カテゴリ:ノルウェー( 615 )

オリンピックの世界トップはドイツかと思っていたら、メダル30個のノルウェーだ。

世界の民主主義度と幸福度で世界一だとFEM-NEWSで紹介したが、冬季オリンピックも世界一とは。日本の30分の1ほどの人口の小国に、なぜこんなに強いアスリートが多いのか。

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ノルウェー・ファンの私の考えるに、幼い頃からスキーに慣れ親しんでいること、自然と近い生活が好きなこと、そして、長い平等の歴史を持っていること、が背景にある思う。

c0166264_21302997.jpgスキーの歴史は、ノルウェーの石器時代にさかのぼるそうだ。あの探検家アムンセンも、「スキーを下駄のように使いこなした」(本多勝一)ため、南極点に到達できた。昔は冬の交通手段でもあったスキー、今は長い冬を楽しむ代表的スポーツだ。友人たちから、つい先週も、週末、山にでかけ、クロスカントリースキーを楽しむ写真が届いた。

「ノルウェー人は、スキーをはいて産まれてくる」といわれるように、ノルウェー人は、幼い頃からスキーに親しんでいる。だけど、私の女ともだちは、「でもね、スキーをはいた新生児を産み落とすんだから、妊婦は、痛くて大変よ」と笑った。チゲェネェ。

そして、自然に高い価値を置いていることだ。保育園では、野外に出てのアクティビティがとても多い。子どもの頃から、防寒対策をしっかりして、遠足、散歩などなど、大空の下ですごす。

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何年か前、寒い冬に保育園を取材したとき、カチンカチンに凍っている庭に出て遊ぶ子どもたちを見た。先生は「マイナス10度までは、外に出て、遊びますし、昼寝もします」と私に言った。

c0166264_21325594.jpgそういえば、ノルウェー宅の寝室の寒いこと。零下20度の真冬でも、窓をあけっぱなし。自然のなかで寝ているかのようだ。

昨年、特別な時以外は毎日、外でほとんどの時間を過ごすという保育園を取材した。保育園の建物の後ろに広大な森が広がっていて、水車、野外ステージ、テントがポツン、ポツンとあった。テントの横には小さな簡易トイレまで。

c0166264_9211038.jpg「悪い天候などない、悪いのは服装だ」とノルウェー人がよく言うように、どんなアクティビティも雨天決行が当たり前。

幼いころから、大自然のなかで身体を鍛えているのだ。

だから大人になっても、週末は「森に行こう」。森を散策して水辺で一休み。小枝を集めて焚火をして、コーヒーを入れる。鳥の鳴き声、水の流れる音、木々を通り抜ける風…自然に抱かれての一杯は格別だ。

最後に、平等に高い価値を置く国民性。なんといってもノルウェーの強みはリレーなどチーム競技ではないだろうか。これだけ金メダルをとった覇者が多いのに、突出したスターは少ない。チームで勝利を勝ち取っている。ノルウェーを主導してきた社会民主主義政権は「連帯」を大切にして、貧しい人と金持の距離、市民と議員の距離、男性と女性の距離を縮めてきた。働く人は、4時頃には皆帰宅でき、男性も4週間の育児休業をとれる。家事育児の男女のシェアは当たり前だ。

社会民主主義による政治は、人間にとって最も基本である医療や教育(大学院まで)を無料にしてきた。だからこそ、貧しい親の子どもにも平等の教育機会が与えられ、その結果、能力と意志のある人間は伸びに伸びる。

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案内:ジェンダー・ギャップ2位のノルウェーの教育
高梨沙羅と女子スキージャンプ史
ノルウェー首相、日本の女子学生たちにエール
World Happiness Report 2017

【2018年2月22日午前9時、更新】
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by bekokuma321 | 2018-02-21 21:55 | ノルウェー

2月14日、文京区のお茶の水女子大で、ノルウェー首相の男女平等スピーチがあった。女子大のせいか、女子高生や女子大生で会場が埋まった。

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首相の名はアーナ・ソールバルグ(Erna Solberg)。エルナ・ソルベルグと表記されることも多く、筆者もエルナ・ソルベルグとカタカナ表記してきた。

