カテゴリ:ヨーロッパ( 293 )


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ポ―ランドの民主化運動といえば、「連帯」。グダニスク造船所で働く人たちのストライキから始まった。ベルリンの壁崩壊、東欧の自由化のさきがけともなる歴史的革命だった。

その「連帯」運動を女性の視点から描いたドキュメンタリ映画が、今、ポーランドだけでなく欧米で話題になっている。上の写真は、そのドキュメンタリ映画のポスターだ。



「連帯」といえば、レフ・ワレサ「連帯」委員長をはじめ、立派な髭をたくわえた男たちが主導するストの写真。

「女たちよ、邪魔しないでくれ。俺たちは国のために闘っている」の落書き。

「連帯」非合法化が解かれた後の「円卓会議」で55名中女性が1人しかいない映像。
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真っ赤な「連帯」のロゴを背に映画『真昼の決闘』の保安官ゲーリー・クーパーが闊歩する1989年の選挙ポスター…。


女たちの闘いは、こうした記録のどこにも見えない。

でも、フェミニスト映画監督マルタ・ジード(1981~)は、「そんなはずはない」と考えた。取材を続けて、2014年、ドキュメンタリ映画『連帯、女たちによれば』を完成させた。

フェミニスト学者スワヴォミラ・ヴォルチェフスカ博士(クラコフDVシェルター代表)によると、映画は女性たちの目から徹底してあらいなおした「連帯」運動だという。くわしくは、叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち「第62回 連帯、女たちによれば」をどうぞ。














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by bekokuma321 | 2018-09-09 17:38 | ヨーロッパ

男性は、女性のそばを通りすがりに、女性に何かを言って口笛を吹いた。彼女はその男性に「黙れ」と言い返した。そこを通りすぎた男性は、戻ってきて、彼女めがけてパンチをくらわした。

フランスはパリでの話。さきほど入ってきた英紙ガーディアンの記事だ。

路上でのセクハラに黙らなかった女性は、22歳の学生。彼女のファイトバックにパリ市長アンヌ・イダルゴはじめ、男女平等担当大臣や議員たちは、ただちに「連帯」を表明した。

すばらしい!

実は、男が彼女にセクハラをした一部始終が、カフェのビデオに録画されていて、カフェの主人が彼女にそのビデオをあげたのだそうだ。それを彼女はすぐフェイスブックにアップして、こう書いた。

「許されない行為です。でも、毎日起きているのです。こうした男性は、路上で、何でもできると思っているのです。つまり彼らは、女性をさげすんだりしてもいいのだと思いこみ、女性に異議を申し立てられることが気にいらないのです」

このフェイスブックは、ものすごい勢いで転送されて、大勢の人の連帯につながったのだという。

女性蔑視や女性への暴力を、女性たちはどれだけ我慢してきただろう。我慢しなければ、さらなる仕返しが待っているから、我慢したほうがめんどうでないから、etc. でも、それではいつまでたっても変わらない。だから女性たちは、ファイトバックすることに決めた、世界のあちこちで。

この記事でうれしいのは、市民だけでなく政治家がすぐに連帯したことだ。政治家の権力は、こういうふうに使うものだ。

'Solidarity!' French politicians praise woman who stood up to harasser
狛江市長のセクハラと市長選
麻生退任とセクハラ禁止規定を求めて抗議
福田淳一事務次官は辞職すべきだ
詩織さんの告発
詩織さんを応援します
女の出番
セクハラ村長退陣後の村長選に女性立候補

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 ▲写真をクリックしてYoutubeで事件をどうぞ
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by bekokuma321 | 2018-07-31 22:30 | ヨーロッパ

7月18日付けガーディアン紙によると、スペイン左派政権は、強姦事件におけるあいまいさをなくすために、「セックス同意法」を提案する予定だという。

新法では、「いやよはイエスの意味」ではなく、「イエスの意味はイエスのみ」となる。セックスへの同意は、明白でなければならないとされる。対して、沈黙など他の対応はすべて「ノー」と解される。よって明らかな同意のないセックスは、強姦とみなされる。

すでにスウェーデンで成立した「セックス同意法」と似たものになるらしい。

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       ▲スペインの男女平等推進ポスター

Spain to introduce ‘yes means yes’ sexual consent law
Share your views about sexual consent apps and the law
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by bekokuma321 | 2018-07-18 23:01 | ヨーロッパ

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▲「I 女のしんぶん」(2018年7月10日号)叫ぶ芸術


上は、ベルギー政府肝いりでつくった、女性議員を増やそうポスター。

20年ほど前、ベルギーの女性議員はわずか9%だった。今の日本の衆院における女性率と同じだ。それを変えなくては、と「立候補者リストにおける男女の平等代表制の法律」をつくった。

ベルギーの選挙は比例代表制。有権者は、候補者個人ではなく、政党を選ぶ。選挙に先立って、選挙管理委員会は、それぞれの選挙区の定数以上の候補者名を並べたリストを、政党に提出させる。政党は、このリストをつくる段階で、候補者の3人に1人を女性にしなければならなくなった。守らないと選管から候補者リストを突き返されてしまう。

