カテゴリ:ノルウェー( 627 )

ノルウェーには国立の女性博物館がある。夏はとりわけ充実したイベントで人気がある。

でも、いったいどんな経緯で国立女性博物館なるものができたのか。詳しくは「叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち 第61回 夏だ、女性博物館に行こう」を。

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             ▲記念すべき1993年のポスター

1993年、「女性博物館 第1回企画:ヘードマルク女性たちの作品」
1995年、ソニア王妃を迎えて、プレ・イベントのオープニング
1998年、国立博物館として認定
2000年、企画展「カミラ・コレットの笑い」
2013年、女性参政権獲得100周年イベント「当時の声、今の声」
2018年、夏の特別展「行間を読め」。世界を揺り動かした#MeToo運動がテーマ。セクハラ根絶を願うポスターや芸術作品が、9月1日まで部屋いっぱいに展示されている。


ノルウェー労働党党首セクハラを語る
ブルントラント元首相 セクハラ被害を語る
ノルウェーDV予算をめぐる攻防
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by bekokuma321 | 2018-08-15 15:23 | ノルウェー

夏休み、スヴァイン・インヴォルド(Svein Ingvald) は、妻や家族と、フィヨルド岸のサマーハウスで過ごす。しかし、家の庭先に広がる美しいフィヨルドには、朝から夜まで、大型クルーズ船が行き来する。

彼は、緑の党党員。自然保護や持続可能な漁業を願っている。もともとは市の保健課長。今はペンショナー(年金者)だ。

日曜日、彼は、朝8時、おしっこに起きた。目の前にクルーズ船がやってた。とっさに彼は、裸でクルーズ船に向き合った。妻に写真をとってもらって、フェイスブックに載せてほしいと頼んだら断られてしまった。そこで写真を自分のフェイスブックに載せた。

ただちに反響が押し寄せ、メディアも大きく取り上げた。中には「彼は市議会で、緑の党の政策にもっと関心を持ってほしいといつも願っているが、今回、それを成し遂げた」と。効果抜群の抗議行動には、何の準備も資金もいらなかったことを紹介している。

日本人は驚くかもしれないが、彼は、ノルウェーのクヴィンヘーラ(Kvinnherad)市の現職の市議会議員である。

クヴィンヘーラ市議会のなかで、彼の属する緑の党はただ1人。市の人口13000人、市議35人。政党は多彩で、勢力分布は保守党12、労働党8、中央党6、進歩党3、キリスト教民主党2、ローカル・リスト2、自由党1、緑の党1。フォルマンスカープ(参事会)は9人で、保守党3、労働党2 中央党2、進歩党1、キリスト教民主党1で構成されていて、緑の党はいない。

ノルウェーは、比例代表制選挙なので、有権者は政党を選ぶ。小さな自治体でも、大政党は大政党なりに小政党は小政党なりに、5つか6つの政党から議員が出ている。ただ、クヴィンヘーラ市のような8政党の市は、とても珍しい。またクオータ制をとる政党が多く女性議員も多い。クヴィンヘーラ市はクオータ制に熱心とはいえない保守党の強いこともあり、女性議員は34%にすぎない。ちなみに、ノルウェーの地方議員の多くは無報酬である。通常の仕事を持ったり学生だったりしながら、夜に会議を開く。

メディアによると、スヴァイン・インヴォルドは、今回の突飛なアクションについて、こう語る。

「この写真投稿は、フィヨルドが巨大クルーズ船の遊園地になっている、我々は自然環境をこんなふうにしている、という事実に対する、私なりの行動です」

「ふと思いついたのです。私は眠るときはいつも裸なんです。裸でなかったら、このとっさの行動はなかったかもしれませんね」

スヴァイン・インヴォルドのフェイスブックをさきほど見た。すでにオリジナル写真は削除されていた。彼は「反響が大きく電話は鳴りっぱなし。71歳の人間にはフィヨルドの大型クルーズ船のもたらすことより危険です」と冗談っぽく書いている。でも、報道写真はそのままだ。そこには「コペンハーゲンには人魚姫、我々にはスヴァインがいる」という、なんとも楽しいコメントがあった。

