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北欧2カ国の女性議員数の差はなぜ?

ノルウェーとデンマークはお隣同士。どちらも福祉、平等、環境で、世界の憧憬の的だ。


ところが、地方自治体における女性の進出には差がある。ノルウェーは、女性が全市議41%を占め、デンマークは33%にすぎない。さらに顕著な差は市長だ。ノルウェーは全市長のうち女性が35%にのぼるが、デンマークは14%にすぎない。ちなみに両国とも、日本のような市区町村の区別はない。たとえばノルウェーのUtsira自治体は200人余りだが、市である。



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ノルウェーとデンマークは、政治文化や、政党のなりたちも似ている。右派から左派まで主要9政党があることも同じだ。とりわけ選挙制度はそっくりだ。国会も地方議会も比例代表制で行われる。政党が前もって選挙の候補者リストを決め、投票所で有権者は支持する政党のリスト(下の写真)1枚を選んで投票箱に入れる。その際、両国とも、投票する人が候補者リストの順番を変えることができる。


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では、この顕著な差異は何に基づくのか? デンマークとノルウェーの学者3人による共同研究結果が公表されたので、英語を抄訳する。


それによると、最大の理由は、ノルウェーの政党は、デンマークの政党に比べて、候補者リストを作成するとき、男女の数のバランスが重要だ、と考えているからだ、と研究者はいう。


また、両国民は、男女平等へのアプローチが異なり、一般的に男女平等のテーマがどう話し合われているかにも違いがある、という。


ノルウェー政府当局は、長年、男女平等に旗を振ってきたし、地方議会を性により偏りがないようにするため、推進運動や研究プロジェクトに補助金を出してもきた。実は、筆者は、ノルウェー地方議会を男女平等にするため、政府肝いりの女性増キャンペーンを取材して、著書などで紹介してきた。


デンマークの政党は「ゆるやかなクオータ制」をとっているのに対して、ノルウェーの政党の多くは自主的にクオータ制を規約で定めて、実行してきた。ノルウェーは政党だけではなく、クオータ制は、公的委員会や審議会などの構成員(男女平等法)や、会社の取締役構成員(会社法)にも実行されている。


ノルウェーでは、こうした政治的意思が実行されてきた結果、デンマークに比べて、男女平等は社会に自然に溶け込んでいると示唆している。


おもしろいのは、ノルウェーの政党は地方選候補者リストの45%を女性に充てているが、実態に当選した女性は41%だ。4%低い。これは、投票する人が、候補者リスト変更権を行使した結果なのだが、男性候補のに加点をした人がやや多かったからである。このことは、ノルウェー人は男女平等の原則に強い関心があるものの(だからこそか)、候補者を選ぶ際、ジェンダーにこだわらず判断しているからだとする。


ひるがえって日本。女性の国会議員(一院)は、世界193カ国中163位。そして地方議員もまた、世界の地方議員の平均36%を大きく下回る14.5%だ。 もっともっと行政はむろん、学者もメディアも女性議員を増やすことに心血をそそぐべきだ。



Hvorforer det flere kvinner i kommune­styrene i Norge enn i Danmark? (forskning.no)

WhyNorway has more female local councillors than Denmark: a crack in the Nordicgender equality model? (tandfonline.com)

『ノルウェーを変えた髭のノラ』を読んで : FEM-NEWS (exblog.jp) (by 星川まり)


【写真上:ノルウェーの地方選挙運動風景。中学生が授業の一環で政党の公約を調査している。2019年オスロ】

【写真下:ノルウェーの地方選挙の候補者リスト。オスロ選挙区の緑の党のもの。候補者名が順番に印刷されているが、名前の左端にある小さな空欄にチェックをいれると、その候補者が加算されて、順位が上にあがる場合がある。また右下に空欄が何列も並んでいるが、そこには他党から支持する候補を書き込める。2019年オスロ】


【更新 2022.7.28】


by bekokuma321 | 2022-07-27 21:55 | 北欧