カテゴリ:ノルウェー( 615 )

2月24日、上京の折、東京都八王子市のクリエイトホールに向かった。三井マリ子さんの講演会「ノルウェーに学ぶ、女の子も男の子も幸せになれる教育とは」に参加するためだ。

マリ子さんというと、ノルウェー。私の憧れの国だ。だが、この男女平等と高福祉の国で、2011年夏、労働党の若者たちが政治を学ぶ夏合宿で、銃の乱射事件が起きて、80人近くの命が奪われた。

当時、その襲撃犯が「尊敬する人は麻生太郎」と言っていたことを覚えていた。そこで、講演後、「テロを起こした若者が、麻生太郎を尊敬すると言っていた。その事件についてどう考えるか」と質問した。

マリ子さんの回答はメモをとってなかったので、後でマリ子さんにメールで書いてもらった。それによるとーー。

「あのテロ事件の犯人は、裕福な家庭に育った、超右翼の白人の若者だった。インターネットで極右思想を学んだ彼は、イスラム教徒や難民を毛嫌いし、ノルウェーにイスラム系の人たちが増えることを阻止しなくてはと考えていた。当時の労働党政権は、難民の受け入れに寛容な政策をとっていた。

彼は、労働党政権をつぶそうと考えて、まず中央政府の建物の前で襲撃。そのあと未来の政治家となる、労働党の若者たちを殺そうと、彼・彼女たちが合宿をしていた島にやってきて次々に銃殺した。

犯人が逮捕されてその人物が明らかにされるまで、ノルウェーの多くの人たちは『イスラム過激派の仕業だ』と思い込んでいた。そうした偏見を後で大いに反省することになるが…。

極右思想に凝り固まった大量殺りく犯の尊敬する国が日本で、尊敬する人物が麻生太郎だということに、情けなく悔しい。講演テーマとの関係で言えば、『民主主義の破壊を防ぐには、民主主義を守るために闘わなければならない』と、立候補して議員になった若者が大勢いる。私は、こうしたノルウェーの若者にいつも励まされる」

麻生太郎は、以前、「ナチスの手口を学んだらどうかね」という恐るべき発言をした。安倍晋三と同様に改憲にひた走る日本会議系の右翼政治家だ。

ノルウェーで、人種差別、宗教差別に凝り固まり、無差別殺戮に走ったテロリストの、尊敬する人物が、この国の麻生太郎とは。私たちは、そんな人を大臣に頂く国に住んでいるのだ。世も末!と思った。

私は札幌の住人で、「戦争させない市民の風」でささやかな活動をしている。「勝手にライブ隊」というグループにも入ってて、「怪しいラッキー」など、替え歌を歌ったり、時々寸劇も交えて楽しんでいる。

3月初めの確定申告の頃は、森友学園で安倍をかばった国税庁長官の佐川に怒りをこめて「佐川、辞めろ!」と。最近は、佐川を任命した上司の麻生、そのまた上司の首相安倍に対して「麻生、辞めろ!」「安倍辞めろ(不安倍増)」と。

マイクの前では決して歌えない私なのだが、そして、マイクの前では歌わないと宣言していたのだが、先日、とうとう、マイクを握ってしまった。

私といっしょに街に出て訴える友人は、「ステージ4」の癌患者。「薬の影響で全然声が出ない」らしいが、普段は私よりよほどいい声で歌ってくれる。でも、その日、途中で「もうダメ」という。マイクを握るのは私しかいなかった。

ステージ4の彼女は、「体力は無いけど、このような場に出て動いている方が、元気になる」と言う。「麻生退陣」を求める署名を拒否して去っていく道行く人にも、いかに麻生が悪いやつかを語り続ける。

麻生は、本当に悪く情けないヤツだ。先日の国会答弁でも「佐川が・・・佐川が・・・」と、部下に全責任を押し付けた。私も最終的に職場を辞めた時の上司が、麻生とよく似た、この手のクズだった。手柄は自分が、ミスは部下に。

しかし、一企業の話ではない。麻生は一国の財務大臣だ。

高橋 芳恵(札幌市民)


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▲オスロの「ノーベル平和センター」前に掲げられた「銃弾とペン」の巨大な看板。

「悔しくて」(名護市長選現地報告)
マラッカ海峡より
「放射線取扱い主任という非常勤職の声」(高橋芳恵)
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by bekokuma321 | 2018-03-22 23:24 | ノルウェー

