2022年 09月 10日
女性差別医学部入試裁判から思う日本の女性医師の少なさ
「受験費用や慰謝料1826万円」。
9月9日、東京医科大の女性差別入試を受験した女性たちが訴えた裁判の判決が出た。「日本も女性差別の慰謝料が1000万円を超えた」とうれしかった。でも多いとは思えなかった。いわれない差別をされた屈辱と悔しさ、入試に至るまでの艱難辛苦、とりかえしのつかない青春時代・・・金をいくら積まれても足りないだろう。
ところが、喜びもつかの間、よく読むと27人の合計だとわかった。
1人当たりにすると、慰謝料はわずか20万円から150万円だという。女性の人生を何だと思っているのだろう。バカにするのも程がある。ただちに控訴を、と心の中で叫んだ。
少し前、わが家に届いた「I(アイ)女のしんぶん」も、頭に血を上らせた原因のひとつだ。連載「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女たち叫ぶ芸術 109回」が掲載されていた。
記事に使われたポスターは、北欧初の女性の医師となったフィンランド女性、ロージナ・ヘイケル(写真上)。ロージナが男性の牙城だった医学部に足を踏み入れたのは1870年。フィンランドでは女性を入学させる大学がなかったため隣国スウェーデンに留学したという。苦労を重ねて、1878年に医師となった。
驚くべきは、日本初の女性医師・荻野吟子も、ちょうど同じ時代に、医学の道に進み、医師となった。
北欧も日本も、医学界の女人禁制が破られたのは19世紀末だったのである。
そして時が経ち、現在、フィンランドの女性医師は全医師の58.3%。日本は20.3%。日本の女性医師の割合は、OECDの中で最も少ない。それはそうだろう、できるだけ女性を入れないよう、大学入試で女性差別をしてきたのだから。