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アイヌ女性の複合差別と選挙制度(多原良子)

政治には前から関心がありました。なぜなら、私たち先住民族アイヌは、日本国の政治や政策によって、土地、言語、生活様式など全てを奪われ、強制同化政策を強いられてきたからです。

長年の差別と抑圧の結果、アイヌ民族は社会的な弱者にさせられてきました。その結果、現在も構造的な問題に直面しています。

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「北海道旧土人保護法」が1899年に制定され、1997年まで存在していたことを知っている人がどのくらいいるでしょうか? 実は、私自身も大人になるまで、まさか自分が旧土人であると知りませんでした。その法律を知った時、愕然としました。

強調したいのは、この「北海道旧土人保護法」は、当事者であるアイヌ不在でつくられた法律であることです。

政治は私たちの生活に関わることを決めます。ですから、政治は何よりも弱者の声、当事者の声を聴いて進めるべきだと考えます。

中選挙区制の時代(1994年以前)、私の支持する政党は、なかなか政権与党になりませんでした。そこで小選挙区制であればアメリカやイギリスのように政権交代がなされて、緊張感のある政治ができると考えました。そのようにマスコミも喧伝していました。

ところが、小選挙区制中心に変わって、与党か最大野党の候補しか当選しないこと、小政党や無所属で立候補しても殆ど議席が取れないことがわかり、とんでもない制度だと気づきました。気づいた時は遅かった。この最大政党に甘い制度を政権与党が手放すわけはないのです。

慣れというものは恐ろしい。私は日本の選挙制度や選挙運動を当たり前のように受け入れてきました。

このたび『さよなら!一強政治ーー小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(三井マリ子、旬報社)を読んで、ノルウェーの人は日本の選挙が理解できないと言っています。そう言うノルウェーの選挙制度を読み比べて、わかりました。「日本の選挙は喜劇だ!」と笑いさえこぼれてきました。

力ある知り合いが国会へ行き、自分たちの思いや声を届けてくれるだろうと期待し、私は一票を投じてきました。それが自分たちの状況を変える近道かもしれないという希望を抱いていましたが、妄想だったのです。大政党に属する議員は、私たちアイヌ民族やマイノリティの問題など歯牙にもかけないのが現実だと思います。

今、私が力を入れているのは、アイヌ女性の複合差別からの脱却です。民族とジェンダーの差別が複合して厳しい状況に置かれているからです。長年の悪しき慣習である家父長制度や男尊女卑の考えがアイヌ家庭にも浸透し、アイヌ女性に更なる苦しみをもたらしてきました。

私は、これまでも、国連の女性差別撤廃委員会日本政府審査会に直接ロビーイングし、勧告を引き出してきました。政府交渉でもアイヌ女性の政治的・公的活動への平等な参画を強く要求してきました。しかし、長年の努力にもかかわらず、残念ですが、何も前に進んでいません。

同著には、先住民族サーミの女性たちが、国会議員や、市長や地方議員になって活躍しているノルウェーの政治が、詳述されています。もしも、日本がノルウェーのように比例代表制選挙であれば、少数派の民意も議席に反映しますので、国の政策の場にアイヌ女性が行きつくことができるかもしれません。  

多原良子(一般社団法人メノコモシモシ代表)


2月6日はサーミ国民の日(2020年) : FEM-NEWS (exblog.jp)

2月6日はサーミ国民の日(2018年) : FEM-NEWS (exblog.jp)

ノルウェー地方選レポート4:北部ノルウェーを支えるサーメ女性たち : FEM-NEWS (exblog.jp)


by bekokuma321 | 2024-04-08 12:11 | 日本