先月、来日したノルウェーの首相アーナ・ソールバルグ(保守党)は、大学生でベルゲン市議会議員になった。18歳だった。後、20代でベルゲン市から選出されて国会議員に。

ソールバルグ首相は、訪日記念講演会において、ノルウェーで女性議員が多い理由に、「選挙制度が比例代表制だから」と言った。党内女性部の強さも紹介した。

1980年代、私はノルウェー労働党や左派社会党の人たちから「女性議員が多いのは、政党がクオータ制を導入しているから」と聞いた。私は、「これだッ!」と膝をたたいた。そして日本にクオータ制を紹介しまくった。

それからウン十年、クオータ制という言葉は、日本のメディアでも普通に扱われるようになった。

しかし、である。小選挙区制では、政党は勝てる候補1人しか選挙区から出せない。すると、クオータ制を設けても、実現はおぼつかない。韓国を見よ、だ。

クオータ制は、比例代表制選挙で、より有効だ。ただ、北欧諸国は比例代表制の歴史が長く、空気のようなもので、あえて比例代表制選挙制度を女性議員増の理由に出す人は多くなかった。

ノルウェー首相は、クオータ制を党是に設けていない保守党の党首。だからこそ、女性議員増の梃に「クオータ制」を出さず、「比例代表制」をはっきりと言ったのだろう。

選挙制度のほかに、ノルウェーには、女性差別を撤廃し男女平等を実現させるための男女平等法がある。この法は、女性の経済的社会的文化的地位をあげることに一役も二役も買った。法には、公的審議会・委員会などのメンバーは一方の性が40%以上いなければならない、という「クオータ制」も定められている。

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 ▲I 女のしんぶん「叫ぶ芸術」56回 男女平等法の歌

ノルウェー首相、日本の女子学生たちにエール (2018年2月の首相来日記念講演速報)
●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回
赤松良子賞と女性差別撤廃条約
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by bekokuma321 | 2018-03-21 13:47 | ノルウェー

ノルウェーの法務大臣シルビィ・リストハウグ(40歳、進歩党)は、20日早朝、大臣を辞任すると記者会見した。

3月9日、法務大臣は、フェイスブックに「(難民に厳しい措置をとる法案に反対した)労働党は、国民の安全よりもテロリストの権利を重視する党だ」と投稿した。それには過激派の写真が使われていた。

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その投稿をめぐって、国民も政治家も憤った。彼女に不信任案が提出された。昨夜、与野党間を浮遊するキリスト教民主党も不信任賛成を決めたことで、不信任案は国会で過半数を超えることが確実だった。その場合、内閣総辞職かと憶測されたが、寸前で、とどまった感じだ。

リストハウグの記者会見によると、辞職したのは、「進歩党が政権のなかにいてほしいから」と。自分への批判--難民排斥感情をあおり、社会に分断を生むーーを表現の自由の侵害問題にすり替え、労働党とキリスト教民主党を強く批判した。また「先週は魔女狩りのようだった」と被害者を装いつつ、「私は国会議員として、これまでと同様、発言を続ける」と挑戦的発言を重ねた。

昨秋の選挙の際も、彼女の突飛な言動は外交問題にまでなった。当時、難民大臣だった彼女は、スウェーデンの難民が多く住む地域を突如訪問し、「近寄れない地域だ」などとスウェーデンの難民政策を非難した。選挙目当ての行動に、スウェーデンの難民大臣は、「選挙が終わってからなら会うが、利用されたくない」と面会をキャンセルした。

こうした言動をメディアは連日大きく報道。彼女の個人的人気は衰えを知らなかった。結局、こうした演出で、彼女は進歩党の看板政治家でありつづけるかもしれない、と思った。

今回、この強気のリストハウグが、問題発言後わずか10日余りで辞任に追い込まれた。それは、国会で与野党の力が拮抗しているからだろう。う・ら・や・ま・し・い!

