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世界の女たちやハッとするニュースを、やさしい英語で学ぶ講座です。日本ではよく知られていない新鮮な話題を英語でかじって、脳を刺激しませんか。

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月20日は「Lesson 3 アメリカ」。中間選挙で、アメリカ女性は、トランプ大統領の共和党、オバマ前大統領の民主党のどちらを支持したのでしょうか。女性の議員はどのくらい増えたでしょうか。



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by bekokuma321 | 2018-11-07 17:42 | USA

「女性を犯した人が最高裁に居座ることを許そうとしていることだと、あなたはわからないんですか」

「あなたには子どもがいる。私にも子どもがいます。これから50年間、女の子を犯したと訴えられた人が最高裁にいすわるなんて私には信じられません。いったい何なんですか」

国会のエレベーターの扉を開けたまま、女性たちが涙ながらに必死に訴えている。CNNなどが世界中に流した。私は今、ガーディアンの動画で見ている。

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エレベーター内には、共和党のジェフ・フレイク(Jeff Flake)議員が立っている(写真上)。フレイク議員は、上院司法委員会のメンバーだ。態度を決めかねていた彼が最高裁判事に指名された高裁判事を承認すると報道された直後に、女性たちが押しかけたとされる。

アメリカ国会の上院司法委員会 の議論を、現在、多くの報道会社がライブで中継中だ。公聴会の休憩時間には、国会前や最高裁前に続々と抗議する女性が集まっている様子も報道されている。冒頭のエレベーター前の抗議も、CNNから流れた。


トランプ大統領は、空席となった連邦最高裁判事に、保守派のブレット・キャバノー高裁判事(53)を指名した。アメリカの連邦最高裁判事は、終身制だ。死亡または引退するまで地位が保障される。


アメリカでは、指名された最高裁判事は、上院本会議で承認する。上院は100人。僅差で共和党が多い。その本会議での承認に先立って、上院司法委員会は採決で結果を決める。こちらは「共和党11対民主党10」の21人。しかも共和党は全て男性。


メディアは、夏以降、キャバノー高裁判事から性的暴行・セクハラを受けたとする女性たちの告発を報道してきた。#MeToo運動がピークに達したような勢いだった。

私は、1990年代初め、アニタ・ヒル教授が同じように上院司法委員会で証言したことを思い出した。彼女は、最高裁判事候補からのセクハラの被害を証言した。私は友人がアメリカから送ってくれたビデオでその一部始終を見ることができた(注)。

さて、20余年が過ぎ、上院司法委員会(委員長は共和党チャック・グラスリー議員)は、キャバノー判事の承認採決に先立って、両者の証言を聞く公聴会を開くことに決定。

最初に被害を告発した女性は、カリフォルニア州パロアルト大学で心理学を教えるクリスティーン・ブラジー・フォード教授(51)。当初、匿名を希望していた。しかし、上院司法委員会公聴会で証言することを決意した。

2018928日、フォード教授が証言し、次にキャバノー判事が証言した。

上院司法委員会に出席したフォード教授は、濃紺の地味なスーツに身を包み、黒縁の眼鏡をしていた。「本意ではなかったが、国民の義務としてここにやってきた」と言った。

彼女のことばは震え、ときには涙声になりながらも、一貫して静かな落ち着いた様子で語りとおした。かいつまんで紹介する。

36年前、17歳だったキャバノー氏と15歳だった私は、パーティというより誰かの私邸での若者たちの集まりといった場で一緒になりました」

「キャバノー氏は、友人マーク・ジャッジ氏と共に私を寝室に連れ込み、ベッドに私のからだを押し倒して服を脱がそうとしました。ラジオの音を大きくしました」

「彼は私を強姦しようとしているのだとわかりました。助けてと叫ぼうとしました。叫ぼうとしたとき、ブレットは私の口を手でふさぎ、阻止しました。」

(彼の強姦未遂行為は)「不安、恐怖症、PTSDのような症状などを引き起こしました」

(その事件で最も強烈に覚えていることは)「決してぬぐいさることができないことは、笑い、笑い、2人がけたたましく笑ったことことです。彼らが笑っている間、私はその人間の体の下にいたのです。2人はほんとうに楽しんだのです」


