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カテゴリ:ヨーロッパ( 323 )

c0166264_00111581.jpgILO総会がジュネーブで明日610日から始まる。総会は第108回で、今年はILO創立100周年だという。

注目すべきは、性暴力・性的嫌がらせ根絶に関する条約の採択が見込まれることだ。

採択されれば、職場におけるセクハラや性暴力を禁止する初の国際基準となる。

このILO条約案を読むと、その幅広さに驚かされる。ILOのサイト やニュース情報から、画期的な条文をいくつかあげる:

☆法の対象は両性だが、「とりわけ女性と少女たちに影響があり、根絶には、ジェンダーに対応する包括的で総合的なアプローチをとる必要がある」と明記されている(前文)

職場における「暴力といやがらせ」とは、「許容できない態度や行動のことであって、1回であろうと繰り返しであろうと、身体的、心理的、性的、経済的危害を与える意図を持って、またはそういう危害を実際に与えたり、与えかねないような行為をさす。それには『ジェンダーによる暴力と嫌がらせ』が含まれる」(1条)

☆「ジェンダーによる暴力や嫌がらせ」はこう定義される。「先天的性・後天的性を問わず、その人がその性であるがゆえに被った暴力や嫌がらせをさす。または、その性の人間がその性ゆえに偏った影響を受けることをさす。そして、それには性的嫌がらせが含まれる」(1条)

☆被害の対象となる労働者は実に幅広い。「契約上どのような地位かどうかにかかわらずすべての労働者」「訓練生、インターン、門下生、雇用期間が過ぎた労働者」「ボランティア、求職者、応募者」「都会であろうと田舎であろうと、公式経済であるか非公式経済であるかに関係なくすべての分野」(2条)

☆被害を受ける場も広範囲だ。「公式であろうと非公式であろうとすべての仕事の場」「給与を支払われる場だけでなく、休憩や食事をとったり、トイレ、化粧室、更衣室において」「仕事がらみの旅行、訓練、イベントや、付き合いの場において」「情報や情報技術などによる仕事がらみのコミュニケーションの場において」「雇用者が提供した宿舎において」「通勤の間において」(3条)

さあ、日本政府は、このILO条約にどんな態度をとるだろう。賛成か反対か。昨年の報道によると、日本政府は、あろうことか「立場留保」だった。セクハラ事件の多さや深刻さ・・・これ以上ほおっておくことは断じて許されない。


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ILOとセクシャルハラスメントには、思い出がある。

東京都の議員だった1989年、日本初のセクシャルハラスメント対策を東京都にとらせることができた。

女性団体「三多摩の会」が膨大なセクシャルハラスメントのアンケート調査をして耳目を集めたが、政治の舞台では言葉さえ定着していない頃だった。

1988年、東京都の労働相談項目にセクシャルハラスメントを新たに入れることを私は考えついた。当時、労働相談は「男女差別」「パートタイマー」「派遣関連」「外国人関連」「情報誌関連」「メンタルヘルス」「その他」に分類されていた。

都の労働局に「その他」の詳しい中身を聞いたら、セクシャルハラスメントが数多く含まれていた。そこで、「セクシャルハラスメント」という項目を新たに作るように提案した。翌年、都の労働相談に、「セクシャルハラスメント」という項目が登場した。その相談件数374件。「パートタイマー」に次いで多く、いきなり第2位だった。

「その他」に入れられて見えなかったセクシャルハラスメントが、東京都で初めて明らかになった瞬間だった。この統計を片手に、対策を進めるよう議会でさらに発言を続け、議会外では女性運動に一層熱を入れた。

東京都のささやかな例は、『Conditions of Work Digest: Combating Sexual Harassment at Work 1/1992 ILO』に掲載されている。

同じページには、「日本において、セクシャルハラスメントは法的に定義づけられていない」と書かれている。ここは2019年の今も変わっていない。だからこそ、今回のILO条約を採択し批准して、あらたな国内法へのテコに、と思う。


by bekokuma321 | 2019-06-10 01:31 | ヨーロッパ

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100歳女性が政界進出、地方議会選でトップ当選 ドイツ」。先日届いたCNN日本版の見出しだ。女性の名はリーゼル・ハイゼン。動画見た。その、かくしゃくとした姿。人生100年時代にふさわしい議員だ。


