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国連会議「先住民の土地と自己決定権の尊重と促進」に日本参加なし

4月15日~26日、ニューヨークの国連本部で、「国連先住民問題に関する常設フォーラム」と、その関連イベントが開かれている。


416日に開かれた会議「先住民の土地と自己決定権の尊重と促進」をWebで視聴した。翻訳して報告する。



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NY国連本部でのイベント「先住民の土地と自己決定権の尊重と促進」(Webよりキャプチャー)



先住民問題にとりくむ国際作業グループ IWGIA代表のキャサリン(Kathrin Wessendorf)の司会でスタート。IWGIA『先住民族の世界2024』を編集出版して、先住民の実態を知らしめている組織だ。同書は毎年、改善点・問題点を中心に更新され、本年度は38版。日本のページもある。


会議では、以下のパネリストが、自らの土地について発言した。

ノルウェーのアイリック・ラーセン(Eirik Larsen、法律家、サーミ議会の内閣にあたるカウンシルのアドバイザー)、バングラディシュのチャンドラ・トリプラ(アジアの先住民運動の若者代表)、タンザニアのエドワード・ポロワ(マサイ弁護士・牧畜民先住民NGOフォーラム事務局長)、ボリビアのトリビア・レロ・クイスぺ(先住民の権利推進活動家、国会議員)、IWGIA理事エルサ・スタマトポウロウ(コロンビア大教授)そのほか、『先住民族の世界』出版ならびに会議開催を政府として支援をしてきたデンマーク代表、国連「先住民問題に関する常設フォーラム」の代表(コロンビア先住民)も参列した。

先住民は、世界約70カ国に37000万人以上いるというから、氷山の一角だ。わが日本の先住民代表の顔も見えない。

世界中で、先住民の土地が危機に瀕している。その実態を9つにまとめたエルサは、発表しながら、ときどき苦しそうに顔をしかめていた。残酷な実態を知る人の表情だと思いながら聞いた。

  1. 土地の奪取や奪取が促進されるしくみの増加  
  2. 漁業や狩猟など土地の使用権の禁止
  3. 原発ゴミや有害物を捨てることによる土地の無力化と先住民の健康被害
  4. 軍事化による先住民の既存権威の破壊、脅迫、支配
  5. 土地の共同所有権の無視さらには土地の私有化。それにより土地売買が促進され、コミュニティ存続が不可能となる
  6. ダムや人工池などメガプロジェクトの勃発
  7. 先住民が住む土地への入植を徹底して、先住民コミュニティの人口構成を変化させる
  8. 自然保護区と指定することによってその地域の先住民「一掃」につなげる
  9. バイオ燃料やエタノール栽培などの産業拡張による、虐待の増加、居住地の喪失、性被害の増大


私が、ノルウェーの極北の地に初めて出かけたのは2011年。先住民サーミの権利獲得運動を取材するためだった。アイヌ民族差別がほとんど政治課題にならない日本から行った私は、サーミの政治参加の高さに驚き、深い敬意を抱いた。サーミの闘いの記録は『さよなら!一強政治――徹底ルポ小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(旬報社)に書いた。


この国連会議に参加したノルウェー代表は、水力発電に抗議運動を続け逮捕されたサーミ運動家たちの話をした。日本からの発言者はいなかった。この国際会議に、たとえば、アイヌ女性の複合差別について発言を続ける多原良子さんのような運動家が出ていたら、と、残念でならない。


国連の会議どころか、日本の国会にすら、先住民アイヌの代表はひとりもいない。地方議会にもアイヌ代表として発言する議員を私は知らない。


デンマーク代表エリック・ラウセンは、「女性の声を政策決定に増やし、安全で効果的に参加できるような具体的ステップが、非常に重要だ」と、CEDAW一般勧告39を紹介した。それなしには、「先住民族の権利に関する国連宣言(Declaration on the Rights of Indigenous Peoples)」と実態の溝は広がるばかりだ。


これこそーー女性の、とりわけ先住民女性の政治参加ーーいまの日本にもっとも必要なことではないだろうか(注)。



【注】CEDAW一般勧告39は46項において各政府に次のように勧告している:46. 本委員会は、締約国に対し、以下のことを勧告する。 (a) 女性の政治的・公的活動への参画に関する一般勧告第 23 号(1997年)及び暫定的特別措置に関する一般勧告第25号(2004年)並びに「宣言」第18条、19条、32条1項及び44条に関連して、意思決定できる地位を含め、すべてのレベルでの政治的・公的活動への先住民族の女性と女児の有意義、実質的かつ情報に基づく参画を促進する。この目的のため、暫定的特別措置(割当制、目標、インセンティブ、女性の平等な代表性確保に向けた取り組み等)も含めることができる。



■先住民族の権利に関する国連宣言 DRIPS_japanese.pdf (un.org)

先住民族の女性と女児の権利に関する一般勧告第39号(2022kankoku39.pdf (保護) (gender.go.jp)

■CEDAW女子差別撤廃委員会による一般勧告第1号~25号kankoku1-25.pdf (保護) (gender.go.jp)

ノルウェー「サーミのマグナカルタ」と先住民族: FEM-NEWS (exblog.jp)

先住民サーミのファイトバック: FEM-NEWS (exblog.jp)

映画「カウトケイノの叛逆」: FEM-NEWS (exblog.jp)



【更新:2024/4/21 注釈を追記】


by bekokuma321 | 2024-04-20 11:21 | 日本