(強姦しようとしたのはキャバノー氏だとどのくらい確信しているか)「100%確信している」。


次に証言した当人のキャバノー判事は、怒りに満ちた表情で声高に「わたしは無実だ」と疑惑を完全否定した。フォード教授の証言内容に具体的に反論せず、民主党が大統領選挙で共和党に負けたことへの報復だなどと党派的な表現をちりばめた。後ろには妻が座っていた。


一方、ファインスタイン上院議員(民主党)は、被害を訴え出た件について、連邦捜査局(FBI)の取り調べを要請し、承認手続きに関する委員会採決を延期するよう求めていた。しかし共和党は拒否したと報道されていた。

結局、両者の言い分を聞くだけ聞いて、1票差でキャバノー判事が承認されるのだろう。こう思っていたら、違った。

たった今、上院司法委員会で、ジェフ・フレイク議員が、採決の前にFBIの捜査をすべきだと、延期の動議を提案した。彼の提案が認められて散会となった。彼の提案の引き金となったのは、エレベーター前で必死に訴えた女性たちに違いない(写真上)。

【写真:CNNニュースより接写】

【注1990年初め、セクハラという言葉さえ日本では広まってなかった。一方、私には、セクハラ撤廃に動き出したアメリカの情報が数多くはいってきた。議員だった私は女性たちからの性的被害に数多く接していただけでなく、自身もセクハラの被害者だった。性被害の解決に向けて、行政の労働相談項目に

セクハラを新設するよう運動していて、それが実った。それによって、過去「その他」に分類されていたセクハラの被害数や内容を明らかにすることができた。日本の行政では初めてだった。当時、アメリカ国会上院司法委員会でのセクハラ証言 は日本でも報道された。「あなたが議会で主張していたことがわかったような気がする」と言った男性議員がいた。米上院司法委員会のセクハラ報道は、日本の議員に対する”教育”への一助となったらしかった】


Prepared WrittenTestimony of Judge Brett M. Kavanaugh

Prepared WrittenTestimony of Dr. Christine Blasey Ford

JudiciaryCommittee Releases Transcripts of Kavanaugh Interviews


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by bekokuma321 | 2018-09-29 05:17 | USA

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USオープンで、大坂なおみは勝した。しかし彼女の表情は、6-2, 6-4のスコアで優勝したようには見えなかった。次々に流れてくるニュースによると、特殊な事態の下での優勝だった。大快挙を成し遂げた大坂なおみにとっても幸運な初優勝だったとはいえなかったようだ。


ファイナルの相手はセレーナ・ウィリアムズ。テニス界のスーパースターだ。USオープン優勝23回をはじめ数えきれないほどの偉業をなしとげてきた。


それだけではない。女性差別、黒人差別反対運動家でもある。しかも、昨年、念願の赤ん坊を産んだ。難産だったうえ、出産後、血栓をはじめ数々の病気を克服しての職場復帰に、ファンは大きな声援を送った。女性運動のメッカともいうべきニューヨーク、その郊外にあるフラッシング・メドウのテニスコートは、セレーナ・ファンで埋まった。


対する大坂なおみは、物心ついたときからセレーナの大ファン。試合前から彼女はそう語っていたそうだ。


今回、セレーナは3回の違反行為で大きく減点されたが、第1回目の審判が彼女の逆鱗にふれて、それが試合中ずっと後を引いたといえる。その1回目の違反とは、コーチは選手にコーチングをしてはならないとされているが、セレーナのコーチ(パトリック・ムラトグルー)がセレーナにコーチングしたというものだった。そう判定した審判に対して、セレーナは声を荒げた。


「私はコーチングを受けてない。不正はしていない。そう伝えるべきだ。私は、これまで一度も不正をしたことはない。私には娘がいる。謝罪すべきだ」


後にセレーナのコーチは、「コーチングをした」ことを認めたが、「彼女は見てなかった」とも続けた。しかも彼は、「みんなやっていることだ」とも。


このコーチングの有無は不明だが、それよりセレーナの逆鱗にふれたのは、テニス界の性による二重基準だ。女性差別と戦うことを公にしてきたセレーナは、「審判の基準が、男女で違う」と主張している。つまり、第一に、コーチングはよくあることであり、第二に、男性プレイヤーに対してコーチングがあっても見逃されて、こんなふうに厳格に違反だとされたことはなかった、というのだ。