【写真:ノルウェー「アフテンポステン紙」。左はアーナ・ソールバルグ首相、右はリストハウグ大臣】

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by bekokuma321 | 2018-03-20 23:43 | ノルウェー

公文書改ざんという民主主義の根幹を揺るがす悪事で、日本の国会は大混乱。内閣総辞職ものだが、安倍首相は圧倒的数の力を背景にのらりくらり。

発端は、安倍首相の妻が名誉校長である(のち辞任)小学校を、大阪府豊中市に開校する計画だっ。開校には土地がいる。愛国主義教育を進めたい日本会議系右翼政治家たちによる有形無形の圧力を忖度したらしき行政幹部らは、国有地を通常より8割以上も大バーゲンすることに…。

のらりくらりの安倍政権とは好対照なのが、ノルウェー政権だ。

明日、内閣総辞職かもしれない。報道を簡単にまとめる。

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こちらは、法務大臣シルビィ・リストハウグ(40歳、進歩党)のフェイスブックへの投稿が原因だ。保守党と連立を組む進歩党は難民政策に厳しい政党だが、彼女はその急先鋒。これまでも幾度となく極端な言動で物議をかもしてきた。

彼女は、国会に「テロリストと疑われる移民は、法的手続きなしに市民権をはく奪されうる」とする法律を提案。ところが反対多数で法は成立しなかった。すると3月9日、彼女は、自分のフェイスブックに、「労働党は、国民の安全よりもテロリストの権利を重視する」と投稿した。あろうことか、バックにはテロリストの写真が使われていた。

憤りが爆発した。2011年7月22日、超極右の白人男性ブレイビクによって、労働党青年部10代69人を含む78人が銃殺された。いわゆる「ウトヤ島事件」だ。生き延びた人たちは今もトラウマに苦しんでいる。

しかも、ちょうどリストハウグが投稿した同じ3月9日、事件を描いた映画「7月22日(Utøya 22. juli)」が封切られ、ノルウェー社会は、あの地獄に向き合わざるをえなかった。

労働党党首は、リストハウグの投稿は、悪辣な攻撃であり、法務大臣として低レベルだとNRKに語った。オスロの労働党幹部は「ブレイビクと進歩党を結びつけないよう努力してきたが、これでは難しくなる」と、ブレイビクが一時、進歩党党員だった過去を、ウトヤ島事件を引いて示唆した。

すると逆に「またウトヤ島カードを切った」と非難する人もいた。これに対して、ウトヤ島事件のサバイバーは、「カードを切った? 私は一生、傷を負い、トラウマに苦しむのです。友人も失いました。カードですって。実際に起きた事件なのです」と怒りをぶちまけた。

国会では、たった一人いる赤党議員が、リストハウグの不信任案を提出。それに中央党、左派社会党、労働党、緑の党が賛成する意向を公にした。「リストハウグがもっと真摯に謝罪をし、首相が法務大臣を辞職させるなら…」と容認しそうな野党もいたが、それには進歩党党首が反対した。とどのつまり、法務大臣の不信任案が通過したら、内閣が総辞職するというのだ。

問題は、キリスト教民主党が判断を決めてないことだ。19日(月)に話し合いをして20日(火)の国会審議に備えると言う。キリスト教民主党は、保守政権の閣外にいるが、左派グループ(労働党を中心とする赤連合)の野党とは一線を画してきた。さて明日、この、わずか8人のミニ政党は、どちらにころぶのか。それ次第で、ノルウェーの政治が大きく動きそうだ。


ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
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by bekokuma321 | 2018-03-19 23:17 | ノルウェー

2018年のノルウェー労働党・男女平等賞の受賞したのは、グレーテ・ベルゲだった。

グレーテ・ベルゲは、グロ・ハーレム・ブルントラント政権時代の男女平等大臣。大臣就任中、妊娠出産したことや、育児休業の一定期間を父親に強制取得させる規定――パパ・クオータ――を策定したことで、よく知られている。

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ノルウェーからの報道によると、3月16日、労働党青年部平等会議 (likestillingskonferansen til AUF)において、党首ヨナス・ガーレ・ストーレは、グレーテ・ベルゲの遺族に賞を手渡した。

労働党・男女平等賞は、男女平等推進において卓越した業績をあげた人または組織に捧げられる。2012年、労働党によって創設された。賞のきっかけとなったレーチェル・グレップにちなみ、レーチェル・グレップ賞とも称される。賞金は5万クローネ(約70万円)。

