2022年 09月 25日
案内:10月7日~15日「世界の女たちのポスター展」@徳島県美馬市
10月7日(金)~15日(土)、徳島県美馬市で、世界の女たちのポスター展が開かれる。下のポスターは、1990年代、フランスを飾ったもの。私が所蔵しているポスターの中で、最も人気の高い一枚だ。美馬市では、このフランスのポスターほか20点が展示される。9日には、ポスター展にからめたトークも。
世界の国会(一院)における女性議員数を比べた調査がある。最新調査(8月1日付)によると、日本の9.9%は、187カ国中165位だ。世界には女性議員10%以下の国がまだ23カ国あり(注)、日本はそのお仲間というわけだ。フランスは、同じ調査によると、37.3%、187カ国中38位だ。なかなか健闘している。

しかし、このポスターを作ったころのフランスは、10%そこそこと、今の日本とたいして変わらなかった。「I 女のしんぶん」の連載『叫ぶ芸術 21回』から拾ってみる。
フランスはEUの中で、20世紀まで女性政治参加後進国だった。その遅れをとりもどそうと、官民あげて運動を展開した。その時のポスターがこれだ。パリジェンヌが呼びかける。
「政治は男のものではない」 (La politique n'est pas qu'une affaire d'hommes)
「あなたの地方で運動しよう」(Agissons dans nos municipalités)
さらにフランスは、1999年、憲法を改正して「当選者の数は男女同数に」という文言を3条に入れた。続く4条には「政党および政治団体は、法律の定める条件において、3条の最後の段に述べられた原則の実施に貢献する」と明記した。
次に2000年、「公選職への女性と男性の平等なアクセスを促進する法律」を制定して、政党に、候補者を男女半々とすることを義務づけた。これが「パリテ法」だ。
パリテ法は、政党が候補者を男女同数にしなければ、政党交付金を減額するのだ。減額率は、一方の性の候補者と他方の性の候補者との差の半分。たとえば、A党の候補者が男性だけだったとすると、A党への政党交付金は50%減額となる。
効果はすぐに地方選で現れた。法の対象である人口3500人以上の市で、女性議員が22%から47・5%に躍進した。ほぼ男女半々となった。
しかし国政選挙では、女性擁立より政党交付金減額を選ぶ政党が多かった。そこで2007年、政党交付金の最高減額率を50%から75%に引き上げた。2012年、下院の女性は、19%から26・2%に増えた。
政党交付金は、日本では選挙・政治活動費の大半を占める公金だ。国民1人250円を出し合って総額320億円! 世界最高額だという。もし日本がフランス並みの法律をつくったら、320億円のほとんどは、国庫に没収されるだろう。
フランスは、いかに国をあげて、女性議員を増やそうと努力してきたかがわかる。その結果、90年代10%に過ぎなかった女性国会議員は、37.3%まで増えたのである。
【注】187カ国中10%以下23カ国は、IPU調査にもとづいてFEM-NEWが出した。ただし、IPU作成の表には、187カ国のほかに、ランクのついていない国がある。IPUによると「国会(下院)の女性議員数に関するデータが一時的に入手できないことを意味する」とされている。よって実際は、187カ国、23カ国、よりも多い。
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連絡先 | i女性会議(あいじょせいかいぎ) (joseikaigi.com)