このニュースに、多くの日本人やアメリカ人は、「100歳の、しかも女性がトップ当選だなんて。どんな選挙をしたんだろう」と思ったに違いない。


両国では、名前と顔を売るためにし烈な選挙戦をかいくぐらなければならないからだ。そう、日本もアメリカも小選挙区制だ(中選挙区制など複数当選の変形も含む)。


一方、ドイツは、日本やアメリカと違って、基本的に比例代表制だ。有権者は政党に投票する。投票所では、たくさんの政党の「候補者リスト」から、有権者は自分の支持する政党の「候補者リスト」を1枚選んで、それを投票箱に入れる。それぞれの政党の票の獲得率に比例して、政党の議席数が決まる。候補者個人は、朝から晩まで必死に頑張らなくていい。だから、産休で家にいて一度も選挙運動をしなくても当選した女性だっている。


北欧の場合は、当選してほしい候補者個人に印をつけると、その候補者に票が加算される。ドイツも北欧と似ているようだ。今回は、ニュースの主100歳のリーゼル・ハイゼン候補に印をつけた有権者が非常に多かったのだ。


上の表を見よう。彼女の選挙区における政党別の得票率と議席数だ。全部で24議席。7政党に及んでいる。メルケルのキリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPDなど国会議員を出している政党は、地方でも強い。CDUは8議席、SPDは5議席だ。一番下にあるのが、リーゼル・ハイゼンの所属する「私たちのキルヒハイムボーランデン」、Wir für Kiboわずか2議席のミニ政党(政治団体)だ。


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その政党「私たちのキルヒハイムボーランデン」のホームページ に、候補者リストがアップされている。議会の定数24議席に26人もの候補者を立てている。そのうちリーゼル・ハイゼン20番目。ずいぶん下だ。


党首にあたる候補は、「わが党は、完璧なバランスを誇る政党です。男女は半々で代わる代わる並んでいます。しかも100歳のリーゼルは市議会で最高齢となります」と、多様性や男女平等を強調し、彼女を積極的に宣伝している。


ドイツの報道によると、リーゼル・ハイゼンには、長年の教員勤務で教え子は多いし、孫やひ孫など家族も多い。何といっても御年100歳のチャレンジに敬意の1票を投じた人が多かったのだろう。結果、順位20番から1番目にはねあがった。


リーゼル・ハイゼンの立候補の動機は何だろう。ドイツの報道によると、ドイツの南西部ラインラントプファルツ州キルヒハイムボーランデンに住む。人口は8000人ほど。元教師で、水泳大好きのスポーツウーマン。長年、公営スイミングプールで泳いでいたが、2011年プールが使えなくなった。「身体にとっても精神にとっても最高のものがなくなった。なぜ」と疑問に思った。大勢の仲間たちも同じ疑問を持った。そこでプールの再開を市に求めて、100歳記念に議会に出る決意をした。


とはいえ突然、政治に目覚めたわけではない。地方議員だった父は、ユダヤ教会破壊に反対して、収監された。そんな家庭に育った彼女は、常に政治的だった。EU派であり、マクロン仏大統領のファン。若者の地球温暖化反対運動も応援する。「テレビはくだらない番組が多く、政治的に重要な番組は寝静まったころに放映される。これでは、政治的判断に必要な情報が十分得られない」と嘆く。


私の母親だったら、不満があっても近所の人たちに愚痴をこぼすだけだったろう。本当に見事なチャレンジだ。何度でも言うが、彼女のチャレンジ精神を生かしたのは、比例代表制という土台だと思う。



by bekokuma321 | 2019-05-31 00:20 | ヨーロッパ

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ケイティー・ミッチェル演出の『ランメルモールのルチア』をDVDで観た。度肝を抜かれた。