ノルウェー保守党の党首で、同国初の女性首相グロ・H・ブルントラント(労働党)に次いで、「ノルウェーの母」と呼ばれている。

「私の経験から話しましょう」と切り出した。首相が学生だった1980年代、ノルウェーの女性たちは、職場の女性差別撤廃、妊娠中絶の合法化など急進的な変革を求めて、運動がわきおこった。当時、初の女性首相が誕生したこともあり、1988年には男女平等法にクオータ制が導入された。男女同一賃金や、女性への暴力などの問題が、社会・政治問題となっていった。

ちなみにアーナ・ソールバルグは、ベルゲン生まれで、ベルゲン大卒。10代でベルゲン市議会議員となり、2期つとめたのち、1989年、初めて国会議員となった。まだ20代だった。

首相は、「ノルウェーでは、みんな夕方4時には家に帰ります」と言って、日々の暮らしに話を持っていった。労働時間の短さに加えて、父親強制(クオータ制)を含む長い育児休業、子育て中は柔軟な就業時間で働けるなど、「肝心なのは働く上でのフレキシビリティ(柔軟さ)」だと強調した。加えて、「保育園」を充実させ、みんなが仕事と家事を両立できるようにしている、と。

次に経済界。会社で、取締り役の40%以上を女性にしなければならない(クオータ制)という法律を制定した。取締役には増えたが、「ノルウェーでも会社のトップ管理職には女性がまだ少ない」とけんそんした。

政界に移った。「1913年の女性の参政権以来、民主主義の構築に女性が参画している」。背景には、政党にクオータ制は法で強制されてないものの、「各政党内の女性部が中心となって」女性議員の進出を促してきている。また、比例代表制選挙の長い歴史が、女性候補を当選しやすくしている、と告げた。

こうした男女平等にかかわる課題は、女性だけの問題ではなく「男女ともの問題である」と繰りかえした。「健康、育児、教育など子どもの問題など・・・政治にかかわることは、命にかかわることです」と強調して、「そこに女性が参画することは重要なことなのです」と決めセリフ。

ノルウェーは、ダボス会議で知られるで世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップで、世界1,2位を続ける男女平等先進国だ。しかし、首相は、「ノルウェーでも、男の多い職場、女の多い職場と、性別によって働く場がまだ分かれています。また子育て期間の女性にパートタイムが多いなど、ジェンダー・ギャップはまだ存在します。日本と同様、挑戦は今後も続くのです」と閉めた。

質問タイムには、「育児休業をとった女性の仕事を、育休をとらない男性がすることになり、とりにくくなっているが・・・」「政治分野に進む女性が少ないが・・・」「韓国から来たが、ジェンダー・ギャップ指数で日本は114位、韓国は118位。どうしたら・・・」「結婚後に夫婦が同じ姓にしなければならず・・・」と、深刻なテーマが次々にあがった。首相も身につまされたのではないか。

夫婦同姓の質問に関しては、「ノルウェーは、離婚が多く、結婚のたびに姓を変えていたら不便でしょ」と会場を笑わせて、「これは冗談です」。

会場の若い女性たちが、「私も政治家になってみようかな」と思えるような、そんな雰囲気の1時間だった。

案内:ジェンダー・ギャップ2位のノルウェーの教育
新内閣は男女半々(ノルウェー)
政権3与党の党首全て女性(ノルウェー)
トランプの人種差別発言とノルウェー
市民に優しい選挙制度(ノルウェー)
首相 セクハラ体験を語るーーノルウェー
お金がなくても、ノルウェーになら留学できそう
あざやかな歴史
「それは政党の候補者リスト作りから始まった」●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回
「クオータ制発祥の国ノルウェー」国際女性 No. 27(2013)PDF

【追記:ノルウェー政府HPにアーナ・ソールバルグ(Erna Solberg)首相のお茶の水女子大でのスピーチ予定稿が掲載された。Ochanomizu University Speech/ statement | Date: 2018-02-14 By Prime Minister Erna Solberg
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by bekokuma321 | 2018-02-14 15:23 | ノルウェー

