カテゴリ:ノルウェー( 615 )

平和、女性解放、連帯ーー古くて新しい世界的テーマ。寝ても覚めても私の目に飛び込んでくるように、寝室に飾ってある。

ポスターは『I女のしんぶん』新年号に掲載された。『I女のしんぶん』は1962年に結成された差別と戦争のない社会をつくるための定期刊行物。今こそ応援したい。ぜひ購読を。申し込みはこちら Email info@ijosei.jp Tel 03-3816-1862  Fax 03-3816-1824。

世界のポスターについては、Web「叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち」サイトで、ポスター画像や解説も読める。

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by bekokuma321 | 2018-01-10 10:16 | ノルウェー

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1月5日、朝日新聞は「クオータ制」をわかりやすく解説していた。題して「(いちからわかる!)日弁連も始める『クオータ制』って?」

昨年12月8日の日弁連臨時総会で決まった副会長のうち2人は女性にするという「クオータ制」記事(河原理子記者)のフォローアップだ。

これを機に、世界の国々に影響を与えてきた「クオータ制」の産みの母ベリット・オースに心から敬意を表したい。ベリット・オースは、オスロ大学名誉教授。左派社会党初代党首、アスケル市副市長、市議会議員、国会議員を歴任した、卓越した指導者だ。2003年、来日して、大阪府豊中市男女共同参画推進センター「すてっぷ」や、名古屋市、高知市、武生市で講演をしたこともある。

1980年代、私はノルウェーでクオータ制を初めて知った。「これぞ女性を政界に増やす秘策」とひざをたたいた。日本でも、と翻訳・紹介し、何十もの記事を書き、講演しまくった。何年間かで日本でも導入しようと…。今思えばなんと無謀だったことか。赤面してしまう。

「クオータ制」という日本語に決めるまでは悩んだ。ノルウェー語ではKvote。英語にするとQuota。日本語では「割り当て」だが、どうもしっくりこない。発音をカタカナして紹介したほうがよさそうだ。でも、中学英語にあるクオーター(4分の1)と間違えやすい。Quotaだけでなく、Quota systemとセットで訳したほうがいいのでは。発音をカタカナにするとクオウタか、クウォータか、クォータか。ノルウェー王国大使館広報官の方々と、ああでもない、こうでもないと、頭をひねった。

あれから30年。ようやく日本でも普通に「クオータ制」が話題に上るようになった。

ベリット・オースは、1973年、民主社会党(現在の左派社会党の前身)党首だったとき、自党にクオータ制を導入した。選挙の候補者の半数を女性にしたのだ。「50%クオータ」だった。クオータ制を政策決定に女性を増やす策として使ったのは、これが世界初のことだった。

ノルウェーでも、クオータ制の道は平たんではなかった。その歴史は、『ノルウェーを変えた髭のノラ:男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)に詳しい。あらましは●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回でも読める。

彼女の実践した政界におけるクオータ制は、男性の育児参加や、教育界、経済界に広がり、さらに国連やEU諸国に波及していった。関心のある方は、右の「タグ欄」から「クオータ制」をクリックしてどうぞ。

【写真:90歳近くになっても女性解放の炎を絶やさないベリット・オース。ノルウェーのアスケル市自宅にて】
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by bekokuma321 | 2018-01-07 22:11 | ノルウェー

c0166264_0395776.jpg12月11日から、ノルウェーの国会議員アウドゥン・リースバッケンが、3か月の病気休暇にはいると、報道された。彼は、野党の左派社会党党首であり、元子ども・平等・社会大臣。

ノルウェーでは、他の労働者同様、国会議員が休暇を取ることは珍しくない。

でも、3か月も休暇をとって、国民の代表としての職務は? ただちに代理議員がバトンタッチするので、まったく心配ない。

最近、日本でも議員の育児休業をめぐって代理議員の話題がメディアに出た。そこで、あらためてノルウェーの代理議員制度をふりかえってみたい。

ノルウェーは比例代表制で、選挙区(=県)から複数の議員が選ばれる。代理議員制度の土台には比例代表制があるので、ここはしっかりおさえたい。

アウドゥン・リースバッケンは、ベルゲン選出の国会議員だ。彼の選挙区は、ベルゲンを含むホルダラン県(Hordaland)で、定数16人の大選挙区。首相もここの出であり、保守党支持者が多いところだ。

