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速報「子どもの時から学ぶノルウェーの選挙と政治」ーー全国フェミニスト議員連盟シンポジウム

どうしたら女性議員を増やせるか? 30年前から活動する全国フェミニスト議員連盟の催しが、2月18日にありました。ノルウェーでとくに子どもたちがどう選挙に関わっているのかを取材してきた三井マリ子さんによる、写真とトークでした。そこには積極的に政治に参加している子どもたちの姿、そしてそれを可能にしている社会のシステムがありました。


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写真1(左)は小学校A。小学5年生が自分たちで作ったアンケート用紙を持って、オスロの政党の選挙小屋に行って質問して、答えを学校に持ち帰って討論するというものでした。引率の先生も写っています。


次の写真はオスロの小学校B。小学7年生の社会科の授業。こちらは生徒たちが、実際の政党の党員になったつもりで、選挙用の政党ポスターを作って、選挙運動をし、模擬投票まで行うというもの。ポスターには、自分の選んだ政党の政策を自分の言葉でまとめてあります。生徒たちは、それぞれ主要政党9つからひとつをアトランダムに選んだのだそうです。


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次はオスロから2時間ほどの山間の自治体オーモット市の中学2年生(右)。市の投票所に中学生が授業の一環で見学に来て、市の職員の説明を聞いている写真です。生徒たちのすぐ横を、投票に来た一般市民が通り抜けて、投票箱に1票を投じている、そんな臨場感のあふれる風景です。


次は高校1年生の社会科クラス。生徒はグループに分かれ、各グループが政党1つを選んで、政党の目的、選挙公約、政党の特徴などを調査、発表します。「私たちのグループは、支持できない政党を選んだ。その政党は妊娠中絶反対だが、私たちは個人の自由選択に任せるべきだと思う。だから、党の政策や経緯を調べて、なぜその党が妊娠中絶反対かを知りたかったから」と三井さんに答えたそうです。


次は高校生徒会主催のスクールエレクション。全政党の代表が学校にやって来て、選挙公約を高校生に訴えます。会場は高校生で満杯。会場の外には、全政党がスタンドを設けていて、生徒たちと対話。1週間後に校内で模擬投票。その投票結果は全国集計されて、大々的に報道されます。新聞は1面全部を使って報道していたこと(下の写真)、テレビ報道では女子高生が教授と対等に意見交換していたことに、マリ子さんは感動したそうです。


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では、このような学校教育を可能にしているシムテムはどうなっているのか?


まず目を引いたのは、ノルウェー国会がネットで入党を奨励していることです。国会のホームページには「政党の党員になろう」「政党には青年部があって、政党に影響を与える最高の機会はこの党青年部を通してです」とあります。


さらにノルウェー教育法や、小中学校向けカリキュラム(指導要領にあたる)も紹介されました。以下はカリキュラムのポイントです。

学校は、民主主義とは実際どんな意味なのかについて、生徒に参加させて学ぶ機会を提供すること

民主主義的な価値観は、全学習における積極的参加を通じて養成すること。学校は偏見と差別に対抗できる民主主義的な価値観と態度を養成すること

学校は、子どもたちや若者が民主主義を実践的に体験する場でなければならない

このような経験は、今価値があるだけでなく、生徒たちが、社会で責任ある市民になるための準備となる


読んでわかるのは「民主主義」「参加」の大切さです。それがあって、教育現場で子どもたちが生き生きと政治活動できるのだな、と思いました。


最後のNRK(NHKにあたる)で働く2人の言葉は印象的でした。


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「ノルウェーでは中高生の時、政治に関心を持ち始めます。自分のイデオロギーや価値観を社会で実行するために政党青年部に入って、活動を積み重ね、議員候補になります。それが普通のことです。ノルウェー人は『一人一人の声は大切』と考えます。日本人は『私が何かしても変わらない』と思う人が多すぎます。問題意識はあってもPolitical Outletがないようです」


「ノルウェーにはお金のために議員になる人はいないと考えてください。地方議員は基本的に無報酬のボランティアです。国会議員でも比較的収入は少なく、議員の収入について議論がありましたが、結論は、代表たるもの、代表している人たちを超えてはいけないということでした」


講演後、日本の学校の実情、とくに「主権者教育」について、①全国フェミニスト議員連盟によるアンケート調査の結果、②現場の教師の取り組みについて貴重な報告がありました。


アンケートは1月1日から2月15日まで行われ、集計数は26。何らかの形で主権者教育を行なったところは小中学校の84.6%。社会科や特別活動の時間に実施、内容は子ども議会開催、生徒会役員選挙などです。


現場の教師によると、学校で教員は、教育基本法14条第2項の「政治的中立」を心配しながら行動している、ということです。とはいえ、日頃、授業で、子どもの権利条約や子ども基本条例の話をすると、子どもたちは理解できているのがわかる。主権者教育を阻んでいるのは「政治的中立」という言葉、教師の意識、周りの大人たちの意識ではないか、ということでした。


フェミ議連アンケート報告後にあった質疑応答コーナーで心に残ったのは、ノルウェーから参加した方の発言でした。


「子どもと大人の関係が、日本とノルウェーでは大変異なっている。ノルウェーの子どもたちは、自分のことは自分で決めるし、子ども自身が決めることを大切にしている。日本では子どもはまだわかっていないからと、大人が決める風潮があります」


最後に、「日本が子ども権利条約を批准して何十年にもなります。条約は、子どもは自分の意見を自由に表明し、共有でき、政治団体にも参加することもできる、と言っています。案外知られていないようなので、皆さん、どんどん広めていきましょう!」という三井さんのエールで終わりました。


山城 和代(東京都小金井市民)



【写真:三井マリ子講師作成のパワポより】


世界一民主主義の国はノルウェー (2022 Democracy Index by EIU) : FEM-NEWS (exblog.jp)

スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー) : FEM-NEWS (exblog.jp)

EducationAct - regjeringen.no

Corecurriculum – values and principles forprimary and secondary education -regjeringen.no

■主権者教育高校副教材(Voters No.29) 29号全PDF・B版1.pdf (akaruisenkyo.or.jp)

あざやかな歴史 : FEM-NEWS (exblog.jp)


by bekokuma321 | 2024-02-20 11:07 | ノルウェー