2022年 06月 26日
残酷かつ悲劇的な米国の最高裁判決:保守派判事増えて妊娠中絶権破棄される
アメリカ女性は、1973年の最高裁「ロー対ウェード」判決により、人口妊娠中絶を認められてきた。しかし、6月24日、最高裁は、5対3で「ロー対ウェード」判決を破棄した。これは、トランプ政権下で、保守派の最高裁判事が任命されたため、最高裁に保守系判事が増えたことによるものだ。
同日、プロ・チョイス派(選択する権利を擁護する人たち)をまとめてきた、女性の権利獲得運動団体フェミニスト・マジョリティ・ファウンデーションは、ただちに抗議声明を出した。今後の闘争に向けて代表エレノア・スミールは緊急カンパを呼びかける。以下は、抗議声明の和訳。
「最高裁判所は、今日、残酷かつ悲劇的な判決を下して、ロー対ウェイド判決を覆しました。この判決は、何百万人もの女性と少女、特に貧しい女性と有色女性の命と未来を壊滅的危険に陥れることになります。
最高裁判所ならびにこの国の歴史において、憲法に定められた基本的権利が奪われたのはこれが初めてのことです。最高裁判所は、産む産まない健康と権利(reproductive health and rights)を支持するアメリカ人の3分の2以上の人々とかけ離れています。
最高裁判所の判決は、女性に対する戦争を激化させます。過去40年間、中絶反対勢力は、戦いに勝つたびに、その陣営の過激派は勢いづき、中絶施術を提供する人たちに対して暴力を増加させてきました。
私たちはまたしても非常事態下に置かれることになります。最高裁判決が出る前でさえ、リプロダクティブ・ヘルス提供者たちは、クリニックにおいて、爆破や殺害予告、侵入、ストーカーを含む暴力行為や暴力の脅迫などの恐るべき増加にさらされてきました。
私たちは、関係団体や診療所と協力しながら、中絶反対過激派の暴力に対抗し、暴力を減らすため、バイデン政権と協力していきます。
私たちは、これはまだ終わらないとするバイデン大統領に同意します。この11月(中間選挙がある)、妊娠中絶、避妊、同性婚を含むプライバシーの権利などを自分自身で決定できる権利は、投票にかけられることになります。妊娠中絶保護を全米で回復できるよう、女性の健康保護法the Women’s Health Protection Actを直ちに可決するよう議会に求めます。」
ひるがえって日本。刑法に堕胎罪(212−216条)などという恐るべき条項がまだある。よって妊娠中絶(堕胎)は原則禁止だ。しかし、身体的経済的理由などによって例外的に認められている。その際、配偶者の同意が必要で、女性は自己決定権を持たない。
【写真:「中絶は権利だ」と書かれたフランスのポスター。フランスはじめ多くのヨーロッパ諸国は妊娠中絶を合法化している】
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