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ノルウェー男女平等オンブッド講演録をどうぞ

昨秋、ノルウェー・オスロで、アンネ・リーセ・リーエル弁護士と久しぶりに再会した。


彼女は、現在、全国コロニアル・ガーデン連盟代表。ノルウェー全土に広がる市民農園のまとめ役をしている。1990年末は、ノルウェーの「男女平等オンブッド」だった。


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▲もと男女平等オンブッドのリーエル(右)とオスロのコロニアル・ガーデンで(2023/9)


アンネ・リーセ・リーエル弁護士は、日本と縁が深い。初来日1996年。『男尊女尊の国からオンブッドを迎えて』と題した国際シンポジウムで、基調講演をした。大阪、東京、秋田、札幌の4会場はどこも超満員だった。


男女平等オンブッド

再会を祝って、絶版となっている『男女平等オンブッドーー国際シンポジウム「男尊女尊の国からオンブッドを迎えて」報告集』(1997年)を多くの方々に読んでいただこうと、PDFにした。下記をクリックしてどうぞ。


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男女平等オンブッド.pdf


もくじには、①基調講演録 ②パネルディスカッション録 ③ノルウェー資料 ④ノルウェー男女平等法 ⑤アンケート ⑥報道記録 と並ぶ。どのページにも、民主主義度世界一の国の貴重な情報が満載だ。


ノルウェーの「男女平等オンブッド」は、男女平等法(1978年)に定められた公的な独立機関だ。市民からの苦情を無料で受けつけ、女性差別撤廃と男女平等推進に働く。 “北欧民主主義の華”と言われるオンブッド(オンブズマンのこと)は他の北欧諸国にも存在するが、男女平等のためのオンブッドはノルウェーが世界初だった。


男女平等法とクオータ制

ノルウェーの男女平等法は、政治、教育、労働、家族政策など社会のすべての分野を対象とする。明らかな性差別だけでなく間接的性差別も禁止だ。さらに法改正(1988年)をして、公的に選ばれる委員会・審議会などは一方の性が40%を下回ってはならないとするクオータ制(ノルウェー語kvote)を明文化した。


政党は男女平等法の対象外だが、多くの政党は、女性党員の要求に応えて自主的にクオータ制導入に踏み切った。よって90年代には、国会の39%、地方議会の33%まで女性議員が増えた。このクオータ制こそ女性議員増のエンジンだと疑わなかった私は、日本への導入をめざした。しかし、理解してくれる人はごくまれだった。そこで、クオータ制をはじめ男女平等法の規定が順守されるよう監視するヒト、「男女平等オンブッド」、を日本に招く計画をたてた。


男尊女卑(だんそんじょひ)の国から男尊女尊(だんそんじょそん)の国へ

実行委員会をつくって、東京(代表阿部功子)と大阪(代表森屋裕子)に事務局を置き、ノルウェー大使館の協力を得て、開催にこぎつけた。現役「男女平等オンブッド」の話は、具体的で、実にわかりやすかった。「男尊女卑の日本を男尊女尊のノルウェーのように」と夢見る聴衆を魅了した。


日本の法制度と女性の現状

あれから28年。日本では1980年代に、女性差別撤廃条約の批准、男女雇用機会均等法の制定、1990年代には、男女共同参画社会基本法、2000年代になると、候補者男女均等法が制定された。しかし、女たちの現実は? 選択的夫婦別姓すら法的に認められず、刑法に堕胎罪がいまだに残存し、非正規職という低賃金不安定労働者の7割は女性だ。日本では、条約も新法も空念仏に終わっているのである。 

 

その背景には、目を覆いたくなるほどの女性議員の少なさがある。たとえば衆議院議員の女性比率は10%だ。地方自治体の「女性ゼロ議会」は200以上もあり、女性議員比率は20%に届かない、男女平等嫌いの日本会議や統一教会の推薦議員たちが国会を席巻していることも影響しているだろう。


地方議会も国会も女性4割以上

一方、ノルウェーは今、閣僚の半分、地方議会・国会の4割以上が女性だ。昨秋の地方選で、全市長の4割近くが女性となった。さらに男女平等オンブッドは、法改正にともなって「平等・反差別オンブッド」に変わった。それによって、性による差別だけでなく、人種、国籍、障害、言語、宗教・信条、年齢などによる差別が禁止の対象となった。


選挙制度

最後に、選挙制度の重要性を強調したい。ノルウェーの女性議員増に貢献したのは、間違いなくクオータ制である。そのクオータ制が威力を発揮できたのは、ノルウェーが比例代表制という選挙制度だったからである。政党は候補者を決めるとき、比例名簿を男女交互順にしたりする。日本のような小選挙区中心では、こんな男女交互順などできないだろう。1996年の国際シンポで、選挙制度に踏みこめなかったのは、ひとえに実行委員会委員長だった私の未熟さによる。当時の私は、比例代表制の重要さに十分気がついていなかった。



「クオータ制発祥の国ノルウェー」(pdf)

「クオータ制」「男女平等オンブッド」を日本にも:ノルウェー王国功労章受章式を見て(by 高橋三栄子) : FEM-NEWS (exblog.jp)

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【写真はBente Skjerven撮影】


by bekokuma321 | 2024-03-15 10:46 | ノルウェー