カテゴリ:ヨーロッパ( 287 )

永遠の都ローマ。テーベレ河添いにある「女たちの家」は、年間3万人もの女性たちに愛用されている。イタリアの女性たちの永年の夢と闘いを経て誕生した由緒ある建物だ。

10年ほど前に訪問した日を思い出しながら、先日、「あなたの家、みんなの家」と題したエッセーを書いた。「叫ぶ芸術:ポスターで見る世界の女たち」の連載第58回。「I 女のしんぶん」Webサイトでも見られる。

今朝、「女たちの家」が閉鎖されそうだという驚きのニュースがローマの友人から届いた。存続を求めるネット署名運動がおこり、すでに4万千人以上の署名がが集まっている。署名したいかたはこちらを覗いてほしい。

閉鎖しようとしているのは、ローマの市長ビルジニア・ラッジ。昨年、新党「五つ星運動」の勢いに乗って初当選したばかりの若い女性弁護士だ。

永遠の都ローマ初の女性の市長が、「女たちの家」をつぶそうとしているのである。なんと皮肉なことか。

c0166264_11262167.jpg


最低の女性でも、男よりはいい
猿に変えられた黒人女性大臣の顔――イタリア
イタリア ボニノ大臣のシスターフッド
イタリアもノルウェーをモデルに?
イタリアの6、70年代の女性たち(5)
イタリアの6、70年代の女性たち(4)
イタリアの6、70年代の女性たち(3)
イタリアの6、70年代の女性たち(2)
イタリアの6、70年代の女性たち(1)
イタリアはパリタリア
ローマの女性センター
[PR]
by bekokuma321 | 2018-05-15 11:37 | ヨーロッパ

ローマ「女たちの家」

連載「叫ぶ芸術」は、ポスターを通して世界の女性運動や世界の女たちの怒りを見つめる。第58回はローマの女たちのたまり場。題して「あなたの家、みんなの家」。

c0166264_14211575.jpg
 ▲「I 女のしんぶん」2018.5.10。新聞紙上ではお目にかけられない色の持つ力は、特設Webサイトからどうぞ。
[PR]
by bekokuma321 | 2018-05-08 14:34 | ヨーロッパ

c0166264_2251050.jpgドイツ社会民主党は4月22日、党大会で、アンドレア・ナーレスを党首に選任した。1863年に党が創設されてから155年。初の女性党首だという。

党首選で敗れた対抗馬のシモ―ヌ・ランゲは警察官で、こちらも女性である。御存じドイツの首相メルケルは保守党党首であり、これで保革どちらの党首も女性となった。

アンドレア・ナーレスは47歳。エイフェル地方の小さな村で、れんが職人である父親と事務員の母親の間に生まれた。18歳で社会民主党に入党し、党の青年部で頭角を現してきた。

ドイツの教育制度に詳しくないが、アンドレア・ナーレスは、定時制(または生涯教育制)で高校を卒業し、ボン大学で政治学、哲学、ドイツ学を学び修士号を取得したという。

彼女の優先政策は、正義の尊重と社会福祉の充実。「現代に最も欠けているもの、それは連帯」と言っている。シングルマザーで、若い娘とともに、曾祖父が建てた農家に今も住んでいるとは、なんともほほえましい。

スウェーデンの首相ステファン・ロベーンは、溶接工から政治家になった。代表的労働者階級から、こうした指導力あふれる政治家が出てくるのは、選挙制度のおかげもあると思う。

スウェーデンは比例代表制、ドイツは比例代表制が基本の併用制である。比例代表制は、人を選ぶ選挙ではなく、政党の政策を選ぶ選挙であり、議席数は政党の得票数に比例する。

Andrea Nahles
German Social Democrats elect Andrea Nahles as first female leader
[PR]
by bekokuma321 | 2018-05-06 23:00 | ヨーロッパ