こうしてベルギーは、現在、第一院における女性議員は38%、世界193カ国中21番目にまであがった。強制力のある法律や、上のポスターのような啓発キャンペーンなどなど、官民あげての力強い運動のたまものだ。

日本の女性議員はいまだに10%、世界で158番目! ベルギーに遅れること20余年、先月「候補者男女均等法」がやっとできた。20余年の遅れを取り戻せるか。
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by bekokuma321 | 2018-07-10 15:29 | ヨーロッパ

先日、ローマから女性の一行が日本にやってきた。現役の教員、医師、年金生活者など30人余り。

「日本女性の現状を話してほしい」と頼まれたので、「家父長制という化け物と闘う日本の女性運動」と題して日本の法制度の女性差別、女性議員の少なさ、最近の女性運動について英語で話した。

バスが日光からの帰路で大渋滞に遭遇し、夕食なしの真剣討論。話は、極右ロビー団体「日本会議」や日本を揺るがすセクハラ事件にまで及んだ。

イタリアは、議会を50対50にしようという「パリタリア民主主義」運動を経て、数年前、候補者リストの上位40%を女性にしなければならないとするクオータ制が導入された。その制度施行後初めての国政選挙が終わったばかりだった。

結果は、下院630議席のうち女性は225議席、35・7%と躍進。イギリスやドイツを抜いて世界192カ国中29位になった。

しかし、日本にやってきた女性たちの表情は暗かった。右寄りのポピュリスト党「五つ星運動」や右派の「同盟」が躍進し、社会民主党は敗北した。その結果、当選した女性に左派は少なかったからだ。

日本でも、「候補者男女均等法」が施行された。イタリアと違いクオータ制はない。法を守らなくても罰則がない。女性候補を増やすためには、女性たちが党の内外で本気で頑張らないといけない。

それに加えて、イタリアの選挙結果は、超えるべきもっと困難なハードルがあることを教えていた。

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 ▲すべての議会を50対50にしようという「パリタリア民主主義」運動のポスター。詳しくは「叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち」(I 女のしんぶん)
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by bekokuma321 | 2018-06-14 01:20 | ヨーロッパ

先日、スペインの新首相ペドロ・サンチェスは、スペイン初の女性多数内閣を誕生させた。閣僚の11人が女性、6人が男性である。

ガーディアン紙によると、首相は「間違いなく、男女平等への約束だ」とし、「3月8日は、前代未聞の運動だった。私の内閣は、この運動を忠実に反映したものである」とも語った。

3月8日は国際女性デー。世界中で、女性たちが女性であることを喜び、女性差別撤廃を誓いあう日だ。大事なことは、できるだけ大勢の女性たちがいっせいに連帯して行動すること。

今年の国際女性デーで、世界をアッと驚かせたのは、スペインだった。530万人以上が、24時間のゼネストに入っているとの報道が届いた。ネットで写真や動画を見たら、女性たちが通りを埋め尽くしていた。

3月8日から3カ月。スペインの女たちの運動は、一国の政治を動かした。この偉業は必ずや世界史に刻まれるだろう。

やったね、スペイン!

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 ▲国際女性デーに24時間ストを呼びかけるスペインのポスター。イラストの下のスペイン語は「私たちがいなければ世界は止まる」

2018国際女性デー/ニュース
2018国際女性デー@東京
もうじき2018年国際女性デー
International Women's Day: Roads blocked and trains cancelled as women in Spain strike
Everything you need to know about Spain's women’s strike
Women across Spain prepare 24-hour strike at work and in the home
Día Internacional de la Mujer
Las claves de la huelga feminista del 8 de marzo: "Sin nosotras, se para el mundo"

「フェミニスト・ストライキ」の歌(Youtube:デモにはポスター、横断幕、服装の色、歌も大事。Youtube)
8 de Marzo, igualdad: "sin nosotras se para el mundo"(Youtube: 女中心の運動だが、老若男女すべてが参加)
マドリード、開脚座りを禁止
日本のカネまみれ政治家からバルセロナを考える
三木草子のバルセロナ・リポート
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by bekokuma321 | 2018-06-07 08:30 | ヨーロッパ

永遠の都ローマ。テーベレ河添いにある「女たちの家」は、年間3万人もの女性たちに愛用されている。イタリアの女性たちの永年の夢と闘いを経て誕生した由緒ある建物だ。

10年ほど前に訪問した日を思い出しながら、先日、「あなたの家、みんなの家」と題したエッセーを書いた。「叫ぶ芸術:ポスターで見る世界の女たち」の連載第58回。「I 女のしんぶん」Webサイトでも見られる。

今朝、「女たちの家」が閉鎖されそうだという驚きのニュースがローマの友人から届いた。存続を求めるネット署名運動がおこり、すでに4万千人以上の署名がが集まっている。署名したいかたはこちらを覗いてほしい。