オペラでは女性が犠牲者となって死ぬストーリーが多く、うんざりさせられる。『ランメルモールのルチア』も例外ではない。しかし、イギリスのオペラ監督ケイティー・ミッチェルは、フェミニズムの視点で塗り替えた。


まったく新しいルチアが私の前に現れた。ルチアは、これまで19歳とされていたが、強い意志を持った40代の未婚女性。時代は18世紀ではなく、イギリスのフェミニズムが台頭し始めた19世紀だという。


その斬新さを生かすために、ケイティー・ミッチェルは、ドニゼッティの美しい音楽はそのまま生かし、舞台シーンを変えた。これまで舞台で描かれることのなかったオフステージを、これでもかと舞台によみがえらせた。


何よりも驚愕させられたのは、彼女が発狂したのは、恋人を失ったからではなく、流産したから、とする大胆な解釈である。


ケイティー・ミッチェルの新ルチアはこうだ。40代のルチアは、恋人と逢瀬を重ねる。成熟した賢い女性ルチアは、鳥かごのような装具ですそを大きく広げたスカートで外を歩き回ったり、抱き合ったりは難しいとわかっていた。だから兄の洋服を盗んで男装して外出する。なるほどそうだろう。


避妊などなかったから当然妊娠したはずだ。40代のルチアにとって、初めての妊娠。ケイティー・ミッチェルは、トイレでつわりに苦しむルチアを描く。


通常のストーリーと同じだが、兄の謀略によって、恋人がルチアを裏切ったと嘘をつかれ、ついにルチアは政略結婚をさせられる。その宴席に殴り込んできた恋人は、ルチアを徹底的に罵倒する。


その夜、ルチアは、寝室で、政略結婚相手をナイフで刺し殺す。殺人シーンは、原作にはあるが、オペラの舞台では決して描かれることがなかったらしい。


殺害とほぼ同時に、ルチアは流産する。大量の血が白いシーツに流れ落ちる。


発狂したルチアは、歌う。身にまとっているのは、結婚相手の血のしぶきがついた結婚式の白いドレスではない。流産による血がベットリついた白い寝間着だ。


なんというリアリズム! 


【更新 2019.5.29】



by bekokuma321 | 2019-05-29 11:58 | ヨーロッパ

もうじき、EU議会の選挙がやってくる。EU加盟国がそれぞれの国で、いっせいにEU議会議員を選ぶ。選挙は比例代表制。

2004年にEUに加盟したハンガリーには、極右の風がふきまくっている。ブダペストのフェミニストは、「EU議会選挙の結果しだいでは、命さえあやぶまれる」という。先日、ブダペストで取材した、バックラッシュに抗う女性たちの声を紹介する。

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▲「オルバン・ヴィクトル政権はメディアを傘下におさめ、反移民や反女性をあおっています。EU選挙ではオルバン側を減らし、わが党の議員を増やさなくては」。ハンガリー民主連合副党首のアグネス・バダイ国会議員。選挙ポスターの掲示板も高額を支払って買わなくてはならず、弱小政党はポスターをはることさえ難しい。その結果、町中が与党のアジテーションでおおわれるという。「これがポスター代わりです」と名刺を差し出した(国会議事堂そばのカフェにて)。



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▲「現政権はロマ人や移民を徹底的に迫害しています。さらに世界で評判の、自由で開かれた中央ヨーロッパ大学まで潰す気です。フェミニズムをとくに嫌悪して、ジェンダー学を追放しようとしています」とアントニア・バロウズ。共産党独裁政権崩壊後、ハンガリーのフェミニスト運動をけん引した。部屋という部屋が本の山。隣室では務め帰りのレズビアン10人ばかりが集まって話し合いをしていた。「政府に頼っていては痛い目にあうだけ。ですから、この図書館をつくって女性たちに開放しています。ここは図書館であるだけでなく、女性たちのたまり場なのです」(ブダペストのフェミニスト・ライブラリーにて)。