コーチングを受けたとされた判定は間違いだとするセレーナの怒りはおさまらない。セレーナは、ラケットをコートに叩きつけた。それに審判は、2度目の「注意」を与えて1ポイントのペナルティとした。その審判行為に対してさらに彼女は怒り続けた。今度は、審判に対する言葉の暴力とされた。


セレーナは言った。

「これまで男子プレーヤーが審判に物言いをしてきたシーンを見てきた。私は女性の権利と平等のために戦うため、ここにいる」


テニス界の賞金に大きな男女格差があった時代から性差別撤廃に取り組み、男女同一賞金額達成に貢献したビリー・ジーン・キング というテニス界のレジェンドがいる。彼女のコメントは、秀逸である。私なりに和訳する。


「女性プレーヤーが感情的になると、ヒステリーと言われてペナルティを受ける。もし男性プレーヤーが(審判に異議を唱えたセレーナと)同じ事態になっても、彼は『ズバズバ言う人間』だと思われるくらいで、何の影響もなかっただろう。(女性に対してと男性に対してで対応が違う)二重基準である、と突きつけてくれたセレーナ・ウィリアムズよ、ありがとう。男女同一になるまでにはもっと多くの声が必要だろう」


さらにこんな提案をした。


「コーチングはすべてのテニスに認められるべきだ。そうでなければ、テニスプレイヤーが彼女のコーチの行った行動のために違反にされるという結果を生む。こんなことが起きてはならない」



Naomi Osaka defeats Serena Williams in dramatic final

ウィンブルドンの性差別










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by bekokuma321 | 2018-09-10 12:12 | USA

c0166264_2255111.jpgゴールデングローブ賞の授賞式が、注目されている。ハリウッド界に性暴力がいかに蔓延しているかの告発が堰を切ったように流れ出して以来、初の授賞式だからだ。

中でも、黒いドレスに身をつつんだオプラ・ウィンフリーの受賞スピーチは、内容もわかりやすく、爆弾のようなトーンで会場を圧倒した。

Youtubeで公開されている。

彼女は、貧しいシングルマザーに育てられ、親戚を転々するなか、子どものころから性的虐待を受けてきたという壮絶な半生の持ち主。テレビの司会者そしてプロデューサー、映画俳優、雑誌編集者として成功に次ぐ成功をおさめてきた女性だ。

オプラ・ウィンフリーの姉妹愛(Sisterhood)に満ちたセリフを私なりに翻訳すると:

「女たちは、残酷で権力的男たちに虐待を受けて、真実を語ろうとしても、聞いてもらえず、信じてもらえなかった。でも、もう、そういう男たちは、タイム・イズ・アップ。おしまいなのです」

「女の子たち、見てほしい。新しい一日が、今、地平線にやってきたのです。ついに新しい夜明けがやってきたのです。すばらしい女たち、その多くは、今宵、私たちの前にいる女たち、すてきでヤバイ男たちですが、二度と#Metooをしなくてもいい時になるまで、先頭をきって闘ってくれる人たちがいるおかげなのです」

Oprah Winfrey Receives Cecil B. de Mille Award at the 2018 Golden Globes (Youtube。上の写真は同録画の表紙より)
2017年の単語賞はフェミニズム
セックス同意法(スウェーデン)
ブルントラント元首相 セクハラ被害を語る
ノルウェーDV予算をめぐる攻防
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by bekokuma321 | 2018-01-09 22:12 | USA

うれしいニュース! 今年の「単語賞」は、フェミニズムだそうだ。メリアム・ウェブスター英英辞典が選んだ。Facebookで数日前に紹介したが、FEM-NEWSでもお知らせする。

メリアム・ウェブスター英英辞典サイトによると、今年1年、メリアム・ウェブスター辞典でもっともチェックされた単語、それがフェミニズムだったそうで、これによっていかに多くの人々がフェミニズムという単語に関心を寄せたかがわかる。