これを機にレーチェル・グレップとは、どういう女性かを調べた。1879年生まれ、1961年没。ジャーナリスト兼労働党の政治家と紹介されている。1902年、ベルゲン社会民主主義青年党を創設したひとりで、新聞記者をしながら労働党オスロ市議を務めた(1923-1945)。たとえノルウェーであっても、新聞記者も議員も、女性には極めて珍しい時代だった。その苦労たるや、筆舌に尽くしがたかったろう。息子の1人は、ヒトラー・ドイツへのレジスタンス運動の̚”罪”で20代で死刑。

そのような闘う女性の名を冠した賞を設けて、毎年受賞者を公募していることに、労働党の男女平等への並々ならぬ意志を感じる。労働党は現在野党だが、依然としてノルウェーの最大政党だ。

その2018年の受賞者グレーテ・ベルゲを、労働党党首ヨナス・ガーレ・ストーレは「男女平等のパイオニアであり、ノルウェー社会の土台をつくることになった」と紹介した。

グレーテ・ベルゲは、昨年11月、63歳で亡くなった。ちょうど訪日していたグレーテの友人から私は訃報を知らされて、一晩中、キャンドルをともした。彼女との思い出が次々に浮かんできた。

グレーテ・ベルゲについては、『ママは大臣パパ育児』(三井著、明石書店)p232~246、『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(三井著、毎日新聞社)p48~p64)に詳しい。前者の本のタイトルロールも彼女だ。以下のFEM-NEWS記事もどうぞ。

Rachel Catharina Helland Grepp
Arbeidarpartiet heidra Grete Berget med likestillingspris
「パパ・クオータ」生みの親の訃報」
わたしはフェミニストなんかじゃない。でも、なぜ?
パパ・クオータが減る
男性大臣2人の育休
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by bekokuma321 | 2018-03-18 20:40 | ノルウェー

『ノルウェーを変えた髭のノラ』(三井マリ子著、明石書店)を読みました。

ヨーロッパは、昔から女性にも人権があるものだと思っていましたら、なんとノルウェーでも30年前は今の日本と大差なかったと言うことを、この本で初めて知りました。現在の北欧の女性の活躍を見聞きして、女性が人権を得たのはごく最近だなんて思えなかったので、衝撃でした。

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では、なんで、北欧と日本で、これほどまでに大差がついてしまったのでしょう。女性を取り巻く環境の違いを強く感じる一冊でした。

クオータ制という言葉を、私が知ったのは、ここ数年前です。ところが、ノルウェーでも、3、40年ごろ前までは、女性議員が非常少なかったので、クオータ制を入れるように政党内で頑張って、そしてクオータ制を入れたら、それを使って、つまり、女性たちが力ずくで、変えていったことがわかりました。自然に女性が議会に増えるのを待っていたのではなかったのです。その先頭に立った女性は、ベリット・オースさんです。

そもそも日本の女性議員数は、人口比にして、あまりに少なすぎます。少なすぎるゆえ、お飾りのような女性議員や、権力者に媚びるような女性議員しか目立たないのではないかと思います。

『ノルウェーを変えた髭のノラ』によると、19世紀にはノルウェー女性にも参政権がなかったそうです。女性に参政権のない理由に、ノルウェーでも「公的な場で行動する女性は売春婦と同じだ」などという馬鹿らしいことを言っていたというのです。

私がこの本を読んで思うのは、安倍首相の言う「女性も輝く、云々」は的外れだということです。北欧のように、女性たちが、子どもを育てながらフルタイムで仕事を続けられる状況になってはじめて「女性も輝く」という言葉が出てくると思うのです。

首相は、まずパートで安い時給できつい仕事をさせられている女性たちの労働条件を改正せよ、と言いたいです。

この本には、2008年(割と最近ですよね)に、ノルウェーでは会社の取り締り役に女性を4割入れなくてはいけなくなったことが紹介されています。ノルウェーでは、この取締役会は、社長を首にすることも出来るそうなので、そこに女性4割ですから、凄い事です。

ノルウェーでも日本と同じように、女性を侮辱した時代が長く続いていたのですが、ノルウェーの素晴らしさは、女性が、人として人権を勝ち取ろうとしてきた強さだと私はこの本を読んで感じました。

もう一つ感動した点は、日本とは全く違う選挙制度でした。日本は、選挙に出るとお金がかかると言われていますが、「ノルウェーは個人が1円も負担することはない」と書いてあり、本当に驚愕でした。女性や貧乏な人は選挙に出るなといわんばかりの日本の選挙とは大きく違う所です。