2月6日はサーミ国民の日

c0166264_2524547.jpg2月6日は、ノルウェーの「サーミ国民の日」だ。

ノルウェー全土でサーミ文化祭が繰り広げられ、スウェーデン、フィ ンランド、ロシアも歩調を合わせる。

ノルウェーの学校や保育園ではサーミ文化を学ぶ日とされている。今週いっぱい行われるところもある。

サーミ国民の日は、1992年から祝日となった。なぜ2月6日かというと、1917年、エルサ・ラウラ・レンベルグという女性解放運動家が、初の北欧サーミ大会を開いた日だからだという。

エルサの親は、当時としてきわめて珍しいことに、女の子である彼女に高等教育を受けさせ、彼女をストックホルムに留学させた。彼女は産婆教育を受け、政治集会に参加。1904年、ストックホルムで、世界初のサーミ協会を創設して代表に就任した。同時に、『死か生か:ラップ人の現状についての真実の言葉』と題する小冊子を出版した。サーミ女性初の出版物と言われている。

その小冊子には、サーミ民族の貧困、男性のアルコール問題、土地の収奪、子どもたちの教育について書かれている。さらに「スウェーデンの選挙権にはノルウェーにはない収入制限があってサーミの選挙権が制限されている」とスウェーデンの選挙制度の批判もある。

さて、100年経った2018年2月6日、ソルベイグ首相(大使館表記はソールバルグ、保守党)は、お祝いの言葉をサーミ語でツイッターしたことが報道されていた。サーミ語で、とは粋な計らいだ。

こうした国をあげての先住民族を祝いその歴史文化を学ぶ慣行は、空から降ってきたわけではない。

ノルウェーには、国会議員選挙と同時にサーミ議会選挙がある。先住民族サーミ人は一般の政党から出て国会議員に当選する人もいるが、それとは別にカラショークにあるサーミ議会の議員となってサーミのために働くこともできる。サーミが議員となって国の方針に影響を与えているのだ。

しかし、ここまでの道は平たんではなかった。

1970年代末、アルタ・カウトケイノ川に水力発電 のダム建設計画が浮上した。「生活が破壊される」とサーミは猛反対。環境保護運動家も加わり、国をあげての大抵抗運動に発展した。 サーミたちは地元アルタと、国会のあるオスロの2カ所で反対運動を開始。

アルタでは、零下20度の中で座り込み運動を続けた。闘いには大勢の女性たちがいた。 結局、ダムは造られた。しかし、それと引き換えの形で1988年、憲法が改正されて、「サーミの人々が、その言語と文化と生活様式を保持できるような環境をつくることは国家の責務である」(翻訳筆者)という新しい条文が追加された。

憲法改正前年の1987年、「サーミ法」を制定。サーミ民族の保護、サーミ語とサーミ文化とサ ーミの生活の発展が国の方針になった。サーミによるサーミ議会の創設もうたわれた。1989年から、サーミ議会の選挙も始まった。ノルウェー国会はサーミ議会での決定を尊重する義務を負うことになった。

フィンマルク県カラショークに創立されたサーミ議会には、全国 7つの選挙区から比例代表制に基づいて39議席が選ばれる。9つの党派から議員が選ばれて、女性議員は19人、49%を占める。

日本にはアイヌ議会もないし、国会にはアイヌ初の国会議員として1期務めた萱野茂さんの後、代表を出せていない。よってアイヌ女性国会議員もおらず、アイヌ女性の声を政治に反映させるすべはない。国連女性差別撤廃委員会は、日本政府に対して、暫定的特別措置をとってアイヌ女性など少数派の代表を議会に送るようにと勧告したが、政府にその気はなさそうだ。

ノルウェーと日本の違いは多い。最も基本的な違いは、少数意見が抹殺されることのない選挙制度を持つか持たないか、の違いだと思う。

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【写真上:サーミ議会議長のアイリ・ケスキターロ。写真中:アルタ博物館に展示されている1970年代のダム建設反対座り込みデモ。写真下:チーズがサーミ語とノルウェー語で書かれている。フィンマルクの多くの所で2つの言語が見える】

選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
映画『サーミの血』試写の招待
2月6日、初の北欧サーミ大会100年を祝うノルウェー
「むかし魔女、いま大臣」を読みエイラを思う(ふじみつこ)
先住民サーミのファイトバック
映画「カウトケイノの叛逆」
World Happiness Report 2017
トランプの人種差別発言とノルウェー
首相 セクハラ体験を語るーーノルウェー
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by bekokuma321 | 2018-02-10 03:26 | ノルウェー

日本は、世界144カ国のなかで114番目。いったい何の順位? 