フェミニズムは、今年1月、ドナルド・トランプ大統領就任に反対する、ワシントンDCでの女性の行進(Women’s March)ニュースが広まったころから、調べられ出した。

その後、この行進はフェミニストがするものなのか、企画した人たちや参加者は、どういうフェミニズムなのかと話し合われたことにより、再びフェミニズムへの関心が高まり、検索度が上昇した。

さらにトランプ大統領顧問となったケリーアン・コンウェイ(共和党、トランプの選挙対策本部長)がはいた名セリフで、またもや急上昇。あまりFEM-NEWSに載せたくないのだが、コンウェイの、そのセリフを下に和訳すると・・・

「私は、伝統的な意味からいうと、自身をフェミニストとは考えていません。なぜなら、フェミニストは、”男性嫌い”、”妊娠中絶賛成派”ととられるからです」

フェミニズムの波はそれで終わらず、#MeToo(「私も」運動)に代表される、セクシャルハラスメントや性暴力告発の運動の広まりとともに、まだまだ検索され続けている。

メリアム・ウェブスター英英辞典を引いてみると、Feminismは、こう書かれている。
1 性による政治的、経済的、社会的平等を求める理論(the theory of the political, economic, and social equality of the sexes)
2 女性の権利と利益を求める組織的な活動(organized activity on behalf of women's rights and interests )

さて日本だが、2018年1月に発売される岩波書店「広辞苑」第7版で、「フェミニズム」「フェミニスト」の意味が改善されるらしい。

明日少女隊などから「誤解を招く」などと書き換えを求められていた。ネット署名も行われた。「広辞苑」第6版は、どう書いているかというと:

「フェミニスト」は「①女性解放論者。女権拡張論者。②俗に、女に甘い男」。
「フェミニズム」は「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動。女性解放思想。女権拡張論」

どう変わるかは、来年出る第7版を見てのお楽しみらしい。

変革のきっかけをつくった明日少女隊は、2015年に誕生した、様々な性別の第4世代若手フェミニストによる、社会派アートグループ。「すべての性の平等がみんなの幸せ」をテーマに、展覧会やパフォーマンス、レクチャー、インターネットを通じて、日本の女性が抱える社会問題についての作品の発表やアクティビズムを展開している。なんてチャーミングな団体だ!

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2017 Word of the Year: Behind the Scenes:How we chose 'feminism'
明日少女隊
わたしはフェミニストなんかじゃない。でも、なぜ?
反トランプと子猫ちゃん帽
スウェーデン「フェミニスト政府」の偉業
スウェーデンのフェミニスト外相
「日本会議」に向かって闘いを挑んだ本:『バックラッシュの生贄』を読んで
「むかしMattoの町があった」と金子準二精神科医
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by bekokuma321 | 2017-12-27 00:47 | USA

私が集めたポスターのなかで、最も強烈なインパクトを持つ1枚をお目にかけたい。アメリカのアーティストの作品だ。

「メトロポリタン美術館に女性が入るには、裸じゃないといけないのか? 女性作家は近代美術部門の4%以下だが、裸体画の76%以上は女性だ」

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1980年代にニューヨークの女性アーティストたちは「美術界の女性差別、有色人種差別に我慢ならない」と憤激した。そして「ゲリラ・ガールズ」という運動体を創設して、美術界への怒りの表明と意識改革をスタートさせた。

さすがアーティスト。鮮やかな黄色をバックに極太の黒い文字。横たわる裸の女性に「メトロポリタン美術館に女性が入るには、裸じゃないといけないのか? 女性作家は近代美術部門の4%以下だが、裸体画の76%以上は女性だ」という言葉を吐かせた。しかも、横たわる裸の女性の顔は毛むくじゃらのゴリラときている。なぜゴリラなのか?・・・関心のあるかたはネットの記事を。

ごく最近、アメリカの人気TVトークショーに彼女たちが出演しているのをYoutubeで見た。まだ頑張っていると知ってうれしかった。同時に、30年たった今でも抗議行動を続けなければならないんだな、と性差別・人種差別の壁の厚さに怒りを覚えた。

ポスターは言葉もデザインも重要だ。でも、色の力とサイズの大きさには負ける。このポスターはとくにそう。ニューヨークの路線バスのボディーに張ったらしいが、みな、さぞかし驚いただろう。