2018年4月1日夜、品川区某所。イタリア女性訪日団から次から次へと質問が飛んだ。夜9時まで。

c0166264_10143111.jpg


「日本女性の法的差別がなくならない背景がわかった。その『日本会議』というロビー団体は宗教と関係はないのか」
「保守的政党に女性議員はどのくらいいるか」
「日本では中絶は合法か。女性の体を女性自身がコントロールすることは最も重要な権利だ」
「離婚率はどのくらいか」
「婚外子に対する差別はわかった。婚外子が2~3%しかいないーーこの数字は本当の現実を表していると思うか」
「学校の性差別とも闘ってきたと説明していたが、学校のなかの女性差別ってどういうものか」
「賃金の男女差はどの程度あるか。問題点は」
「イタリアの女性たちは、男性からの暴力で殺されている。日本でのDVはどのくらいか」
「セクハラが法で禁止されていない、とはどういうことか」

ローマの女性たちの一行が、桜満開の日本を訪問。現役の教員、医師、年金生活者など30人余りで、日本の女性問題に関心があるという。「日本女性の現状を1時間ばかり話してほしい」と依頼された。イタリア語のできない私は、英語で話し、それを企画したルチアがイタリア語に通訳した。

タイトルは「家父長制という化け物と闘う日本の女性運動 Fight against the Patriachy Monster in Japan」。内容は、日本の女性差別的法制度、その背景、それを変えようと闘う女性たち……。

一行は夕食をとる時間がなかったと聞き、早めに終わったほうがいいのではないかと思ったが、「夕食? あなたの話が終わってから」なのだと言う。みな真剣な顔つきで耳を傾けていた。しかも質問の多いこと。

10年ほど前、ローマの女性センターを訪問したとき、あるセミナーを覗いた。夜遅くまで、冷房もない熱い部屋で、女性たちが延々と会議を続けていた。イタリア女性の真面目さ、女性問題への熱心さに心底驚いた。4月1日は、私にその光景を思い出させた。

c0166264_10105277.jpg

c0166264_10112328.jpg


【写真上】夕食もとらず真剣に話を聞くイタリアからの訪日団(2018.4.1)
【写真中・下】写真展「60年代、70年代のイタリア女性運動」。2007年夏、ローマの女性センターに展示されていた写真を接写したもの


イタリア国会の女性議員約36%(下院)
ローマの女性センター
[PR]
by bekokuma321 | 2018-04-03 10:44 | ヨーロッパ

c0166264_2122414.jpgイタリアで、3月4日総選挙があった。反EUのポピュリズム政党「五つ星運動」が躍進したらしい。さて、女性議員は増えたのだろうか。

The Localによると、下院630人のうち女性議員は225人。史上最高の35.71%となった。

昨年、選挙法が変わっただけでなく、政党候補者リストの上部に女性40%のクオータ制を入れさせた結果だろうか。

イタリアは、単純な比例代表制だった。しかし、比例代表制での小政党乱立をさけて「政治的安定性」を得るためとかで、下院では、40%以上の得票の政党に過半数の議席を与えていた。いわゆる「ボーナス制」といわれるものだ。

それが今年から、議席の3分の2を比例代表制、3分の1を小選挙区に変えた。同時に「ボーナス制」も撤廃された。


最低の女性でも、男よりはいい
猿に変えられた黒人女性大臣の顔――イタリア
イタリア ボニノ大臣のシスターフッド
イタリアもノルウェーをモデルに?
イタリアの6、70年代の女性たち(5)
イタリアの6、70年代の女性たち(4)
イタリアの6、70年代の女性たち(3)
イタリアの6、70年代の女性たち(2)
イタリアの6、70年代の女性たち(1)
イタリアはパリタリア
ローマの女性センター
[PR]
by bekokuma321 | 2018-03-29 21:29 | ヨーロッパ

世界のメディアは、3月8日だけは、女性が中心だ。

イギリスのガーディアン紙は、世界各地における女性たちによるデモ行進を中心に紹介している。

フランス、イギリス、スペイン、エルサレム、コソボ、インド、パイスタン、ブラジルから、女たちの怒りの叫び、工夫あふれる看板や横断幕・・・。言語や文化が異なっても、女性差別や女性への暴力に反対する声は同じだ。

International Womens Day:the Guardian

BBCには、昔から「ウーマンズ・アワー」というラジオ番組があり、女性に役立つ情報が流れている。たとえばDVやセクハラにあったとき、どこに相談すればいいかなどがわかり、ためになる。

