2025年 07月 22日
2025参院選女性当選者30%を超した。が、しかし…


報道によると、参院選の投票率は58.5%だった。2024年の衆院選は55.9%、先月の都議選は47.6%だったことを考えると、今回の参院選への関心はいつになく高かったことがわかる。
女性は、今日7月22日の各報道によると、当選者42人、33.6%だった。30%を超えたのである。
思い出すのは、1995年までに政策決定の女性割合を少なくとも30%にせよ、と勧告した国連の「ナイロビ将来戦略」。30%はクリティカル・マスと呼ばれる。30年遅れてやっと日本も一部で手が届いたかたちだ。ところが、国連は昨年、目標値を50%にあげた。そして、30%という数字は、「女性差別撤廃条約の持つ神髄と相容れず、むしろ、男女間の不平等を正当化するメッセージとなりうる」と取り下げた。
政党別の女性当選者割合を図表化してみた(上の棒グラフ)。それによると、与党の自民党と公明党の男性偏重は突出している。実数では、立憲民主党が最も多くの女性を当選させた。22人中、女性は12人、54.5%だ。
女性当選には選挙制度が大きな影響を持つ。参院は選挙区と比例区がある。女性(世襲を除く)やマイノリティが当選しやすいのは比例区だといわれている。しかし、今回は、選挙区75人中27人36%、比例区50人中15人30%と、選挙区で女性が健闘している。理由のひとつに、選挙区での女性当選率(7人中5人が女性)がもっとも高かった参政党の存在がある。
さて、参政党だが、神谷宗幣代表は、「選択的夫婦別姓反対」「高齢女性は子どもを産めない」など反男女平等の姿勢を明らかにしている。
神谷代表が初めて議員となったのは大阪府吹田市。吹田市に本拠を置く「教育再生地方議員百人と市民の会」(注)の理事でもある。この会は豊中市在住の増木重夫事務局長が率いる自称市民団体だ。増木事務局長は、在特会関西支部長でもあった。
「教育再生地方議員百人と市民の会」に属する議員は、地方自治体における男女共同参画や教育行政をやり玉にあげてきた。具体的には、議員質問の形をとって、執行部を執拗に威嚇的に問い詰め、萎縮させては、喝采を叫ぶ。
神谷代表は、吹田市議だった際、議会で、たびたび市の男女共同参画推進の足をひっぱる発言をしてきた。吹田市議会議事録からひとつだけ引用する。
「男女共同参画のにしきの御旗の裏で、経済の合理化の物差しで進められた雇用形態の変化があった事実や、男らしさや女らしさを否定したり、専業主婦の地位を低下させたことによって、社会の基盤である家族が崩壊しつつあるという現状に警鐘を鳴らしたい」
今回の選挙で、参政党は、女性候補者を数多く出す戦術をとった。結果として、政治は男のものという男性偏重を抜け出せない自民党の古い価値観とは異なる新鮮なイメージにつながった。また、女性の少ない日本の政界では女性候補は目立つ。目立つことは選挙に有効だ。そして、女性は男の牙城だった既成組織を打破してくれそうなイメージを抱かせる。さらに、象徴的なのは、東京選挙区の参政党女性候補が言い放った「私を日本のお母さんにして」だ。こうした母性アピール策は、何かにすがりたいという一部若者たちに支持される。最後に、同党の動画にちりばめられた”女・こども”は、同党の極右的本質を和らげることに一役買ったに違いない。
女性議員は増えた。が、しかし皮肉にも、選択的夫婦別姓反対など、男女平等・ジェンダー平等嫌いの女性議員が増えることになった。
【注:「教育再生地方議員百人と市民の会」や増木重夫事務局長の活動は、『バックラッシュの生贄』(三井マリ子・浅倉むつ子編、旬報社)に詳述されている】
■2025参院選! 10政党に男女平等政策を聞く(全国フェミニスト議員連盟) : FEM-NEWS
■祝! ヘイトスピーチは人種差別の判決 : FEM-NEWS
■在特会への京都弁護士会声明 https://www.kyotoben.or.jp/pages_kobetu.cfm?id=460&s=seimei

