2024年 05月 01日
100年前の4月30日、ノルウェー・オスロの地に
100年前の昨日、すなわち1924年4月30日、カッティ・アンケル・ムッレルは、オスロにノルウェー初の「母親保健センター」を開いた。
当時は、10人以上も子どもを産み「もうこれ以上は産めない」と苦しむ女性たちが大勢いた。とりわけ貧しい女性たちは悲惨だった。女性たちは、避妊・出産・育児の情報を教わるためにセンターに駆けつけた。後、同じような相談所があちこちにできたという。
彼女が開いた相談所の地には、歴史的事実を知らせるプレートが掲げられている(右)。オスロからプレートの写真がフェイスブックで届いたので許可を得て掲載する(注)。
プレートのノルウェー語を和訳するとーー「フェミニストの先駆者であるカティ・アンケル・ムッレル(1868-1945)は、1924 年 4 月 30 日、この建物内に、女性たちに、避妊に関する情報を提供する国内初の妊産婦衛生相談所を開設した」
カティ・アンケル・ムッレルについては、「自己決定権を初めて主張した女性」として拙著『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)に書いた。1915年、彼女は、中絶した女性を殺人者として罰する当時の刑法の改正を求めて、「自由の土台は、自分の身体について、身体のすべてのことについて自分自身が決められることにあります。その逆は奴隷状態です」と、演説をした。堂々たる、リプロダクティブ・ヘルス&ライツだ。詳しくは、拙著p77-p81を参照してほしい。
日本でも加藤シヅエ(1897-2001)が、ムッレルに遅れること10年、1934年に東京・品川に「産児制限相談所」を設立している。しかし1937年、戦争に突入した日本は、治安維持法によって彼女を逮捕。翌年、相談所は閉鎖に追い込まれたとされている。加藤シヅエについては多くの学者が研究書を残しているが、ノルウェーのように公共スペースに業績を知らせるモニュメントやプレートがあってもいい。日本の街づくりは、あまりにも女性史に無関心だ。
■KattiAnker Møllerrisikerte fengsel for sex-opplysning – Kultur (nrk.no)
■https://kjonnsforskning.no/nb/2024/04/katti-anker-moller-kjempet-for-fritt-moderskap
■KattiAnker Møller hedret iHamar – NRKInnlandet – Lokalenyheter, TV og radio
■Five new women's signs! — Oslo Byes Vel
■フランス、憲法を改正して妊娠中絶の権利を保障へ : FEM-NEWS (exblog.jp)
■避妊薬、避妊具を25歳まで無料に(ノルウェー) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■日本の性教育に対するバックラッシュ : FEM-NEWS (exblog.jp)
【注:Kari Hirth撮影、提供】
【更新 2024/5/2】


