2023年 08月 19日
『ノルウェーを変えた髭のノラ――男女平等社会はこうしてできた』読後レポート(上) by おのみずき
初議会での初質問と「5つの抑圧テクニック」
『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』(明石書店、以下、『髭ノラ』)を読んだ。表紙には、黒いペンで横一文字に引かれた髭をつけた女性がこちらを見つめている。
著者の三井マリ子さんが直々に勧めてくれた。2023年6月、埼玉県越谷市で開催された全国フェミニスト議員連盟のイベントでのことだった。
三井さんの報告後、パネルセッションがあり、そこで私は、初当選後の初議会の初質問での出来事について次のように報告した。
私が質問している真っ最中に、自民党の区議数名が、突然、おしゃべりを始めた。性と生殖に関する健康と権利(Sexual and Reproductive Health and Rights)と包括的性教育について質問している時だった。初質問を終えて、何より彼らの“雑音” に私は傷ついた。後日、会場に傍聴に来ていた大学生のサポーターが『あれは、抑圧テクニックだ』と言った―。
会場で、私の、この報告を聞いていた三井さんは、私に『髭ノラ』を読むように勧めたのだった。
同著には、この「5つの抑圧テクニック」(The five master suppression techniques)が詳述されていた。
これを初めて提唱したのは、ノルウェー左派社会党初代党首で社会心理学者のベリット・オース。彼女の来日講演録をもとに、三井さんが日本人向けに書き起こした。
それによると、「5つの抑圧テクニック」は、支配層が被支配層を支配しつづけるために、それはもう息するようにあちこちで駆使されているんだとか。
支配層は、相手を自分より「劣った個人/ 集団」と規定する必要があり、この「5つの抑圧テクニック」を単体で、あるいは二重三重に使うことで、相手の尊厳を奪い、自信を喪失させるのだそうだ。具体的には、次の5つだ。
1 無視する
2 からかう
3 情報を与えない
4 どっちに転んでもダメ(=何かをすると非難され、しなくても非難される)
5 罪をきせ、恥をかかせる
私が初議会で経験したのは、1と5の合わせ技、といえるだろうか。
こちらが必死に話しているのに、他の人とおしゃべりすることで、暗に私の存在を無視して“見えないもの”にする、さらにその光景を他の議員が目にすることで「この人の質問はこの程度の価値しかないんだ」と思わせ、間接的に恥をかかせる。
議員になって3か月半くらい経つが、男性議員は、私以外の女性議員に対しても、2、3、5のテクニックを使っていた。表立ってやらない、陰湿度高めのケースもある。
同著『髭ノラ』によると、ベリットは「抑圧テクニック」を5つに分類することに意味があると言っている。まず、実際に抑圧テクニックを受けた時に、「あ、これって抑圧テクニックの○番目だな」と気づくことができる。特定ができたら、その手口について他の女性たちと話し合い、客観視することができる(あなたや私個人の問題じゃない!)。さらに、テクニックを使ってくる側に対して手口を示すことで、抑圧の危険性を弱めることができる。これによって、女性たちは、自分自身を信じ、抑圧から解放されていく・・・。
カラクリを一度知ってしまえば、こっちのものだ。なんだか少し強くなれた気がする。この「5つの抑圧テクニック」を、ぜひ一人でも多くの闘うおんなたちに伝えていきたい。
■「支配者はこれほどまでして女性から自信を奪ってきたのか」と納得(11/6 ゆうまつど講演会報告) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■固く閉じた口を開かせた「支配者が使う5つの手口」(松戸市ゆうまつどフェスタ講演会) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■第46回 支配者が使う五つの手口(北欧ほか世界各国) (ionnanoshinbun.blogspot.com)