2017年9月、総選挙があったばかりだ。有権者は、候補者にではなく、支持する政党に1票を入れる。政党の獲得票に比例して、ホルダラン県16人の政党の議席はこう分けられた:保守党5、労働党4、進歩党2、中央党2、左派社会党1、キリスト教民主党1、自由党1。

左派社会党は1人だけで、当選したのは、候補者リスト1番のリュースバッケンだった。

c0166264_0543189.jpg今回、病気休暇をとる彼の議員職を埋める代理議員は、彼と同じ選挙区の左派社会党候補者リスト2番目のジーナ・バースタッド(Gina Barstad)だ。彼女は、選挙で次点の候補だった。

若さあふれる31歳。とはいえ彼女は、以前もリュースバッケンの代理議員として国会議員をつとめた経験と実績がある。彼が大臣に就任したためだった。ノルウェーでは、権力の集中を防ぐため、大臣と国会議員は兼務できないのだ。

ノルウェーの国会議員は、育児休暇や病気休暇をよくとるが、国会議員の休暇は、働く者の権利として保証されているうえ、職務は選挙時の次点候補がカバーするので、休暇をとったからと議員を批判する有権者はいない。その一方、代理議員制度は、次点候補ーー若い人のことが多いーーの国会への登竜門ともなる。

c0166264_0551332.jpgアウドゥン・リースバッケンは左派社会党党首なので党首代行も必要となる。党首の代行は副党首カースティ・バーグストゥー(Kirsti Bergst)が就任する。彼女はフィンマルク選出の国会議員で、サーミ出身の1981年生まれの30代だ。

NRKによるとアウドゥン・リースバッケンは、こう語っている。

「もうじき戻ってきます。ラッキーなことに僕の周りには党のすばらしいチームがいて、僕のいない間を支えてくれるでしょう」

ちなみに地方議員は、北欧ではそもそも仕事や学業をもっていて、余暇に働くボランティア(無給)だ。職場や大学から免職されれば、国会議員よりも休暇をとるケースが多いようだ。私自身よく見聞きした。中には1年間の教育休暇をとった地方議員の話を聞いたことがある。

【写真:上は党の公式HP、中と下はFace Bookより借用】

Audun Lysbakken i sykepermisjon
パパにもっと時間ができた! 
男性大臣2人の育休 
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by bekokuma321 | 2017-12-19 11:29 | ノルウェー

2017年も終りに近づき、遅くなってしまったが、Democracy Index2016をお知らせする。

それによると、またもノルウェーが世界でもっとも民主主義度が高い国に選ばれた。トップの5位まで、ニュージーランドの他すべて北欧諸国だ。

5カ国ともに、選挙制度が比例代表制であることはもっと注目されていい。日本は20位。

1 ノルウェー9.93
2 アイスランド9.50
3 スウェーデン9.39
4 ニュージーランド9.26
5 デンマーク9.20
6 カナダ 9.15
6 アイルランド 9.15
8 スイス 9.09
9 フィンランド 9.03
10 オーストラリア 9.01


英誌「エコノミスト」の調査部門が定期的に発表している民主主義度ランキングだ。調査国は160カ国以上。調査項目は以下のとおり。

① 選挙過程と多元主義electoral process and pluralism:
「国会議員選挙、首相選挙、地方議会選挙が自由に公平に行われているか」「政党の政治資金の出し入れは透明であるか、かつ一般に受容されているか」など12項目

② 政治機能functioning of government:
「自由選挙で選出された代表が政策立案にたずさわっているか」「国会が、他の行政機関よりも上位にある最高の議決機関であるか」など14項目

③ 政治参加political participation:
「投票率」「少数民族や少数派があげた声が政策過程に反映されるか」「国会議員における女性の割合」「政党や政治団体への参加率」など9項目

④ 政治文化political culture:
「安定した機能的な民主主義を支えることに世論は合意しているか」「議会や選挙を無視するような強いリーダー像を望んでいるか(筆者注:望む文化だと減点)」など8項目

