2026年 03月 06日
今こそ、イプセン

ノルウェーの友人アンネ・ランデ・ペータースが翻訳したイプセンの戯曲「社会の柱」が、2月10日~15日、新国立劇場で上演された。 宮田慶子演出、新国立演劇研究所第19期修了公演。日本での初上演は2020年2月で今回が2回目。
来日中のアンネと久しぶりに歓談した。アンネはイプセン研究の第一人者でもある。
アンネが言うには、この戯曲はイプセン社会劇の先駆けといえる作品というだけでなく、「女性解放運動をテーマに掲げた世界初の戯曲」なのだという。
日本は、ちょうど高市自民党が大勝した衆院選の余韻が残り、ノルウェーは、少女買春で勾留中に急死した米富豪エプスタインの文書に、トップ政治家や皇太子妃と彼の交友関係が書かれていて大騒ぎ。両国の政界の話で、私たち2人は時間を忘れるほど盛り上がった。
「社会の柱」は、19世紀後半のノルウェーの話だ。小さな港町が舞台になっている。実業家で領事のカルステンは、町の有力者として信頼と尊敬を一身に集めていた。しかし、彼にはおぞましい秘密があった。アメリカから帰国したカルステンの元恋人は、彼の嘘とみせかけに平手打ちをくらわす。「真実と自由の精神、それこそが社会の柱なのよ」という彼女の台詞で、幕は降りる。
アンネと私は、「いま日本とノルウェーで起きている政界の出来事は、イプセンの『社会の柱』のテーマそのものね」と意気投合。あらためて、人間ーーとりわけ権力者ーーのウラとオモテを巧みに描き上げたイプセンの洞察力の鋭さに感服し、留飲を下げたのだった。
【本記事は、「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女たち 152回」(i 女のしんぶん | I 女性会議(あいじょせいかいぎ)2026/3/10)の一部。詳しくは、同新聞をどうぞ。数少ない女性解放紙を応援するためにも、購読をお願いします】
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