閉鎖しようとしているのは、ローマの市長ビルジニア・ラッジ。昨年、新党「五つ星運動」の勢いに乗って初当選したばかりの若い女性弁護士だ。

永遠の都ローマ初の女性の市長が、「女たちの家」をつぶそうとしているのである。なんと皮肉なことか。

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最低の女性でも、男よりはいい
猿に変えられた黒人女性大臣の顔――イタリア
イタリア ボニノ大臣のシスターフッド
イタリアもノルウェーをモデルに?
イタリアの6、70年代の女性たち(5)
イタリアの6、70年代の女性たち(4)
イタリアの6、70年代の女性たち(3)
イタリアの6、70年代の女性たち(2)
イタリアの6、70年代の女性たち(1)
イタリアはパリタリア
ローマの女性センター
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by bekokuma321 | 2018-05-15 11:37 | ヨーロッパ

ローマ「女たちの家」

連載「叫ぶ芸術」は、ポスターを通して世界の女性運動や世界の女たちの怒りを見つめる。第58回はローマの女たちのたまり場。題して「あなたの家、みんなの家」。

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 ▲「I 女のしんぶん」2018.5.10。新聞紙上ではお目にかけられない色の持つ力は、特設Webサイトからどうぞ。
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by bekokuma321 | 2018-05-08 14:34 | ヨーロッパ

c0166264_2251050.jpgドイツ社会民主党は4月22日、党大会で、アンドレア・ナーレスを党首に選任した。1863年に党が創設されてから155年。初の女性党首だという。

党首選で敗れた対抗馬のシモ―ヌ・ランゲは警察官で、こちらも女性である。御存じドイツの首相メルケルは保守党党首であり、これで保革どちらの党首も女性となった。

アンドレア・ナーレスは47歳。エイフェル地方の小さな村で、れんが職人である父親と事務員の母親の間に生まれた。18歳で社会民主党に入党し、党の青年部で頭角を現してきた。

ドイツの教育制度に詳しくないが、アンドレア・ナーレスは、定時制(または生涯教育制)で高校を卒業し、ボン大学で政治学、哲学、ドイツ学を学び修士号を取得したという。

彼女の優先政策は、正義の尊重と社会福祉の充実。「現代に最も欠けているもの、それは連帯」と言っている。シングルマザーで、若い娘とともに、曾祖父が建てた農家に今も住んでいるとは、なんともほほえましい。

スウェーデンの首相ステファン・ロベーンは、溶接工から政治家になった。代表的労働者階級から、こうした指導力あふれる政治家が出てくるのは、選挙制度のおかげもあると思う。

スウェーデンは比例代表制、ドイツは比例代表制が基本の併用制である。比例代表制は、人を選ぶ選挙ではなく、政党の政策を選ぶ選挙であり、議席数は政党の得票数に比例する。

Andrea Nahles
German Social Democrats elect Andrea Nahles as first female leader
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by bekokuma321 | 2018-05-06 23:00 | ヨーロッパ

2018年4月1日夜、品川区某所。イタリア女性訪日団から次から次へと質問が飛んだ。夜9時まで。

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「日本女性の法的差別がなくならない背景がわかった。その『日本会議』というロビー団体は宗教と関係はないのか」
「保守的政党に女性議員はどのくらいいるか」
「日本では中絶は合法か。女性の体を女性自身がコントロールすることは最も重要な権利だ」
「離婚率はどのくらいか」
「婚外子に対する差別はわかった。婚外子が2~3%しかいないーーこの数字は本当の現実を表していると思うか」
「学校の性差別とも闘ってきたと説明していたが、学校のなかの女性差別ってどういうものか」
「賃金の男女差はどの程度あるか。問題点は」
「イタリアの女性たちは、男性からの暴力で殺されている。日本でのDVはどのくらいか」
「セクハラが法で禁止されていない、とはどういうことか」

ローマの女性たちの一行が、桜満開の日本を訪問。現役の教員、医師、年金生活者など30人余りで、日本の女性問題に関心があるという。「日本女性の現状を1時間ばかり話してほしい」と依頼された。イタリア語のできない私は、英語で話し、それを企画したルチアがイタリア語に通訳した。

タイトルは「家父長制という化け物と闘う日本の女性運動 Fight against the Patriachy Monster in Japan」。内容は、日本の女性差別的法制度、その背景、それを変えようと闘う女性たち……。

一行は夕食をとる時間がなかったと聞き、早めに終わったほうがいいのではないかと思ったが、「夕食? あなたの話が終わってから」なのだと言う。みな真剣な顔つきで耳を傾けていた。しかも質問の多いこと。

10年ほど前、ローマの女性センターを訪問したとき、あるセミナーを覗いた。夜遅くまで、冷房もない熱い部屋で、女性たちが延々と会議を続けていた。イタリア女性の真面目さ、女性問題への熱心さに心底驚いた。4月1日は、私にその光景を思い出させた。

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【写真上】夕食もとらず真剣に話を聞くイタリアからの訪日団(2018.4.1)
【写真中・下】写真展「60年代、70年代のイタリア女性運動」。2007年夏、ローマの女性センターに展示されていた写真を接写したもの


イタリア国会の女性議員約36%(下院)
ローマの女性センター
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by bekokuma321 | 2018-04-03 10:44 | ヨーロッパ