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Democracy Index 2016 Revenge of the “deplorables”



【注:このニュースはすでに紹介済みであることがわかったので、再度の掲載となる。強調点が違うので、2つを参考にしてほしい。既報はこちら民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
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by bekokuma321 | 2017-12-18 20:12 | ノルウェー

c0166264_22101493.jpg 2017年11月9日「グレーテ・ベルゲがたったいま亡くなった」というメールがノルウェーの友人から届いた。

ジャーナリストのグレーテがブルントラント首相付きの広報担当官に抜擢されたのは1988年。数年後、ノルウェーの子ども・家族大臣にと、首相から懇願された。小さな子どもを持つ、現役ママ大臣の登場だった。私は夢中で取材して『ママは大臣パパ育児』(明石書店)を書きあげた。

今では日本でも耳にするようになった「パパ・クオータ」は、グレーテが音頭とりをして進められた。「パパ・クオータ」とは父親も育児休業をとるように誘導する公的政策だ。

またジャーナリストだったグレーテは、新鮮な言葉をいろいろ駆使して、意識改革にも力を入れた。

右のポスターは、彼女が男女平等大臣だった90年代後半のもの。子ども・家族省と男女平等オンブッドと男女平等審議会の3機関が手を携えて作成した。

ポスターを見ていると、今でこそ世界トップクラスの男女平等国ノルウェーだが、そこにたどりつくまでには国をあげて”女性運動”に頑張っていたのだなあ、とわかる。

ド派手な黄色のシャツにジャラジャラ・アクセサリーをつけた厚化粧の金髪女性が「私はフェミニストなんかじゃないッ」と叫ぶ。

ところが彼女は次に「でも、なぜ?」とつぶやく。「でも、なぜ昼休みの電話番はいつも女なの?」(1行目のノルウェー語の訳)

2行目からのノルウェー語は「叫ぶ芸術 ポスターで見る世界の女たち」をどうぞ。
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by bekokuma321 | 2017-12-13 22:43 | ノルウェー

12月10日、オスロ市庁舎で、2017年ノーベル平和賞授賞式典があった。一日遅れたがYoutubeで視聴した。

今年は、草の根組織ICANの活動が選ばれた。受賞者を代表して、記念スピーチをしたのは、ICAN(注1)事務局長ベアトリス・フィーン(Beatrice Fihn) と核兵器廃絶運動を続けてきた被爆者のひとり日系カナダ人節子・サーロウ(Setsuko Thurlow)。

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   ▲節子さんにポインターをあててクリックするとノーベル平和賞受賞式が映る

2人は、ノルウェー国王夫妻、皇太子夫妻、ノルウェー首相夫妻をはじめ、各界リーダーたちの拍手喝采をあびながら、スピーチを終えた。腹の底からの怒りを絞り出して訴えた節子さん。その一部を紹介する。

節子さんは広島生まれ。1945年8月6日、節子さんは、アメリカが広島に落とした原子爆弾の閃光を窓から見た。13歳だった。

がれきにうずもれて命がはてそうだった節子さんに人の声が聞こえたーー

「あきらめるな」
「がれきをかきわけて前に進むんだ」
「速くはって行け。光が見えるだろう」 

彼女は暗闇のなか前に進んだ。そして一命をとりとめた。しかし、家族や同窓生351人は無残にも燃えて灰に変わってしまった。

この残忍な原爆投下を戦争犯罪と認めず、「正義の戦争」を終わらせた「よい爆弾」という神話を信じている人がいるが、この神話こそ、今日なお核軍備競争に走らせているのだ。節子さんは断じた。

7月国連で核兵器禁止条約(注2)が採択された。人類最悪のときの生き証人である節子さんは、人類の最善のときの証人となった。この条約こそ、命をつなぐ光である。条約を拒む者たちは、歴史に指弾されるだろう。

いかなる障害が立ちはだかろうとも、前に動き続け、前に進み続け、この光(条約)をともに分かち合おう。この光こそ、私たちに託されたことなのだーーこの大切な世界が生き続けるために。

途中、拍手で何度か中断された。目をうるませるひと、涙を拭くひと・・・。13歳のとき、がれきのなかでかけられた言葉(注3)を再び繰返して、節子さんがスピーチを終えようとしたとき、拍手はクライマックスに達し、会場が総立ちとなった。

