2026年 04月 08日
報告「女性を議会に送ろう!」by 武井多佳子(GPRオンライントーク)
「楽しく比例制をめざす会」は、女性議員を増やすための選挙制度改善を目標に学習会を行っています。2021年から5年目を迎えた3月27日、愛媛県議会議員の武井多佳子さんに「女性を議会に送ろう! 30年の歩みをふりかえって」をテーマに話していただきました。

武井さんは、愛媛県議会における女性議員の比率が1割未満にとどまっている現状や、2023年県議選では13選挙区中6選挙区が無投票であったことを話しました。私は、無投票の選挙区が半分近くもあることにまず驚き、そこでは市民に選挙で選ぶという選択肢がそもそもないわけですから、問題の深刻さに愕然としました。
背景には、選挙区の定数が1人または2、3人という少人数であることがあります。衆院の小選挙区制と同様、候補者は、どうしても大政党の現職男性に固定化され、女性候補者や多様な立場の人の新規立候補は難しいのです(注)。つまり、これも日本の選挙制度の欠点なのだと思います。
そのような少数市民派にとって厳しい選挙ではありますが、武井さんはこれまで、松山市議、愛媛県議と当選を重ねてきました。松山市議時代には、男女共同参画条例をめぐる激しいバックラッシュ(反動)に直面しながらも、公的広報表現の見直し、女性職員制服の改善、政治倫理要綱へのハラスメント禁止規定の導入など、成果をあげたそうです。
一方、県議会では、武井さんのような少数会派への不利な扱いや議会改革の停滞、情報公開の不十分さなど、閉鎖性と権威主義の強さに悩まされてきたそうです。
武井さんの話から、制度だけでなく、地方議会に残る風習や慣行など“負の文化”も変えていかなければならないと考えさせられました。
武井さんは、議員として超多忙ななか、女性を1人でも多く議会に送ろうという運動や他の市民活動も幅広く行っています。講演会や女性学セミナー、政治の学校、「怒れる女子会」、憲法カフェ、全国フェミニスト議員連盟(現在代表)といった活動です。
武井さんが議員に立候補した動機のひとつに「憲法の素晴らしさ」との出会いがあったという点は、特に印象的でした。「男女は平等であるべきだ」は、単なる個人の考えではなく、憲法で保障されている「男女平等の権利」に基づくものであるとの発言に、私はとくに共感しました。日本国憲法施行から約80年を経ても、日本はいまだ憲法の基本理念を実現できておらず、これは日本にとって大きな問題です。
武井さんのお話を聞いて、男女平等を実現するためには、現在の選挙制度を比例代表制に変えるという抜本的変革をめざすと同時に、現行の選挙制度である1人区をできるだけ多くの人が当選できる選挙区に改善するなどの転換が必要だと考えました。
また、憲法の理念を実現するために、武井さんのように生命に携わる仕事をしてきた看護師やケア労働者をはじめ、生活に根差した職種の人が議会に出ていき、現場の視点が公の政策に反映されることが重要であると感じました。その人たちが議会で発言できるようにするには、選挙制度が今のままではとても難しいことは明白です。
意見交換の場では、地域によって女性議員の割合に大きな差があることや、議会改革の必要性について多くの意見が出されました。女性議員が少ない中でも奮闘している様子や、女性議員ネットワークを作って支え合っていることが紹介されました。ノルウェーからの参加者は「ノルウェーの議会はほぼ男女半々だが、日本での女性議員の少なさ、それゆえの苦労を知った」とためいき交じりに感想を述べました。とはいえ、神奈川県大磯町に続いて、男女同数の地方議会が少しずつ増えていることに、変化も確かにあると希望を感じました。
全体を通して、女性の政治参画が進まない背景には、選挙制度の問題、議会の閉鎖制、情報公開のなさ、市民の政治参加の弱さといった複合的な要因があることを認識しました。
次回は、5月15日(金)。ゲストは菅太助さん(寺院法務員・市民活動コーディネーター、福岡県佐伯市在住)。市民と議会をどうつなぐか、についてお話いただきます。ぜひご参加ください。
實藤 政子(物流システム開発・改善・業務コンサルタント、楽しく比例制をめざす会GPR)

【注】都道府県議会における女性数は、平均14.5%。国会よりも少ない。愛媛県議会選で当選した女性はわずか4人で、47人中8.5%にすぎない。いずれも16人区、6人区・・・などと定数が比較的多い選挙区から当選している。武井多佳子さんも16人区の松山市選挙区である。
【更新:2026/4/10]