『I 女のしんぶん』の「叫ぶ芸術」に連載しているが、残念ながら白黒で小さい(下)。「愛読しています」という感想をいただくと、ネットで色付きのポスターを見てほしいと思ったりする。

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by bekokuma321 | 2017-09-20 23:49 | USA

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トランプ大統領は、国の財布のひもをしめることで、女性の命取りをはかろうとしているようだ。つまり、おびただしい数の女性たちの命が、米国予算削減によって、危険にさらされようとしている。

国内では、健康保健制度を改悪する法律が下院で可決され、いま上院で審議中だ。可決されるとーーメディケイド予算が削減され、妊娠年齢にあたる1300万人の低所得女性に深刻な影響をもたらす。避妊や性病予防教育をしてきた「家族計画団体」への予算削減によって事業がストップする。私的保険制度の対象から妊娠中絶ケアをはずされかねない。

国外に対しては「世界緘口令Global Gag Rule」の厳格化を決めた。世界緘口令とは、開発援助予算を妊娠中絶の促進に使われないような条件をつけるもので、共和党大統領が進めてきた。しかしオバマは、大統領指令によってその施行をとめて、世界の女性団体から大喝さいを受けていた。

ところが、トランプは、「世界緘口令Global Gag Rule」の復活を断行。単なる復活ではなく、より一層厳しい改悪へと、その手を広げた。

世界各国のNGOに、誓約署名をさせ、それを拒んだら、HIV対策、初期診療(primary care)、栄養補給、結核感染対策、マラリア対策を含めて、健康にかかわる全ての資金援助を受けられなくするというものだ。要するに、開発途上国の健康保健施策の息の根がとめられるのだ。これは、世界のとりわけ貧しい国々における数百万人の女性の命がかかっているとされる。

すでにトランプは、今年4月、国連人口基金UNFPAへの資金提供をやめた。それによってイラク、ネパール、スーダン、シリア、フィリピン、ウクライナ、イエメンなどで、ジェンダーに基づく暴力や妊産婦死亡と闘ってきたUNFPAに、著しい支障をもたらしているといわれている。

この緊急問題にどう対処すべきか。それを話し合うために、7月11日、国際会議「家族計画グローバル・サミットGlobal Family Planning Summit」が、ロンドンで開催された。報道から発言のポイントを訳す。

ホスト国イギリスの国際開発大臣プリティ・スシル・パテ(保守党)は「この問題の先端に対処しなければ貧困とは戦えない。少女・女性が自分の体をコントロールするチャンスを得ずして、彼女らの未来などない」と述べた。

すでに、スウェーデン、ノルウェー、カナダ、オランダ、ベルギー、デンマークは、トランプによる妊娠中絶施策の遅滞・禁止を知って、特別予算を組んで、資金援助を表明している。

c0166264_15483223.jpgそのひとつカナダの国際開発大臣マリー=クロード・ビボー(自由党、左)は、自国予算の使途内容を示し、アフリカを中心とする13カ国への資金援助のうち、10代の少年少女に対する「産む産まないことを決める権利と健康」を土台にした性教育に使われるようにすると述べた。彼女は、かねてから「私の政策優先課題の最優先課題は少女・女性です」と公言している。

「命の再生産――産む産まない権利と健康」は重要な政治課題だ。世界の多くの女性団体や関連クリニックや政府は、トランプ政権の流れに抵抗を示しながら、少女・女性たちのために闘う姿勢を示している。日本はどうだ。国会で具体的動きがないのか、報道からは何ら伝わってこないように思える。

それどころか、日本の性教育は、日本会議系国会議員山谷えり子などによる度重なる「性教育バッシング」で、すくなくとも教育現場の性教育は風前のともしびだ。

【写真】「2016年、世界で、2100万人の15歳~19歳少女が妊娠した。うち約半数は望まない妊娠だった」と記されている(ロンドンの「家族計画グローバル・サミット」で配布されたパンフレットより)

https://www.guttmacher.org/
Melinda Gates 'deeply troubled' by Donald Trump's planned budget cuts
Global gag rule: what impact will it have where you live?
These countries are pledging to fill the funding gap left by America’s controversial ‘global gag rule’
Family Planning Summit
Norway pledges $10 million to counter Trump's global anti-abortion move
Trump Signs Law Taking Aim at Planned Parenthood Funding
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by bekokuma321 | 2017-07-12 14:00 | USA

