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私のパンに私が塗ったバターは私のもの(叫ぶ芸術117回)

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「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女たち」117回(「I女の新聞」2023/4/10)。ドイツ最大級の労働組合の「女性とジェンダー平等部」がつくったポスターを紹介した。加盟する女性の数では、ドイツ最大だという。

タイトル「私のパンに私が塗ったバターは私のもの」は、性差別賃金を訴えた原告スザンナ・デュマの言葉を私なりに訳したもの。

彼女は、隣で同じ仕事をしていた男性より自分のほうが賃金が低いとわかって、提訴。最高裁で勝訴した。

上の記事では説明できなかったが、ドイツの労働者は、差別を受けたりしたら、通常の裁判所ではなく労働裁判所に訴える。労働裁判所は、通常の裁判所と同様に三審制だ。売りは、迅速さ。

先月、来日したドイツのTVジャーナリストから筆者は取材を受けた。「理不尽にも解雇されて、提訴。最高裁で勝利しました。7年間かかりましたが」と豊中市でのバックラッシュ裁判について話した。するとドイツ人の彼女はのけぞって、「7年! なんて長い」と驚きの言葉を発した。

日本の働く人たちには、ドイツの労働裁判所のような特別な裁判所はない。だから、理不尽なことがあっても、裁判の長さを考えると、ためらう人が多い。

5月1日は、働くものの祭典メーデーだった。働く女性たちの必死の叫びはとりあげられただろうか。そのなかでも非正規の女性たちの切実な悩みは、大空にこだましただろうか。日本では、非正規の多くは労働組合に組織化されていないので、メーデーにもメーデーの企画や準備にも参加できなかったのではないか。メーデーでさえ、最も声をあげるべき人たちが、声をあげられないままなのではないか。


by bekokuma321 | 2023-05-04 06:00 | ヨーロッパ