3月8日は、朝から晩まで文字通り24時間、国際女性デー関連の音楽やトークやニュースがライブで流れた。題して、International Women's Day Live 2018:BBC

いまもBBCのウエブサイトでシェアできる。画像や動画つきなので、英語ができなくても楽しい。女性差別賃金反対のデモ、スペインの女たちによるゼネスト、スウェーデンのアーティストによる挑戦的な「月経アート」、世界を変えた女たちの話、北欧の女性たちの話、男の牙城に進んだ女たち・・・。世界をまたにかけての、力のはいった企画だ。

毎日、国際女性デーならいいな!

c0166264_1575044.jpg
 ▲今年の国際女性デーは、八ヶ岳の麓でたった一人のデモンストレーション。雪交じりの雨に強風で、震えるほど寒い一日だった。後ろは冬の我が家に欠かせない薪の山

2018国際女性デー@東京
もうじき2018年国際女性デー
International Women's Day: Roads blocked and trains cancelled as women in Spain strike
Everything you need to know about Spain's women’s strike
Women across Spain prepare 24-hour strike at work and in the home
[PR]
by bekokuma321 | 2018-03-09 15:18 | ヨーロッパ

お正月早々、アイスランドから「性差別賃金禁止法」施行、というニュースが飛び込んできた。25人以上の雇用者をかかえる私企業や公的機関は、男女平等賃金にしなければ罰金を科されるので大慌てだと、ガーディアン紙は報道する。世界で初めての法律らしい。

追いかけるように、昨夜、ドイツから似たようなニュースが届いた。報道によると、ドイツでは、女性が同種の仕事についている男性の賃金を知る権利を持つとされる法律が施行となる。ファイナンシャル・タイムズは「逆に、女性より不利だと思われる男性もその権利を行使できるとされているが、実際、そうしたシナリオはありえないだろう」と書いている。

こちらは、200人以上の雇用者をかかえる会社や公的機関に適応される。アイスランドよりはるかに企業よりの規制とはいえ、ヨーロッパ最大の経済大国ドイツが、一歩前に進んだことは、朗報だ。

c0166264_10521567.jpg日本はどうか。最新の発表で、女性の賃金は男性100に対して73にすぎない。しかもフルタイム職のみの数字だ。この日本の男女賃金格差は、OECD加盟国のなかでワースト3。

国会における女性議員割合が世界193カ国中165番目という驚くべき低さに甘んじているこの日本では、男女差別賃金解消など、国会審議から置き去りにされている。

賃金差別解消に責任を負うべき厚生労働省の役人は何をしているか。実態調査だの、意識調査だの、「見える化」だのと小難しい文章をただただ流しているだけ(右の冊子)。中身のかったるさは一読してわかるが、ここでは文章ではなく、そのシンボルマークにひとこと。冊子の左下にあるイラストだ。「女性よ頑張れ」といいたいのか「女性が頭をかいている」のか意味不明だ。ともかく、これでは「性差別企業よ、心配せずにこのまま差別をどうぞ」だろう。

Once more, Iceland has shown it is the best place in the world to be female
German companies forced to reveal gender pay gap
6 Perspectives on the Future of #MeToo
[PR]
by bekokuma321 | 2018-01-09 11:00 | ヨーロッパ

熊本市議会とIPU行動計画

赤ちゃん連れで議場に入った緒方ゆうか議員は、熊本市議会議長名で「厳重注意」を受けることになったという。

熊本市議会は、まったく「石頭」としかいいようがない。

この件に関連して、国際文書を下に掲げる。2012年にIPUが全会一致の賛同で作成した「ジェンダーに配慮した国会に向けての行動計画」からの抜粋だ。

IPUは、列国議会同盟と訳されている国際組織で、日本もメンバ―。本部ジュネーブで開かれる会議には、我々の税金で、国会議員が派遣されている。この文書にも賛成したはずだ。

c0166264_18232822.jpg


IPUは、世界193カ国の国会に占める女性議員割合を出している組織だ。女性の割合が多い国から順にならべて世界に公表し、各国に女性議員増を促している。日本は、あ~穴があったら入りたい、世界165番目だ。

