2024年 11月 03日
毎日新聞「論点」から思う、選挙制度、家父長制、「女町エレジー」by 古田励子
毎日新聞(2024/11/1)をさっとめくり、10面の「論点」で三井マリ子さんの意見を見つけました。
全面的に賛成です。私がつくづくバカだったのは小選挙区制が導入された時「これは良い制度だ」と思ったことです。私たちのような田舎でも、小選挙区になれば、私たちの声が選挙を通して国会に届くと思ったからなのです。結果はご覧の通り。一党独裁が続いてしまいました。
「まず仕組みを見よ」という言葉は誰かの文にあって、今、私の心を占めています。毎日新聞・論点「まずは女性処遇制度改善から」というタイトルと通じています。制度改善こそですね。これが骨子ですね。
小選挙区制による有権者の絶望感は、投票率53%に表れていますね。「どうせ投票しても変わらない」。これは、民主主義の根幹が病んでいる証拠です。だって政治は生活のすべてに関わっているのですから。そこに意思表示をしないなんて信じられないことです。
投票権を捨てるのは、宝物かお金を捨てるのと同じことなのですから。投票の価値を知っていたらこんなにことにならないはずです。知らないのか諦めかのどっちかです。諦めでしょうね。
女性議員の問題もそうです。仕組みを直さないことには女性は浮かばれません。未だに「女は男より出しゃばったらカッコ悪い。控えめな美人が良い」と言うような家父長制の名残が色濃い日本社会です。家父長制と言う仕組み。そして「家事育児は女性が担うのが本来の姿だ」論。男は外、女は内。
でも毎日新聞にあるように、比例の候補者を男女交互にする北欧のような制度だったら、女性も、男性と同じくらい選挙の候補者になるでしょうね。三井マリ子さんが北欧をお手本にし始めたのは、38年も前。先見の明ありです。
この歳になってつくづくと思うのは、戦後、日教組の優れた先輩女性たちが男女同一賃金を勝ち取ってくれたことです。だから今、私は安定した年金で暮らしてゆけます。男の半分だったら、こうは行きません。感謝しても感謝しきれないくらいです。
一方、国民年金だけの女性(男性も)は安すぎて大変です。また非正規雇用は将来がない。正規雇用にして年金もきちんと出るようにしないといけません。お金は自分を守ってくれる力なのです。だからこそ、女性の賃金も男性と同等なら、男に頼らずとも自己主張して生きられるようになります。
さきほど、スマホで「女町エレジー」という演歌を聞いていました。
女に生まれて良かったわ
本当はいいことないけれど
せめて心で思わなきゃ
生きてはいけないこの私
生駒は哀しい女町
山と山とに囲まれた
ここは大阪奥座敷
別れてしまえば他人でも
思い出します雨の夜は
生駒は哀しい女町
花町の女の哀しみを歌ったものです。お金がない故に身を売らなければならなかったおびただしい数の女性たち。ここに、社会の仕組みの問題があります。
古田 励子(九条の会七尾運営委員/ 新歌人社副代表)
■これ、これ、これが苦しくて私は泣いた(叫ぶ芸術132回「今も昔も封建制の呪縛」を読んで by 古田励子) : FEM-NEWS