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▲「中央ヨーロッパ大学」でNGOフェアが開催されていた。EUのウィメンズ・ロビーのコーナー。ウィメンズ・ロビーは、EUの男女平等政策や女性への暴力根絶施策をハンガリーに根付かせる運動をする。大学生の肩越しにチラリと見えるのは、ハンガリー紙幣を使ったフェミニスト・ポスター。このポスターの斬新なアイデアを知りたいかたは、「叫ぶ芸術 第70回 “男の国”に抗う女性活動家たち」を(ブダペスト市内の中央ヨーロッパ大学にて)。


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▲「中央ヨーロッパ大学」構内で行われているNGOフェア。ここは人権擁護団体のコーナー。左側はTom Lantos Institute。ヒジャブをかぶった女子学生たちが足をとめて相談していた。すでにハンガリー政府は、国境に有刺鉄線付き塀をつくって、その裏側で移民を貨物用コンテナに収容するという、とんでもない法律を可決成立させている。取材した女性たちは「トランプより先、行ってるんです」と苦笑いした(同上)。


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▲ブダペストにある国会議事堂。国会議員の3分の2を与党フェデスが握る。反EU、反妊娠中絶、反移民へ、ひたすら強硬政策をとる。



by bekokuma321 | 2019-05-14 00:57 | ヨーロッパ

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叫ぶ芸術 20194月号はチェコのDV防止ポスター。強いインパクトのあるデザインがDVの深刻さを物語る。「ズラ―ナ」って何? チェコ語の意味は、こちらを。








by bekokuma321 | 2019-04-13 22:09 | ヨーロッパ


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スロヴァキアに女性の大統領が誕生した。環境派の運動家だという。


ヨーロッパ発の報道によると、ズザナ・チャプトバ(Zuzana Caputova)は45歳。弁護士。離婚した前夫との間に2人の子どもを持つ。政党はリベラル派の「スロヴァキア進歩党」。


この、彼女の政党の議員は、国会150議席にだれもいない。選挙制度は比例代表制である。国会には9政党から議員が出ている。なぜ彼女の政党はゼロなのだろう。それは201711月に政党登録をしたばかりの新党だからだった。


とはいえ、ズザナ・チャプトバはぽっと出ではない。故郷ペジノック(Pezninok)に廃棄物投棄問題が持ち上がった。土や空気や水が汚染される。不法投棄だと住民が動いた。彼女は、その市民運動の先頭に立って闘い始めた。なんと14年間の法廷闘争を経て、最高裁で勝利。この勝訴は、2016年の「ゴールドマン・環境賞」受賞につながった。


ズザナ・チャプトバの当選には、もうひとつ理由がある。それは、20182月、調査報道ジャーナリストと彼のパートナーが何者かに殺害された事件に端を発する。その当時、ジャーナリストが調査していたのは有力政治家と犯罪組織とのむすびつきだった。市民は、政治家の汚職に対する憤りと、表現の自由、報道の自由を踏みにじる暴挙に対する怒りをあらわにした。


2人の理不尽な死を悼む市民のデモは、2018年3月、6万5000人。ついに、首相は辞任に追い込まれた。


さらに現政権に対する憤りは、殺害から1年たった20192月(つい一ヶ月前)の大規模反政府デモとなって、広場と道路を埋め尽くした。その数、3万人。長年の共産党による一党独裁を倒した198911月のビロード革命以来の反政府デモだった。


今回の大統領選で、ズザナ・チャプトバの対抗馬だったのは現大統領だ。彼は辞任した首相が党首だった与党「SMER-社会民主党」所属だ。そう、限りなくグレイだった。


ズザナは選挙キャンペーンに、「悪に立ち向かえ! 一緒なら勝てる」と掲げた。市民は彼女の呼びかけに応えた。


おめでとう!ズザナ。


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▲プラハにあるビロード革命の記念碑。チェコスロヴァキアだった1989年、市民の非暴力抵抗で共産党一党独裁政権から脱出した。90年代になってスロヴァキアはチェコから独立した。

【写真:上はGoldman Environmental Prizeより。下はFEM-NEWS】
【更新 2019.4.3】


by bekokuma321 | 2019-03-31 22:54 | ヨーロッパ

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「ポーランドに行くならアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所に」と友人たちから言われていたが、無理だった(注)。


