2024年 04月 04日
「小選挙区制は間違いだった」by ジェラルド・カーティス(朝日新聞4・2)
「小選挙区制が間違いだったとその時からずっと思っています。党内の競争をなくして世襲の増加につながっている。当面は少なくとも『小選挙区制に負けても勝つ』という比例区重複制度を廃止し、日本政治風土に合う比例代表制を考えるべきだと思う」
2024年4月2日朝日新聞に掲載されたジェラルド・カーティスのことばだ。
ジェラルド・カーティスは、米コロンビア大学名誉教授。日本政治を自民党の選挙運動や政治地盤から見続けながら、数々の著書を世に出してきた。
ジェラルド・カーティスは、同紙面で、日本社会の不平等の広がり、派閥解消も首相の謝罪も自民党の透明性を保つことにならない、日本政界は『半昏睡状態』、日本の変化はペースが遅すぎる・・・など、鋭い批判をぶつけている。そして、こうしたひどい政治への転機は、「1994年の政治改革」だったと断定。その政治改革から30年過ぎて、「小選挙区の悪い面ばかり目立っている」と嘆く。
彼のこの発言を読んで、大変失礼ながら、市民運動体「楽しく比例制をめざす会GPR」の主張を読んでいるのではないか、と思ったほどだ。GPRは比例代表制をめざして活動している。つい3月12日、GPRは、比例区の重複制度の廃止を求めて、要望書を提出した。これを機に要望書を再掲する。
●衆議院選挙における“重複立候補”の廃止を求める要望書●
衆議院選挙制度協議会(座長逢沢一郎)さま
2024年3月12日
1994年改正された公職選挙法で、衆議院議員選挙は「小選挙区比例代表並立制」となりました。その第86条2第4項において、衆議院議員選挙の比例代表では小選挙区と重複して立候補できるとされています。
私たちは、議会の男女平等の実現には比例代表制中心の選挙が望ましいと考えて学習を続ける超党派のNGO「楽しく比例制をめざす会」です。
日本政府は、2030年まで意思決定の場の女性を3割に、とうたってはいるものの、実現への具体策を示していません。「候補者男女均等法」に明記された男女候補者数の均等への実現策も手つかずです。このままでは衆議院の女性比率1割、すなわち世界163位という世界最下位レベル(IPU 2024年2月)から脱することはできません。
余りにも少ない女性衆議院議員、その一因は、衆議院比例代表における“重複立候補”にあり、それをなくすことが女性議員増に有効である、と私たちは考えて、ここに要望いたします。
なぜなら、現行の比例区候補の多くは小選挙区の候補であり、その比例区候補は、小選挙区で当選した候補者の票に最も肉薄した落選者から順に当選するからです。これは地盤・看板・カバンを持つ現職(多くは男性)に有利なのは明かです。
さらに、これでは比例代表選挙に採用されやすいクオータ制(男女交互の名簿順にするなどの方策)も効果がありません。例えば、衆議院の比例代表議席176の半数88議席を女性にすると、全465議席における女性割合は約18.9%です。それに、衆議院に占める現在の女性割合10.0%を加えると、女性議員は28.9%に上がります。政府のいう女性3割の目標に近づくのです。
実際、“重複立候補”のない参議院の女性比率は26.0%(2023年3月)です。さらに日本と同様「小選挙区比例代表並立制」選挙の台湾は、重複立候補がないため比例区にクオータ制の採用が進められています。その結果、台湾立法委員(衆院にあたる)に占める女性比率は41.6%(2024年1月)です。また、完全比例代表制選挙(小選挙区がない)の北欧諸国では、候補者においても当選者においても男女半々に近づいていることはご承知の通りです。
以上、比例代表における“重複立候補”の廃止は、衆議院における女性の政治参画促進に向けての具体的ステップと考えられます。実現を強く要望いたします。
楽しく比例制をめざす会 https://www.facebook.com/groups/185665746748543
世話人 石田まなみ(福岡県福津市議)、金子加代(福岡県飯塚市議)、王貞月(大学非常勤講師)
三井マリ子(女性政策研究家、元東京都議)
住 所 〒820-0052福岡県飯塚市相田181-54 金子加代気付
問合せ・連絡先 090-9654-2944(王)、090-8595-6421(三井)
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■案内4/12(金)「墨田区長選に出た 負けた わかった」byさねふじ政子 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■衆議院選挙における“重複立候補”の廃止を求めます(楽しく比例制をめざす会) : FEM-NEWS (exblog.jp)