彼の妻はアーティストらしく、彼女のフェイスブックには、上品なアート作品が数多く投稿されている。夫のヌードを載せたくなかったのは、よくわかる。


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       ▲クヴィンヘーラ市の観光パンフレットより


Slik protesterte Svein Ingvald (71) mot cruisenæringa
Kvinnherad kommune
女性議員やミニ政党が当選しやすい選挙制度とは
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by bekokuma321 | 2018-08-10 12:51 | ノルウェー

元外相トールヴァル・ストルテンベルグの訃報が届いた。ノルウェー国民の尊敬を集めてきた政治家で、NATO事務総長の前首相イェンス・ストルテンベルグの父親でもある。心からお悔やみ申し上げる。

訃報に接して、ノルウェー初の女性首相グロ・ハーレム・ブルントラントは「その前向きで豊かな人生を考え、私は、感謝の念と幸福感に満ちあふれています」と語ったと報道されている。

彼の妻カリン・ストルテンベルグは、余り知られていないが、ノルウェーの家族・男女平等政策の土台をつくったフェモクラット(femocrat)だ。妻カリンが亡くなったのは、2012年秋。その直前、私は彼女に単独インタビューをする機会に恵まれた。その時、仲睦まじい二人の写真を撮影した。左がトールヴァル・ストルテンベルグ、右がカリン・ストルテンベルグ。

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カリン・ストルテンベルグについての記事は、ノルウェー王国大使館HPに掲載された。現在、HPにはなさそうなので、夫妻の思い出を胸に、原稿を掲げる。彼女の進めたノルウェーの「家族政策=男女平等政策」は、2018年の日本にこそ必要だと考えられるから。

●●● 第1回 男女平等政策の礎を築いたカリン・ストルテンベルグ 上 ●●●

3%から90%へ

「1972年、私は、家族・消費問題省職員のトップでした。その省内に、家族・男女平等セクションがありました。でも、吹けば飛ぶようなセクションでしたね」。こう言って、カリン・ストルテンベルグ(1931年~)は、カラカラと笑った。

いま、年金生活を送るカリンは、国家公務員だった時代に、ノルウェーの家族・男女平等政策の骨子をつくった人物として知られる。現首相イエンス・ストルテンベルグの母親、元外相トールヴァル・ストルテンベルグの妻としても有名である。オスロ市内にあるストルテンベルグ家応接間でインタビューした。

――どうやって、前人未到の政策を編み出したのですか。
「当時、家族・消費問題省の大臣はインガー・ルイ―ズ・バーレ(Inger Louise Valle)でした。その大臣が、『女性たちのために、男女平等を進める家族政策づくりをしてほしい』と事務方の私に頼んできたのです。私は『家族政策? 何でしょうか、それは?』と聞き返してしまいましたよ。私は何も知らなかったのです。すると大臣は『私もわからないけれど、それを必要とする大勢の女性たちがいることだけは確かでしょ。とにかく、働きたい女性が外で働き続けられるような政策を考え出してください』と言うんです。でも、当時の家族・消費問題省には、そんな分野を受け持つ職員がいなかった。そこで私は大学生を臨時に雇って、彼らと議論を重ねた。その結果、家族政策白書ができたのです」

――それが、後に世界のお手本になるノルウェーの男女平等政策や家族政策のスタートだったのですね。その白書の内容を覚えていらっしゃいますか。
「どうしたら両親がともに外で仕事を続けながら子どもや家族の世話をできるようにするか、についての提言でした。とりわけ、子どもがいる女性が仕事を続けられるようにするためには、どうしたらいいのか。その具体策を提案しました。最優先課題は、保育園の建設。70年代はじめのノルウェーでは、子どもたちのたった3%しか保育園に入れなかったのですよ」

――今、ノルウェーでは、子どもの90%近くが保育園に通っていますね。70年代に3%だなんて、30%の間違いではないのですか。
「いいえ3%です。ですから、保育園の建設を最重要課題にあげたのです。次の重要政策は、小さな子どもを持ちながら働く親に、特別な権利を与えたこと。一に親休暇の導入、二に子育てのための就業時間の軽減、三に子どもが病気になった時の親の有給休暇、四が子どもを持つ親への現金給付増額、五が男親に家に早く帰ってもらうための政策……」

――既存政策への挑戦ですね。国会は荒れたでしょうね。
「保守派政党は、『女性が男性と同じように外に出て働いたら、子どもはいったいどうなるのだ』と強く反対しました。それには、『大丈夫。両親ともに家庭に早く帰れるようにすればいいのです』と反論しました」

