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『さよなら!一強政治』を読み 信頼される政治を決めるのは選挙だと思い知った(渡辺順子)


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北欧はじめ多くの国は、比例代表制選挙を行っていることを、この本(『さよなら!一強政治:徹底ルポ小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』)で知った。


すべてが新鮮で驚きだった。政治をタブーとせず、国民自身で築きあげる選挙によってこそ、信頼される政治は誕生するのだと思い知らされた。


この本が出版されたころは、安倍首相の国会発言が官僚たちの忖度改ざん隠ぺい作業を惹き起こし、巻き込まれた官僚の自殺にまで発展するという前代未聞の不祥事が起こっていた。事件の解明を求める国民の声は大きく、私の働く大磯町議会も、「安倍晋三議員に猛省を求める決議を可決した。しかし、政府は全く応えようとしなかった。


なぜこのような民意を踏みにじった政治が通用するのか。著者の三井マリ子さんは、日本の小選挙区制度によってつくられた「男性にかたよった多数」が政治を動かしているからだと指摘する。そして、ノルウェーの比例代表制選挙を徹底的にルポし、日本の小選挙区制誕生秘話や自身の2度の国政選挙で解明した政党交付金の実態など、具体的な事例をもとに両国を比較・分析する。


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ノルウェーの比例代表制度は、国民は政党に投票する。政党が獲得した票の割合に比例して政党の議員数が決まるため、死に票が出ない。


つまり、少数政党でも一定の議席を獲得できる。さらに当選者が選ばれることになる議員の候補者リストは、女性が半数になるように、また職業や世代、地区がかたよらないように、政党が配慮した順番になっている。


有権者が選ぶのは政党だから、候補者が自分の名前を連呼するような選挙運動は必要ない。大事なことは党の政策であり、国民は、毎日のように行われる党首討論を聞いて自分の考えに近い政党を選ぶ。


地方議会は無報酬のボランティアで、仕事を持っていても高校生でも議員活動ができる仕組みになっている。国会議員や首長は報酬があるが、「選ばれて国民の代表となった人が、選んでくれた国民たちを超えてはいけない」との考えがあり、「お金のために議員になる人はいない」とノルウェーの著名な政治ジャーナリストは語っている。


この制度なら40%以上が女性で、かつ多様性に富んだ議会が実現できる。時には高校生の市議が誕生することもあるだろう。こうした制度の基礎となった100年前の比例代表制が成立するまでの歴史も興味深い。


安倍元首相への銃撃事件で、政治家と旧統一教会の関係が次々と明らかになってきた。教団とのかかわりを問われた議員の発言や政府の対応を見るにつけ、根本から政治の仕組みを変えなければ、と思わずにはいられない。ぜひ多くの人に読んでほしい。


渡辺 順子(神奈川県大磯町議会議員)



大磯に続こう!「安倍議員に猛省を求める決議」 : FEM-NEWS (exblog.jp)

日本でも女性の多い議会が誕生 : FEM-NEWS (exblog.jp)

渡辺順子「男女同数議会誕生に立ち会って:これまでの議員生活を振り返る」(地方議会人 2022/7) pdf


by bekokuma321 | 2022-08-11 15:41 | ノルウェー