6月13日(火)、アメリカの配車サービス会社ウーバーUberの取締役はセクハラ発言を詫びた、とする報道が届いた。

セクハラ発言者は実業家のディビッド・ボンダマン(David Bonderman)。ウーバー社のイベントで「女はよくしゃべる」という意味の発言をしたという。

ワシントンポスト紙によると、その偏見に満ちた発言は、不祥事続きの会社を変えるために開かれた、セクシャルハラスメント防止や職場環境改善をテーマにした会議席上だったという。

会場で、新しく取締役になった女性アリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)が、女性取締役は会社にとってプラスになるという文脈で話していた。ノルウェーに端を発した「経済界の決定の場である取締役会にクオータ制を」という方針を世界の企業が取り組もうとしているが、その一環と思われる。

彼女は、「多くのデータによると、1人女性が取締役になると、また次に女性取締役を入れるようになります」と言った。それに合いの手を入れるように、ディビッド・ボンダマンは、「実際、よくしゃべりますんでね」と冗談を飛ばしたらしい。

彼は社員に対して、自分の発言を「不適切だった」として、「同僚の取締役に対して、敬意を失したコメントをしてしまったことを謝罪したい」とメールを出したという。

米各紙が大きくとりあげていて、フェイスブックでは、「50年代のことだ」「こういう男性がいるから、フェミニズムは今なお必要だ」「真実は、あらゆる場で女性よりも男性のほうが多く発言しています」と、けんけんごうごう。開いた口がふさがらないらしい。

c0166264_1453454.jpg ところが、日本で余りに露骨なセクハラ発言を耳にしている私は、彼の発言は聞き流してしまいそうだった。いま思い出すだけでも…。

「 “文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものは「ババア」”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です”って」(石原慎太郎都知事)

「産む機械っちゃあなんだけど、装置がもう数が決まっちゃったと。……別に、この産む役目の人が一人頭で頑張ってもらうしかないんですよね」(柳沢伯夫大臣)

「日本女性は家庭で働くのが喜び。日本文化だ」(中山義活政務官)

知事に、大臣に、政務官。彼らの発言に批判はあがったが、彼らが公に謝罪した、という記憶はない。

ちなみに、ウ―バ―は多国籍企業。アジアにも進出している。国家戦略特区諮問会議で、安倍首相は「過疎地などで観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する」と述べて、タクシー業者ではない一般人が自分の車で「有料相乗り」できるようにと、ウ―バ―方式の規制緩和を示唆した(2015年)。

Uber board member cracks ‘inappropriate’ joke about women at company event on sexual harassment
Uber's sexual harassment case shines light on a startup's culture of defiance
Uber chief to take leave from company
ガンバッテネ、男性諸君!
大衡村のセクハラ、公務災害に
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【写真】三井マリ子著『セクハラ110番』(集英社)の表紙
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by bekokuma321 | 2017-06-14 11:37 | USA

アメリカのトランプ大統領は、疑惑解明に司法省が特別検察官を任命したと聞くと、「すべては魔女狩りだ」と怒った。彼は、「ロシア関係の捜査をやめるよう」FBI長官に指示していた疑惑がもたれている。

魔女狩りとは、いつもながらド派手な言いがかりだ。ロシア介入などなかったのなら、証拠をもとに徹底調査をさせて、疑惑を晴らせばいいだけのことだ。

ところで、今日、国会議事堂の一室で、自・公・維新の3党によって共謀罪が強行採決された。この際、ほんものの魔女狩りとはどういうものか思い出してみたい。

アメリカでは、セーレムの魔女裁判が有名だ。17世紀、ニューイングランド地方のセーレム村で、100人を超す村人たちが次々に「魔女である」と告発され、何の証拠もなく、裁判で有罪とされ、絞首刑となった。

