しいコメントがあった。

彼の妻はアーティストらしく、彼女のフェイスブックには、上品なアート作品が数多く投稿されている。夫のヌードを載せたくなかったのは、よくわかる。


c0166264_12321136.gif
       ▲クヴィンヘーラ市の観光パンフレットより


Slik protesterte Svein Ingvald (71) mot cruisenæringa
Kvinnherad kommune
女性議員やミニ政党が当選しやすい選挙制度とは
[PR]
by bekokuma321 | 2018-08-10 12:51 | ノルウェー

医師の46%は女性(OECD)

東京医大の女性差別入試スクープは、あらためて政府の「女性活躍推進法」なるものがいかに空疎なものかを露呈した。

OECDから発表された「Health at Glance2017」に興味深い記述がある。和訳する。

「2015年、OECD加盟国において、医師の46%は女性である。2000年は39%だった。少なくとも11カ国で、医師の半数は女性となっている。なかでもラトビア、エストニアでは、女性は70%以上を占める。増加率が高かったのは、オランダとベルギーであり、それぞれ49%、47%である。それとは異なり、日本と韓国では医師の5人に1人しか女性がいない。」

OECDの足を引っ張っているのは、わが日本とお隣の韓国のようだ。原文は下の表紙をクリックしてどうぞ。

c0166264_18564756.jpg

[PR]
by bekokuma321 | 2018-08-04 19:13 | その他

全国フェミニスト議員連盟が、さきの「改正選挙法」に抗議した。施行されたばかりの「候補者男女均等法」を無視したことに反対し、比例代表制に変革ことや比例代表制枠を増やすなど、選挙制度の抜本的改革を求めている。


♀♀♀「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(「候補者男女均等法」)を生かした「選挙制度の抜本的見直し」を求めます♀♀♀

総務大臣、女性活躍担当・内閣府特命担当大臣 野田聖子様
参議院議長 伊達忠一様
政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会委員長 石井浩郎様

7月18日、衆院本会議で、自公両党などの賛成多数で「改正公職選挙法」が成立しました。参院定数242人から248人に6人増やして、比例区には、党があらかじめ決めた候補が優先的に当選できる「特定枠」を設けるとされています。

「1票の格差是正」を求めた最高裁の判示に対して、3年前、国会は、合区によってお茶を濁したため、来夏の参院選までに「選挙制度の抜本的な見直し」をすると付則で約束していました。しかし、今回も、6人のうち2人を埼玉選挙区に増やして議員1人当たりの有権者数を少し減らす、に終わっています。絶えず大都市への人口の移動があるのですから、このような変更なら何度変えても一票の格差は解消されません。また、「特定枠」は「1票の格差是正」とは関係がなく、合区によって擁立できない県の候補をここにあてはめて自民党内の不満救済を図ったものであり、「党利党略」との批判はもっともです。

「選挙制度の抜本的な見直し」のためには、比例代表制選挙への改正を検討すべきでした。比例代表制にすれば、一票の格差はただちに解消されるからです。さらに世界各国の選挙や国際機関の文献が示すように、比例代表制選挙では女性が立候補(又は女性を擁立)しやすくなり、女性議員増につながります。

少なくとも、定数を変えずに比例区枠を増やし、政党を選ぶ選挙にして、その政党の候補者名簿の半分は一方の性にする、という方策を検討すべきでした。それこそ、全会派一致で成立をみた「候補者男女均等法」(政治分野における男女共同参画の推進に関する法律)の趣旨であり、具体的に生かす方策です。こうすることによって、女性議員の極端に少ない衆議院(世界193カ国中160番目、G7で最下位)との間に違いが出、二院制の意義も高まります。

しかしながら、伊達忠一参院議長は、各党から出た対案の審議すらせず、「候補者男女均等法」に尽力した市民団体の声を聞く場も設けませんでした。選挙制度改正に向けて調整の任を負う議長の責任を放棄したといわざるをえません。

選挙は、主権者である国民の意思が反映された国会・地方議会をつくるためにこそ存在します。その主権者の半分は女性です。

私たち全国フェミニスト議員連盟は、総務大臣、参議院議長ならびに「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」委員長に対して、抗議するとともに、女性の意思が反映される国会・地方議会をつくるために、「候補者男女均等法」の魂を生かした「選挙制度の抜本的な見直し」を強く求めます。

あわせて私たちは、全政党に対して、「特定枠」の半数を女性にするよう要請する覚悟であることを、表明いたします。

2018年7月31日

全国フェミニスト議員連盟共同代表 小磯妙子(神奈川県茅ケ崎市議会議員)/まきけいこ(千葉県船橋市民)/事務局 脇礼子(神奈川県藤沢市議会議員)

c0166264_15494731.jpg


「身を切る改革」どころか「民意を切る改革」
[PR]
by bekokuma321 | 2018-08-03 15:50 | その他

東京医大の露骨な女性差別を知った。8月2日の読売新聞によると、

「東京医科大(東京都新宿区)が医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点していたとみられることが2日、関係者への取材で分かった。不正な操作は2010年前後に始まっていたとみられ、最近まで続いていた可能性がある。女性は結婚や出産を機に職場を離れるケースが多いため、女子合格者を全体の3割前後に抑え、系列病院の医師不足を回避する目的があったという。」

