2024年 07月 07日
2024イギリス総選挙リポート by おざわじゅんこ
2024年7月4日、イギリスで総選挙がありました。
翌5日の17時段階で、650議席中649議席の結果が出ました。イギリスは、650議席を650の選挙区からひとりひとりを選出する、小選挙区制選挙です。日本がお手本にした選挙制度だと言われています。
ニュースでは労働党の圧勝といわれていますが、選挙区によっては、労働党は票を減らしています。そのほか無所属議員が7人も生まれ、右派ポピュリストは初議席を得ました。緑の党は議席をグンと伸ばしました。EUを離脱後、その実態が見えて、離脱を主導した保守党の票が減ったと考えられます。

労働党は得票率34%で議席50.1%
前回2019年の総選挙と比べてみます。
労働党は圧勝とはいえ、その得票率は32%から34%へ、わずか2ポイント上昇しただけです。これは小選挙区制選挙の特色といえます。小選挙区制では、得票率でのほんのわずかな差が大きな議席数になってしまいます。その結果、労働党は、議席数を211も増やして412を獲得、総議席650の過半数326議席を超えました。
一方、政権党だった保守党は野党に転落。2019年43%の得票率でしたが、今回23%。372議席から121議席に減りました。
そのほか、自由民主党は71議席(63増)、スコットランド国民党(SNP)は9議席(38減)、北アイルランドのシンフェイン党は7議席(増減なし)、民主統一党(DUP)は5議席(3減)、新党のリフォームUKは5議席、緑の党は4議席(3増)、ウェールズ党(プライド・カムリ)は4議席(2増)などです。
伸び率でいえば「リフォームUK」という右翼ポピュリスト党がトップです。緑の党は190万票強をとって、議席を1議席から4議席に伸ばしました。
無所属議員も議席を獲得しました。例えば労働党前党首ジェレミー・コービンは、党から除名され無所属で出馬しました。労働党は、彼の出た選挙区に労働党の候補者を立てましたが、ジェレミーが大差で勝ちました。
保守党は、EU離脱に投票した人が多かった地域で大きく得票率を低下させました。保守党のBrexitのやり方に失望したひとたちの票が右ポピュリストの「リフォームUK」に流れたのでは、と言われています。
2019年は、イスラム教信者の多い選挙区では労働党が強く支持されていました。しかし、ガザでのイスラエル軍による虐殺に対して、労働党はのらりくらりとした態度をとり続けています。それによって、それらの選挙区の労働党支持率は低下し、無所属候補の当選につながった選挙区も出たほどです。
投票率60%だが史上2番目に低い
投票率は60%で、1885年以来2番目に低い選挙となりました。理由のひとつは、今回から投票所で写真付きIDを見せることが義務づけられたからと言われています。投票に行くことを躊躇した人、IDを持っていないために投票できなかった人が一定数いたと予測されます。投票率の低下を防ぐため、大手メディア・労働組合・社会課題キャンペーン団体・地方自治体などは、投票の登録を促そうと懸命でした。
女性も少数民族系も伸びた
少なくとも262人の女性の議員が当選して、650議席の40%強を占めます。FEM-NEWSの前記事にあったように、女性立候補者数は30%しかいなかったのに当選率はそれより高かったのです。女性候補が、当選しやすい選挙区に配置された選挙といえるでしょう。
イギリスは法律でパリテ制度をとっていません。しかし1997年の労働党圧勝の裏には党の自発的なクォータ制がありました。労働党の女性議員数が爆発的に増えたあの総選挙以来、保守党でも女性候補数増=当選数増と考え、女性候補数を増やしてきました。日本の政党と異なる点です。
もうひとつ日本の選挙と異なるのは、黒人・アジア人など少数民族を背景に持つ議員の議席が増えたことです。前回の66議席から大幅に増えて、現在89議席になりました。とはいえイギリス全土の人種の多様性(少数民族は2割弱)から見ると、まだ正当に代表(represent)しているとは言えません。
7月5日午後、21人の閣僚のうち10人が女性と発表されました。惜しい!あと1人で過半数が女性です。89人の少数民族系議員のうち、3人が内閣に入りました。こちらももう一押してせめて4人欲しいところです。
おざわじゅんこ(助産師、ロンドン在住)
【更新:2024/7/8】
■Generalelection 2024 results - House of Commons Library (parliament.uk)
■14%were still unaware of voter ID rules ahead of 2024 local elections | YouGov
■Howdo I register to vote in the 4 July 2024 general election? | General election2024 | The Guardian
■General election 2024in maps and charts - BBC News
■#NoVoteNoVoice– London’s democracy needs you in 2024 and beyond | Trust for London
■英労働党圧勝クオータ制で女性議員倍増.pdf - Google ドライブ

