2023年 01月 03日
2023年あけましておめでとうございます
FEM-NEWSの2023年ロゴは、彫刻「鳥たちは飛ぶ」。ノルウェー極北の地キルケネスにあるグレンセランド博物館で私を迎えてくれました。10年ほど前のことです。
堂々とした女性が3人、手をつないで大空を見上げながら踊っています。固い彫刻なのに、スカートの波打つ動きから柔らかい風が感じられ、見とれてしまいました。
キルケネスには、ノルウェー、フィンランド、ロシアの3カ国を流れる国境なき河、パスヴィック河があります。作者のトーナ・ティース・シャトナ(Tone Thiis Schjetne)は、3人の女性に3カ国を象徴させ、国境のない河の上空を飛び交う鳥にようにと願ったのかもしれません。
ロシアのウクライナ侵略以来、ロシアとの経済・文化交流が長く深かったキルケネスをはじめ北部ノルウェーは一変したそうです。どれだけ、「鳥たちは飛ぶ」に宿る願いをかみしめていることでしょう。
FEM-NEWSは、2023年もメディアにあまり取り上げられない世界の女性のニュースを、コンパクトにしてお届けします。編集・主宰は三井マリ子(問合せはmariko-m●qa2.so-net.ne.jp ●を@に変えてください)。多くの仲間に支えられて発行を続けています。
2020年秋、『さよなら!一強政治ーー小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(旬報社)を出版して、北欧ノルウェーがますます好きになりました。民主主義社会の根底にある選挙と平等にいっそう注目していきます。そのための対話と議論の場「楽しく比例制をめざす会」も元気に進めていきたいです。
世界の議会の目標は男女半々ですが、かつてはクリティカル・マスと呼ぶ30%でした。クリティカル・マスとは、女性が全構成員の30%を越えて初めて女性の影響力が出始めるという理論で、ロザべス・モス・カンターが理論化したとされています。カンターは、絵本『O(オー)の物語』(三井マリ子訳、レターボックス社)において、クリティカル・マスの重要性を子どもでもわかるように示しています。
日本は、30%すら遠い道のり。
さてFEM-NEWS主宰の三井は、東京都立高校教員を経て都議会議員(2期)。法政大学講師から大阪府豊中市男女共同参画推進センター初代館長、福井県武生市初代男女平等オンブッド(オンブズマンのこと)などの職を経てきました。かたわら、NGO「全国フェミニスト議員連盟」を中心に女性運動を続けてきました(今も)。ノルウェー大使館から「ノルウェー王国功労勲章を受けていただけますか」と聞かれてビックリ仰天。女性議員増推進に貢献したからと言われて二度仰天しました(2021)。お茶の水女子大卒業後、NYコロンビア大学MA修了(フルブライト奨学生)。
都議時代、都労働局にセクシャルハラスメント防止施策を開始させました。当時、ILO発行セクシャルハラスメントをなくす政策についての国際調査報告書によると、日本で初めて、唯一の公的制度でした。都のセクシャルハラスメント政策は、全国の自治体に影響を与え、国も関心を持つようになりました。『セクハラ110番』(集英社)に詳述されています。
著書は
『さよなら!一強政治――小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(旬報社)
『バックラッシュの生贄――フェミニスト館長解雇事件』(共編著、旬報社)
『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)
『女たちのパワーブック』(ノルウェー労働党女性局編)(共訳、かもがわ出版)
『ママは大臣 パパ育児ーーヨーロッパを揺るがす男女平等の政治』(明石書店)
『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)
『セクハラ110番』(集英社) など多数。
2023年、FEM-NEWSの読者の皆様にとって、実りある1年でありますように!
【注】1月6日更新。IPU(列国議会同盟)定期調査によると、最新は2022年11月付け165位だった。FEM-NEWSの次の記事と変わらない➡国会の女性議員率 日本は世界165位(IPU 2022.8.1) : FEM-NEWS (exblog.jp)