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614日、三井マリ子さんの講演会「投票率80% ノルウェーの楽しい選挙」に行ってきました(注)。立ち見の人も出る盛況ぶりでした。演題を意識してか、いつものちょっと早口の語り口調にジョークを頻繁に交えながらの楽しい三井講演でした。


首相が女性、国会議員の4割が女性という憧れの国ノルウェーの選挙の様子を20年以上視察してきたマリ子さん。その実際の選挙の様子を写真で見ていると、国全体が選挙をお祭りのように取り組んでいると感じました。

なにより羨ましいと感じたことは、そのお祭りに、小学生から加わっていることです。授業で政党の選挙公約調査をするとか、「子ども選挙ソング」もあって、子どもの時から政治をタブー視しない、むしろ馴れ親しむ環境が作られているのです。こうして民主主義が育つ土台が作られているのだなあと思いました。

次にお店で売られているお菓子。お菓子の包装にも選挙ムードを盛りあげる工夫がされています。人気のお菓子の包装に「あなたはどちらに投票する?」「赤?」「青?」とお祭り気分です。ノルウェーでは政権がいくつかの政党でつくられていて、赤は左派連合、青は右派連合だというのです。

そして学校内で選挙運動をしたり、模擬投票をする高校生のスクールエレクションも楽しそうでした。

ノルウェーは選挙制度が比例代表制です。民意が反映されやすく、死に票が出ない選挙です。政党が選挙候補者名簿をつくって、それが投票用紙になります。

参加者から「比例代表では候補者リストの上位に気に入らない候補者がいるときはどういう対処法がありますか?」と質問。候補者リストの候補者名の横に空欄があって、当選してほしい議員には「1」と書くとか、気に入らない議員には「×」を書くことができる、と回答がありました。

実際、先日、ソマリアからの難民マリアン・フセインという女性が国会議員になったというのです。ノルウェーでは、国会議員にも育休や病休があって、その間、同じ政党の同じ選挙区の次点候補(代理議員)が国会議員を務めます。彼女は、政党の候補者リストでは5番目でしたが、選挙の結果3番目に上がったと推測されるとのことです。党が決めた候補者の順番を、投票によって変えることができるのも素晴らしいと思いました。

講演が終わって会場を出る方々の顔が明るく、「楽しかった」という声が聞こえてきました。他国の話でも楽しい話を聞くと、心が晴れやかになります。

山城 和代(東京都小金井市民)


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【注】日本国民救援会東京都本部主催、ノルウェー大使館後援で開催された
【写真】1枚目は高橋三栄子撮影、他は匿名希望者撮影

# by bekokuma321 | 2019-06-16 08:44 | ノルウェー

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ノルウェーの政治に新しい歴史がつくられた。つくったのは、マリアン・フセイン(32)。上の写真の右側に写っている女性だ。


彼女は先週、ノルウェー憲政史上初のソマリア系ノルウェー人国会議員として、国会で演説をした(写真は、国会ビデオよりキャプチャー)。


マリアン・フセインは、先週、休暇をとった左派社会党の国会議員の代わりに国会議員となった。ノルウェーでは、国会議員が大臣に就任すると、その国会議員の代わりに、同じ政党の同じ選挙区の代理議員が国会議員となる。権力の集中を避けるため、大臣と国会議員は兼務できないとされているからだ。そのほか病気休暇、育児休暇などをとる国会議員も珍しくないため、代理議員の登場は少なくない。


それにしても、マリアン・フセインとは何者なのか。いくつかのノルウェー報道からかいつまんで紹介すると、マリアンは、内戦と干ばつが続くソマリアからの難民だ。母親に連れられて兄弟7人は、すでにノルウェーに移住していた父親と再会。家族で住み始めたのもつかの間、父親は癌で死亡。


しかし、マリアンはノルウェーの公立校の普通のクラスにはいって普通の授業を受けることができた。ノルウェーの子と違っていたのは、ノルウェー語の特別補修だけだった。「とてもラッキーなスタートでした」と彼女は言う。その後、彼女は看護師資格を取得。オスロの児童福祉センターに勤務しながら、県会議員としても活躍する。


2017年の国会議員候補者リストを見ると、マリアンは、オスロ選挙区の左派社会党リストの5番目に載っている(写真下)。ノルウェーは比例代表制の選挙だ。投票の結果は、オスロ選挙区の左派社会党から国会議員に当選したのは2人。加算票(注)を多くとったためだろうが、マリアンは上から3番目だったと報道されている。つまり、彼女は代理議員第一番目だ。党内のだれかが免職になると、ただちに出番が回ってくるというわけだ。


初の国会演説をしているマリアンは、ダーク・ピンクのヒジャブで頭部をおおっている。イスラム女性がよくかぶるスカーフだ。「フェミニスト党である左派社会党の代表が、女性差別の象徴とも言われるヒジャブをかぶることをどう思いますか」と聞いてきたジャーナリストへの彼女の答えはこうだ。


「ヒジャブは小さいころから身に着けていて、私そのものです。私のフェミニスト観点から言えば、私の政治的考えを政治についてではなく、こんなふうにヒジャブに使わなければならないのは、実にうんざり、しますね。ノルウェーでは、どう考えどう行動するかで人を判断すべきであって、どんな服装をしているかではないのではありませんか。とはいえ、男性にもドレスコードがあるでしょ。職場で、スカート、いえ短パンをはく男性はいませんね(笑)」


す・ば・ら・し・い!