男女格差を、経済、政治、教育、健康の4分野で調べた「ジェンダー・ギャップ指数」だ。ダボス会議で知られる世界経済フォーラムが、毎年、はじき出している。

オリンピックでは、狂ったように金メダルに執着する日本。順位をあげるために世界中からインストラクターを探しだしては強化訓練をしたりもする。それなのに、女性が差別され、不当に安く見積もられている醜悪な姿を、世界にさらして、何食わぬ顔とは。

さて、「ジェンダー・ギャップ指数」で、トップ5は、1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダ、5位スウェーデン。ルワンダを除きすべて北欧諸国だ。

日本との大きな差にはいったい何があるのだろう。今回は、教育に焦点をあてて、北欧ノルウェーを見てみたい。どなたでも、お気軽にご参加下さい! 2月24日、クリエイトホールにて。

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小学生から選挙に参加するノルウェー(選挙マルシェ)
「教育を変えなければ」と思った(選挙マルシェ)
国連女性の地位委員会のノルウェー代表演説
世界で最も男女平等の国はノルウェー
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by bekokuma321 | 2018-02-08 14:02 | ノルウェー

c0166264_15223861.jpg女性議員を増やすための戦略、「クオータ制」。三井マリ子さんが80年代に日本に紹介した制度だ。男女平等で世界のトップを走るノルウェーで実行されていた。

その「クオータ制」を、ノルウェーで初めて(ということは世界で初めてだろう)政党の綱領に取り入れたのがベリット・オースさんだ。それを知っている人はどれだけいるだろうか。

ベリット・オースさんがクオータ制の母であることを知ったのは『男を消せ!』(三井マリ子著、毎日新聞社)を読んだからだ。本のタイトルに胸がすく思いがしたことを今でも覚えている。同書によると、ベリット・オースさんは、女性運動家であり、地方議員・国会議員を歴任した。新党民主社会党を設立して初代党首になった。

新党をたちあげるとき、彼女が挙げた条件が「党内の決定機関は全て男女半々が理想だが、少なくとも40%を女性にすること」だった。これぞまさにクオータ、ノルウェーの政党がクオータ制を採用した歴史的瞬間だった。時は1973年、「国際婦人年」の2年前で、日本ではまだクオータのクの字もなかったころだ。

ベリット・オースさんがなぜクオータ制を主張したか。その理由はとてもわかりやすい。

「私は長年のフェミニスト運動から、男性支配構造の歴史を誰よりもよく知っていました。大勢の男性集団に女が一人ポツンと入っても、男女同権を主張するのはきわめて難しい。ある程度女の数がいなければ、のけ者にされるか、笑いものになるか、特別視されるだけなのです」(『男を消せ!』p133-p134)

c0166264_15303629.jpgこのベリット・オースさんの所蔵するノルウェー女性運動のポスターが、2018年新年号の『I 女のしんぶん』にカラーで掲載された。『I 女のしんぶん』ウェブ上でも見られるようになっている。

「叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち」というサイトで、ベリット・オースさんのポスターには「平和 女性解放 連帯」というタイトルがついている。

何かを訴えているかのようなアフリカ女性の眼差しが印象的だ。

私は、ベリット・オースさんを三井さんから紹介されて、「こうち男女共同参画センター・ソーレ」にお招きして講演会を開いた。2003年5月だった。定員300人の大会議室いっぱいの聴衆が「支配者の5つの抑圧テクニック」(注)に聞きほれた。

講演の後、「男性支配による女性の『抑圧のメカニズム』ということを知り、モヤモヤしていた霧が晴れた気がした」「自分に自信が持てなかったのは、自信を持てないように仕向けられていたんだということがわかった」などの感想が寄せられた。ベリット・オースさんの講演が、高知の女性たちの自信回復につながってゆくように思えて、準備の苦労が吹き飛んだ。