――政策の実行に必要な財源はどうしたのですか。
「この家族政策は実にお金がかかりますから、少しずつゆっくり前進させました。つい最近まで、ざっと40年もかかりました。最も強く推進してきた政党は労働党ですが、他党も、政策推進派に変わってきました」

――あなたは、この白書で、妊娠中絶の決定は女性の意思による、との提言もしました。
「反論続出。私は、まるでリンチにあったようでした。質問に答えるための回答案を何百も用意しました。諸外国を調査し、『妊娠中絶を合法化しない社会』は『妊娠中絶のない社会』ではなく、『違法で不衛生な妊娠中絶が横行する社会』にすぎないことを証明しました。危険な闇中絶によって、おびただしい数の女性が死亡したり、致命的傷害を受けたりしている恐怖の現実をつきつけました。

――当時ノルウェーでは、医師による委員会が中絶の是非を判定する、となってましたね。
「もしも中絶が人道にもとる行為だとするなら、医師が決めようと、女性が決めようと同じでしょ。ですから、しだいに議論の焦点は、妊娠中絶を決めることができうる最適の人は誰か、に移行してきました。そこで、私たちは、『妊娠中絶をするか否かを決める最適の人物は女性自身である』という自信に満ちた文章を書きました。医師による委員会がたかが30分ほど女性から話を聞いて判断するより、妊娠した女性自身のほうがずっと確実な判断をしますよ。これ、当たり前でしょ」

――国連の後押しもありましたね。
「1975年、メキシコで開催された第一回国連世界女性会議に、私はノルウェー代表として出席しました。国連には、世界ナントカ年、国際ナントカの日とか、たくさんありすぎます。ですから世界女性会議も、開催前は関心を呼ばなかった。ところが、開けてみたら世界のマスメディアが注目しました。ノルウェーでも、大きく報道されました。それ以来、男女平等のテーマはノルウェーの大事な政策なのだ、と考える人が増えてきたのです」

――女性の政治家が増えたことも関係しますか。
「政策決定の場に女性が増えたことが決定的でしたね。1986年、グロ・ハーレム・ブルントラント首相は、組閣の際、初めて女性を40%以上にしました。有名な、あの“女の内閣”です。その時の防衛大臣の男性が、『おー、なんてこった! 内閣で保育園のことを議論しなければならなくなった』と嘆きました。彼に限らず多くの男性大臣たちは『保育園? そんなバカなこと』と思ったのでしょうが、もうそんな発言は、時代遅れになったのです」

――女性大臣が増えることによって、女性の関心事が国の重要政策になるいい例ですね。
「労働党は次の選挙で負けて、保守党に政権を譲った。保守党はクオータ制には反対でした。ところが、保守党政権に変わっても、やはり大臣の40%は女性だった。すでに『40%の女性大臣』が当たり前になっていたので、もしも女性を1人、2人しか入閣させなかったとしたら、国民の失笑を買うと思ったのでしょうね。以来、どの政党が政権をとっても、内閣大臣の40%以上は女性です。

(雲ひとつないいい天気の日だった。窓の外に目をやりながら、カリンは続けた)
あなた、この近くのビーゲラン公園を散歩してごらんなさい。たくさんのパパたちが、子どもをベビーカーに乗せて時間を過ごしていますよ。父親が“パパ・クオータ”を10週間取れるからです。その10週間は父親に割り当てられた有給休暇です。母親には代行できません。育児を楽しむパパの姿、これは、40年前の家族政策の大きな成果なのです」                           (Moreに続く)

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by bekokuma321 | 2018-07-15 11:50 | ノルウェー

心の底からの喜びとはじける笑い声が伝わってくる。見てるだけでハッピーになってくる写真や動画の数々。ノルウェーから届いた今年のオスロ・プライドの光景だ。

オスロ・プライドは「性の多様性」を誇り、祝うお祭りだ。LGBT(エル・ジー・ビィー・ティー)の人たちが企画する。LはレズビアンLesbianで女性同性愛者、GはゲイGayで男性同性愛者、Bは、バイセクシュアルBisexualで両性愛者、TはトランスジェンダーTransgender。