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【注】ノルウェーの比例代表制選挙では、票を投じる人が順番を変える権利を持っている。上の候補者リストを見てほしい。当選してほしい候補者の左端にある空欄に「1」と書いたり、気にいらない候補者には右端の空欄にバッテン(x)をつけることができる。国会議員選挙で党の決めた順番が変わることはほとんどないと言われてきた。いま調査中ではっきりしないが、2017年選挙で5番目マリアン・フセインの左の空欄に「1」と書いた人が多かったと思われる。

Marian (SV) er første på Stortinget med hijab

Første norsksomalier på Stortingets talerstol – kritiserteregjeringen for

All adults in Norway have the right to free education—includingrefugees

Norway'best in Scandinavia' at integration

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【更新 20170613 2257】

# by bekokuma321 | 2019-06-12 17:50 | ノルウェー

c0166264_00111581.jpgILO総会がジュネーブで明日610日から始まる。総会は第108回で、今年はILO創立100周年だという。

注目すべきは、性暴力・性的嫌がらせ根絶に関する条約の採択が見込まれることだ。

採択されれば、職場におけるセクハラや性暴力を禁止する初の国際基準となる。

このILO条約案を読むと、その幅広さに驚かされる。ILOのサイト やニュース情報から、画期的な条文をいくつかあげる:

☆法の対象は両性だが、「とりわけ女性と少女たちに影響があり、根絶には、ジェンダーに対応する包括的で総合的なアプローチをとる必要がある」と明記されている(前文)

職場における「暴力といやがらせ」とは、「許容できない態度や行動のことであって、1回であろうと繰り返しであろうと、身体的、心理的、性的、経済的危害を与える意図を持って、またはそういう危害を実際に与えたり、与えかねないような行為をさす。それには『ジェンダーによる暴力と嫌がらせ』が含まれる」(1条)

☆「ジェンダーによる暴力や嫌がらせ」はこう定義される。「先天的性・後天的性を問わず、その人がその性であるがゆえに被った暴力や嫌がらせをさす。または、その性の人間がその性ゆえに偏った影響を受けることをさす。そして、それには性的嫌がらせが含まれる」(1条)

☆被害の対象となる労働者は実に幅広い。「契約上どのような地位かどうかにかかわらずすべての労働者」「訓練生、インターン、門下生、雇用期間が過ぎた労働者」「ボランティア、求職者、応募者」「都会であろうと田舎であろうと、公式経済であるか非公式経済であるかに関係なくすべての分野」(2条)

☆被害を受ける場も広範囲だ。「公式であろうと非公式であろうとすべての仕事の場」「給与を支払われる場だけでなく、休憩や食事をとったり、トイレ、化粧室、更衣室において」「仕事がらみの旅行、訓練、イベントや、付き合いの場において」「情報や情報技術などによる仕事がらみのコミュニケーションの場において」「雇用者が提供した宿舎において」「通勤の間において」(3条)

さあ、日本政府は、このILO条約にどんな態度をとるだろう。賛成か反対か。昨年の報道によると、日本政府は、あろうことか「立場留保」だった。セクハラ事件の多さや深刻さ・・・これ以上ほおっておくことは断じて許されない。


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ILOとセクシャルハラスメントには、思い出がある。

東京都の議員だった1989年、日本初のセクシャルハラスメント対策を東京都にとらせることができた。

女性団体「三多摩の会」が膨大なセクシャルハラスメントのアンケート調査をして耳目を集めたが、政治の舞台では言葉さえ定着していない頃だった。

1988年、東京都の労働相談項目にセクシャルハラスメントを新たに入れることを私は考えついた。当時、労働相談は「男女差別」「パートタイマー」「派遣関連」「外国人関連」「情報誌関連」「メンタルヘルス」「その他」に分類されていた。

都の労働局に「その他」の詳しい中身を聞いたら、セクシャルハラスメントが数多く含まれていた。そこで、「セクシャルハラスメント」という項目を新たに作るように提案した。翌年、都の労働相談に、「セクシャルハラスメント」という項目が登場した。その相談件数374件。「パートタイマー」に次いで多く、いきなり第2位だった。

「その他」に入れられて見えなかったセクシャルハラスメントが、東京都で初めて明らかになった瞬間だった。この統計を片手に、対策を進めるよう議会でさらに発言を続け、議会外では女性運動に一層熱を入れた。

東京都のささやかな例は、『Conditions of Work Digest: Combating Sexual Harassment at Work 1/1992 ILO』に掲載されている。

