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ノルウェー国会前に女性初の国会議員像と誰もいない台座

国政選挙の取材にノルウェーを訪れた。


旅立つ前、報道で、ノルウェー国会前の広場にノルウェー初の女性国会議員の像が建てられたことを知った。「国会前の像はすべて男性ばかり。女性の像を」という声を反映して国会で議決されたと聞き、「女性議員が40%を超える国会ならではだなあ」と感心した。


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その巨大な像はアンナ・ログスタ(Anna Rogstad)。先日、その横の台座に立った。国王との謁見の後のことだった。慣れない着物に草履だった私は、登るのにとても難儀した。でも、これが日本女性の政治参画へのジャンプになるかも、と、踏ん張った。


というのも、数年前、講演に行った高知で、「どこに行っても坂本龍馬ばかり。楠瀬喜多の銅像がほしい」と思った。友人たちに、「楠瀬喜多の墓参をしたら、草ぼうぼうで荒れ果てた有様に悲しかった」とこぼした。そして「ノルウェーでは公共空間に歴史的フェミニストの像が数多く立ってます」と、カミラ・コレットや、アースタ・ハンステーン、工場で働く女性たちの銅像を紹介した。


楠瀬喜多は、日本の歴史を変えた女性である。時は明治13年、1880年、土佐の上町町議会で戸主である女性の参政権が認められた。この、日本初の仰天すべきできごとは、楠瀬喜多が、戸主として納税義務があるのに参政権がないのはおかしいと、納税をボイコットしたことに端を発する。当局から督促状が来ても「男女同権ならば義務を果たす」と女性参政権を要求し続けたとされる。


ちょうどそのころ、北欧ノルウェーでは、国会で女性参政権をめぐって議論が巻き起こっていた。1890年には、「女性参政権同盟」が4533人の署名を集めて女性参政権を要求。ついに、一定の納税者に限っての女性参政権が、1901年地方議会に認められ、1907年国会にも認められた。


1901年、オスロの議会(当時はクリスチャニア)に立候補したのが、アンナ・ログスタだった。貧しい子どもたちの多い地区の学校の教員であり「女性参政権同盟」の主たるメンバーだった。1909年には国政選挙に立候補し、イェンス・ブラトリ(Jens Bratli)の代理議員(注)に選ばれた。彼が首相に就くことになったため、1911年、彼女は、女性として初めて国会の議席に座ることになった。ノルウェーでは、権力の集中を防ぐため、首相・閣僚の国会議員兼務が禁じられているからだ。


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ただひとりの女性の国会議員ログスタの女性参政権を求める「恐れを知らぬ」闘いは、1913年の女性参政権獲得につながったに違いないという文献もある。そうだろうと私も思う。


ノルウェー外務省のカーリ・ヒルトさんは、「この像の横の台座には誰も立ってないでしょ。ここは未来の女性たちのための台座なんです」と私に教えてくれた。なんという夢あふれる芸術だろう!


「じゃあ、私たちが登ろうよ」。国王謁見に同行した、イプセン研究家・翻訳家のアンネ・ランデ・ペータス(Anne Lande Peters)さんとカーリ・ヒルトさん、私の3人は、アンネ・ログスタ横の台座に立ち並び、大空に向かって、女性のパワーと連帯を叫んだ(1枚目の写真)。私は「いつか、ハチキンさんたちと楠瀬喜多の像をつくるぞ」と心のなかで誓った。



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Open Call: commission to create a sculpture of Anna Rogstad - Announcements - e-flux



【注:代理議員については、『さよなら!一強政治ーー小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(旬報社)p132参照】

【更新:誤記を訂正し更新しました。2025/09/23】


by bekokuma321 | 2025-09-22 18:56 | ノルウェー