そんな私に、クラクフ女性センター・エフカeFKa所長スワヴォーミラ・ヴァルチェフスカは、「アウシュビッツに行けなかったあなたをクラコフ市の強制収容所跡に案内します」と車を出した。しばらく走ると、左方の遠くに巨大な石の像が見えてきた。


「あのあたりが、プラショウ(Płaszów)強制収容所です。アウシュビッツと違って、ありのままを残したいという声もあって、一見、何もない原っぱです。通り過ぎてしまうかもしれないほどです。でも、第2次大戦中、あそこにクラコフ中のユダヤ人というユダヤ人が連行され収容されたのです。最後はみなアウシュビッツに「死の行進」をさせられたのですが、それまで岩石運びなど重労働に従事させられ、多くは過労や栄養失調で死亡しました。ささいなことで銃殺もされた。あの、何もない原っぱに累々たる数の死者が眠っているのです」


巨大なオブジェは、ここで死んだ無数の人たちの慰霊碑だった。


有名な映画「シンドラーのリスト」の舞台となった強制収容所はここだという。映画にも描かれているように、敗戦が色濃くなると、ナチスは虐殺の証拠隠滅作業にはいる。殺戮して埋めた無数の死体を掘り起こして燃やさなくてはならない。その作業をさせられたのもユダヤ人だ。


「ここで命を落とした人の数は何万人なのかまだわかっていません。ダイアナ・ライター(Diana Reiter)もその一人です。建築家です。当時、女性の建築家はとても珍しかった。クラクフ初の女性建築家のひとりと言われています。彼女の建築は賞をとってもいます」


映画「シンドラーのリスト」の一場面で、ダイアナ・ライターはこんなふうに描かれている。バラックの建設現場監督を命じられていたユダヤ女性が、「このままでは建物が崩れてしまいます」とナチス親衛隊トップに伝えに来た。すると「君は工学専門家かね」「はい、ミラノ大学の土木工学出です」「インテリ・ユダヤか」・・・。彼は、そばにいた部下に「この女を殺せ」と命じる。彼女は、「私は仕事をしているだけです」と最後に叫ぶ。


親衛隊トップは、すかさずーー「俺も仕事をしているだけだよ」


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JewishWomen in the Kraków Ghetto

クラクフと女性「女性センターエフカ」

クラクフと女性「コペルニクスは女性だった」

クラクフと女性「環境、男女平等」

(注)私のポーランド訪問のそもそもは、『叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女たち』 をネットで見たクラクフ女性センター所長スワヴォ―ミラから、「なんてすばらしい! 日本語はよくわかりませんが、女たちをとりまく問題はよくわかります。女たちの怒りは世界共通ですね」という感想が寄せられたことだ。「クラクフ女性センターで、ポスターを見ながら話し合う会を持てたら」、「クラクフには日本文化を紹介する会館があるが、渡航の支援してくれるだろう」・・・。そんな対話から、人生初の中欧への旅となった。



by bekokuma321 | 2019-03-30 03:17 | ヨーロッパ

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100年前に、働くシングル・ウーマン専用の共同住宅を建てた女性がいます。1914年、女性労働者たちが、お金を出し合って生協を立ち上げて、建設されました。いまだに、その住宅は利用されています。実は私が、そこの一室に住んでいるのです」

ポーランドのクラクフ女性センター・エフカ(eFKa)所長スワヴォーミラ・ヴァルチェフスカは、その歴史香る居宅に招いてくれた。

ドイツからの友人とともにピエロギ(ポーランド風餃子;写真最下)とハンガリーワインをいただきながら、アパート創設の歴史に話がはずんだ。

1870年代、ポーランドはーーオーストリアに支配されていたのですがーー、郵便局や鉄道に女性労働者を雇うようになりました。19世紀末、電報郵便局で働く女性労働者たちは、男性よりも極端に低賃金でした。つましい生活さえやっというほどでした。そのうえ結婚したらクビ。そこで一人の女性が解決に立ち上がりました」

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ヴワディスワヴァ・ハビヒト(Władysława Habicht)という郵便局員の女性です。ハビヒトは、女性郵便局員たちの説得に奔走して生協の組織化に成功したのです」

