2023年 05月 21日
速報「植田まき香川県議:議員特権をなくすために議員になったワタシ」by 岡田ふさ子
楽しく比例制をめざす会(GPR)は5月19日、香川県議に初当選した植田まきさんの話を聞いた。
その道のりは多彩だ。香川県議のインターンをしていた頃、市民による「男女共同参画条例案」対案づくりに携わったことで、「この議会の風景を変えなくては」と地方行政に関心が向いた。2003年27歳の若さで高松市議に初挑戦、初当選。
議員になって、1時間の議会出席でも6500円の費用弁償が、議員報酬とは別に支払われるのはおかしいと声をあげた。「受け取り拒否」したが、前例がないと認められず法務局へ供託。「筋の通らないお金はもらってはいけない」との植田さんの主張を新聞も取り上げ、市民も陳情を行った。しかし議会の慣行は変わらなかった。
こうした議会にいることが苦しくなって3期目の立候補はやめ、250万円になっていた供託金は高松市に返した。その後、大学院入学を経て、住民から「議会に戻ってきてほしい」との声を受け、2015年、3期目に挑戦し当選。
「市民オンブズ香川」(渡辺さと子事務局長)の活動を開始し、香川県会議員の「政務活動費」(議員報酬とは別に政務調査のために支払われる)の領収書を公開をさせた。5千円、1万円の自作領収書(「意見交換会」などの但し書き)が5000枚ほどが出てきた。公職選挙法が禁じる選挙区への金一封だと考えて、住民監査請求。しかし、これも植田さんらの意見は通らなかった。そこで2015年6月高松地裁に提訴し、勝訴した。
次に刑事告発へ。選挙区で香典を配ったことが公選法違反(寄付行為)であるとされた「菅原一秀」事件が騒がれていた頃だった。が、起訴には至らなかった。しかし、県議たちはあせって一斉に返金し出した。
こうした外からの抗議活動を、中から変えていこう、と香川県議選に出て当選に至った。植田まきさんのような女性が身近で選挙に出たら応援せずにはいられない、と私は思った。
フリートークでは、重要な話題が盛りだくさんだったが、そのほんの少しを以下に。
●早朝から午後8時までの過酷な選挙戦は子育て中の女性にはキツイ
●選挙期間中、候補者同士の討論はない。実は、公選法が禁じている
●選挙カーでの一方的連呼だけという選挙はおかしい。でも、どう変えたらいいか
●県レベルでは、40%が無投票。1人区は半分が無投票で、自民党が独占、その9割が統一教会と関係がある人だ。こうなると低投票率は投票があるだけまだいい方だ。選挙制度がおかしい
●「なりて不足」「低投票率」を改善するために、議会改革として、今の選挙を比例代表制にということを持ち込むことはできないか
●ノルウェーが比例制に変わったのは地方からだという。選挙を変えれば、苦しい選挙をしなくても済む
●選挙しないで当選なんておかしい、とデモをしないの、と台湾の友人が言った。無投票当選は議員に有利だから議員から変えようとは思わない
●首都圏と地方で選挙への立候補数は全然違う。東京は大勢が出て激戦
●刑事告発された議員なんだから「こんな議員をほおっておくなよ」と思うが、香川県議に今回も当選ーーーむなしい
●(在オスロ)無投票当選の話を聞いて「なんとか変えなくては」という機運をつくって、と思う。ノルウェーだったら、もし無投票当選があったら、外に出て抗議や行進しますね
●(在ベルゲン)日本は法律よりも文化が優先される
●東京都東村山市議会では、年15万円の政務活動費は1円まですべて公開
●大分県杵築市には「選挙公報」がない。北九州市にもない
●埼玉県日高市。5期目だが、1期目から「議会改革」を公約に掲げた。政務活動費の公開、議会基本条例案は、何度も主張してきた。
●「生活者ネットワーク」の議員は3期12年が最長。多選は弊害が多い、と認めてない。報酬のうち議員が受け取るのは20万円
次回は7月21日(金)。ゲストはユーコ・リンダ―ルYuko Ringdalさん(在ベルゲン、大学講師)。「日本人がノルウェーの政党に入党して感じたこと」を話していただく。
岡田 ふさ子(楽しく比例制をめざす会 事務局)
■オンライン会合に参加しました。|Funao Haruna (note.com) 上記会合に参加した船尾はるなレポート
【2023/05/22 更新】