2023年 01月 25日
報告「ノルウェーと日本、この違いはいったい何なんだ」@岐阜市ハートフルフェスタ2023
同じ33歳、同じスリランカに生まれた2人の女性のあまりに異なる人生。ウイシュマさんは名古屋の入管で哀れにも命を落としました。同じころ、カムジさんはノルウェーの国会議員候補になって半年後には国会議員になりました。
「この違いはいったい何なんだ」――こう強い憤りを覚えたのは、私だけではなかったはずです。
三井マリ子さんの講演は、移り住んだ国の制度の違いで女性の人生が天と地ほど違ってくるということから始まりました。タイトルは「男女平等は国際基準で行こう! 北欧に学ぶ女たちの連帯と闘い」。岐阜市女性問題連絡会(代表森川幸江弁護士)の40周年記念 。1月22日に岐阜市で開かれました。
1975年は国連初の「国際女性年」でした。マリ子さんは高校で英語を教えながら日本政府に女性差別撤廃条約を批准させようと、デモ、ハンスト、集会、国会陳情・・・。男性議員だらけの国会を傍聴します。そこで「女性の議員1%、大臣ゼロを変えなければ」と確信したと言います。
1986年「ノルウェーの新閣僚18人中8人が女性」(朝日1986/5/19)を読みノルウェーに恋したマリ子さん。そのノルウェーに、女性をサポートする環境・制度の源を探して、何度も出かけます。
「源は女性議員を増やすことだ、その鍵はクオータ制だ」と合点したマリ子さんは、制度導入を目指して「全国フェミニスト議員連盟」を創設するに至ります。
マリ子さんは、ノルウェーでは、顔や名前を売らなくてもよく、ミニ政党でも当選できる「比例代表制選挙」であることも、説明しました。子どもの頃から選挙を身近に感じさせる学校の政治教育の活発さも。
さて私は、3年前まで、岐阜県瑞穂市で4期16年間、議員をつとめました。1期目に3人いた女性議員ですが、なんと現在ゼロになってしまいました。
「もう男たちに使われるのはイヤ」と立候補をやめていった女性議員が2人います。「保守系男性議員たちにいいように使われてきた」「あなたをいじめるのにも使われた」「ごめんね、あなたは頑張って」と去っていきました。
次に、この私がターゲットになりました。私は、巨額の予算を使う陸上競技場建設に反対でした。また、ただ1つの公立幼稚園を民営化しようという魂胆にも反対し、反対署名を拡げて予算化阻止にもっていきました。
そんな私は目の上のたんこぶだったのでしょう。何人かの“刺客”が送り込まれました。2020年の選挙です。
同じ地区に何度も挨拶回りに行った”刺客”の候補者もいたそうです。瑞穂市はむろん大選挙区制ですが、地区割り選挙と言ってよく、実態は小選挙区制です。要は、地区ごとに候補者が決まっていて、その地区の住人はその候補に入れる傾向が強いのです。「あの候補者は熱心だったよ」「うちに4回も挨拶に来たよ」という声を聞きました。“刺客”となった候補は、選挙チラシなど選挙運動のあれこれを選挙ブローカーにやらせたそうです。多額のお金を選挙ブローカーに支払ったようだとも聞いています。
これまで私を支援してきた人のなかに、「今度地元(自分の地区)から候補者が出るで、ごめんね」と、あっさり断ってきた人もいました。
選挙だけでなく、議会の中でも私は、しょっちゅういじめにあいました。たとえば、私は議会での決定などをブログでまとめて公開してきましたが、私のブログは、すぐコピーされて他の議員の机上に配られ、「実名入りで発言内容が書かれているゾ、みんな、どう思う?」と嫌味を言われました。私の所属していない委員会を傍聴したいと私が言っても、「ブログに書かない」と約束しなければ傍聴を許されませんでした。
瑞穂市の人口5万6千人の半分以上は女性です。2万8千人も女性がいるのに、議会に1人の女性もいないのは、おかしいです。民主主義ではないです。
マリ子さんの講演に戻ります。ノルウェーでは公的組織が先頭にたって、「議会は市民社会を映す鏡でなければいけない」「議会は住んでいる人たちを反映したものでなければならない。女性に印をつけよう!多様性のために投票しよう!」と意識啓発をしたというのです(上のポスター)。
男性だらけの議会では、税金の使い方や政策の優先順位が男性中心になってしまいます。
熊谷 祐子(岐阜県瑞穂市市民)
【写真】上2枚は三井マリ子作成パワポより。下は瑞穂市「市議会だより」より