「第一次大戦前ですよ。女性の苦労は今とはくらべものにならなかった。そんな時代に、大勢の女たちが、なけなしのお金を出しあって、当局にかけあい、この共同住宅の誕生までもっていった。私も、今、これぞと思う企画をしても女たちはあまり集まらない、いったいクラクフの女たちは何をしているんだ、と落ち込むこともありますが、ヴワディスワヴァ・ハビヒトの情熱を思うと…」

現在、ここへの居住希望者は多く、長い順番待ちだという。「働く女性たちの歴史がつまってるここに住むことができて、私は本当にラッキーです」と、歴史学博士でもあるスワヴォーミラは微笑んだ。

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Women Vote Peace

Krakow women's trail

RazemMałopolska同フェイスブックによるとヴワディスワヴァは働く独身女性の共同住宅を創設しただけでない。女性解放運動、労働組合運動のパイオニアだった)


ラクフと女性「女性センターエフカ」

クラクフと女性「コペルニクスは女性だった」

クラクフと女性「環境、男女平等」

クラクフと女性「スタラ・シナゴーグ」
ラクフと女性「ヤギェウォ大学」



【2019.3.28 クラコフをクラクフに更新。新聞協会によればクラクフが呼び名として定着していると知ったからだ。クラコフも間違いとはいえないようだがFEM-NEWSは今後クラクフを使用します】

【2019.4.2更新




by bekokuma321 | 2019-03-26 22:45 | ヨーロッパ


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「ザードラは、『とげ』という意味です。小さくても、とげがささると、痛くて、気になるでしょ。この雑誌はそうありたいのです」


雑誌『ザードZadra)を手に持って、クラクフ女性センターeFKa所長のスワヴォーミラ・ヴァルチェフスカは言った(注)。


「創刊は1999年。もう20年たちました。一般に売られているフェミニスト雑誌で、ヨーロッパではドイツの『エンマ』に次いで長いはず」


ポーランドのクラクフ女性センターは、雑誌『ザードラ』 編集発行に加え、女性たちの意識を高める話し合いや演劇活動、性暴力から自分を守るセルフ・ディフェンス講座など、活発に動いてきた。同時に、ポーランド議会や政治家に妊娠中絶の完全自由化を求めるロビー活動、さらにはEU委員会の男女平等政策をポーランド政府に守らせる運動…。


「ポーランドは1989年まで共産党独裁でした。女性団体はあっても上から作られたもので自主的ではなかったのです。自由主義社会となった後、政党や市民団体が誕生しました。政治に期待を抱き、私自身『緑の党』から立候補したこともあります。でも政治から少し離れました」


―なぜ?


「男性たちの“椅子とりごっこ”のような、権力争いに嫌気がさしたのです。それと、フェミニストたちに理解があった女性の国会議員が、若くて死んでしまったこともあります。彼女の死を知って、何日も泣き続けました」


―死因は?


「飛行機の墜落です。知ってますか、第2次大戦中の1940年、カチンの森でソ連によってポーランド将校、警官、公務員数万人が虐殺されました。ソ連はドイツの仕業だと言い続けたものの、1990年、やっと非を認めました。2010年、『虐殺70周年追悼式』に出席するため、ポーランド大統領や議員が飛行機で向かったのですが、その飛行機が墜落したのです。国のかじ取り役たちが皆死亡。私たちが頼りにしていた女性国会議員も死亡。当時の政府は革新とはいえなかったのですが、それ以降、さらに右よりとなりました」


―でも、あなたはロビー活動は続けているし、EUの男女平等政策にならえと、政府の女性政策を厳しく批判していますよね


「ええ。でも、自分が議員に立候補するとか女性議員を増やそうというよりも、もっと女性の内的解放を求めるほうを大切にしています。ポーランドの女性たちは、常に、今も昔も『第二の性』です。男性が主であり基本。女性のことは二の次。教育も社会も家庭も男女で求めることが違うのです。しかし、そうではない。私たちは同じ権利をもっている自由な存在でしょ」


―ポーランドの歴史は抑圧と支配の歴史です。ポーランドの男性は被抑圧者(つまり女性)の苦悩がわかるのではないか、と?


