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核燃再処理工場の村を訪ねて-3-「選挙制度改革をしなければ」

以下の文章は、核燃再処理工場の村を訪ねて-2-「グリーナムコモンから六ヶ所村へ」 : FEM-NEWS のつづきです。


●菊川さん村議会に初挑戦

20034月、菊川慶子さんは初めて六ヶ所村・村議選に挑戦した。結果は43票だった。


「当確ラインは250票ですから、かすめもしなかったのです。あんなに恥ずかしかったことはありません」と『六ヶ所村ふるさとを吹く風』(菊川慶子、影書房、2010)に書いている。


しかし後も、村長選も含め何回か村議選に挑戦を続けた。村長も村議会議員も全員が核燃賛成だという「敵地」に挑んだ、その強い使命感にはただただ頭が下がる。


理由を尋ねると、「核燃再処理問題を、議会という公の場で議論したいと思ったからです」と、声は小さいがはっきりと言った。


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 いかに安全であるかをあらゆる手で知らせる「六ヶ所原燃PRセンター」の展示物。模型のドラム缶だが写真にしたらおどろおどろしい(2025/3/10)

    

●国家ぐるみの隠ぺい、国家ぐるみの強姦

核燃再処理問題は、『六ヶ所村の記録』(鎌田慧)によると、1960年代の開発問題に端を発する。バラ色の開発の名のもとに貧しい農民の土地が高値で買い占められていく現象が起きていた。開発の賛否をめぐって対立が続き、村民は分断され、反対運動仲間が敵に変わったり、骨肉の争いや自殺もあったという。70年代、開発反対の村長(最後の反対派村長・寺下力三郎)の出張中に村議会(開発賛成派が増えていた)が開かれて「開発推進」が決まった、という恐るべき事件もあった。


その後、開発反対の寺下力三郎村長(注)は落選する。「選挙では、『銭』に突き崩された。1票1万円とも3万円ともいわれ、買収は公然たる事実だった」と鎌田著には記されている。


鎌田著を読むと、70年代まで村民は開発だと思い込まされていたが、実は、単なる開発ではなかったことがわかる。六ヶ所村の土地買収の真の目的は、日本中の原発から出される「核のごみ」の置き場・処理する場をつくることだったのだ。当時者である村民に知らせて話し合うという民主主義の基本のキを無視して、村民の生活や人生を左右する危険極まりない核燃再処理工場誘致、を決めたのである。国家ぐるみの隠ぺいではないか。いや私流にいうと、「国家ぐるみの同意なき性交つまり強姦」だ。憤らずにはいられない。


●政策決定は民意を反映する選挙で選んでこそ

いったいどうしたらいいのか。とても難しい。やはり原発をやめることだと思う。


では、どうしたらやめられるか。民意によるしかない。それには政策決定の場を、多様な民意を反映する選挙によって選ばれた多様な代表者による構成にすることだ。


多様な政策を持つ代表を選ぶには、現在の小選挙区制選挙では絶対ダメだ。投票する人が1人の候補者名を書く日本の小選挙では、個人アピールが票の獲得手段だ。アピールにはカネがかかる。コネもいる。


衆院選がわかりやすいが、小選挙区制選挙では、選挙区から1人しか当選しないため、その勝者以外に入れた票はすべて死に票となって捨てられる。少数意見が抹殺されるのである。結果、死に票をあわせると最多票をとった候補者よりも多くなる選挙区が多々出る。言い換えると、小選挙区制で選ばれた議員の多くは民意を反映してはいないのだ。


●19人の議会に5つの政党から議員が出る

ところが比例代表制選挙では、1票は政党に入れる。だから候補者個人にカネは不要だ。選挙を終えると、政党の獲得票に比例して、大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに、議員を出せる。たとえば、比例代表制をとる北欧ノルウェーは人口が550万人で、自治体は357ある。私の親友宅は人口4000人ほどのオーモット市にある。その議会は19議席だが、5政党から議員が選ばれる。また、ウートシラUtsiraという自治体は人口わずか200人ほどで、議員は11人。さすがに政党数は少ないものの、それでも政策を異にする2つの政党が選挙で競い合い、それぞれの党から議員が選ばれる。


●女性排除をやめて男女半々の議会に

もうひとつ大事なことは政策決定の場を男性だけにしないことだ。青森県六ヶ所村は、有史以来、女性議員が一人もいない。これは絶対おかしい。


女は男より優れているとか平和主義だなどというつもりはないが、男たちは戦争(ホントの戦争に加え企業戦争も)にかまけ過ぎて、その陰で暮らしや命を守ってきたのは女たちだった。政策決定の場に、そうした暮らしや命を守る女性がいないのは、繰り返すが絶対おかしい。女性の声を反映させるには議会に少なくとも30%の女性を入れることだが、小選挙区制では非常に難しい。


一方、比例代表制選挙では、政党がその気になれば簡単にできる。ノルウェーでは多くの政党が選挙候補者名簿の当選圏に女性を搭載することが習わしになっている。当選者は政党候補者名簿の上(当選圏)から順に決まっていくから、当然、女性の当選者も多い。議会が男女半々に近づくのだ。ちなみに前述した人口約200人のウトシラ市の議会は、男性6人、女性5人である。



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    ▲菊川さんが何度か議会に挑んだ六ヶ所村役場前にて菊川さんと三井(2025/3/10)



●比例代表制への議論を

六ヶ所村核燃再処理工場問題を学び、人々の価値観を揺るがす政策の是非を決める場は、比例代表制選挙しかない、と一層強く思うようになった。福島の大惨事を忘れたかのように、原発回帰に向かう今こそ、比例代表制導入への世論が高まらなくては嘘だ。



【注:1973年7月衆議院建設委員会における寺下村長の訴え「最後にお訴えし、お願い申し上げることは、開発の内容は一切秘密にされていることでございます。これは明らかに民主主義の否定であるばかりでなく、開発そのものの危険性を物語っているわけでございます。こうしたことを一方的に押しつけることは、明らかに自治権に対する重大な侵犯であるということであります。いまさら申し上げるまでもないことでございますが、地方自治の本旨は憲法そのものでございます」(鎌田慧・斉藤光政著『ルポ下北核半島』の第1章より)】


核燃再処理工場の村を訪ねて-3-「選挙制度改革をしなければ」: FEM-NEWS

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【更新 ウトシラ市議会性別議員数がわかったので追記した。2025/6/19】


by bekokuma321 | 2025-04-01 15:51 | 日本