熊本市議会に要望しました(全国フェミニスト議員連盟)
Plan of Action for Gender-sensitive Parliaments IPUの行動計画
個人的なことは政治的なこと personal is political
[PR]
by bekokuma321 | 2017-11-30 18:29 | ヨーロッパ

c0166264_19574073.jpgガーディアン紙によると、EUの欧州委員会は、加盟国における上場企業の取締役会に女性を増やすため、クオータ制導入の提案をする。

かねて、欧州委員会は上場企業のトップランクに女性を40%にするという提案をしていた。しかし、「国内問題に手をつっこみすぎだ」という理由でドイツ、オランダ、スウェーデンが反対し、「イデオロギー的動きだ」という理由からハンガリーやポーランドが反対していた。

そこで今回は、男性が社外取締役の60%以上である会社は、同等の能力を持つ候補と考慮された場合、女性を優先することが求められるとした。

ガーディアン紙に対して、EUの欧州委員会における男女平等と性差別撤廃の責任者ヴェラ・ヨウロバーは、次のように述べたという。

「取締役に男女がいて多様性をもたらすことは、ビジネスにとっていいことなのだという証拠がごまんとある。大学卒の65%が女性となっていて、その才能と投資を生かさない手はないでしょう」

20日、月曜日、クオータ制とともに男女賃金格差を是正する提案も出す予定だという。

EU to push for 40% quota for women on company boards
Swedish opposition blocks gender quota bill for company boards
What do China, Japan and the US have in Common?
Only Gender Quotas Can Stop the E.U. from Being a Boys Club
ヨーロッパを動かしたノルウェー「取締役クオータ」
“取締役クオータ制”、ついにEUに
ノルウェー世界初の民間企業クオータ制
マンデラとクオータ制
EU、2020年までに取締役クオータ制の法制化か
ドイツ誌「シュピーゲル」、ノルウェーのクオータ制を特集
日本の政党とクオータ制

【写真はVĕra Jourová Commissioner Vĕra Jourová addresses Brussels legal community and sets priorities for 2015より】
[PR]
by bekokuma321 | 2017-11-20 20:21 | ヨーロッパ

c0166264_15512581.jpg「女性がタダ働きを始める日 The Date Women Stop Being Paid」が発表になった。

日本の家事専従者のように年から年中タダ働きしている人は、「ウン?」と思うかもしれないが、ちょっと話が違う。

こちらは、男女賃金格差を際立たせるための戦術で、男女同一賃金だとしたら女性は1年のうち何月何日からタダ働きすることになるか、を示したもの。

ロンドンが拠点のビジネス・コンサルティング組織「エキスパート・マーケット」がヨーロッパ諸国の男女賃金格差をもとにはじき出した。

例えば、男性の賃金に比較して女性の賃金は、デンマーク15.1%、ノルウェー14.9%の差があった。これを1年間の賃金に計算すると、デンマークとノルウェーの女性は11月6日から約2か月近くタダ働きをすることになる。

イタリアとルクセンブルグは男女賃金格差が最も少なく5%前後だ。この両国の女性たちでも、12月13日から約2週間はタダ働きとなる。

統計をとったヨーロッパ諸国のなかで最も男女格差が大きかったのはエストニアで、30%。エストニア女性は9月23日から12月末までおよそ3か月間タダ働きをすることになる。つまり1年の4分の1は無報酬労働だ。

日本はどうか。

男女賃金格差は正社員で男性の約70%に過ぎず、約30%とエストニアとほぼ同じだが、女性雇用者の6割近くが非正規であることを考えると、この数字は差を正しく表しているとはいえない。現に「世界経済フォーラム」が調べた経済分野の順位では、エストニアは38位、日本は114位だ。

仮に30%だとして、エストニアの女性と同様、日本女性は1年の4分の1を無報酬で働いていることになる。なんという事だろう。

日本のシングル・マザーの貧困、子どもの貧困、高齢女性の最貧困、性産業に走る若い女性の多さ、DV夫と別れられない妻たち……などの根っこはここにつまっている。これを政治問題にせずして誰のための政治か。

The Date Women Start Working for Free in Europe
日本の男女格差114位に下落 「政治」123位に後退
[PR]
by bekokuma321 | 2017-11-02 16:10 | ヨーロッパ