同じページには、「日本において、セクシャルハラスメントは法的に定義づけられていない」と書かれている。ここは2019年の今も変わっていない。だからこそ、今回のILO条約を採択し批准して、あらたな国内法へのテコに、と思う。


# by bekokuma321 | 2019-06-10 01:31 | ヨーロッパ

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男性優位の日本社会。その暴力的言動は、在日外国人女性に対してさらに極端に表れます。どなたもお気軽にご参加ください。


チラシに使われた写真は、フランスの移民女性運動のポスター。昂然と私たちを見すえる女性たち。移民としてやってきたか、または移民の家庭に生まれ育ったフランス人だ。清掃、ウエイトレスなど低賃金で不安定な労働に従事し、フランス社会を支えてきた。


このポスターは、「女性ゲットーに反対し平等を求める女性の行進」という女性解放運動団体によって制作された。女性ゲットーとは、女性が多い労働現場をさす。男性中心の文化や固定観念を否定し、個性あふれるひとりの人間としてフランスに生きる移民女性を世に出そう、という運動だ。詳しくは、「叫ぶ芸術 第4回 娼婦でも女中でもない!」を。



性暴力にさらされる難民女性たち





# by bekokuma321 | 2019-06-09 23:50 | その他

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100歳女性が政界進出、地方議会選でトップ当選 ドイツ」。先日届いたCNN日本版の見出しだ。女性の名はリーゼル・ハイゼン。動画見た。その、かくしゃくとした姿。人生100年時代にふさわしい議員だ。


このニュースに、多くの日本人やアメリカ人は、「100歳の、しかも女性がトップ当選だなんて。どんな選挙をしたんだろう」と思ったに違いない。


両国では、名前と顔を売るためにし烈な選挙戦をかいくぐらなければならないからだ。そう、日本もアメリカも小選挙区制だ(中選挙区制など複数当選の変形も含む)。


一方、ドイツは、日本やアメリカと違って、基本的に比例代表制だ。有権者は政党に投票する。投票所では、たくさんの政党の「候補者リスト」から、有権者は自分の支持する政党の「候補者リスト」を1枚選んで、それを投票箱に入れる。それぞれの政党の票の獲得率に比例して、政党の議席数が決まる。候補者個人は、朝から晩まで必死に頑張らなくていい。だから、産休で家にいて一度も選挙運動をしなくても当選した女性だっている。


北欧の場合は、当選してほしい候補者個人に印をつけると、その候補者に票が加算される。ドイツも北欧と似ているようだ。今回は、ニュースの主100歳のリーゼル・ハイゼン候補に印をつけた有権者が非常に多かったのだ。


上の表を見よう。彼女の選挙区における政党別の得票率と議席数だ。全部で24議席。7政党に及んでいる。メルケルのキリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPDなど国会議員を出している政党は、地方でも強い。CDUは8議席、SPDは5議席だ。一番下にあるのが、リーゼル・ハイゼンの所属する「私たちのキルヒハイムボーランデン」、Wir für Kiboわずか2議席のミニ政党(政治団体)だ。


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その政党「私たちのキルヒハイムボーランデン」のホームページ に、候補者リストがアップされている。議会の定数24議席に26人もの候補者を立てている。そのうちリーゼル・ハイゼン20番目。ずいぶん下だ。


党首にあたる候補は、「わが党は、完璧なバランスを誇る政党です。男女は半々で代わる代わる並んでいます。しかも100歳のリーゼルは市議会で最高齢となります」と、多様性や男女平等を強調し、彼女を積極的に宣伝している。


ドイツの報道によると、リーゼル・ハイゼンには、長年の教員勤務で教え子は多いし、孫やひ孫など家族も多い。何といっても御年100歳のチャレンジに敬意の1票を投じた人が多かったのだろう。結果、順位20番から1番目にはねあがった。


リーゼル・ハイゼンの立候補の動機は何だろう。ドイツの報道によると、ドイツの南西部ラインラントプファルツ州キルヒハイムボーランデンに住む。人口は8000人ほど。元教師で、水泳大好きのスポーツウーマン。長年、公営スイミングプールで泳いでいたが、2011年プールが使えなくなった。「身体にとっても精神にとっても最高のものがなくなった。なぜ」と疑問に思った。大勢の仲間たちも同じ疑問を持った。そこでプールの再開を市に求めて、100歳記念に議会に出る決意をした。


とはいえ突然、政治に目覚めたわけではない。地方議員だった父は、ユダヤ教会破壊に反対して、収監された。そんな家庭に育った彼女は、常に政治的だった。EU派であり、マクロン仏大統領のファン。若者の地球温暖化反対運動も応援する。「テレビはくだらない番組が多く、政治的に重要な番組は寝静まったころに放映される。これでは、政治的判断に必要な情報が十分得られない」と嘆く。


私の母親だったら、不満があっても近所の人たちに愚痴をこぼすだけだったろう。本当に見事なチャレンジだ。何度でも言うが、彼女のチャレンジ精神を生かしたのは、比例代表制という土台だと思う。



# by bekokuma321 | 2019-05-31 00:20 | ヨーロッパ