選挙が近づくと、テレビによる政治討論会もとても多いそうです。選挙期間中、日本は候補者同士の政治討論が禁止されています。議論もせずに選挙前は良い事だけ言って、当選したらさっさと態度を変える。あまりに長くこうしたことが続いて、日本ではみなそんなものだとあきらめているのです。

この本を、私の知人、特に政治にそれほど関心の無い人たちにすすめたいと思います。

中山 あみ(サバイバー)


『ノルウェーを変えた髭のノラ』を読んで(星川まり)
ノラの国の130年後: 書評『ノルウェーを変えた髭のノラ』(榊原裕美)
新潟日報「ノルウェー政界の男女平等:クオータ制が後押し」
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by bekokuma321 | 2018-03-10 18:24 | ノルウェー

c0166264_2228698.jpg ニュース「旧優生保護法下の強制的不妊手術 被害者提訴」に接して、日本の民主主義の未熟さを考えさせられた。私たちの国は、遺伝子に優劣をつけ、その個人の尊厳を省みることなどなかった(注1)。

日本がこの「優生思想」を放置してきたほぼ同じ時代の長い年月、かの地、ノルウェーでは、女性たちはどのように民主主義をひらいてきたか。『ノルウェーを変えた髭のノラ 男女平等社会はこうしてできた』(三井マリ子著、明石書店)を、とても眩しい気持で読み終えた。

選挙マルシェで講演を聞いて
昨秋、ノルウェーの国政選挙を見てきたことを報告するという三井マリ子さんの講演会に参加した(2017年11月11日、第2回選挙マルシェ)。

ノルウェーは子どもたちが政治を語り合う文化を持っていること、議会のクオータ制(注2)は定着していて、多くの女性議員がいることなど、マリ子さんのテンポの良い話に惹き込まれた私は、彼女の著書を読みたくなった。

それで『ノルウェーを変えた髭のノラ』を図書館で借りて、2週間を4週間に延長して完読した。途中、「緑の党グリーンズジャパン」の年一回の総会も挟んで少しずつ読み進むひとときは、女性たちのつながりの中に心地よく溶け込むようで、心の健康にとても良かった(緑の党はクオータ制を採用している)。

クオータ制をどう実行していったか
クオータ制を政党の規則に定めざるを得なくさせた、そのプロセスで活躍した女性たち。とにかくしぶとくて、決して芯を曲げず、それぞれの柔らかい対応力と、ユニークな個性、おかれた環境の中でベストを尽くしている様が、生き生きと描かれている。

一方、男性たちも負けてなくて、男性にとってもその方が良いことを理解し、女性たちの助っ人に回り、属する政党のバックボーンに関わらず、懸命に働いて両性で獲得した、誇るべき成果につながったことがわかる。

本の前半は、クオータ制のキーパーソンについて書かれている。マリ子さんが「この人に会いたい!」と思うと、数行先には「迎えてくれた」となって、その語らいからトピックスが記されていく。数々の金髪の女性たちの写真と、とてもではないけど書き留められないほどの数のカタカナ名の連続だ。

旅行している気分に
マリ子さんの筆の運びは、講演会の話しぶりとよく似ている。リズムがあって、描写は暖かく、人の心を描き出しながらも、とてもタイト。時代や場所をどんどん駆け巡って、読んでいる方は、旅行している気分になる。限られたページという舞台の上で、ありったけのスペースを使って、時空を駆けながらの展開に、読者は後半へと誘われる。

本のタイトルの髭のノラは、イプセンの『人形の家』のノラのこと。「あのノラはそれから…」ということなのだが、ノラは、そもそも文学というアートシーンの女性だ。私たちは生きている間しか実体験できないが、時代から時代へ人々が引き継いで来てくれた作品を通して、別の時代の別の地域の別の文化に触れられる。

(つづきは左下Moreをクリック)

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by bekokuma321 | 2018-03-05 14:18 | ノルウェー

「なぜ、タイベ・アバシ(Taibeh Abbasi) とその弟がアフガニスタンに強制送還されなければならないのか。アーナにここに来て説明してもらいたい」

ノルウェー政府は、開発途上国の少女の教育への援助を優先課題にしてきた。とりわけ、マラウイ、エチオピア、ネパール、ナイジェリア、南スーダン、アフガニスタン、ハイチに優先的に開発援助をしている。

