2025年 12月 24日
ソマリア移民女性が国会議員になれる国のシステムとは (『月刊社会民主』12月号を読んで by 木村昭子)
内戦の続くアフリカのソマリアから母親とともにノルウェーに逃れてきた10歳の少女。成人して、ケア・ワーカーとして働きながら、地方議員に立候補して当選した。まだ20代だった。ほどなく彼女は、地方議員から、ノルウェー史上初のアフリカ系国会議員となり、今秋、また国会議員に当選した。主要政党のひとつ左派民主党の副党首でもある。
三井マリ子さんの「民主主義度で世界一 ノルウェーの総選挙を見る」(『月刊社会民主』12月号)を読んで知ったマリアン・フセインの話だ。
彼女の当選は、比例代表制という選挙の下、政党の候補者リストの上位に登載されたからにほかならない。政治といえばカネ、密室の談合、権力者への忖度が横行する日本では考えられないことだ。マリアン・フセインは「あなたの国はどうかわかりませんが、有力者が水面下で動いてことを決めるといったことはありません。オープンに決められるのです」と、三井さんに応えている。
マリアン・フセインは、子どもの頃を思い出して、こうも語っている。
「私はノルウェーに来てからというもの差別を受けた事がありません。ノルウェーの子と一緒のクラスで、分からないところは特別な先生が教えてくれました。・・・ノルウェーでは尊厳をもって扱われているという実感がありました」
一方、私たちの国では、スリランカのウィシュマさんが名古屋出入国在留管理局に収監されて死亡した痛ましい事件が解決してもいないのに、外国人排斥の法律を制定しようとしている。
私は、これまで三井さんの著書、講演等で、ノルウェーの民主主義、人権意識、男女平等意識を知った。それらを具体的にすすめていくために、男女平等法があり、その法律に基づいた監視役・男女平等オンブットがあり、決定の場の男女平等を規定するクオータ制があることも学んだ。
三井さんは、最近、こうした制度を生みだす国会の構成を決定する選挙制度に注目をしているようだ。このルポでも、「マリアンのような人物がノルウェーの国会議員になれた最大の要因は『比例代表制』にあることに気がつく」「マリアンのようなマイノリティ層は、もし日本ならどんなに頑張っても『死に票』の渦に呑み込まれて一巻の終わりとなったであろう」と書いている。
このルポは、9月のノルウェーに飛んで行って、国政選挙を観察しながら選挙運動や選挙結果を報告しているだけではない。移民との共生社会とは逆方向に進もうとしている日本との違いをつまびらかにし、進むべき方向を示唆している。多くの人に読んでほしい。
木村 昭子(こうち男女共同参画ポレール幹事)