その晩、ベリット・オースさんは、土佐藩武家屋敷跡の三翠園ホテルに宿泊した。翌日、私は日曜市を案内した。楽しそうに歩き回った彼女は、木彫りの馬の前に立ち止まった。その馬を買って、ノルウェーに郵送した。何年か後、三井さんが彼女の私邸を訪問したら、書斎の棚の真ん中に飾ってあったという。

木村 昭子(全国フェミニスト議員連盟世話人、ポレール役員)


●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回

【注】ベリット・オース「5つの抑圧テクニックThe Five master suppression techniques」は、『ノルウェーを変えた髭のノラ』(三井著、明石書店)p88~p99で読むことができる。彼女がこの「5つの抑圧テクニック」を世に出してから何十年か経った今、#MeTooによって「5つの抑圧テクニック」があらためて注目されている。

[2018.2.4更新]
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by bekokuma321 | 2018-02-01 15:40 | ノルウェー

昨年11月11日、「選挙マルシェ」の第2回があった。

城倉啓さんが主となって、日本の選挙制度の改革をめざして、実行委員会形式で開催している市民運動だ。「選挙が変われば、政治が変わる」ことを信じて……。

内容が掲載された「ふぇみん」が届いた。ライターの岩崎眞美子さんの記事だ。筆者の講演「見てきた、民主主義度世界一の国ノルウェーの選挙」の評が書かれている。「わかりやすく、パワフル、かつユーモアたっぷりな話しぶりに会場の笑いも絶えない」とは、うれしい。

楽しく講演できたのは、ノルウェーの選挙を見てきたばかりで熱がはいっていたのと、熱心な聴衆のおかげだ。

北欧を主とする平等と民意を大事にする国々は、日本の選挙とは全く違う。安倍一強も、女性議員の極端な少なさも、小選挙区制の結果なのだ。「選挙マルシェ」の参加者は、笑った後、日本の選挙は変だ!と怒ってくれただろうか。

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 ▲「選挙が変われば、政治が変わる」(「ふぇみん」2017年12月15日号)

小学生から選挙に参加するノルウェー(選挙マルシェ)(岡田ふさ子)
日本&ノルウェー 政治環境の違いを超えて(選挙マルシェ)(日向美砂子)
「教育を変えなければ」と思った(選挙マルシェ)(原三枝子)
11日(土)「選挙が変われば、政治が変わる 選挙マルシェ」(2017.11.11案内)
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by bekokuma321 | 2018-01-26 23:03 | ノルウェー

c0166264_22265574.jpgノルウェーでは、昨秋の国会議員選挙後、4カ月を経て、1月17日、新内閣が誕生した。

保守党党首のソルベイグ(大使館ではソールバルグ)内閣は、国王の認証式を終えて、王宮前でラインアップ。恒例とはいえ、外は零下だ。バリバリに凍った地面と、寒い空の下での国民へのあいさつ。動画を見ながら、「さすがバイキングの末裔だなあ」と感心した。

EU関係省がなくなり、新しく高齢者省ができた。

首相を含む閣僚20人の、半数にあたる10人は保守党から、7人は進歩党から、3人は今回初めて連立にはいった自由党から入閣した。

女性は10人、ちょうど半数だ。1986年以来、常に一方の性(ジェンダー)は60%から40%となっていて、最近は男女半々のことが多いようだ。

c0166264_22401879.jpgジェンダーよりも、この数か月間、セクシュアルに関する問題が注目されている。#MeeToo運動により、性的嫌がらせが告発され続け、政治家の加害事件も公にされたきた。野党の労働党副党首は、過去のセクハラをマスコミで連日取りざたされて、謝罪し、辞任した。

そして、メディアの矛先は、連立政権を組む3党、保守党、進歩党、自由党に属する議員に。

報道によると、文化大臣に就任する自由党党首のトリーネ・シェイ・グランデ(写真)は、王宮に行く直前まで、NRK(日本のNHK)から、「10年前の党内における男性への性的問題の噂」について追及にあっていた。

政権3与党の党首全て女性(ノルウェー)
Trine Skei Grande til Aftenposten: – Jeg er ingen overgriper
Sexual harassment is about masculine power
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by bekokuma321 | 2018-01-18 22:45 | ノルウェー

c0166264_20125217.jpgノルウェーの報道によると、1月14日(日)、ノルウェーの新政権がまとまった。9月11日の選挙以来、4カ月の長き月日をかけての結論だ。