節子さんは、緑色の海原と白い波の模様で彩られた黒のロングドレスをまとっていた。着物地を仕立てたように見えた。日本女性初のノーベル賞受賞者にふさわしく、終始、堂々と威厳に満ちていた。c0166264_1534419.jpg


【注1】ICANは、「核兵器廃絶国際キャンペーンInternational Campaign to Abolish Nuclear Weapons」の愛称。日本を含め101カ国、468団体の連合組織。オーストラリアで創設され、事務局はジュネーブ。核兵器を条約で禁止しようと絶えまぬ努力を続けた。
【注2】今年7月、国連で122カ国が賛成して採択された。50カ国が批准すれば発効する。締約国には核兵器の開発、実験、生産のほか、核兵器を使った威嚇などを幅広く禁止した。前文で「ヒバクシャ」という表現を用い、核兵器の使用による犠牲者や核実験による被害者にもたらされた受け入れがたい苦痛と被害に言及した。しかしながら、ICANが創設されたオーストラリア、世界唯一の被爆国日本、ノーベル平和賞のノルウェーは賛成しなかった。
【注3】"Don't give up! Keep pushing! See the light? Crawl towards it."

2017 Nobel Peace Prize Ceremony(Youtube: Setsuko Thurlowの演説を含む全録画。 上の写真は本動画より借用)
Nuclear annihilation 'one tantrum away', Nobel peace prize winner warns
2017 ican lecture
Følg festen live her! Fredsprisfesten streames her
Nobel Peach Laureates_2107 Presentation Speech
Setsuko Thurlow Gives Final Remarks at Ban Treaty Adoption
Setsuko Thurlow Speaks At the UN
The nobel peace prize
「私たちは死よりも生を選ぶ代表者」 ICAN受賞講演

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▲オスロ市庁舎正面入り口。ノーベル平和賞受賞式は中央の建物1階で行われる。オスロ市は現在、中道左派が連立を組み市長も副市長も女性。ちなみに首相も女性、ノーベル平和賞選定委員会委員長ベリト・レイス・アンデルセンも女性。前委員長も女性だった

<2017年12月12日更新>
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by bekokuma321 | 2017-12-11 15:16 | ノルウェー

先日、北欧とくにノルウェーのDV政策を多摩市で紹介した。

DVシェルターで働く人たちは両国ともボランティアだ。しかし、ただ同然で働く日本と、報酬を受けて働くノルウェーとの違いに驚いたという感想を多くいただいた。

中でもDVを受け続けてきた女性でなければ絶対に書けない感想に接し、日本の受け皿の貧弱さにあらためて悪寒が走った。

しかし、ノルウェーの性暴力撤廃運動にかかわる人たちは、ノルウェーの現状に決して満足してはいない。彼女たちは鋭く政府を批判し、改善策を求めて果敢に頑張っている。だからこそ問題の所在も明らかになる。また、DVシェルターに身を寄せる女性の半数以上がマイノリティだと言われている。イスラム世界からやってきてノルウェーで家庭を持った人には「強制結婚」「名誉殺人」さえある。事態は深刻化している。

そんななか、今秋ノルウェー総選挙があった。続投に決まった保守中道政権が、来年度からDV関係予算を削減するというニュースが届いた。

DV運動関係者はただちに予算削減を非難して、復活を求めてロビー活動を続けていた。どうなるのかと心配していたが、数日前「万歳! ありがとう」というDVシェルター連合代表Tove Smaadahlの声がネットに舞った。政府の予算削減案が退けられ、逆に増額されたというのだ。

日本なら考えられないDV関係予算増。その背景にあると考えられることを3つほど簡単にまとめる。

第一に、ハリウッド映画プロデューサー・ワインスタインのセクハラ報道をきっかけに、性暴力を告発する「#MeToo(私も)運動」が世界をかけめぐった。ノルウェーでは、ワインスタインによる強姦被害を早い時点で公にした女優ナターシャ・マルタ(Natassia Malthe)がノルウェー人であることもあり大々的に報道された。ノルウェーのMeToo反応は高く、性暴力を許さないムードが一気に広がった。