ことの発端は、牧師の娘たちが、ある会合で奇妙な行動をとったことだ。牧師は、娘たちの行動の原因は、使用人である黒人女性によって妖術をかけられたからだと断じた。「自白すれば減刑される」と言われた使用人は、妖術をかけたと”自白“した。さらに、関係者であると密告された村人たちが次から次に告発されていった。

『魔女狩り』(森島恒雄、岩波新書)によると、魔女狩りはアメリカより先にヨーロッパで起きた。「1600年を中心の1世紀はまさしく『魔女旋風』の期間だった」。一説には数十万の女性たち(男性も)が、「迷信と残虐の魔女旋風」の犠牲となって、絞殺されたり、絞殺された上で焼かれたり、生きながら焼き殺されていった。

ノルウェーでも魔女狩りがあったと聞いて取材にでかけたことがある。フィンマルクのヴァルドゥーだ。17世紀、魔女の烙印を押されて逮捕された女たちは、城内の「魔女の穴」に監禁され、拷問で自白を強いられて、その拷問に耐えたとしても、城塞跡から500メートルほど先の火刑場に引っ立てられて灰と煙にされた。

ありえない罪を有罪と断定する決めては何だったか。強いられた「自白」だった。魔女とされた人たちは、審問官が誘導するままにすべてを肯定し、「自白」をしていった。

なにやら、今日、衆院の法務委員会で強行採決した共謀罪に似ているではないか。ある場所に集まって話し合っただけで処罰しようというしろものだ。計画するのは頭の中でのことだから、物証があるはずはない。だから自白と密告しかない。

20世紀のイギリスの最高法院長マクドネル氏の言葉は、警告的だ。

「魔女裁判は『自白』というものが不十分であり頼りにならぬものであることを、他のどんな裁判よりも強力に証明している」(同上『魔女狩り』)

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 ▲裁判で死刑となり焼き殺された"魔女狩りの犠牲者"を記憶にとどめるモニュメント(ヴァルドゥーに2011年創設)


小林多喜二から共謀罪を思う
「むかし魔女、いま大臣」(連載「衆院秋田3区の政党交付金」) 
ノルウェーの魔女裁判から思うこと
魔女モニュメント、オープン
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by bekokuma321 | 2017-05-20 01:40 | USA

ドナルド・トランプの下劣な言動には、私も虫唾が走った。
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公的健康保険の廃止、妊娠中絶反対、イスラム教徒差別、メキシコとの国境に壁、銃規制緩和、テロ容疑者への拷問容認…。   


さらには、大勢の前で、障害を持つニューヨークタイムズ記者の物まねをして彼をあざける。
辛辣な質問をした女性ジャーナリストに対して、「彼女のどこからであれ、血が出ていた」とからかう。

あげくの果てに、「スターなら、女に何でもできる。女性器をつかんだり、な」と、彼が友人に告げた言葉がワシントンポストに公表された。


バカにされっぱなしでたまるか。アメリカの女たちは、トランプのアメリカ大統領就任式の翌日にワシントンでデモをしようと決めた。

英語の女性器(Pussy)は、子猫という意味でもある。「女性器をつかめ」に対抗して、子猫の形のニット帽をかぶるのはどうかしら。帽子の色は「女の子はピンク」と決めつけてきたんだから、ピンクはどうかしら。

こんなおしゃべりが、ネットを通して世界に広まった。名付けて「子猫ちゃん帽プロジェクト」。

そして、121日のアメリカの首都、ワシントン。通りという通りは、ピンクのニット帽で埋まった。「さあ、どうだ、つかめるならつかんでみろ」と。

その子猫ちゃん帽プロジェクトのポスターがこれだ。ポスターには、「女性の権利は人権である」と書かれていて、中央の動詞ARE(=である)がピンクの毛糸で描かれている。その毛糸で編んだ小さなピンクのニット帽が2つ見える。

「子猫ちゃん帽プロジェクト」は121日だけで終わらなかった。38日の国際女性デ―には、日本でも「子猫ちゃん帽」をかぶった女性たちでいっぱいだった。

「子猫ちゃん帽プロジェクト」をもっと知りたい方は、叫ぶ芸術「ポスターに見る世界の女たち:反トランプ480万人のデモ」をどうぞ。


女たちのワシントン行進とPussyhat


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by bekokuma321 | 2017-03-21 15:55 | USA