2025年 10月 02日
報告「王貞月の北欧選挙見聞録ーー楽しく開放的でお祭りのよう」by 渡辺順子
9月26日、オンライン会合「2025年ノルウェーの国政選挙見聞録」がありました。主催は楽しく比例制をめざす会GPR。
ゲストは、8月30日から9月7日までノルウェーの国政選挙を視察した、王貞月さん。台湾の「親子共学教育促進会」の会員や、子育てしやすい社会をめざす「欧巴桑(おばさん)連盟」など3団体による北欧ツアー企画に同行したのだそうです。半数は原発反対活動をしている高校生など若者でした。
王さん一行は、同じく選挙取材中だった三井マリ子さんとオスロで合流して、「ミニ国際会議」を持ったそうです。その後、王さん帰国後も、台湾の人たちの北欧巡りは続いていて、26日、旅先のヘルシンキから、オンライン会合に参加してくれました。
オスロ到着早々、一行はオスロ市庁舎に。吹き抜けの高い天井、壮大な壁画、大理石の床にはグランドピアノが置かれ、開放的で明るい市庁舎ロビーは、ノーベル平和賞授賞式の会場にふさわしい荘厳な雰囲気に感動したそうです。

オスロのメインストリートにあたるカールヨハン通りには各政党の「選挙小屋」と呼ばれる、選挙運動の拠点が設営されていました。カラフルなテントやスタンドが緑豊かな木立の中に立ち並び、政策パンフレットや候補者リストと呼ばれる投票用紙を、誰でももらえます。
政党のロゴのついた選挙グッズが無料で配られていることに驚かされたそうです。労働党は赤いバラ、進歩党はアイスバー、赤党は歯ブラシ・・・。一番人気はアイスバーだったそうです。こうしたグッズ配布は日本ではアウトです。

選挙小屋には、アンケート用紙を持った小学生たちが、党員から党の政策を聞いたり質問をしたりなど、対話と交流の場にもなっているそうです。日によっては、小屋の前で選挙の顔である元党首が演説したり、デモ行進が行われたりするそうで、まるでお祭りのように楽しそうな光景でした。
労働党のシンボルは赤いバラですが、黄色いバラを持ったデモの写真も見せてくれました。8月、児童若者福祉施設でテロリストに殺害された移民女性を偲んで、彼女が好きだったという黄色のバラをシンボルに集まったのだそうです。
投票日は9月8日(月)。でも、8月11 日から9月5日までほぼ1か月間、期日前投票ができます。投票日の前日7日は日曜日で、どの政党も選挙運動をしていません。日本だったら投票日の前日は最後の訴えで盛り上がりますが、その静けさに王さんは驚いたそうです。

立ち寄ったショッピングセンターに事前投票所があったり、14歳でも選挙運動ができること、生活の中で政治が身近なこと、高校で選挙前に政党の政策討論会や模擬選挙が行われるなど子どもたちが政治に参加する機会があること、病院の存続だけが目的の政党があること、などなど、王さんが撮影してきた、たくさんの写真を見ながらのあっと言うまの1時間でした。
その後、質疑応答が続きました。最後に、道のりは遠くても日本の選挙制度を変え比例制実現をめざして頑張ろう!と参加者の意見が一致しました。
ノルウェーの選挙結果ですが、労働党を中心とする中道左派が過半数を超えたものの、極右と呼ばれる進歩党が過去最高の議席となり、ノルウェーでも右傾化が進んでいると考えられました。
次回は11月21日(金)午後8時半から。ゲストスピーカーは三井マリ子さん。ノルウェーの選挙と日本の選挙の比較や、国王との謁見秘話など・・・どうぞお楽しみに。
渡辺 順子(楽しく比例制をめざす会GPR、神奈川県大磯町元議員)
【写真1:オスロ繁華街に並ぶ選挙小屋で、労働党党員と対話する小中学生】
「写真2:台湾からの一行が、選挙小屋前で自由党党員に質問】
【写真3:オスロ近くのリッレストレム市の高校で行われた高校生対象の9政党による政策討論会】
(写真は王貞月講師が使用したパワポより許可を得てFEM-NEWS編集部が編集)
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