8月3日の朝日新聞は「東京医大 女子を一律減点 合格3割以下に抑制か」「女子減点 差別と偏見」と見出しをつけ、次のようにフォローした。

「東京医科大の入試で秘密裏に、女子受験者の点数が一律に減点されていた。時代に逆行する差別の発覚に、同大幹部も『とんでもない話で、許されない』と憤った。一方、女性医師らからは、構造的な問題を指摘する声も出た。」

女学生を何が何でも減らしたい東京医科大はどんな方法をとったか? 女子の合格者を3割程度に抑える目的で、いつからかは不明だが、「マークシート方式の一次試験の結果に一定の係数をかける手法で長年にわたって行われていた」という(朝日 2018.8.3)。

c0166264_113257.jpg女生徒たちは、そんな女性のみの減点操作が秘密裏に行われていることを知るはずもない。受験対策上、安全策をとって志望大学を変える女子受験生もいただろうが、必死に頑張った女性は多かったのだだろう。減点されても、女性は4割弱になったという。

そこで2010年、驚くべきことに、大学側によって女性へのさらなる減点策が編み出されて操作された。その企みの成果だろうが、2011年以後、女子の合格率は男子を下回る。男女の合格率の推移が示す(右図、朝日新聞2018.8.3)。

2018年の受験者は、おおよそ女4割、男6割。しかるに合格者は、女2割以下、男8割以上だ。朝日によると、大学関係者はこう証言する。

「2010年の一般入試で、女子の合格者が38%に上昇。『学内で困ったな、という話になった』(関係者)といい、翌11年からは、女子の得点がさらに減るよう、係数を変えたという」

燃えるような意思と高い才能が備わっていても、たまたま女に生まれたというだけで、医学の道を狭められてきた受験生たち―――なんという女性差別だろう。

教育は、雇用や社会的・政治的権利の基礎をつくる。だからこそ、教育では、男女平等と女性の地位向上の精神をもっとも徹底させなければならない。

憲法11、13、14、26条、教育基本法4条、女性差別撤廃条約1条に男女平等の教育が掲げられている。東京医科大における女子のみ減点制度は、これらすべてに違反する。

そのなかから、女性差別撤廃条約1条をかかげる。

第1条 この条約の適用上,「女子に対する差別」とは,性に基づく区別,排除又は制限であつて,政治的,経済的,社会的,文化的,市民的その他のいかなる分野においても,女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。

同条約は、「教育課程の男女同一」「固定的役割分担意識の克服」のため、「すべての適当な措置をとること」と明文化している。さらに「女子に対する差別とは、性に基づく区別,排除又は制限である」としたうえで「事実上の平等促進目的の特別措置をとることは差別とみなしてはならない」と、平等のための暫定的特別措置(アファーマティブ・アクション)をとることを認めている。

たとえば、男女平等政策に熱心なノルウェーでは、70年代から、大学において女性教員が少ない分野(学部)への女性教員の優遇策をとってきた。これは、長年の女性差別を解消する方策として認められる。

このたび発覚した東京医科大の女子のみの減点は、この真逆であり、絶対に許されない。

筆者は、男女共学の都立高校教員だった。その後、東京都議会議員になり、1990年ごろ、都立高校のいわゆるナンバースクール(もと旧制高校)の女子募集枠の極端な少なさを問題にして、改正を訴えた。

90年当時、都立高校全体で普通科の募集は女24998人、男27740人。女が2742人少なかった。私たちの抗議に対して、東京都は、「男女別々に募集してきた定員を撤廃して男女合同定員制にする」と応じた。しかし、男尊女卑が残存するなかで、性別定員が不明となれば、結局、内々に男女比が決められる恐れがあるため、男女別定員を堅持したうえで、男女半々にとさらに要求していった。

あれから4半世紀。日本の女性差別は、教育分野でさえこのように露骨であり、根は深い。

その最大の要因は、日本の政治が女性差別撤廃にきわめて弱腰だからだ。教育分野でいえば、安倍政権は、弱腰どころか女性差別を容認しているとしか見えない。2006年、日本最大の改憲運動体といわれる日本会議(注)や日本会議ダミー団体を支えに、安倍内閣は教育基本法を変えた。旧教育基本法第5条は、男女平等のために男女共学を保障していた。しかし、もとの5条は削除されて、男女共学の保障は消えてしまった。男女平等原則を一応否定していないものの、男女共学をあるべき教育の姿としてはいない。

c0166264_113011.jpg
▲朝日新聞2018.8.3

More
[PR]
by bekokuma321 | 2018-08-03 12:00 | その他