スウェーデン国政選挙、極右党大勝し左派中道政権が下野

スウェーデンといえば、高福祉、男女平等、多様性の先頭を走っていた。性を買う側を処罰し、性を買われる側を処罰しない「北欧モデル」を世界で初めて制度化した国は、スウェーデンだ。

しかし、9月初旬に行われた国政選挙は、こうした価値観の転換を思わせる結果となった。

移民排斥を公然と唱えるスウェーデン民主党（SD）が、20％以上を獲得して大勝したのである。ＳＤは、極右政党、ネオナチ政党などと呼ばれてきた。80年代のネオナチ運動から台頭し、5.7％を獲得して初めて国会議員を出したのは2010年だというから、その破竹の勢いに恐怖を覚える。

スウェーデン初の女性首相だった社会民主党(社民党）党首マグダレーナ・アンデションは敗北を認めた。とはいえ、社民党の得票率は30％以上であり、同国最大政党に変わりはない。

一方、社民党と双璧だった中道保守の穏健党は19％の得票率で第３党の座に落ちた。

スウェーデンの選挙は、ノルウェー同様、完全な比例代表制選挙だ。選挙戦は、政党がうちそろっての政策討論会中心に繰り広げられる。日本のような名前の連呼はいっさいない。

有権者は、自分の考えにより近い政策を持つ政党に1票を投じる。具体的には、投票所に並ぶ、多数の政党リストから、自分の支持する政党リストを1枚選んで、それを投表箱に入れる(写真上）。候補者名は、前もって政党リストに印刷されている。選挙が終わると、中道左派系に属する政党と中道右派系に属する政党の2ブロックのどちらが多数を制したかによって、次期政権が決まる。投票率は、いつも8割以上。日本の低投票率からしたら驚くほど高い。

今回は、中道右派ブロックが49.6%、中道左派ブロックが48.9%と公表された。僅差で、これまで野党だった中道右派ブロックが勝った。

SD党首のジミー・オーケソンは、「スウェーデンを再びよくしよう」とトランプ元大統領ばりのセリフをはいた。トランプ元大統領もアメリカで、SDの大勝を引き合いにだして、「あのスウェーデンでも・・・・」と怪気炎をはいた。

最大政党の党首が首相となるのが普通だ。が、中道右派ブロックには、ＳＤの党首に難色を示す政党も多く、穏健党党首が首相となるのではないかと報道されている。これから、組閣に向けて政党間の交渉にはいる。時間がかかりそうだ。

■SwedishPM resigns after conceding election defeat to rightwing bloc | Sweden | TheGuardian

■Sweden election: Resultcould take days as vote too close to call - BBC News

■https://www.facebook.com/photo.php?fbid=434459018720857&set=pb.100064702865461.-2207520000..&type=3　（上の画像は同フェイスブックより借用）

■The 2022 election - Riksdagen

■スウェーデン「フェミニスト政府」の偉業 : FEM-NEWS (exblog.jp)