日本ではレインボー・プライドと呼ばれる。今年は4月28日(土)~ 5月6日(日)をレインボーウィークと呼んでイベントや行進を行った。今年は4万人が参加したらしい。

オスロ・プライドは、スケールがさらにドデカイ。6月22日(金)~7月01日(日)の10日間で、6月30日(土)には、オスロの目貫通りを大パレードが占拠した。パレードだけで29万人以上だったとか。人口が日本の30分の1だから、ものすごい数だ。

Face Bookで主催者はいう。

「私たちは、集まり、抗議する。多くは、誇りをもって、オープンな人生を送っている。だが、まだ前に進まなければならない。沈黙を破った若者たちが安全な暮らしができるように、ノルウェーにやってきた難民たちが家族と再び暮らせるように、家族を失ったり家族を持たないお年寄りが安心して自分の人生を全うできるように」

オスロ・プライドのレポートが、NRK(日本のNHK)から届いた。「おおッ」と目を引く写真
はベルゲンのパレード。筆者はLene Wikander。家族とは人生とはを問いかける、印象深い表現を翻訳して紹介する。

c0166264_2444473.jpg【核家族はなくなりつつある。家族よ万歳!

家族は、数えきれないほどさまざまだ。重要なことは、自分たちが選べるか、だ。

私はシングルでいることを愛している。結婚も、同棲もしていない、自分自身の子どももいないが、家族を持っていないということではない。私は親しい友人たちと多くの時間をすごす。お互いに相手を思いやり、困ったことがあれば助け合っている。

離婚は当たり前となったが、まだ、母―父―子のタイプが理想とされる。多くの人にとって、それが主流であり、望んでもいる。しかしながら、実際は、核家族は壊れかかっている。

オスロ・プライドを主催したFRI(The Society for Gender and Sexual Diversity)リーダーのイングビルドはこう言う。

「今年のテーマは家族。伝統的な核家族に対する挑戦であり、それを越えたい。家族という言葉が私たちをも表すように」「どんな家族も同じ顔をしていない。たとえ同じように見えても」

私たちは、これまでの伝統や古いタイプの家族を打ち破るような家族で生きている。大切なことは、自分で選べるかどうかだ。

一人であろうと、何人であろうと、子どもがいようといまいと、友人と住んでいようと、あなたの選んだ生き方は尊重されるべきだ。】

Kjernefamilien er døende – lenge leve familien!
Oslo Pride
人権を政治に反映させるノルウェー、家父長制という化け物にしがみつく日本
LGBTが最も幸せに働けるのはノルウェー
ノルウェー、性自認を自己決定できる新法可決
保育園の教材に同性愛登場(ノルウェー)
ノルウェー新婚姻法 追記
ノルウェー新婚姻法



【写真はOslo Prideが販売する商品のひとつ、ソックス。HPから申し込める】
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by bekokuma321 | 2018-07-05 02:57 | ノルウェー

なんで日本の議会には女性が少ないのか。

男尊女卑、強い性役割、やる気のない政党、夫の無理解、カネのかかる選挙ーーーいろいろあるだろうけれど、最大の原因は何だろう?

女性議員を数多く輩出してきた国々の選挙を調べてみた。たとえば、男女平等の先頭を切る北欧諸国の選挙制度は? 北欧5カ国、すべて、比例代表制選挙だった。

なかでも、首相・財務相・外相が女性であるだけでなく、閣僚の50%、国会議員の41%が女性の国ノルウェーは、100年前から比例代表制で選挙を行っていた。

ノルウェーでは女性が議会に多いだけではない。議会を構成する議員の所属政党のなんと多彩なこと。人口5000人以下の小さな自治体であっても、大政党からミニ政党まで5つか6つの異なった政党から議員を出していた。

そんなノルウェーの選挙を映像で見ながら、選挙運動、高校生の政治参加、投票のしかた…などを皆で考えた。その、緑の党での講演会内容が、Youtubeにアップされた。北欧の選挙や政治に関心のあるかた、下の写真をクリックしてどうぞ!

