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日本の選挙の異常さに気づいた(『さよなら!一強政治』を読んで)

学生の頃から男女平等に関心のあった私は斉藤うめ子さん(ニセコ町議)の勧めで全国フェミニスト議員連盟に入会しました。そこで三井マリ子さんを知って、その後、三井さんの著書『さよなら!一強政治:小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』を購読しました。


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以来、私の愛読書です。なんといっても、ノルウェーの友人夫婦が怒り出す場面が印象に残っています。

ノルウェー人夫妻は、映画「選挙」(想田和弘監督)を見て「・・・これが日本の選挙運動なら、全く中身がない!なんてくだらないことやっているんだ・・・」と怒ります。見終わって後に「映画にはなかったようだけれど、候補者同士の政策討論会はいつやるの?」などと三井さんに尋ねます。

私も、日本の選挙のおかしさを薄々感じてはいましたが、この本によって、あらためて、日本の選挙の異常さに気づきました。


日本の小選挙区制の最大の弊害は、民意の反映されにくい「死に票」の多さだとわかりました。それに対して、ノルウェーのとる選挙は比例代表制であるため、1票を投じた民意が死に票として捨てられることがない、とわかりました。


この比例代表制選挙は、ノルウェーだけではなく、私がジェンダー格差の低い国として大好きな北欧のすべての国々が採用していることも知りました。


次に印象深いのは「ノルウェーの若者はこうして鍛えられる」の章で、p108―p117の「スクール・エレクション」です。


高校生が行う模擬選挙のことですが、ノルウェーでは、国や地方選挙のたびに、学校内で生徒が主体的に政党から党員を呼んで討論し、選挙運動を行い、その後、実際に投票もします。こういうことが、自然に続けられてきたノルウェーですから、政治や選挙を身近に感じるはずだ、と思いました。


112の「ノルウェーでは地方議員は、通常の仕事や学業をしながらの無給ボランティアだから・・・」や、p213の「ノルウェーにはお金のために議員になる人はいない、と考えてください」というジャーナリストの言葉にも、非常に驚きました。


134からは、「最も大事なのは討論」と題されて、選挙の討論について書かれています。ノルウェーのように、日本でも政党によるTV討論会がもっと活発に行われていたのなら、モリカケ事件など世間の批判を一挙に集め、政権は崩壊したかもしれないと考えました。


以上、興味深い内容がいっぱいの本書、特に若い方々にはぜひ読んで頂きたいと思います。

河瀬 理洋(全国フェミニスト議員連盟)



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by bekokuma321 | 2023-06-09 21:12 | 北欧