2025年 12月 21日
闇夜に希望の光を!ーー女性ゼロ議会「大月市」訪問記
「ここの議会は闇夜です」ーー山梨県大月市議会をこう言った人がいた。
その大月市を、12月19日(金)訪問した。山梨県には「女性ゼロ議会」が非常に多い。現在8自治体:早川町、南部町、丹波山村、小菅村、大月市、道志村、山中湖村、鳴沢村(内閣府HP)。そのなかで、市は大月市のみ。

男性だけで、予算や政策を決める。それを、「民主主義ではない男主主義だ」と私は呼んできた。だが、民主主義に近づくのは容易ではない。議員になるには選挙という関門をくぐらなくてはならず、それには、「立候補してみようかな」と思う女性がいなくては始まらない。そういう環境をどうつくるか。
嘆いているだけではダメだ。90年代から、全国フェミニスト議員連盟は「女性ゼロ議会」を訪問してきた。その地の行政には広報を要望し、住民とは何が障害になっているかを話し合う場を設けてきた。
大月市役所では、総務部長の坂本さんと総務部秘書広報課の金井さんが応対した。女性議員増の環境に、市が果たす役割は大きく、効果的な広報をしてほしい、と要望書を手渡した。男女共同参画行政も兼ねる坂本さんは「私どもは、ほんとに女性議員が議会にいてほしいのです。どうか女性に出てほしいと思っています。毎回、声をかけていますが、でも出てくれない」と嘆いた。
大月市は議会に女性がいないだけでなく、管理職にも女性は1人しかいないという。ところが、この12月議会で、「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」が可決された。おもしろいのは、肝心の男女平等政策を話しあう総務委員会では、反対派が多く否決されたものの、本会議では他委員会の議員たちが賛成して、賛成多数となったのだそうだ。
大月市長への要望書(本記事最下)を、坂本さんに手渡して、その後、「Caféにいや」に移動した。全国フェミニスト議員連盟で活躍した元国分寺市議の亀倉順子さんが営む。古民家を改装した上品で上質な空間で、誰もがゆったりした気分で話し合えた。


大月市から、亀倉さんに加えて、男女共同参画委員会の委員だったという佐藤善子さん、政治や選挙に強い関心を寄せる元図書館司書の平井和子さんが参加した。
聞けば、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書可決のテコとなったのは、佐藤さんたちの署名活動だとわかった。
女性差別撤廃条約選択議定書というヤヤコシイ国際規約を、一軒一軒回って説明して署名をしてもらった。「久しぶりの知人の家を訪問すると、別の話も出て長くなることも多くて・・・」と佐藤さん。文化祭が開かれていた市民会館前でスタンディングもした。
署名数1200筆を11月中旬、議会に届けた。舞台は議会に移った。担当委員会で否決されたときは、「議会は闇夜だと思いました。人生でこれほど落ち込んだことはなかったです。女性議員がいたらこうはならなかったかもと」と佐藤さん。しかし、うれしいことに、後日、本会議では賛成多数で可決成立!
亀倉さんは、「大月市は、牛乳パックの再利用運動が始まった歴史的なところ。女性たちが牛乳パックから手すきハガキを作り、それが全国に広まっていった。それに、ここは勤めは東京という住人が多く、ジェンダー・ギャップを感じるなど、問題意識はある・・・」
しかし、平井さんは、「しがらみの強いところです。誰に投票したか見えないはずなのに、誰に投票したかみなわかるそうです。女性が立候補しないのは、このままの生活でいい、と思っている人が多いから。それに、かつては1票1万円と言われてました」
平井さんの話をまとめると、かつて、村にはとりまとめ役がいて、県議からおカネを預かって、各家に「よろしくね」と配って歩いていたそうだ。候補者名を言わなくても、暗黙の了解で、皆わかっていた。「もらいたくない」と言おうものなら村八分にあうのでほとんどの家では家主が受け取っていたという。
女性が選挙に出ることは、一説には平安時代から続くといわれる部落のしきたり・しがらみを壊すことにつながる。問題意識を持つ女性でも、立候補して町を変えようと思わないのはよくわかる。しがらみが少ない都会に出て暮らすほうを選ぶのだ。
佐藤さんは、「前回の選挙に女性2人が立候補をしようという気になってくれました。ところが、あと一歩というところで2人とも辞退した」
今は長野県在住だが、かつて山梨県北杜市に住んでいた渡邊穣さん(執筆業)も参加した。彼は、北杜市にいたころ、住民の困りごとを行政につなぐ活動に長年かかわってきた。
「山梨は、選挙で現ナマがとびかうことが、今でもあります。それに、山梨では、よそ者を“きたりもん”と呼んで、仲間に受け入れてくれない。20年前、それならと何人かで“北梨門倶楽部”(きたりもんくらぶ)と名つけたサークルを作った。あえて、きたりもんだと公にしたら、逆に言われなくなったんです。そこから議会に立候補して当選した人がいます」
実際、今回参加した竹元かんなさんは、よそ者ながらも議員になった。福岡県から長野県下諏訪町に移住したばかり。しがらみゼロ。「日本一子育てしやすい町に」を掲げて立候補して当選。まだ20代だった。今や、町の人気者だ。
大月市議選は2027年7月。立候補します、と言う女性を探そう。「闇夜」に希望の光をともすときだ。