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▲投票日の深夜、全政党党首(緑の党はスポークスパーソン)が国会に集まって記者会見を行うのが恒例。左から2人目の緑の党スポークスパーソンは身重で国会議員当選。翌日から育休にはいった(2017年9月11日深夜のノルウェー国会の写真を見せて説明する三井講師)

女性議員やミニ政党が当選しやすい選挙制度とは
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by bekokuma321 | 2018-06-18 21:55 | ノルウェー

c0166264_13412528.jpg先月、緑の党の「選挙スクール」で北欧の選挙を紹介した。

ジェンダー・ギャップ(性差)の国際比較で、北欧5カ国のうち4カ国が、トップ10に並ぶ。日本はどん尻の114位。日本が北欧に最も遅れをとっているのは、政治と経済だ。

その政治を、北欧ノルウェー選挙を取材した昨秋の画像をもとに報告した。「女性議員やミニ政党が当選しやすい選挙」について。

終了後、参加者から、多数の質問や意見があがった。

「ノルウェーに選挙期間がないってどういうことなのか」
「日本の選挙では、出産を控えた有権者が、事前投票の要件に値しないと言われている」
「私の議会には女性議員が一人しかない。これはノルウェーの100年前の姿だが」
「明るい、自由、楽しそう。そんなノルウェーの選挙風景を見て、日本の選挙は、なんて不自由なんだと感じた」
「ノルウェーでは、選挙運動はほぼ何でもできるというが、してはいけないことは何か」
「90年代『桃色革命』という本を読んでびっくり(注)。北欧に行くチャンスもあり、北欧の福祉や平等の背景に女性議員の躍進があるとわかった。その後、立候補した」
「ノルウェーでは、ふだんのくらしと政治に境目がないという感じだ。政党の存在もくらしに身近のようだ」
「ノルウェーは地方議会も比例だ。『参事会制度』について説明がなかったが、地方議会についてもっと知りたい」
「日本には女性が誰もいない議会『女性ゼロ議会』があるが、それをなくしていくには」
「比例代表制では、選挙後、連立協議が不可欠となる。今の日本で比例制をしたら、連立協議などできないのでは」

回答は、近いうち公開される「選挙スクール」の動画をどうぞ。

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【注】正確な著書名は『桃色の権力』(三井マリ子著、三省堂)
【写真:上は、当選後ただちに育休にはいった緑の党国会議員(スクリーンの右の女性)について「比例制では代理議員制があり、休暇をとりやすい」と説明する三井。下は、講演後のパネル。左から久保あつこ旭川市議、清野和彦秩父市議、坂井えつ子小金井市議、司会は重松朋宏国立市議。ともに緑の党より】
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by bekokuma321 | 2018-06-10 13:58 | ノルウェー

ノルウェー政府が、父親を差別しているとして、国際機関から提訴されるもようだ。

ノルウェー王国大使館のトム・クナップスクーグ参事官から、ノルウェーの保育サービスの充実ぶりを聞いたばかりだ。

ノルウェーの育休は、給与100%で49週間、80%で59週間。このうち、母親、父親にそれぞれ10週が強制的に割り当てられる。それ以外は両親のどちらがとってもOKだ。ほかに希望する1~5歳の子の保育園は100%確保されていて、現在1~5歳の90%以上が保育園に通園している、という。

いったい、ノルウェー法制度の何が問題となのか。

報道によると、欧州裁判所は、ノルウェーの父親の親休暇権は母親と同一ではない、と結論づけた。

理由は、父親が育児休業を取得するには、子どもの母親が雇用されているか学生であるかという条件が必要だ。しかし、母親の育児休暇にはこうした条件は適用されない。欧州自由貿易協会 (EFTA)は、ノルウェーの育休法制度は欧州の男女平等指令に違反している、と言っているのだ。

この問題は、2015年以来、欧州裁判所で扱われ、ノルウェーの父親から「差別だ」との証言が何件か提供されたという。2016年からは、和解の場も設けられたものの、合意には至らなかった模様だ。

対するノルウェー政府は、ノルウェーの父親休暇の規則は欧州の男女平等指令を侵害しないと譲らない。家族問題や男女平等政策を推進する「ノルウェー子ども平等省」は、父親が育児休業をとっている間、女親がより多く働き続けるようにという趣旨の規定であり、ひいては職場における男女平等を促進することになる、と主張している。

hESA tar Norge til EFTA-domstolen for diskriminering av fedre
Agency takes Norway to European court for discrimination against fathers


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    ▲産まれたばかりの赤ちゃんのおむつを変えるパパ(オスロ)