保守党を中心に、進歩党(極右と呼ばれることが多い)、自由党(保守党同様19世紀に創設されたノルウェー最古の政党)の保守中道3党の連立となる。

しかし、依然として、少数与党のため、法制度の国会通過には、キリスト教民主党の賛成を得る必要がある。キリスト教民主党は、選挙前から、難民政策などを中心に「進歩党とは政策の違いが大きく、共闘はできない」と公言してきた。

というわけで、連立を組む3政党の党首は、たまたま全員女性となった。右上写真は、保守党ホームページから拝借した。左からシーヴ・イェンセン(進歩党党首)、エルナ・ソルベイグ(保守党党首)、トリーネ・シェイ・グランデ(自由党党首)。

ノルウェー語ENIGHETは「合意」。3政党が政策合意に達したという意味だろう。ロフォーテン諸島付近の油田採掘をめぐっては、保守党・進歩党側が、油田開発反対を掲げる自由党に大幅譲歩をしたとされている。

ついでに、首相、財務大臣、外務大臣の閣僚3大ポストも女性が占める。さらに、経団連にあたるNHOの会長も女性が就任している。主に政界分野とはいえ、国のかじ取りが女性の腕にかかっていることを見るのは、なんとも壮観だ。

とはいえ、ノルウェーの女性たちは、「まだまだ男女平等ではない、セクハラ蔓延を見よ」と闘いの手を休めてはいないようだ。

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▲昨年秋の選挙当日、記者会見に臨む保守中道4政党。左から保守党、進歩党、キリスト教民主党、自由党

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▲上と同じ記者会見の終了時。3党がまとまり、キリスト教民主党党首は別の方向へ

Norway's Liberals to join Conservative-led government
Norway confirms new minority coalition government after negotiations
ノルウェー労働党党首セクハラを語る
ノルウェー初の女性外務大臣
Why Norwegians Aren't Moving to the U.S.
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by bekokuma321 | 2018-01-16 20:24 | ノルウェー

c0166264_20234732.jpgアメリカのトランプ大統領の人種差別発言が、メディアに大激震を起こしている。

木曜日、ホワイトハウスの会議室で、トランプ大統領はこう発言したと報道されている。

「なんで、ハイチやエルサルバドルやアフリカの国のような Shithole countriesから移民を受け入れなければならないんだ。ノルウェーのような国の人たちには、もっと来てほしい」

Shitholeーーこれほど下劣な言葉はあまり他にないと思う。意味はあなたが調べてほしい。

ルイジアナ州選出のセドリック・リッチモンド議員は「トランプ大統領の、『メイク・アメリカ・ファースト・アゲイン』は、『メイク・アメリカ・ホワイト・アゲイン』にすぎない」とただちに批判した。党を超えて批判が上がっているが、このコメントが私は最も的を射ていると思う。

さて突然、トランプの口からノルウェーが出てきたのは、なぜか。実は、前日の水曜日、彼はノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相(保守党)の訪問を受けて会談をしたばかりだったという。ノルウェー・メディアはトップ会談をトップ記事で報道しても、世界のメディアは、小国ノルウェーの首相のアメリカ大統領もう出に関心は薄かったようだ。ところがトランプの人種差別発言で初めて、前日のノルウェー首相会談が注目された。

ドナルド・トランプが望んでも、ノルウェー人はアメリカに移住はしたくないだろう。

ノルウェーは、男女平等指数でアイスランドに次いで世界2位民主主義度指数で世界1位、国連の最新発表で世界で最も幸福な国だ。

国会議員の41%が女性。首相、財務大臣、外務大臣の3大ポストを女性が占め、連立政権の2政党の党首は2人とも女性(注)。希望するすべての子どもは保育園に入れ、小学校から大学院まで教育費はすべて無料、医療も無料、一人暮らしの高齢者も住み慣れた町で必要なケアを受けて暮らせる。