「歴史は歴史です。問題は、男性たちは、家庭や自分の気持など私的なことと仕事など公的なことをわける傾向にある。私的なことに価値を置かないようにしてきたことに、女性差別の大きな要因があると考えています」


大国に挟まれた小国の歴史、ナチスドイツによる大虐殺の歴史。「(ずっと耐えて)最後まで愚痴を言わないのは、ポーランド人」という言葉があるという。耐えに耐えた国だからこそ、ポーランド女性たちの闘いは一層困難を極めているように思った。


(話は尽きなかった。またの機会に)


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(注)私のポーランド訪問のそもそもは、『叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女たち』 をネットで見たスワヴォ―ミラから、「なんてすばらしい! 日本語の解説はよくわかりませんが、女性たちをとりまく問題はよくわかります。女性たちの怒りは共通ですね」というメッセージが寄せられたことだ。「クラクフ女性センターで、ポスターを見ながら話し合う会を持ちたい」、「クラクフには日本文化を紹介する会館がある。そこがポーランド渡航の支援してくれるだろう」・・・。そんな対話から、人生初の東欧訪問となった。ところで、私が東欧と口にすると「わたしたちは、もう東欧とは言いません、中欧と言います」。スワヴォ―ミラからの小さな「とげ」が私にささった。


【2019.3.28 クラコフをクラクフに更新。新聞協会によればクラクフが呼び名として定着していると知ったからだ。クラコフも間違いとはいえないようだがFEM-NEWSは今後クラクフを使用します】










by bekokuma321 | 2019-03-19 04:39 | ヨーロッパ

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ラクフは、16世紀ワルシャワに遷都されるまでポーランドの首都だった。古い町並みはユネスコの世界遺産第1号だという。


そんなクラクフに溶け込むように「クラクフは女性だ」と書いたメスマーク付きポスターが掲げられている。5枚シリーズだ(上)。


女性の権利のために闘い、女性の地位向上に貢献したクラクフの歴史上の女性たちが、写真入りで解説されているのだ。5枚目には、クラクフで学んだコペルニクスを登場させて、「その昔、コペルニクスは女性だった」(写真最下)。エーッ、な、なんだって。すると、続いて、「有名なSF映画『セックスミッション』ではコペルニクスは女性だったのですから、クラクフも女性だと考えられるでしょ」と。そのキャッチィさに思わず笑った。


クラクフ市役所に行って担当したという市職員Justyna(女性)に取材した。


「あなたのような反応があると、作成した意義を感じます。うれしいです。女性は、このように特別にとりあげないと、歴史にうずもれてしまいます。ポスターが展示されている場所は、さまざまなテーマのお知らせをする場です。『クラクフは女性だ』の展示期間は今年の1月から4月までです。もとはといえば、昨年、ポーランドは女性参政権100周年を迎えたのですが、それがきっかけです。企画したのは、ここで働く市長担当の女性2人なんですよ」


サイズはかなり大きく、大人の目の高さに展示されている。市の観光案内オフィスと、市役所前の広場なので、これなら通行人、市役所に用事のある人たち、すぐそばにある公共の乗り物を待つ人たちの目にとまる。英訳付きだから、国内だけでなく世界中からやってくる大勢の観光客も、足をとめる。


日本の地方自治体も、少しは考えたらどうだろう。故郷に貢献した女性は数えきれないほどいるはずだが、多くは忘れ去られている・・・。


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【写真 最上:市庁舎(右側の黄色の建物)に向かう道路に並ぶ女性のポスター。中央:2枚ともポスターの接写。最下:中央広場にある旧市庁舎時計台。クラクフのシンボルとして今も使われている】

【2019.3.28 クラコフをクラクフに更新。新聞協会によればクラクフが呼び名として定着していると知ったからだ。クラコフも間違いとはいえないようだがFEM-NEWSは今後クラクフを使用します】

by bekokuma321 | 2019-03-18 14:55 | ヨーロッパ