第二に、11月、ジュネーブで国連女性差別撤廃委員会CEDAWがあった。そこでノルウェー政府レポートの審査があった。参加した民間団体代表は、性暴力対策への補助金がCEDAWから評価されていることを持ち帰って、ロビー活動や女性運動に拍車をかけた。

第三に、保守中道政権は少数政権で、予算通過は予断を許さない。ボランティアでDV被害相談をしている大学法学部生たちや、閣外協力をしている自由党国会議員らは、DV関係予算削減への反対に熱心だった。

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 ▲赤ちゃんを連れて駆け込んだ女性がいたのだろう。DVシェルター相談受付前にはベビーカーが置いてあった。ノルウェーのハーマル市

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Vold mot kvinner:Vi bør lytte mer til sinte feminister
1040 kvinner snakker i dette oppropet ut mot overgrep i norsk musikkbransje(「世界で最も男女平等の国」でさえこのありさまだとMeTooを報道するアフテンポステン紙)
北欧DVシェルターは24時間365日オープン
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by bekokuma321 | 2017-11-23 23:10 | ノルウェー

c0166264_2017033.jpg私の周りには、幼い頃から常にDVがありました。その私から見て、日本でDV対応がちゃんとなされているとはとうてい思えません。

ですから福祉先進国といわれる北欧がどのような対応をとっているのか、とても興味がありました。それで三井マリ子さんの「北欧のDV対策と日本の今後」という講座に参加しました(注)。

刺激的ポスター
会場で渡された講演資料を手にとると、日本とはまるで違う刺激的なポスターのコピーが目に入りました。このような暴行を受けた女性のポスターを日本で貼ったら苦情が来るんだろうなと思いました。

でも、義母から10年にわたって食事を与えられない、殴る蹴る、押し入れに閉じ込められるなどDVを受け続けてきた私にしてみれば、DVの真の姿は、ノルウェーのポスターより実はひどいのです。

日本なら1250カ所のDVシェルター
お話が始まって、まず驚いたのは、ノルウェーには公的資金がはいっている駆け込みシェルターが50カ所あるということです。人口は大体500万人なので日本をノルウェー並みにするには、単純に数だけで1250か所は必要だと言う事になります。

日本に公的資金が入っているシェルターが何個あるのか、私はよく知りません。ただ日本では、DVを受けた被害者には、よほどの事が無い限り、外から手を差し伸べてくれるなんていう事はないと私は思っています。私が子ども頃に受け続けたDVは、完全に逮捕されるレベルだとは思うのですが、当時は「子どもへのしつけ」の一言で片づけられていました。

時代は変わりましたが、平成(1990年代以降)になっても、DV対策はあまり変わっていないようなのです。

日本の行政は被害者をたらい回しにする
公的なところ(女性センターとか、市役所とか)に相談窓口があるとは聞きますが、そこに行っても「それは警察に報告したほうがいい」とか言われます。そして警察に行けば行ったで「実家があるのなら、そこに頼れ」とか「自分で何とか逃げろ」とか言われます。理由も原因もさまざまなのに、日本の行政にはがっかりする事ばかりです。

駆け込みシェルターらしき所に接触したことはあるのですが、あれこれ制限があって、被害者側に立って親身になってくれるということとは程遠いものだ、と感じました。

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それに比べて、ノルウェーは1970年代からDV対策がこんなに進んでいたとは、本当に驚きました。

そのノルウェーも、初めは女性たちがポケットマネーでDV相談を開設したことからスタートしたのだそうです。日本にもそういう女性はいるのでしょうが、数少ないのでしょう。そういう女性も出る杭は打たれるで、続かないのかもしれません。議員や行政の幹部になる女性がいても、結局権力側についてしまい、DV対策というようなことに熱心になる人が少ないのでしょう。

24時間365日体制で滞在日数無制限、働く人は有給
それに比べ、ノルウェーのシェルターは24時間体制、365日オープン。本気度が凄くて、天国のように感じてしまいます。おまけに滞在日数に制限がないそうです。

