2022年 07月 24日
速報「女性ひとり議会が女性2人になってどれだけ心強いか」(伊藤由子・加美町議員)
「女性ひとりの議会で原発反対を頑張ってきた」宮城県加美町議員、伊藤由子さん。どんな経緯で「女性ゼロ議会」に挑戦したのか。
7月22日、夜、伊藤由子さんから直接話を聞くことができた。題して「私はこうして女性議員ゼロを2人にした」。主催は楽しく比例制をめざす会。
伊藤さんは、養護教員だった。加美町は「女性ゼロ議会」だったので、女性候補を熱心に探していた。2009年、候補者が現われた。ところが、その女性は、夫の強い反対で立候補を断念。代わりに伊藤由子さんが立候補することになった。
「地盤、看板、かばんを当てにしない選挙」に努め、選挙カーはマイカーを利用し、車の屋根につける看板(顔写真と名前を書いて目立たせる)もつけなかった。最大の出費は、事務所に使ったプレハブ代だった。とはいえ、「夫が農協職員であったことから、広く顔を知られており、選挙に幸いしたのではないかと思います」と。その通りだろう。こうして初挑戦で、初当選を決める。
面白いのは、教員をしていた時から近所で伊藤由子さんは「伊藤さんの奥さん」としか呼ばれなかったそうだ。議員になって、やっと2期目を過ぎたあたりから、「由子さん」とか「伊藤さん」と、呼ばれるようになったという。
養護教員だった伊藤さんは、子どもたちの健康に強い関心を抱いてきた。2011年福島原発事故が起きた。伊藤さんは、農協に出向いて「農協が学校給食の食材の放射能チェックを」と提案した。相手にされなかった。次に教育委員会に持っていったところ、栄養士が賛同を示してくれた。その結果、伊藤さんの提案が実現し、現在も続ているそうだ。
福島原発事故後、加美町に、「核のゴミ」の最終処分場建設の話がもち上がった。伊藤さんは、ド派手な衣装を身に付けるなど目立つ格好で反対署名を集める市民運動を展開した。町民だけでなく町側も反対に動き、ついに建設を頓挫させた。これもすごい。
しかし議会でたったひとりの女性議員。セクハラもパワハラもあって、議会が終わった後、まっすぐ家に帰れないほど心がざわつくことも多かった。
2021年、伊藤さんの議員活動を支えてきた後援会の女性部長が立候補を決意してくれた。そして見事、女性2人当選を果たした。
しかし同じ陣営からの複数立候補だったため、難しいことが多かった。「仲間割れ」と誤解されたくないため、選挙中、名刺や選挙カーに、「女性の声を町政に」などと同じスローガンを入れたり、同じ場所で一緒に演説したりと、「連帯しながらやっている」ことを町民に示す努力した。ただ票割は難しく、共倒れになる可能性を秘めていた。そこで先輩議員の伊藤さんは、票の新規発掘に努めたそうだ。
「でも、議会に女性が2人に増えて、ストレスは確実に軽減されました。話し合って、次はどうするかと相談ができるようになって、とても心強いです」と伊藤由子さんは強調した。
岡田 ふさ子(楽しく比例制をめざす会)
■議会・行政改革ヒント満載『さよなら!一強政治』(伊藤由子) : FEM-NEWS (exblog.jp)
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