速報「ゾウに挑んだ１匹のアリ」(金子加代飯塚市議)　by 岡田ふさ子 : FEM-NEWS

2022年 08月 28日

速報「ゾウに挑んだ１匹のアリ」(金子加代飯塚市議)　by 岡田ふさ子

金子加代さんは、選挙区の福岡県飯塚市を、「12万人ほどの盆地」「ボタ山の残る町」と紹介した。飯塚市は麻生太郎（自民党副総裁）の地盤でもある。麻生王国は、今はセメントだが、元は石炭王だったそうだ。

金子さんは、隣町の公立中学の英語教員だった。目いっぱい仕事に打ち込み、結婚、妊娠、出産を体験。第１子に障がいがあることが分かって退職した。その後は、どんな障害の子もみな一緒にとの願いを込めて「ぽれぽれの会（障がいを考える会）」を設立し活動する。

後に2人の娘を出産し、子育ての大変さを学ぶことに。この頃から「議員になったら？」と声がかかり、自分でも意識するようになる。また「男女共同参画ネット」で、育児を自分から進んで選んだというより、選ばされたことに気づいていった。

2019年、「女性ゼロ議会」だった飯塚市の選挙に初挑戦・初当選して３年目。障がいがあったり、女性であること以外にも、大変なことを抱えて生きている人が大勢いることを知る。世の中には社会的弱者と強者がいて、その権力構造による「支配と暴力」こそ本質的な問題ではないかーーということが見えてきた、と語った。

その上で「女性は政治と議員に向いていると思う」と断言した。理由は「コミュニケーション能力が高い」「話し合いを嫌がらない⇒問題解決につながる」「いろいろな体験を重ね、政治と結びついている」「議員は、時間を自分で組み立てやすく、昼間に介護・ボランティアができる」。

さらに「女性議員が増えると、議会の空気が変わる、応援してくれる人が傍聴に来てくれて議会が明るくなる」とも言った。

とはいえ金子さんも周りも、最初は選挙で何をどうすればいいのかわからなく苦しんだ。そこで「無所属市民派」議員のネットワーク主催の勉強会に参加。選挙の方法を学んだりもした。選挙事務所は、昼間シルバー世代が出入りし、夕方は現職世代が出入りするという循環で回っていった。歌を歌ったり応援演説をしたい人が増えた。楽し気な選挙が目に浮かぶようだった。

最後に、三井マリ子さんの本『さよなら！一強政治：徹底ルポ　小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』について「民主主義とは何かがよくわかる本」と感想を述べた。一方、「日本は、民主主義国家と言えるのか」と言い、「小選挙区制である限り、１票を入れても１人しか選ばれない。ここを変えていかないと日本の政治は変わらない」と憤った。

以上、金子さんは、30分間で、仕事、結婚、出産、子育てと、まい進し、選挙に出て、当選し、障がい者問題や女性問題の他にも生き辛さがあることに気づき、一気に「民主主義」の本質までを語った。

金子さんのトーク終了後、意見交換。立候補を考えている参加者に、先輩議員たちから選挙の実務的なアドバイスが多々あった。女性議員を増やしてきた議員は、女性議員が増えると「１人でカバーしてきたところを分担できるので楽になる」「パワハラ、セクハラがなくなる」と語った。聞きながら私は「皆さ～ん、女性議員最低３人をめざしましょう。女性議員が楽しく政治ができるように」と思った。

飯塚市民の多くは麻生王国の力を「あまり感じることはなかった」らしいが、強大過ぎて見えないのかもしれない。麻生以外の候補の当選など想像すらできない歴史は、民主主義社会ではない。今回、選挙制度に話題が行かなかったが、主催した「楽しく比例制をめざす会GPR」の課題は重い。

岡田ふさ子（名古屋市民、楽しく比例制をめざす会事務局）

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