正直、女性が経済的に自立出来る状況は、ノルウェーより日本の方が難しいと思えるのに、日本の場合、早期に退所して、早期の自立を要求されては、たとえDV家庭でも、家を出る事を躊躇する人がいても不思議ではないと思います。

そのうえノルウェーでは、シェルターで働く人たちの給料が国立病院の看護士と同一だったそうです。公的資金が入っているからだと三井さんは言います。日本とは比べ物にならない程充実しているノルウェーのシステム。私たちの税金は、こういうところを優先的に使うべきだとつくづく思います。

DV家庭の子どもの声を聞こうキャンペーン
ノルウェーではDV家庭の子どもの声を聞こうというキャンペーンが盛んにおこなわれたということも知りました。日本は、子どもの死因や問題の背景にDVがあることを見ようともしません。

たとえば、子どもが夜中に繁華街をウロウロするのが問題だと言いますが、子どもが家にいられない状況に置かれていることを真剣にとらえている行政があるのでしょうか。形ばかりのミーティング位はするのかも知れませんが、行政が真の原因に立ち向かおうとしているなんて聞いた事もありません。日本の行政って、人権を無視しすぎると思います。

ノルウェーでは、1960年代前は今の日本と似ていたと講演で聞きました。同じ年月を使ってここまで進歩してきたノルウェーと、ひょっとしたら後退してるような日本との違いに唖然としました。

三井さんは、最後のほうで、公的資金がDVに配分されるかなど予算を決めるのは議会だと言いました。議員を選ぶ選挙の仕組みが日本とノルウェーでは違っているのだと思えました。私が生きてる間に、この日本をノルウェーのような仕組みに近づけることができるのでしょうか。

中山 あみ(サバイバー)

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【注:2017年11月18日、東京都多摩市関戸公民館にて、
TAMA女性センター市民運営委員会企画「DV防止週間講演会」】

パパ、ママをぶたないで (三井マリ子連載)
いじめ対策にノルウェーのオンブッド制度を
子どもたちがはぐくむ平等と包括教育
ノルウェーでDV殺害事件
「愛するパパへ」
ノルウェーの子どもオンブッド
WHO 女性への暴力は地球規模で蔓延
オスロDV被害増える
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
DV防止法8年、対応遅れる日本
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by bekokuma321 | 2017-11-21 20:46 | ノルウェー

変えなくてもいい日本国憲法を変えたい人が大勢、国会に増えた。

さて、ノルウェー憲法制定200年を迎えた2014年、私はオスロ中央駅の壁に巨大な展示物(下の1枚目)を見つけた。

「ノルウェーの肖像」 と題されたアート・プロジェクト。制作者はトロン・H・ハウゲン。 著名な絵画「1814 年アイツヴォル憲法制定議会」(下の2枚目)を、今風にアレンジして構成されていた。

最大の違いは、200年前の歴史的絵画に女性は一人もいないが、21世紀のポスターには女性が半数いることだ。さらに、労働者57人、失業者2人、学生6人、農業1人、移民13人、サーミ1人、性的マイノリティ6人、妊娠女性1人ーーノルウェー社会の正しい縮図が表現されている。

詳しい背景を知りたいかたは、「叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たちーーこれぞ民意の反映(ノルウェー)」( I 女のしんぶん)をクリックしてどうぞ。

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▲2014年、オスロ駅に掲げられたポスター「ノルウェーの肖像」(トロン・H・ハウゲン)。憲法制定200年を記念して制作された。1814 年憲法制定会議の代議員 112 人の現代版。写真は本物を接写

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▲「1814 年アイツヴォル憲法制定議会」by Oscar Wergeland。ノルウェー全土から選ばれた112人で憲法をつくった。本物の絵画はノルウェー国会議事堂内に掲げられている。写真は絵葉書

連載「衆院秋田3区の政党交付金」第 24 話 死に票がない比例代表選挙
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by bekokuma321 | 2017-11-20 16:58 | ノルウェー

c0166264_2297100.jpg11月11日、「選挙が変われば政治が変わる 選挙マルシェ」に参加しました。基調講演「民主主義世界一の国ノルウェーの選挙」(三井マリ子) について報告します。