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    ▲ベビーカーを自転車の後ろにつないで、サイクリングするパパ(オスロ)

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    ▲イチゴを口の中で小さくほぐしてから子どもにあげるパパ(ヘードマルク)
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by bekokuma321 | 2018-05-08 23:13 | ノルウェー

ある女性の生誕100年を記念してその業績が大きく報道されている。

女性はエヴァ・コースタッド(1918~1999)。ノルウェーの男女平等オンブッド第1号だった。当時、男女平等推進のためのオンブッド(オンブズマンのこと)を持つ国は他になかったので、世界初の男女平等オンブッドだ(注1)。

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     ▲エヴァ・コースタッド。1995年7月オスロにて撮影三井(『男を消せ!』より)

北欧では、法律は、独立した特別の監視機関がなければ守られないものだとみなされている。その機関は、個人が誰でもいつでも簡単に利用でき、無料でなければならない。このような市民の常識から生まれたのが、オンブッド(オンブズマン)だ。目線は常に社会的弱者だが、裁判官と大臣を足して2で割ったような強い権限を持つ国家公務員だ。ただし任期は6年。

ノルウェーの男女平等オンブッドは、1978年男女平等法とともに生まれた。当時の法の10条~12条に規定があった。

オスロで、エヴァ・コースタッドに取材をしたのは、1995年7月。『男を消せ! ノルウェーを変えた女のクーデター』(三井マリ子著、毎日新聞社)に取材内容が詳述されている。

その中からひとつあげる。エヴァは私に「全市に公的委員会の性別構成比を出させて、どの市のどの委員会に何%しか女性がいないということを明らかにさせた。それをもとに、なぜこの委員会には女性がいないのかと市長に質問をする」と教えてくれた。さらに「男ばかりの船舶委員会を持つ市があった。まずは船舶委員会の委員長に手紙を書き、電話をした。適格者がいないというので、『あなたの奥さんや娘さんだって船で旅行するでしょう』と言った。翌年、その市の船舶委員会に初めて女性が入った」

さしものノルウェーも、「当時は市長は男性ばかり」。エヴァ・コースタッドは、市長相手に女性を増やすよう変えてもらうことは「楽な仕事ではなかった」とつぶやいた。

今晩、豪雨のなか女性たちが財務省前で「麻生辞めろ」と怒りのデモをしている。

麻生大臣は、露骨なセクハラを繰返した福田事務次官(今は辞職)の任命責任、管理監督責任者である。あんなセクハラ男を野放しにしていたのだから、その責任をとって一刻も早く辞めるべきなのに、あろうことか、麻生大臣は「はめられて訴えられているんじゃないか」「セクハラ罪っていう罪はない」などと福田次官をかばった。

ノルウェーにもどる。ノルウェーの男女平等法は何度か改正されている。セクシュアルハラスメント、ジェンダーハラスメントの禁止も盛り込まれた。セクハラは男女平等法で定義づけされ、明快に禁止されている。

一方、日本の雇用機会均等法でも、セクハラが明記されているが、禁止されていない(注2)。麻生大臣のような支配者に「セクハラ罪はない」などと言わせないためにも、厚労省はただちに改正してセクハラ禁止規定にすべきだ。

さらに、エヴァ・コースタッドが就いていた男女平等オンブッドのような独立機関が、セクハラなど性被害の根絶には絶対必要だ。被害者が、財務省の顧問をしている弁護士事務所に訴え出ることなどできるはずはない。


【注1】現在では、男女平等オンブッドは「平等・反差別オンブッド」と呼称が変わって、対象が拡大された。
【注2】1997年、日本の雇用機会均等法が改正されて事業者のセクハラ防止義務(禁止ではない)が明記された。これは、アメリカの三菱自動車で働く女性たち100人が起こしたセクハラ訴訟、彼女たちとともに不買運動をした女性団体NOWなどのおかげである。セクハラの苦しみを訴えたアメリカ女性労働者がいなければ、日本の雇用機会均等法にセクハラの防止義務さえなかったのだ。この訴訟は、アメリカのEEOCが三菱を相手に集団訴訟を起こした。EEOCは雇用機会均等委員会のことで、北欧のオンブッドのような独立機関である。後に、三菱は実に約50億円もの賠償金を支払って和解をした。