「ノルウェー政府は、試験の前にアバシをアフガニスタンに強制送還しようとしながら、その一方で、少女の教育の権利擁護を主張することなどできない。アーナに聞いてみよう」と、アーナに手紙を出したという。

アーナとはアーナ・ソールバルグ。ノルウェーの現職首相のことだ。

報道によると、手紙を出したのは、トーラ・ストーム高校の生徒会の代表たち。ノルウェーのトロンハイムにある。タイベ・アバシも通う。

同校の生徒会は、同じ学校に通う友タイベ・アバシが強制送還されることについて、首相に学校に来てもらって、生徒たち800人の前で、直接、話をしてもらうというのだ。なんと大胆。

アバシは、6年前、アフガニスタンでの襲撃を逃れてイランに逃亡。その後、ノルウェーにたどり着いた。イランで、父親と離れ離れになり、シングル・マザーとなった母親と子どもたちはノルウェーで居住権を獲得。数年前、父親がノルウェーに来たが、難民申請を拒否された。シングルマザーでなくなった母と一家はアフガニスタンに帰国する命令を下された。

一家は提訴。最終的に「強制送還やむなし」の判決だったという。アバシはすでに18歳。医師になるため勉学を続けてきた。

トーラ・ストーム高校の生徒たちは、何度も会合を持ち、アバシのために何ができるかを話し合った。政治に影響を与えるにはどうしたらいいか、を政党の青年部にも相談を持ち掛けた。

昨年は、生徒会主催でトロンハイムの中央広場で大デモを成功させた。集まった数、数千人! 経済的に家族を助けようと大キャンペーンもした。募金活動を続けて、約60000クローネを集めたという。日本円にして81万円!

目を丸くしてしまうが、ノルウェーではありゆる話だ。ノルウェーでは、子どもたちの政治的活動はむしろ奨励されているからだ。

たとえば、国政選挙や地方選挙の前、毎回、校内に政党の代表(多くは候補者)を招いて、政策討論会を開く。昨秋、この「スクール・エレクション」と呼ばれるイベントを見てきたが、校内での白熱討論の後は、政党ごとの選挙スタンド前で政党員と生徒たちが質疑応答を楽しんでいた。

地方議員候補となる高校生や大学生は珍しくない。実際、現首相アーナも18歳で、ベルゲン市議に当選した。

国の政治的決定に異議を申し立て、首相に直訴した高校生たち。教員だった私は、つい日本の高校の規律を思い出してしまう。

さて、ノルウェー首相は、トロンハイムの学校までやってくるだろうか。

Ber Erna vise hva hun står for
Global Partnership for Education / Norway

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 ▲トロンハイムの夏
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by bekokuma321 | 2018-03-04 20:38 | ノルウェー

c0166264_112566.jpgシーネ・ブルーデセット(Signe Brudeset)が、2018年度からの駐日ノルウェー大使に決まった。

彼女は、1967年に生まれ、ベルゲンのノルウェー経済大学(NHH)経済学部を卒業。1997年から外務省勤務。NATOや、シリアやイラクの特別代表、労働党の国際セクレタリー、外務大臣の政策顧問などを経て、現在は外務省のDirector。

ノルウェーは、内閣も国会もその4割以上を女性が占めるが、日本への大使にはずっと男性が続き、女性の大使は初めてとなる。

ちなみに、ノルウェーは、首相(保守党)、財務大臣(進歩党)、外務大臣(保守党)と3つのトップポストが女性である。

【写真は、Signe Brudesetのtwitterから】
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by bekokuma321 | 2018-03-03 01:04 | ノルウェー

c0166264_14391431.jpg冬季オリンピックで、ダントツの強さを見せているのは、ノルウェーだ。

日本の30分の1ほどの人口の小国なのに、なぜこんなに強いのか。

ノルウェーファンの私は、第1に幼い頃からスキーに慣れ親しんでいること、第2に自然と近い生活が好きなこと、そして第3に平等に高い価値を置いていること、が背景にあると思う。

今日、そのノルウェーの教育について報告をする。午後4時半から、八王子市。ノルウェーの平等に関心のあるかたはもちろん、変な方向に行きそうな日本の教育を憂いているあなた、お誘いあわせてどうぞ。

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by bekokuma321 | 2018-02-24 14:43 | ノルウェー