印象に残っている特徴を2つあげます。一つはノルウェーの「選挙法」は、日本の「公職選挙法」とは全く違うということ。二つ目は、高校生による「スクール・エレクション」(政党討論会と模擬投票)が選挙前にいつも行われるということ。

ノルウェーの選挙法には、日本の選挙運動で禁止されている事が、ほとんどないと言えます。「選挙運動期間なし」「戸別訪問OK」「チラシは自由に何枚配ってもOK」「政党同士の公開討論会いつでも何回でもOK」「供託金なし」、など。

選挙は、完全比例代表制です。東京新聞の記事だったかFEM-NEWSだったかによると、「もうじき投票なのに、国会議員候補になっている友人が、選挙区を離れて三井さんを空港に迎えに来た」というのです。それは、比例代表制なので、選挙運動は、候補者個人が宣伝する必要がなく政党の政策PR中心だからのようです。

ノルウェーの投票率はいつも80%近いということです。この高い投票率を実現するために、有権者の立場に立っていると思われる次のような工夫がなされています。

⓵投票日は、9月第1または第2月曜日と法律で決まっている(解散がない) ②事前投票期間は2か月 ③事前投票所が身近に設けられている ⓸住民票のない地域でも事前投票ができ、選挙管理委員会が住民票のある自治体へ投票が済んだ用紙を届ける ⑤小学校から始まる政治教育によって、政治が身近である ⑥投票は、日本のような自書(投票用紙に自分で書くこと)ではない。投票ブースに用意されている全政党の候補者リストから自分の支持政党の1枚をとって投票箱にいれるという簡便さ。

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スクール・エレクションは生徒会主催の学校行事として、ノルウェー全土の高校で行われているそうです。ノルウェーの被選挙権は、選挙権と同じく18才からです。よって、高校生でも議員に立候補します。実際に地方議員に当選した女子高生の映像を見せてくれました。

スクール・エレクションは、強制ではないものの毎回、8割がたの高校が参加しているとのこと。大勢の生徒が、講堂に三々五々集まります。壇上に並んだ政党の代表者が次々に政策を説明し、政策ごとに討論しあいます。生徒たちの目はランランと輝き、関心の強さが映像からはっきりと伝わってきました。政党の討論会が終わると、別室にある政党の選挙ブースで、生徒たちは各自、政党に質問します。

1、2週間後、高校生が選挙管理委員となって「模擬選挙」が行われ、その結果は、新聞やテレビで大々的に公表されます。

高校の校内で選挙運動をしていることに驚き、次にノルウェーの政治教育が小学生から始まっていることに感心ました。

小学生が4,5人のグループで、あらかじめ用紙した質問用紙を持って、各政党の選挙事務所(選挙テントと言われる)を回って、政策を調査する様子が映像で紹介されました。これは、学校の授業の一環で、調査票も小学生自らが考えて作成しているということです。

このように、ノルウェーの国民にとって、政治とは、音楽や、芸術やスポーツと同じように、生活と切り離せない一つの分野となっているようです。つまり、「国語」や「算数」と同じく、日本にもある「社会」なのですが、そのなかに「生きた民主主義教育」が組み込まれているのです。

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三井さんの講演後、日本で政治参加について運動している若者グループのパネルデスカッションがありました。ここでも、ノルウェーのスクール・エレクションについて、いくつか質問が出て、関心の高さがうかがわれました。

この集会は、全国フェミニスト議員連盟も協賛団体の「選挙マルシェ」。司会進行は同連盟共同代表の日向美砂子さんで、会員が10人ほど参加していました。また午後からの議員による「若者の政治参加」の様子は、伊藤正子さんによる同連盟フェイスブック投稿を参照してください。

岡田ふさ子(さみどりの会、全国フェミニスト議員連盟)

【写真上:講演する三井さん。中:三井さん作成のパワーポイント「スクール・エレクション」 下:司会の日向美砂子議員、三井マリ子講師、POTETO東京青年会議所ivote日本若者協議会の各代表】(撮影anonymous)

日本&ノルウェー 政治環境の違いを超えて(選挙マルシェ)
「教育を変えなければ」と思った(選挙マルシェ)
市民に優しい選挙制度(ノルウェー)(東京新聞)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
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by bekokuma321 | 2017-11-19 02:47 | ノルウェー