昨年9月、ノルウェー国会議員選挙を取材した。その時、会ったニルス・クリステン・サントルーエン(Nils Kristen Sandtrøen)は、労働党から当選した。彼は、高校卒業後アメリカのアラスカの大学に留学したときの経験を、メディアにこう語っていた。

「アラスカは貧富の差が大きく、生きることに不安を抱いている人が多かった。ふるさとのノルウェーは、質の高い公立学校、だれもが楽しめる文化やスポーツ施設などがあり、貧富の格差が少ないことを認識した。格差の少なさが信頼しあえる社会をつくるとするノルウェーの価値観は、闘いとらねばならないものだと思う」


Trump derides protections for immigrants from ‘shithole’ countries
The happiest country on earth
World Happiness Report 2017


【上の写真は、ノルウェー紙VGに掲載された、ノルウェー首相のアメリカ大統領訪問のイラスト。「昨日は自由党の男性議員と会った。(トランプも)人なんだから」とエルナがつぶやく。Ernas hemmelige forhold
【注:少数政権のため、自由党が閣内に入る見込みで協議中。自由党も女性党首なので、新連立政権を構成する党首3人がすべて女性となる】
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by bekokuma321 | 2018-01-12 20:34 | ノルウェー

映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力から端を発した#Meetoo(私も)運動は、ノルウェー社会を揺さぶった。

ブルントラント前首相もセクシャルハラスメント体験を告発したことは既報のとおりだ。

ノルウェー最大政党の労働党の女性たちが、過去の被害体験を訴えた。しかも、被害を言っても真剣にとりあってもらえなかったと言った。加害者は労働党のナンバーツーのトロン・ギスケ(51歳、既婚)。ストルテンベルグ内閣で教育調査大臣、文化教会大臣などを歴任した人物だ。

その彼が、過去に青年部の若い女性たちにセクハラをしたというのだ。彼は、現在、病欠をとっているが、不適切な行為だったと謝罪して(行為の一部は認めていない)、党の要職や国会の重要ポストの辞任となった。

報道によると、労働党は、会議で話し合った末、党首のヨーナス・ガール・ストーレJonas Gahr Støre(元外務大臣)は、次のような発表をした。

「私たちが知っている事実は、ギスケの行いは私たちの法規定や価値に沿っていないということです。ギスケと彼を訴えている若い女性たちの間には、権力ならびに年齢の差があることにとくに驚かされました」

「自分も他の政党のリーダーたちも、こうした問題にもっと注意を向けるべきです。確信がもてないからということで、より真剣に探ることをしてこなかった。私自身も、私の前任者(ストルテンベルグ首相も含めて)も、他の政党のリーダーたちもです」

セクハラを個人的な問題とせず、政党という組織全体の重要問題としてとらえようという姿勢が、にじみ出ている。

その背景には、第一に、勇気を出して告発した女性党員や、その発言を信じて「ギスケは辞任すべきだ」と第一声をあげた女性幹部らの存在がある。第二に、セクシャルハラスメント問題を真正面からとりあげ、問題のありかを掘りさげ、「まだやるの」というくらい継続して報道してきた、マスメディアの存在がある。

男女平等のトップランナーといわれる国ノルウェーでも、多くの女性たちが、職場で学校でセクシャルハラスメントにあっている。いわんや、日本では、”浜の真砂はつきるとも…”だろう。

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 ▲ノルウェーの主要政党党首(リーダー)たち。ヨーナス・ガール・ストーレ労働党党首は左から5番目(ノルウェー国会、2017年9月)

Norway Labour deputy leader resigns amid harassment claims
Støre was scolded by Stenseng
Jonas Gahr Støre med oppsiktsvekkende Trond Giske-spark til Jens Stoltenberg
Arbeiderpartiet og Giske-saken
Jonas Gahr Støre: - De som vil så splittelse, vil ikke lykkes
Ap-leder Jonas Gahr Støre ut mot lekkasjer om splid mellom partitopper.

Kilder til VG: Giske går av som nestleder etter gjentatt press fra Støre
Labour figures demand deputy leader’s resignation after harassment controversy
セックス同意法(スウェーデン)
ノルウェーDV予算をめぐる攻防
詩織さんを応援します
詩織さんの告発
支配者が使う五つの手口
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by bekokuma321 | 2018-01-12 00:06 | ノルウェー