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▲オスロのエヴァ・コースタッド通り。彼女に敬意を表して、かつての通りの名を変えて彼女の名にした

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▲1971年の地方選は「女のク―データー」と呼ばれた(毎日新聞『男を消せ! ノルウェーを変えた女のクーデター』に詳述)。オスロ市議会に登庁する女性当選者たち。中央はエヴァ・コースタッド。Milestones in Norwegian women’s history より

セックス同意法(スウェーデン)
映画界の女性差別をなくすために
男女平等大臣、クオータ制反対を公言
平等オンブッド、Tシャツに怒る
ノルウェー地方選レポート1:「女のクーデター」再び
平等・反差別オンブッド、地方行脚
ノルウェーの新「平等と反差別オンブッド」、決まる
ついに映画産業にクオータ制
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by bekokuma321 | 2018-05-08 00:00 | ノルウェー

日本の出生届用紙は、生まれた子どもの名前の右横に「嫡出子」「嫡出でない子」という欄があって、どちらかに印をつけるようになっている。

この21世紀に、この日本に生まれたら、父母が結婚してるかどうかで差別されるのだ。もとになっている法律は戸籍法49条。改正案が出されても、自民党や維新の会などの国会議員が猛反対しているから、ちっとも変わらない。

女性や子どもが世界でもっとも幸せだとされる北欧はどうか。北欧ノルウェーの家族の実情は日本と100年違う。「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会通信」222号(2018年3月―5月号)に掲載された原稿を編集発行者の許可を得て紹介する。

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by bekokuma321 | 2018-05-01 08:57 | ノルウェー

4月20日、東京で「選挙を変えれば暮らしが変わる ♪モノトーン議会からオーケストラ議会へ♫」が開かれた。

ノルウェー、ニュージーランド、韓国の代表たちは、自国の選挙制度と女性の進出などについて熱っぽく語った。スピーチ内容を要約して、国ごとに紹介する。

■ノルウェー「世界で最も幸せな国の選挙制度」(講師:トム・クナップスクーグ参事官、通訳:仙波亜美広報担当官)

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ノルウェーは、労働界への女性参加が世界で最も高い国のひとつだ。それを可能にしている背景に、1~5歳の90%以上が保育園に通園し、父親に強制された育児休業(パパ・クオータ)を含む長い育児休業のシステムがある。

政治における女性割合は、大変高い。1913年の女性参政権以来、女性は、民主主義形成プロセスに参加につぐ参加をしてきた。昨秋の国政選挙の結果、国会議員の40%以上、首相・外務相・財務相を含む閣僚の半分、連立を組む3政党の党首3人全てが、女性となった。

女性の政治参加は、政治を変えてきた。保育や育児の改善、女性に対する暴力撤廃、合法的妊娠中絶などの権利は主に女性が勝ち取った。この進歩は、女性のみならず人々の可能性を解き放つことにつながっている。

女性議員増に選挙制度は「おそらく、関係があるだろう」。比例代表制選挙において、政党は、候補者名簿(リスト)に女性を載せやすいからだ。

クオータ制は、政党に強制されてはいないが、主な政党は、40%の性別クオータ制をとりいれている。クオータ制を導入しない政党でも、ほぼ男女同数を候補者名簿(リスト)に登載している。ほぼ全ての政党にある女性部や女性委員会が、男女平等をけん引する。

ノルウェーの選挙民は、候補者にではなく、政党の候補者名簿(リスト)に投票する。政党の得票数に比例して、政党の当選者が決まる。政党の得票率と国会の政党別議席割合は、ほぼ等しい。

投票率は約8割。ひとつには投票しやすい環境にある。解散がなく、投票日は9月初めの月曜と決まっている。投票日の何週間も前から投票できるし、病院や高齢者施設など公的施設で投票ができる。

投票権も立候補権も要件は全く同じで、国政選挙は、18歳以上のノルウェー国民で、ノルウェーに住民登録されていればいい。地方選挙では、有権者は、当選に影響を与える個人票を持ち、リストの候補者1人に1票、何人に加えてもいい。

【写真はノルウェー王国大使館のトム・クナップスクーグ参事官。撮影富山達夫】

(全国フェミニスト議員連盟と選挙改革フォーラムの共催)

国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」序
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」韓国
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ニュージーランド
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by bekokuma321 | 2018-04-27 11:59 | ノルウェー